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2016年12月29日 (木)

2016年の別れに・・・マーティン・ティングヴァルMartin Tingvall 「distance」

深遠な世界を感じ・・・心安らかにこの年を送る

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                                                   (我が家の白南天)
            *          *          *

<Jazz ,   Piano solo>
Martin Tingvall 「distance」
SKIP RECORDS / GERM / SKP 9147-2 / 2015

Diaance

All Songs composed and produced by Martin Tingvall
Martin Tingvall played on a Steinway D Grand Piano, Fender Rhodes and Celeste


Martin_tingvall_05_fcm  Tingvall Trio でお馴染みのスウェーデン生まれのマーティン・ティングヴァルMartin Tingvall のソロ・ピアノ・アルバム。
 アイスランドを旅してインスプレーションを得たと言うピアノ・ソロ作品。前作の『en ny dag』(SKIP91172/2012)が素晴らしかったのが印象深いのだが、今作も全曲彼のオリジナルで負けず劣らずの快作である。

 スタートM1.”an idea of distance”から、ゆったりと叙情的なピアノの音が如何にももの悲しく展開する。それはやっぱり都会のイメージでなく何処か人々の生活圏から離れた孤独な地に立っての雰囲気が感じられ、深遠なる自然の中に自己を見つめるに相応しい時間を作ってくれる。

List 彼はドイツで活躍しているのだが、やはりその心は北欧なんでしょうね。私が勝手にそう思うのだがこの世界はまさに北欧なんです。
 珍しくM6.”a blues”では、強い鍵打音で心に強く響くが、その後M7.”black sand”では再び元に戻って、クラシック調の優しい美しいピアノの響きに変わる。

 ”アメリカのジャズとヨーロッパの芸術音楽の要素とそれを兼ね備えた”と彼の演奏を紹介しているのを見たが、彼のピアノは、非常に透明感ある響きを基調にして、牧歌的という表現が良いのか、人間の雑踏とは離れた世界観を聴かせてくれ、そしてしかも非常に美しいのです。これはジャズというより全ジャンルに広めたいとふと思わせる。

 そして・・・・このアルバムを聴きながら、全ての原点に戻った気持ちで今年2016年を送りたいのである。

                      ----------------------------

 今年もこの拙いブロクを覗いて頂き、いろいろとご指導有り難うございました。来る2017年も又よろしくお願いします。皆様にもご多幸なる新年をお迎えになりますよう祈念いたします。
                   
----------------------------

(視聴)

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2016年12月25日 (日)

ラーシュ・ヤンソンのニュー・アルバム=Lars Jansson Trio 「MORE HUMAN」

何か達観した人生から聴こえてくるようなピアノ・トリオの世界

<Jazz>
Lars Jansson Trio 「MORE HUMAN」
Spice Of Life/Savvy / JPN / SOLSV-00371 / 2016

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All tracks composed and arranged by Lars Jansson
Recorded on March 26, 27 2016 at Sweden

ラーシュ・ヤンソン/ Lars Jansson: Piano
トーマス・フォネスベック/ Thomas Fonnesbeak: Bass
ポール・スヴァンベリー/ Paul Svanberg: Drums

Lj1 北欧スウェーデンの今や大御所ジャズ・ピアニスト、ラーシュ・ヤンソンLars Jansson(1951年~)は、このところ何度となく日本を訪れ、ピアノ・トリオ・ファンを魅了し、そして多くの日本ファンを獲得してきている。(私にとって強烈なインパクトがあるというタイプではないのだが)
 そんな時についにサービス満点のセルフ・カヴァーと言うか(自己の作品の中から選曲してのベスト盤というのでなく)新録音盤つまり現在の気持ちでの演奏版集がここにお目見えした。それもなんとどうもこれは日本側での企画のようであるところが味噌。

 彼の演奏はもともと美旋律にして拘りのない曲展開で、大いに聴きやすい演奏が特徴であるが、今回のアルバムは、自分の取り巻きの近親者への愛情を心から描ききったものらしく、一段と語りかけるような愛情の感じられる作品の印象が強い。
 しかもジャケ・デザインは孫娘のヒルダの描いたもので、そのあどけない可愛い彼女のPhotoもカヴァーに登場させており、又このアルバムの中には、彼女へ捧げた曲も収録という心のいれようだ。

Ljtriow

 スタートM1.”A Beautiful Smile ”の親しみやすいメロディーと澄んだピアノの音でまず喜ぶ。
 M3.”Too Good To Me”いっやー、この優しさ溢れた美しい曲にはうっとりですね。
 M4.”More Human”はヤンソン節と言える名曲。
 愛孫娘へのM6.”Hilda Smiles”、M12.” Hilda Plays”などの人間愛の曲。
 その他、M5.”There Is A Butterfly In My Room ”は若干印象が違って、軽快中に演者3人が楽しんでいる様が目に見えるような曲。
 M11.”Mothers In Brazil”も美しさそのものを演じきっている。
 とにかく心を解(ほぐ)してくれるムードに充ち満ちた優しさ溢るるアルバムであると同時に、その中にはちらっと熟練されたピアノ・プレイの味があってうなづいて聴いてしまう。

 シャズ・ピアノ・トリオに期待の寄せ方はいろいろとあって、スリリングとか異次元世界への誘導とか、心をえぐるような鋭さとか、夜の深遠なムードなどと、期待するところも多種でそんな世界も私は好きなのだが、それとは全く別物でこのようにさらっとした清々しい優しさの美しさというところも良いものだ。私にとっては年末には気持ちの整理には相応しいニュー・アルバムであった。

(Tracklist)
1. A Beautiful Smile *
2. I am That 
3. Too Good To Me 
4. More Human
5. There Is A Butterfly In My Room 
6. Hilda Smiles 
7. Summer Song *
8. The Wounded Healer Can Heal 
9. Simple Song Simple Life 
10. Marionette 
11.Mothers In Brazil 
12. Hilda Plays 
13. The Inner Room 
14. Freedom of Heart *
15. Hope
      (*印 new number)

(視聴)

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2016年12月22日 (木)

アレックス・リール・トリオAlex Riel Trio 「what happened ?」

洒落て優美で・・・とにかく爽快仕上げのピアノ・トリオ・ジャズだ!

<Jazz>
Alex Riel Trio  「what happened ?」
Crowbell / Europe / No:14 / 2005

Whathappened

Recorded at Loft Studio, Copenhagen Feb. 2003 & April 2004

Alex Riel : drums
Heine Hansen : piano
Jesper Lundgaard : bass

 ジャケのムードが何とも言えず良いですね。こうゆうのに何となく引きつけられる。大御所ドラマーのアレックス・リールAlex Riel のリーダーによるピアノ・トリオ・ジャズ。
 これは、2005年リリースと、もう10年も前のアルバムだが、何故か今年の寺島靖国の「for Jazz Audio Fans Only Vol.9」に登場したもの。過去にその筋では結構評判なもので、つい聴きたくなって購入に至ったアルバム。
514ydjifhl 参考までに、今年のこの寺島靖国が選んだものは下のようなところだった。このトリオは、6曲目に登場する。(M1.” Hungaria” [Alessandro Galati Trio]及びM3.”Pastor” [Joachim Kühn]は既に紹介)

「for Jazz Audio Fans Only Vol.9」
1.
Hungaria [Alessandro Galati Trio]
2.Arcs [Rosset Meyer Geiger]
3.
Pastor [Joachim Kühn]
4.Poinciana [Mike Longo]
5."Leggerezza Pensosa" Calvino [Michele Franzini]
6.
Without [Alex Riel Trio]
7.Blau Grün Grau [Julia Hülsmann, Marc Muellbauer & Rainer Winch]
8.City Lights [Michal Wroblewski Trio]
9.Captain Back Fire [The Neil Cowley Trio]
10.Settembre [Roberto Bonati Trio]
11.Ancel [Havard Wiik Trio]
12.Corryvreckan [Igor Prochazka Trio]
13.Alone Together [Kate Paradise]

Alexriel2015 アレックス・リールは改めて言うこともないが、デンマークのベテラン・ドラマー(1940年生まれ)。なんと、過去にアメリカからヨーロッパに渡ったジャズ・メンとの共演による傑作が多い。
 とにかくヨーロッパ的叙情性とアメリカン・スウィング・ジャズの結合での爽快にして快感の演奏を披露してきた。

 このアルバムはスウィンギー・ジャズってヨーロッパ感覚を加味するとこんなに爽快なのかと思わせると同時に、とにかく洒落ていて優美で快感そのもの。これがやっぱり名人芸なんでしょうね。
 そんなジャズの基本的な一つの面の典型を感じ取れる名盤と言っても良いと思うところ。

Hh ピアノのハイネ・ハンセンHeine Hansen が又良いんですね。決して重くなく軽快、楽しいジャズってこれなんだと弾きまくる。このアルバムでも、彼はコンポーザーとしての能力も発揮して、彼の曲は3曲演じられ(下の*印)、寺島靖国に選ばれた曲もその内の一つ。彼はデンマーク1978年生まれで新進気鋭、このアルバムで注目され、その後に2枚の彼をリーダーとしたピアノ・トリオ・アルバムをリリースしている(「When The Sun Comes Out」(MMEX140. 2010)、「Signayure」(XATW-00141030, 2016))が、このアルバムで日本ではデビューしたようなもので記念品。

 (Tracklist)
1. Yesterdays
2. Nature Boy
3. 100 m Spurt *
4. Without *
5. I'm getting Sentimental over You
6. Ac-cent-tchu-ate the Positive
7. Aiant Steps
8. Dreaming Streaming
9. 3rd Dimension *
10. Idaho

(試聴)

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2016年12月18日 (日)

マルチン・ボシレフスキ絡みで・・・イェジィ・マウェクjerzy małek 「ON AIR」

マルチン・ボシレフスキのピアノと・・・・・・・
トランペッター:マウェクjerzy małek のカルテット・アルバム

<Jazz>
jerzy małek 「ON AIR」

UNIVERSAL MUSIC POLSKA / POL / JZ111026-06 / 2011

Onair

Jerzy Małek - trumpet / Marcin Wasilewski - piano /Michal Baranski - doubloe bass / Michal Miskiewicz - drums
Recorded 1 March 2011 at the tokarnia studio nieporęt

Jm これもポーランドからの一枚。ピアニストのマルチン・ボシレフスキがらみだから当然と言えば当然。
  私はこのイェジィ・マウェクjerzy małek(←)というトランペッターは知らなかったのだが、これは2011年リリースの彼のリーダー・カルテット・アルバムである。ボシレフスキのピアノが参加しており、そしてシンプル・アコースティック・トリオのMichal Miskiewicz が共演。
 マイルスを敬愛しているというこのマウェクが、かっては自主制作盤やマイナーレーベルから地道な発信をし続けてきたというが、ここにUniversalからのメジャー・デビューを果たした作品。全6曲全て彼のオリジナル曲で構成されているカルテットによる演奏。

(Tracklist)
1.  Slavs
2.  Starka
3.  White Tulips
4.  Specjal
5.  Air
6.  Benio

 
Jm2 音楽の国ポーランドらしいメロディーの豊富な曲を展開している。私はマルチン・ボシレフスキのピアノを大いに期待しているのだが、いやはやこのアルバムは明らかに主体はトランペットを中心とした曲作り、彼のピアノは明らかにサポート役に回っている。
  つまりカルテット構成とはいえ、トランペッターのリーダー作らしく、メロディーを浪々とトランペットが歌いあげる。
  印象としては、かなりインプロヴィゼーションを大切にしている曲作りとみた。

 スタート曲M1.”Slavs”は、ボシレフスキのトリオ・アルバムの印象とかなり違っており、叙情的な曲作りというところでは無い。ここでは彼のピアノもトランペットの荒々しい展開に追従して鋭く攻めながらも締め役に貢献して、最後は曲を静かに落ち着かせる。
 全曲比較的長い曲が多く、短いモノでも2曲目の7分11秒。従ってM3.”White Tulips ”は10分を超える曲で、そこで中間部にてピアノやベースのソロも交えて楽しませてくれる。
 全体的に比較的聴き易い曲で占められているが、ここではマルチン・ボシレフスキは、面白いことに前衛的タッチを披露していて、彼のトリオものとは別の面を知ることが出来た。
  そんな中で、M5.”Air ”では、ピアノ・トリオと思われるぐらいたっぷりととられた5分以上の導入部で、ボシレフスキらしい情緒豊かなピアノを聴くことも出来る。
 こうしてみると、ポーランドのジャズ事情はほんとに豊富で驚かされるといったところである。

(参考:Jerzy Małek の Discography)
"By Fife" 2000
"Gift" 2002
"Spirit of the time" 2005
"Bop Beat" 2006
"Culmination" 2009
"On Air" 2011
"Stalgia" 2014

(試聴)

 

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2016年12月14日 (水)

ヨアヒム・キューンJoachim Kühn 「Birthday Edition」

革新的ジャズ・ミュージックへの道

514ydjifhl 今年もYasukuni Terashima の『for Jazz Audio Fans Only vol.9』 (13アーティストの13曲)(→)を楽しんで来たのですが、そこに登場する曲で気になったものが納まっているアルバムを聴いているんです。こんな具合に「for Jazz Audio ・・・」は、私の知らなかったところに焦点を当てる一つの手段として定着してきています。

  まずはヨアヒム・キューンJoachim Kühn です。

<Jazz>
Joachim Kühn Birthday Edition
「Trio Kühn Humair Jeny-Clark」
「Europeana」

ACT Music / Germ / 6017-2 / 2014

Birthdayedition

 このアルバムはCD2枚組でCD1は Berlin での '87 & '95年のライブもの

<CD1> 「Trio Kühn Humair Jeny-Clark」
       Live at JazzFest Berlin '87 & '95

Joachim Kühn (p)
Daniel Humair (ds)
Jean-François Jenny-Clark (b)
Recorded live at JazzFest Berlin by SFB / rbb (Rundfunk Berlin-Brandenburg), Music previously unreleased
M1~3 recorded at the Berlin Philharmonie, November 6, 1987
M4~6 recorded at Auditorium im Haus der Kulturen der Welt, November 3, 1995


A2566671258884687_jpeg_21. Pastor
2. Easy to read
3. Heavy birthday
4. Heavy hanging
5. Guylene
6. More Tuna


 これはまず1枚目。このアルバムのタイトルになっているヨーロッパ屈指と言われるトリオによる未発表ライブ音源。ベースにはJ.F.ジェニー・クラーク(1998年死亡)、ドラムにはダニエル・ユメール。
Danielhumairdr  とにかく私が何時も納得してしまうこのレーベルACTのリアルなサウンドをまず評価ですね。1987年と1995年のライブ録音だが、まさに彼らの演奏のステージの中に居るような錯覚を起こすほど素晴らしい。
 そして肝心の演奏も・・・例の如くダイナミズムとスピード感の革新的スリリングな展開。ピアノ、ベース、ドラムスがそれぞれの役割を主張しつつお互いのインタープレイが、録音の良さによって見事に描かれている。
  私はこの冒頭のM1.”Pastor”に圧倒されてグーの音も出.ない状態に。
  M2.” Easy to read”は、その美しさとスリリングな展開の妙は傑出している名演。
 M3.” Heavy birthday”はヘビーで強烈。荒々しさをここまで描く気合いに脱帽。
 
<CD2> 「Europeana」
              Jazzphony No1. by  Michael Gibbs

Joachim Kühn (p)
Jean-François Jenny-Clark (b)
Jon Christensen (ds)
Music arranged by Michael Gibbs.
Soloists: Django Bates, Douglas Boyd, Klaus Doldinger, Richard Galliano,Christof Lauer, Albert Mangelsdorff & Markus Stockhausen
Radio Philharmonie Hannover NDR conducted by Michael Gibbs
Konzertmeister: Volker Worlitzsch

Joachimkuehn1_teaser_700x この2枚目は、マイケル・ギブス率いるオーケストラ・アンサンブルとヨアヒム・キューン・トリオの共演もの(全13曲)。
 民族音楽的な因子がみられる曲がある反面、やはりキューン(→)のトリオの革新的にしてアヴァンギャルドな演奏とオーケストラのクラシックな響きとの皮肉な対立・協調が面白い。
 ホルン、オーボエ、ソプラノ・サックス、トロンボーンそしてヴァイオリン等の主旋律の奏でるところとのクラシカルな曲が流れ、そこにこのトリオが食い込んで行く奇妙な曲仕立てを楽しむことになる。

 このアルバムの宣伝文句は ”東ドイツに生まれ、冷戦時代に西側に亡命するなど、苦難にも満ちたヨアヒム・キューン。ヨーロッパに生を受けたものとしての音楽的なルーツをめぐる表現と、革新的表現が詰まった作品。今後の活動にも注目のアーティストの歴史的リリースです!”・・・と言うところで、参考になる。

(参考視聴) Joachim Kühn Piano solo

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2016年12月10日 (土)

ショレ・ケンチッヒ・パポー・トリオCholet Känzig Papaux Trio「EXCHANGE」

ハイセンスで、クラシックであり、アヴァンギャルドである美的世界を演出

 今年秋に来日してライブを展開したんですが、私は参戦チャンスを逸してしまった・・Cholet Känzig Papaux Trio。
 実はこのアルバムを聴いて、その逃したことを悔しがっているのである。
 日本ではそれ程馴染みも無かったが、フランスのピアニストで作曲家 ショレJean-Christophe Cholet がリーダーで結成して15年を経たベテラン・ピアノ・トリオ。過去に7枚のアルバムをリリースしているようだ。ベースの ケンチッヒHeiri Känzig とドラムの パポーMarcel Papaux はスイス出身でともにヴェテラン・ミュージシャン(ケンチッヒは Thierry Lang のトリオで来日している)。

<Jazz>
Cholet Känzig Papaux Trio「EXCHANGE」
Neuklang / Europe / NCD4105 / 2015


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Jean-Christophe Cholet(P),  Heiri Känzig(B),  Marcel Papaux(Ds)

  “CKP Trio” として名高いヴェテラン・トリオによる「美ジャズ」と評されているまさに現代ジャズのアルバム。とにかくフレンチ・ジャズ界の異能とまで言われるピアニストのショレがここに宿っている。
 収録曲12曲は全て彼らのオリジナル曲で、ピアニストのショレが9曲というリーダーとしての役割を果たしている。

Ckptrio

 オープニング曲M1.”2nd Miniature”は、ベースのアルコ奏法による異様なスタート。そしてピアノとドラムスが絡んで、余韻をうまく印象づけ、そして異次元の世界へと導くのだ。このタイトルの”Miniature”というのは、”小曲”と言う意味なのか、”細密画”というところを表しているのか、このアルバムに1st、2nd、3rd と3曲登場する。この辺りのトリックを解明しないとこのアルバムをほんとに聴いたと言うことにはならないのかも知れないと不安になりながら聴くのである。
 そして2曲目”Carrousel”も叙情的世界とは別のスリリングな展開を演じきる。又3曲目”1st Miniature”はベースが親しみのある旋律を奏でてそれを繰り返す中に、ピアノがそれとは全く異なった展開を見せながら次第に融合していくところが見事と言えば見事。しかし決して難解ではなく楽しい。
 アルバム・タイトル曲のM5.”Exchange”はやはりその意味に関心を持つが、”交換”、”交流”、”応酬”といったところなのだろうか、そんな事を意識して聴くのだが、3者の応酬が面白い。
 M6.” Hot Song”は美しいピアノが心に浸みてきて、ベースとシンバルの音がそれを支えて心安まる世界である。
  M9.”Because of Schumann”ではなんとクラシッカルな演奏をみせる。
 そしてM12.” Norfolk Song”は優しい懐かしいメロディーを聴かせて終わるところがニクイのである。

  とにかくクラシックからジャズを熟知しての3者の演奏展開は、緊張感と優しさと、そして叙情と、これらをミックスした躍動ある世界の構築で、伊達にトリオ15年以上の歴史を刻んではいない。勿論リーダーのピアノは多くを語るも、ベースの意義も大きく、又ドラムスのリズムの変化も面白い。これはやはりトリオの意味ある「CKP-Trio世界」なのである。

(Tracklist)
1. 2nd Miniature
2. Carrousel
3. 1st Miniature
4. Last Circle
5. Exchange
6. Hot Song
7. 3rd Miniature
8. Some Other Songs
9.Because of Schumann
10. Diss
11. Petite
12. Norfolk Song


(参考)
<ショレJean-Christophe Cholet の紹介>
       (諸々の紹介から・・・・引用)

Jcc  1962年生まれ。1985年、エリック・サティを輩出したことで知られるフランスの音楽院、スコラ・カントルム(ピアノ、ハーモニー、デスカント、フーガを学ぶ)にて学位を得る。正統的クラッシック音楽を基礎としながらジャズを演奏し、若い頃から作曲もしている。
 Kenny Barron, Richie Beirach, Bernard Maury等から学んでおり、多くのプロジェクトに参加している。そしてシンフォニー、ダンス、サーカス、劇、映画などのために作曲し、様々な分野のものに於いて音楽としての意味づけを成功させている。230 曲を超えるレパートリーを持っていると言われている。これまでに、Alla brève (Radio France)、ブラス・クインテットの "Turbulences"、チューバ・カルテットの"Euphonic Tuba's" Quartet、 インスト・アンサンブルの "A Piacere"、 Orchestre Symphonique Région Centre / Tours 、 Orchestre d'Harmonie de la Région Centre などに作品を提供している。
 教育にも熱心で、アマチュア・ミュージシャンも含め、多くの人を教え、インプロヴィゼーションへ導くこともしている。CA du Jazz (フランスの音楽教授資格能力 - ジャズの教師免許 - )の有資格者でもある。

(視聴)

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2016年12月 7日 (水)

ウォルフガング・ムースピールWOLFGANG MUTHSPIELのクインテット・アルバム「 RISING GRACE」

ブラッド・メルドー参加の豪華クインテット
やっぱり一枚上手のハイセンス・ジャズ・アルバム

<Jazz>
WOLFGANG MUTHSPIEL 「RISING GRACE」
ECM / GER  / ECM 2515 / 2016

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Wolfgang Muthspiel(guitar)
Ambrose Akinmusire(trumpet)
Brad Mehldau(piano)
Larry Grenadier(double-bass)
Brian Blade(drums)

 Recorded Jan. 2016  ( Studio La Bussonne, Pernes-les-Fontaines )

  ロックの場合、まずはギターに注目するのですが、何故かジャズとなると思いの外、ギターものを私はあまり聴かないんですね。このアルバムも今や押しも押されもしないピアニストのブラッド・メルドーBrad Mehldau参加と言うことで入手したアルバム。現代ジャズを代表するとまで評価のあるオーストリア人ギタリスト=ウォルフガング・ムースピールWolfgang Muthspielの最新作だ。
 そしてこれがなんとトランペッターに新進気鋭のアンブルーズ・アキンムシーレAmbrose Akinmusire、そしてアメリカのジャズ界のプライアン・ブレイド(drums)とラリー・グレナディア(double bass)というメンバーの豪華クインテット・アルバム。

Qu
 しかしこのアルバムはジャズとしてのレベルが高い。メンバーのそれぞれが力むこと無く、これが現代ジャズのセンスと究極の姿だと言わんばかしの世界を構築している。いっやー、恐れ入れました。その上に久々にギターのジャズ心にも触れることが出来た感ありです。

  アヴァンギャルドにして、即興の醍醐味と、クインテットとしてのアンサンブルの美しさなど、ECM世界であるからこそ尚更やっぱり一枚上のジャズを聴かせてくれる。
 そして何故か大人しいメルドーのピアノと思いきや、しっかりギター、トランペットを支えるが如く弾いているが、やっぱり自己の位置を確保して訴えるところは訴えてくる。M8.”Den Wheeler, Den Kenny ”なんかはその典型です。又 M5.”Wolfgang's Waltz”では相変わらず美しさと流麗なピアノの音が流れてくる。
 私は、あまり聴かなかったムースピールですが、確かにリリカルなギターを聴かせてくれますね。エレクトリック・ギター、アコースティック・ギターをこなしてなかなか魅力的。メルドーのピアノやアキンムシーレの控えめなトランペットとのインプロヴィゼーションの交錯もお見事。

 収録曲は、ECMの先輩Kenny Wheelerへのトリビュート曲だと言う“Den Wheeler, Den Kenny” などを始めムースピールのオリジナル曲集だ(1曲のみメルドーが本作のために書き下ろした曲M.5."Wolfgang’s Waltz.”)。
 いやはや、「ジャズ世界の奥深さとレベルの高さを聴いて見ろ!」と、たたき込まれたアルバムでした。お見事。

(Tracklist)
1. Rising Grace
2. Intensive Care
3. Triad Song
4. Father And Sun
5. Wolfgang's Waltz
6. Superonny
7. Boogaloo
8. Den Wheeler, Den Kenny
9. Ending Music
10. Oak

Wolfgangmuthspielw(参考1)
<ウォルフガング・ムースピール
Wolfgang Muthspiel
 1965年3月2日オーストリアのシュタイアーマルク州スティリア生まれ。6歳でヴァイオリンをはじめ、13歳からギターを手にする。2人の兄はいずれも音楽を愛し、そんな環境で幼い頃から楽器を演奏しての生活をしていた。それがきっかけでジャズを聴き始め(14歳)、その後グラーツでクラシックとジャズを学ぶ。
 ギター奏者として、1986年に渡米し、ミック・グッドリックに師事するためニューイングランド音楽院に入学。卒業後同じくボストンのバークリー音楽大学に入学する。在学中にゲイリー・バートンのバンドに2年間参加し注目を集める(この時、後にたびたび共演するラリー・グレナディアも同バンドに在籍していた)。
 卒業後、ニューヨークに渡り1989年初リーダー作『Timezone』を録音する。2002年からウィーンに移住し本格的に活動拠点をヨーロッパに移す。同年自己レーベル、マテリアル・レコーズを設立し、自身の作品や若手ミュージシャンの作品をリリースしている。
 多くのアルバムを残しているが、現在はスイスのバーゼル音楽大学の教授でもある。


Ambrose_akinmusire(参考2)
<アンブルーズ・アキンムシーレ
Ambrose Akinmusire
 1982年、ナイジェリアの血をひいているが、カリフォルニア州オークランド生まれ。幼少期、教会で4歳から始めたピアノでゴスペルを演奏。12歳の時音楽の授業がきっかけでトランペットを始める。バークレイ高校のジャズアンサンブルに所属。サックス奏者のスティーヴ・コールマンに声をかけられ彼のバンド、ファイブ・エレメンツに加わり、マンハッタン音楽大学在学時まで所属。卒業後はロサンゼルスの南カリフォルニア大学の修士課程に進学。同地のセロニアス・モンク・インスティテュートに入り、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、テレンス・ブランチャードに師事する。
 2007年度“セロニアス・モンク国際ジャズ・コンペティション”で優勝、同年カーマイン・カルーソー国際ジャズ・トランペット・ソロ・コンペティションでも優勝し、一躍ジャズ界の注目の的となったトランペッター。2011年にリリースした『うちなる閃光』が絶賛される。

 

(視聴)

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2016年12月 3日 (土)

マルチン・ボシレフスキ絡みで・・・マヌ・カッチェManu Katché 「PLAYGROUND」

ドラマー(マヌ・カッチェ)の作品での
マルチン・ボシレフスキの名プレイ

Marcinw  ポーランドのピアニスト=マルチン・ボシレフスキ好きの私である。ここまでに彼のピアノ・トリオである「シンプル・アコースティック・トリオ」(近年のECMからのリリース・アルバムは同メンバーでも「マルチン・ボシレフスキ・トリオ」と名乗っている)のアルバムは、手に入るモノは全て聴いてきているのだが、次第に彼がフィーチュアーされたアルバムも聴きたいと言うところで、先頃トーマス・スタンコTomasz Stankoとのカルテット・スタイルによるアルバム(『Suspended Night』、『Lontano』)など回顧したのだ。しかしまだその他、トランペッターやドラマーとの共演作もあって、先頃ECMからの2007年のアルバムを遅まきながら手に入れたのでここで取りあげる。

<Jazz>

Manu Katché 「PLAYGROUND」
ECM / GERM / ECM 2016 / 2007

Playground

MATHIAS EICK(tp), TRYGVE SEIM(ts,ss), MARCIN WASILEWSKI(p), SLAWOMIR KURKIEWICZ(b), MANU KATCHE(ds)
Recrded jan. 2007, Avatar Studios, New York

 フランス系アフリカ人ドラマーのマヌ・カッチェが放つECMからの第二弾。期待通りシンプル・アコースティック・トリオのマルチンMARCIN WASILEWSKIとスワヴォミルSLAWOMIR KURKIEWICZ(b)が良い役をこなしている。
 全体に非常に落ち着いた世界を描く曲群で占められている。全曲マヌ・カッチェによるものだ。
 基本的には、どんな場面に於いてもマルチンのピアノが冷静で静かな情景を描く。それをベースが支え、そしてMATHIAS EICKとTRYGVE SEIMによる二管が、やや押さえられた演奏で旋律を歌いあげ、美しい響きを展開する。
 ドラマーのアルバムとしては、ドラムスは意外に控えめで、ゆったりとした曲の流れにメリハリをうまく付けていくところはさすがで、曲をうまく洗練された世界に描ききる。
 M10.” Inside Game ”では、ピアノとドラムスが共にリズムカルなリズムを刻んでゆくところは面白い展開で、こうしたクインテットでは有りなんだと、なるほどと思わせる。
 アルバムの印象は都会の夜、影を感じさせ、私にとっては納得の作品だった。

(Tracklist)
1. Lo
2. Pieces Of Emotion
3. Song For Her
4. So Groovy
5. Morning Joy
6. Motion
7. Project 58
8. Snapshot
9. Possible Thought
10. Inside Game
11. Clubbing
12. Song For Her


Neighbour_2<参考1>
(前作)Manu Katché 「NEIGHBOURHOOD」
     ECM / GER / UCCE1068 / 2005

 マヌ・カッチェがECMでの最初のリーダー作(→)。タイトルどおりのECMファミリーの仲間達、トーマス・スタンコ のベテラン・トランペッターに、シンプル・アコースティック・トリオのマルチンとスワヴォミルの二人など錚々たるミュージシャン達を従えマヌ・カチェらしいヨーロッパ風味の美しい作品。
MANU KATCHE(ds),TOMASZ STANKO(tp),JAN GARBAREK(ts),MARCIN WASILEWSKI(p),SLAWOMIR KURKIEWICZ(b)

Mi0003439625<参考2>
(マヌ・カッチェのプロフィール)
 1958年生まれ。父親はアフリカ出身、母親はフランス人。7歳からピアノを習い、音楽大学でパーカッションを習得した。ユニークでありながら洗練されたドラム演奏が好評。1986年にリリースされたピーター・ガブリエルのアルバム『So』のセッションに加わった事で一気に有名になった。
 もちろん作曲にも才能を発揮し、ポップやロック音楽の分野での活動が主力であったが、2005年、ソロ・ジャズ・アルバム『Neighbourhood』をECMからリリース(上記)。ヤン・ガルバレク(サクソフォーン)、トーマス・スタンコ(トランペット)、マルチン・ボシレフスキ(ピアノ)などの蒼々たるメンバーでのジャンルを超えた作品で注目された。
 近作にManu Katché『UNSTATIC』(SongsJapan / JPN / SONGX037 / 2016)がある。

(視聴)

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