ラーシュ・ヤンソンのニュー・アルバム=Lars Jansson Trio 「MORE HUMAN」
何か達観した人生から聴こえてくるようなピアノ・トリオの世界
<Jazz>
Lars Jansson Trio 「MORE HUMAN」
Spice Of Life/Savvy / JPN / SOLSV-00371 / 2016
All tracks composed and arranged by Lars Jansson
Recorded on March 26, 27 2016 at Sweden
ラーシュ・ヤンソン/ Lars Jansson: Piano
トーマス・フォネスベック/ Thomas Fonnesbeak: Bass
ポール・スヴァンベリー/ Paul Svanberg: Drums
北欧スウェーデンの今や大御所ジャズ・ピアニスト、ラーシュ・ヤンソンLars Jansson(1951年~)は、このところ何度となく日本を訪れ、ピアノ・トリオ・ファンを魅了し、そして多くの日本ファンを獲得してきている。(私にとって強烈なインパクトがあるというタイプではないのだが)
そんな時についにサービス満点のセルフ・カヴァーと言うか(自己の作品の中から選曲してのベスト盤というのでなく)新録音盤つまり現在の気持ちでの演奏版集がここにお目見えした。それもなんとどうもこれは日本側での企画のようであるところが味噌。
彼の演奏はもともと美旋律にして拘りのない曲展開で、大いに聴きやすい演奏が特徴であるが、今回のアルバムは、自分の取り巻きの近親者への愛情を心から描ききったものらしく、一段と語りかけるような愛情の感じられる作品の印象が強い。
しかもジャケ・デザインは孫娘のヒルダの描いたもので、そのあどけない可愛い彼女のPhotoもカヴァーに登場させており、又このアルバムの中には、彼女へ捧げた曲も収録という心のいれようだ。
スタートM1.”A Beautiful Smile ”の親しみやすいメロディーと澄んだピアノの音でまず喜ぶ。
M3.”Too Good To Me”いっやー、この優しさ溢れた美しい曲にはうっとりですね。
M4.”More Human”はヤンソン節と言える名曲。
愛孫娘へのM6.”Hilda Smiles”、M12.” Hilda Plays”などの人間愛の曲。
その他、M5.”There Is A Butterfly In My Room ”は若干印象が違って、軽快中に演者3人が楽しんでいる様が目に見えるような曲。
M11.”Mothers In Brazil”も美しさそのものを演じきっている。
とにかく心を解(ほぐ)してくれるムードに充ち満ちた優しさ溢るるアルバムであると同時に、その中にはちらっと熟練されたピアノ・プレイの味があってうなづいて聴いてしまう。
シャズ・ピアノ・トリオに期待の寄せ方はいろいろとあって、スリリングとか異次元世界への誘導とか、心をえぐるような鋭さとか、夜の深遠なムードなどと、期待するところも多種でそんな世界も私は好きなのだが、それとは全く別物でこのようにさらっとした清々しい優しさの美しさというところも良いものだ。私にとっては年末には気持ちの整理には相応しいニュー・アルバムであった。
(Tracklist)
1. A Beautiful Smile *
2. I am That
3. Too Good To Me
4. More Human
5. There Is A Butterfly In My Room
6. Hilda Smiles
7. Summer Song *
8. The Wounded Healer Can Heal
9. Simple Song Simple Life
10. Marionette
11.Mothers In Brazil
12. Hilda Plays
13. The Inner Room
14. Freedom of Heart *
15. Hope
(*印 new number)
(視聴)
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コメント
トラバをありがとうございました。
彼のピアノはいつでも心をリフレッシュしてくれますよね。
演奏もスィンギーで洗練されてて、暖かい。
仰せの通りに、近親者への愛情に溢れたアルバムだとおもいます。
私も、珍しく、、大好きな女性友だちに個人的に大推薦してしましました。きっと、気に入ってくださると信じてます。
投稿: Suzuck | 2016年12月27日 (火) 17時21分
Suzuckさん、わざわざコメント、TB有り難うございます。
いつも私が好むタイプのアルバムを雑誌で紹介頂いてるのを読んで喜んでいる一人として、こうして Lars Janssonに関しても、同様な感想を拝見できて喜んでいます。
何時もは、どちらかというとスリリングなタイプか、もう何とも言えない抒情的な世界に浸れるアルバムを好む私ですが、こうした爽やかな愛情深い優しさの溢れるアルバムも時には良いものだとつくづく思いました。
投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2016年12月27日 (火) 22時33分
風呂井戸さん,こんばんは。TBありがとうございました。
このアルバムを聞いていると,Las Janssonという人のメロディ・メイカーとしての魅力が非常に強く感じられますし,ピアノそのものも美しく響き,大いに和めますよね。記事にも書きましたが,このアルバムを嫌いだっていう人はいないと思えます。どのようなオーディエンスにも訴求する音楽だと思っています。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2016年12月28日 (水) 22時37分
中年音楽狂さん、わざわざコメント有り難うございます。
今年もあっという間に過ぎた感ありますが、こうしてジャズやロックを聴いて来ますと、やっぱり多くの収穫があっていろいろと災害やら、世情の変化など大変な年でしたが、それでも私にとっては平和な年であったように思います。
来年も、このLars Janssonの今回のアルバムのように家庭的平和を味わえる世界であって欲しいと思うところです。中年音楽狂さんのように、外国に多くお出かけになられるようですので、実感としておありと思いますが、やっぱり世界的な安泰を願わざるを得ません。
投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2016年12月29日 (木) 12時08分