マルチン・ボシレフスキ絡みで・・・マヌ・カッチェManu Katché 「PLAYGROUND」
ドラマー(マヌ・カッチェ)の作品での
マルチン・ボシレフスキの名プレイ
ポーランドのピアニスト=マルチン・ボシレフスキ好きの私である。ここまでに彼のピアノ・トリオである「シンプル・アコースティック・トリオ」(近年のECMからのリリース・アルバムは同メンバーでも「マルチン・ボシレフスキ・トリオ」と名乗っている)のアルバムは、手に入るモノは全て聴いてきているのだが、次第に彼がフィーチュアーされたアルバムも聴きたいと言うところで、先頃トーマス・スタンコTomasz Stankoとのカルテット・スタイルによるアルバム(『Suspended Night』、『Lontano』)など回顧したのだ。しかしまだその他、トランペッターやドラマーとの共演作もあって、先頃ECMからの2007年のアルバムを遅まきながら手に入れたのでここで取りあげる。
<Jazz>
Manu Katché 「PLAYGROUND」
ECM / GERM / ECM 2016 / 2007
MATHIAS EICK(tp), TRYGVE SEIM(ts,ss), MARCIN WASILEWSKI(p), SLAWOMIR KURKIEWICZ(b), MANU KATCHE(ds)
Recrded jan. 2007, Avatar Studios, New York
フランス系アフリカ人ドラマーのマヌ・カッチェが放つECMからの第二弾。期待通りシンプル・アコースティック・トリオのマルチンMARCIN WASILEWSKIとスワヴォミルSLAWOMIR KURKIEWICZ(b)が良い役をこなしている。
全体に非常に落ち着いた世界を描く曲群で占められている。全曲マヌ・カッチェによるものだ。
基本的には、どんな場面に於いてもマルチンのピアノが冷静で静かな情景を描く。それをベースが支え、そしてMATHIAS EICKとTRYGVE SEIMによる二管が、やや押さえられた演奏で旋律を歌いあげ、美しい響きを展開する。
ドラマーのアルバムとしては、ドラムスは意外に控えめで、ゆったりとした曲の流れにメリハリをうまく付けていくところはさすがで、曲をうまく洗練された世界に描ききる。
M10.” Inside Game ”では、ピアノとドラムスが共にリズムカルなリズムを刻んでゆくところは面白い展開で、こうしたクインテットでは有りなんだと、なるほどと思わせる。
アルバムの印象は都会の夜、影を感じさせ、私にとっては納得の作品だった。
(Tracklist)
1. Lo
2. Pieces Of Emotion
3. Song For Her
4. So Groovy
5. Morning Joy
6. Motion
7. Project 58
8. Snapshot
9. Possible Thought
10. Inside Game
11. Clubbing
12. Song For Her
<参考1>
(前作)Manu Katché 「NEIGHBOURHOOD」
ECM / GER / UCCE1068 / 2005
マヌ・カッチェがECMでの最初のリーダー作(→)。タイトルどおりのECMファミリーの仲間達、トーマス・スタンコ のベテラン・トランペッターに、シンプル・アコースティック・トリオのマルチンとスワヴォミルの二人など錚々たるミュージシャン達を従えマヌ・カチェらしいヨーロッパ風味の美しい作品。
MANU KATCHE(ds),TOMASZ STANKO(tp),JAN GARBAREK(ts),MARCIN WASILEWSKI(p),SLAWOMIR KURKIEWICZ(b)
<参考2>
(マヌ・カッチェのプロフィール)
1958年生まれ。父親はアフリカ出身、母親はフランス人。7歳からピアノを習い、音楽大学でパーカッションを習得した。ユニークでありながら洗練されたドラム演奏が好評。1986年にリリースされたピーター・ガブリエルのアルバム『So』のセッションに加わった事で一気に有名になった。
もちろん作曲にも才能を発揮し、ポップやロック音楽の分野での活動が主力であったが、2005年、ソロ・ジャズ・アルバム『Neighbourhood』をECMからリリース(上記)。ヤン・ガルバレク(サクソフォーン)、トーマス・スタンコ(トランペット)、マルチン・ボシレフスキ(ピアノ)などの蒼々たるメンバーでのジャンルを超えた作品で注目された。
近作にManu Katché『UNSTATIC』(SongsJapan / JPN / SONGX037 / 2016)がある。
(視聴)
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