今年の酉年にちなんで・・・ブッゲ・ヴェッセルトフトBugge Wesseltoft 「TRIALOGUE」
その道の達人による未来志向のジャズとは・・・・
<Future Jazz>
Wesseltoft Schwarz Berglund 「TRIALOGUE」
Jazzland / nor / 060253786601 / 2014
Recorded at Schloss Elmau Feb 2014
Bugge Wesseltoft(p), Henrik Shwarz(computer), Dan Berglund(b)
酉(とり)年にちなんで・・・・十二支の「とり」は、「鶏(ニワトリ)」の事になるようだが、まあ拡大して「鳥」ということでは、なんと言ってもこのジャケのアルバムだ。
もともと「酉」の意味は、”果実などが極限まで熟した状態”を言うようで、従って”物事が頂点にまで極まった状態”を言っていることになる。しかしそんな意味でもこのアルバムの価値を見いだせるのである。
これは2014年リリースだが・・・・今年新年早々に頭に浮かんだ。とにかく強烈なインパクトのあったものであり、今になったが是非とも記録しておきたい。
しかしこのタイプのジャズは何と言えばよいのろうか?、フューチャー・ジャズと言う言葉があるが、これも漠然としている。とにかくエレクトロ・アコースティックでアンビエントな世界に、それに止まらずスリリングな味付けの中に抒情性すら感ずるという演奏が見事なアルバムだ。
とにかくドイツ・ベルリンの奇才エレクトロ・ジャズのヘンリク・シュワルツHenrik Shwarzに、ノルウェー・オスロのジャズ・ピアニストのブッゲ・ヴェッセルトフトBugge Wesseltoftが合体、そこにスウェーデンのあのE.S.T.で知られたベーシストのダン ・ ベルグルンド Dan Berglundが合流したんですから、それはやっぱり単なるトリオでなく未来志向の快作になるのは推して知るべしであった。
又ブッゲ・ヴェッセルトフトは、昨年秋に来日、それも5人の女性を引き連れての再興プロジェクト「ニュー・コンセプションズ・オブ・ジャズ(NCOJ)」2016年版として話題をさらった。しかし彼は私好みとしては、クラシックのイメージすら感じさせる『it's snowing on my piano』(1997, 2013再発)、『Songs』(2012)のようなソロ・ピアノのアルバムもあり、更に、同郷のシゼル・アンドレセンとのコラボレーションも印象深く、非常に不思議な人だ。
そしてこのアルバムは非常に録音もリアルで良好。スタートM1.”Interlude”は、我がオーディオ装置が壊れたかと思わせる不思議な雑音様のコンピューター・サウンドを交えて、ピアノが深遠な世界に導く。しかしこうしたテクノ系にしてはベースはアルコ奏法を交え不思議な世界に導き、ピアノの調べは極めて叙情的で美しい。このテクノ感覚の斬新さにクラシック調の演奏がかみ合って聴くものを引き込んでいくのだ。曲はインプロヴィゼイションの流れを取り込んでの彼らのオリジナルもので効果を上げている。又曲によってヴァイオリン、ビオラ、チェロなどが加わって一層クラシック・ムードを盛り上げる。
ピアノ・トリオを愛する者にはテクノ指向は実は受け入れないところと思うのだが、何故かこのアルバムはおそらく抵抗なく入ってしまうのではと、私自身がそうであったことから想像してしまうのだ。それ程異色快作であった。
(視聴)
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コメント
新年おめでとうございます。今年も陰ながら拝見させていただき、楽しませていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
酉年ですが、水戸では千波湖の白鳥たちがインフルエンザで絶滅の危機に瀕しています。なんとか乗り越えてほしいものです。
風呂井戸様のご活躍をお祈り申しあげます。
投稿: 水戸老公 | 2017年1月 5日 (木) 10時27分
水戸老公様 新年のご挨拶ありがとうございました。今年もこちらこそよろしくお願いします。
サックスの演奏はいかがでしょうか、音楽のある生活は今年も充実させたいところですね(私は聴くだけの芸しかありませんが)。
鳥インフルエンザの猛威は恐ろしいですね。これは隔離が困難ですから大変です。
人間のインフルエンザもこれからが流行の頂点に向かうと思いますので、ご注意の上御活躍ください。
投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2017年1月 5日 (木) 18時37分