ピンク・フロイドPINK FLOYD ボックス・セット「THE EARLY YEARS 1965-1972」
驚異の27枚組12時間30分の物量に圧倒されて・・・・
注目の・・・
感動の4チャンネル”Echoes”
良質サウンド”The Man & The Journey”72分完全版
とにかく前代未聞の物量で、初期ピンク・フロイドの多くの未発表音源、映像。そしてピンク・フロイドの膨大なアーカイヴから未発表音源・映像を含む全7巻の書籍形式に収納された27枚組のヘビーなボックス・セット『The Early Years 1965-1972』である。
今作には12時間33分、130トラックからなる音源(未発表音源・アウトテイク・デモ音源・テレビ音源・BBCでのセッションなど7時間分の未発表ライヴ音源とともに20以上の未発表音源)と、15時間を越える映像(5時間分以上に及ぶレアなコンサート映像、映画他)が新たなサウンド・ミックスとともに収録されている。まあこれはピンク・フロイドだから出来た企画ものですね。(内容は既に紹介)
<Progressive Rock>
PINK FLOYD 「THE EARLY YEARS 1965-1972」
Columbia/Legacy / U.S.A. / 88985361952 / 2016
とにかく、このボックスの大きいことと重いこと、やっぱりそれぞれ7巻のブックに収納されての27枚組(CD10枚、DVD9枚、 Blu-ray8枚、 7インチシングル5枚)となれば当然というところでしょうが・・・・。
取り敢えず、まだ好きなところから1/2位しか視聴していないので全体の感想は書けないが、私の興味のあるところを拾っての感想第1回だ。
■ 幻のアルバム「The Man & The Journey」完全版(1969年)
ピンク・フロイドを愛するものなら、彼らのシド・バレットから離れての新しい試みとして、アルバムとして作成することを念頭に企画され作曲し、ライブでの実験を始めた組曲「The Man & The Journey」('69.4英国から'70.2フランス・ライブ)に関心があるだろう。(→)
これは結局のところリリースすることはなく、我々はこれはかってはライブもののブートでしか聴けなかったものだ。
私は1970年代には、この実態を詳しく知りたかったし、ブートでも最も手に入れたく聴きたいと思ったもであった。
しかし今回のこの企画ものに、ついに好録音良好サウンドの全15曲の完全版の登場となったのだ。
かって私はこの組曲はブートで何枚か集めたが、最も良好な音質ものは、何時ぞや紹介したように”THE SWINGIN' PIG”もの(「AMSTERDAM'69」TSP-CD-052)であったが、あれは完全収録ではなかった。
(参照: 「Bootlegから見るPink Floydの真髄”ザ・マン””ザ・ジャーニー”」)
今回ここに日の目を見たものは、同じSep.17 1969 アムステルダム・ライブものであるが、全15曲トータル76分の良好音質の完全収録版である。
これは今回リミックスを施したのであろうか、これ程の良好サウンドで聴けるとは思わなかった。これはまずは驚きの収穫である。
これらの組曲は映画「モア」のサウンド・トラック用に使われて分解してしまい、この組曲としてのリリースはならなかったのもので、ロック界の歴史においても最初に試みられた組曲として注目されたもの。後のアルバム「モア」には、このうち何曲かは収録されたわけだが、しかしこうして組曲として聴くと、これまた印象は全く異なるところが面白い。今回のこのボックス・セット企画を評価する一つである。
■ ライブ映像「Live at Pompeii」サラウンド・サウンド版
~2016 5.1 Audio Remix~
映像は、最新版の「The Director's Cut」の画像改良が加えられ、なんとサウンドは5.1サラウンドで楽しめることになり、サウンドの改良も凄い。特に高音部の繊細な音は素晴らしいし、低音も伸びた。ここまで改良できる事に驚きだ。
これで私はこのポンペイものはLDやDVDなどを含めて4枚目となるが、その度に改良が加えられ、とにかくご機嫌である。
■ 名曲”ECHOES”の4チャンネル・立体音響もの
~Original 4.0 QUAD MIX 1971~
(Blu-ray : 4.0 DTS HD MASTER AUDIO 96KHZ/24-BIT)
これほどフロイドの曲でも立体音響にぴったりの曲も少ないが、かってLP盤でリリースされた”4.0 QUAD MIX”を更に音質改良されてBlu-ray4チャンネル立体音響盤 として聴くことが出来る。なんとライトのキー・ボードとギルモアのギターが聴く者の周囲をゆっくり旋回し、ウォーターズのベースが頭上から響くという残響を十分堪能できる曲仕上げで、まさに”エコーズ”を楽しむには最高だ。こうしてサラウンド化すると、それぞれの楽器が分離して聴くことが出来て、”なるほどこうした演奏であったか”と、彼らのサイケデリック・プログレッシブ・ロックを改めて感ずることが出来る。
今にして驚くのは、彼らはこの70年スタート時に、”原子心母”(このQUAD MIXも、収録されている)以来のモノをこうしてマルチチャンネル立体音響をいち早く試みていたのである。
私はフロイドものの多くの楽しみ方として、リアル・タイムに彼らと歩んできたため、「狂気」に至るまでの彼らの姿が実に興味深いし懐かしいのである。なにせ60年-70年の当時は現在のように情報も多くなく、又ブート探しも簡単で無かった。従って今にして今日までの長い間の過去に得た資料がこのように改良され再び接することが出来ることに感動がある。こんな重量感ある歴史絵巻は多分このセットまでであろうと思われるところだ。
「モア」や「ザ・バレイ」の映画も、画像が見事に改良されて収録もされているし、その他のピンク・フロイド誕生物語やシド・バレット時代の資料、「原子心母」の多彩なライブものなど又次回に触れることとする。
(参考)
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コメント
あらためて風呂井戸氏のピンク・フロイド愛を感じさせてくれました。確かに70年代当時はメディアによる情報も少なくて、しかも私のように地方に住む人間にとっては、雲の影ならぬ雲の上のような存在でした。
それにしても4chのサラウンドなどは体験してみたいですし、未発表音源なども気になるところです。
昔のアルバム・レビューには、その当時のライヴの様子なども記載されていましたが、そんなサイケデリックな体験ができるようなボックス・セットのような気がします。次回以降も更なる内容についての記述を期待しています。
投稿: プロフェッサー・ケイ | 2016年11月16日 (水) 23時10分
プロフェッサー・ケイ様 こんにちわ。
しかし、今になってこんなセットが登場するとは思いませんでした。
今回の内容は、シド・バレット時代のものも、かなり映像も充実しています。かって入手したものもありますが、今回のモノが最も良好映像です。しかしこうゆうものは、当時の思い出があって感動ものにになるとも言えます。近年ピンク・フロイドものに興味を持ってオール・アルバムを同時に聴いている者にはあまり意味が無いかも知れません。これに感動するのは我々老人の特権かも知れません(笑)。
そして「原子心母」「おせっかい」ころのフロイドものが一番サラウンド・サウンド向きと思いますので、その意味ではこの企画は成功ですね。"アランのサイケデリック・ブレックファウスト"なんかはまさにその部屋に居る感覚になります。
まあそうはいっても、これはフロイド病にかかっている人向きの企画であると言えますね。
投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2016年11月17日 (木) 09時46分
風呂井戸さんこんにちは.
すごいですねぇ ・・・・・・・ 値段も、内容も(笑)
Late Years も出そうな雰囲気ですが、ボクにはちょっと手が出ないかな.
幸い 風呂井戸さん のブログでいろいろ教えていただけるので、それで満足としておきます.
それにしても立体音響は気になるなぁ・・・・・・
投稿: la_belle_epoque | 2016年11月18日 (金) 18時19分
la_belle_epoqueさん、こんばんわ。
おっしゃるように、この70年代初めに流行ってその後衰退した4チャネル立体音響ですが、フロイドはもともとサウンドにうるさかったので、「原子心母」「おせっかい」あたりも立体音源はしっかり保存してあるんですね。それをリミックスして音質の向上も企かられての今回のリリースは歓迎しました。当時の彼らの演奏は最もそれにピッタリですからね。
しかもポンペイまで5.1サラウンドに化けるとは思いませんでした。とにかく「early years」ではやっぱりライブの究極はポンペイですからね。
まあ、私にとっては所持モノとダブったものも多いためこの値はちょっと高かったですが、まあサラウンドで楽しんでいるんです。
投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2016年11月18日 (金) 23時49分
当時「おせっかい」は4ch盤は発売されませんでした。Early Years Boxに収められた「エコーズ」4ch音源は未発表だったものです。メニューからは辿れませんが、Blu-rayディスク内には「おせっかい」全曲の4ch音源が収められているそうです。
当時4chLPが発売されたのは「原子心母」「狂気」「炎」の3枚です。どれもプレミアが付いて高価になっています。私も「原子心母」しか持ってません。
7月に行った4chレコード試聴会で「狂気」から「タイム」を聞きました。10/20にも4chレコード試聴会行いますので、そこでも何か聞けるかも知れません。
投稿: 中澤 | 2018年9月16日 (日) 00時45分
中澤さん、コメント有り難うございます。
当時は4チャンネルLpまでは装置も含め手が出なかったのですが(マトリックス4チャンネルという遊びはやったものです)、現在はプレミア付きというのはよく解ります。現在「4チャンネルレコード試聴会」という企画は、やっぱり好き者は何時までも居るものだと感慨深いです(笑)。
今は、DVD ,Blu-rayの高音質で聴けるところは幸せものです。冒頭ライトのキーボードが天空を回転して圧巻です。ハイレゾもこれから当然でしょうね。
そうそうEarly Years BoxのBlu-rayには、「おせっかい」の全曲の4チャンネルは収録してありません。”Echos”のみです。ポンペイが5.1に化けてます。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年9月16日 (日) 12時15分
そのBOXのVolume 5: 1971: Reverber/ationのBlu-rayディスク内に、「おせっかい」全曲の5.1ch mixの音源ファイルが入っているそうです。ただし通常メニューから聞けるのは「エコーズ」のみで、あとは特殊な方法でBlu-rayディスクをリッピングしてファイルを抜き出して初めて聞けるそう。私もPCのBlu-rayドライブ持っていないのでやってないですが。
投稿: 中澤 | 2018年9月17日 (月) 03時25分
中澤さん、貴重というか面白いお話し有り難うございます。昔LPを逆回転するとメッセージが・・・なんて話もありました。Pink Floydものはそこが楽しいですね。試みてみます。
4ch立体音響やサラウンドものは、それぞれの楽器の分離が良くなって聴き応えがありますので・・・・。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年9月17日 (月) 09時28分