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2017年1月31日 (火)

ティエリー・マイラードTHIERRY MAILLARD「 Il Canto Delle Montagne 」

抒情派でなく、小気味よい跳躍する端麗タッチのピアノ・トリオ

<Jazz>

THIERRY MAILLARD「 Il Canto Delle Montagne 」
ILONA RECORDS / FRA / AD3689C / 2016

Ilcantodellemontagne_2

Thierry Maillard (piano)
Dominique Di Piazza (electric bass)
Andre Ceccarelli (drums)

Recorded at Studio de Meudon - April 2016

 いっやー、しかし美しい山容の写真のジャケですね。見入ってしまいます。これぞLPのジャケでじっくり見たいと言ったところです。

Thirry_m それはさておきこのアルバムは、16曲中14曲、ピアニストのティエリー・マイラードThierry Maillard (1966年フランスのPuteaux生まれ。→)のオリジナル曲で占められたアルバム。
 そして各曲それぞれにメロディーが明瞭で非常に聴きやすいところがある。彼はフランスの正統派ピアニストとしての名声を博している人物だ。しかし私はこれまでにその恩恵に与ってきておらず、今にして縁あって聴いているといったところ。

 さてこのアルバム、一見優しそうな曲仕上げかと思いきや、なかなか技法を凝らしてのトリオ演奏が難解に迫ってくるところもある。特にピアノ・トリオとしては、まずは歯切れよく跳躍的にしてメロディアスなタッチのピアノが、どちらかというとダイナミック・パターンでイキイキと旋律を歌いあげるのだが、それにディ・ピッツアDominique Di Piazza のelectric bassも華を形成して健闘し、そしてチェカレリAndre Ceccarelliのdrumsも洗練されたリズム取りをみせての貢献度大で、トリオとしての形に風格すら感ずるところに仕上げている。

 一部、現代ジャズ的なハードなところで迫ってくると思いきや、M11. "Mamallapuram "は流麗にして快いところを見せ、更にM6." Irish Ghost"そして M7. "Le Chateau Des Sirenes"や M8. "Plus Jamais Pareil"、M13. "Lullaby" と中盤は非常に聴きやすくロマンティックにして美しいメロディーを聴かせるピアノで納得の世界。
  最後のM16. "A Paris"は、かなり3者のアクティブな面を聴かせてこのアルバムを占めるのだが、彼らの本質はここにあるのかも知れない。
 4-5分ぐらいの比較的短い曲で占められ16曲と多く、それぞれ変幻自在な変化も示すので、聴きようによってはちょっと振り回されるところもある。
 
(Tracklist)
1. Il Canto Delle Montagne
2. Le Temps Qui Passe
3. Sultan
4. Valse Sentimentale
5. Hymne
6. Irish Ghost
7. Le Chateau Des Sirenes
8. Plus Jamais Pareil
9. US Folk
10. My Own Jazz
11. Mamallapuram
12. Reunion
13. Lullaby
14. Viking Song
15. Le Lac De Come
16. A Paris


(視聴)

 

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2017年1月27日 (金)

イヴァン・パドゥアIvan Paduart Trio 「Enivrance」

洗練されたジャズ・ピアノの美しさと安定感の世界

<Jazz>
Ivan Paduart 「Enivrance」
Mons / GER / MR874578 / 2015

Ennivrance_2

Recorded on Decem.20 & 21, 2014
Ivan Paduart(p)
Phillippe Aerts(b)
Hans van Oosterhout(ds)

Ivanpaduart300x300 日本でもなかなか惚れ込んだファンも結構多いと聞くベルギーが誇る名ピアニスト、イヴァン・パドゥアIvan Paduart(1966年ブリュッセル生まれ。→)の近作。
 これは常連のベースとのトリオ作品で2015年リリース。昨年取りあげる予定が諸々後回しになって年を越して今回登場。それも結論的に非常に癖の無いアルバムで、そんなところから後回しになってしまっていた。

 このトリオのリーダーのパドゥアは、ビル・エヴァンス、ハービー・ハンコック、フレッド・ハーシュを尊敬しているというところで、80年代から本格的な活動を開始している。既に何枚かのアルバムがリリースされているが、尊敬者の流れを感ずるアメリカン・ジャズのエッセンスを持って、ユーロ系の味付けジャズという感じである。現在では流麗なピアノ・プレイでフレッド・ハーシュに近い感じを受けるのだが。

 非常に美しい即興演奏をかなり得意としているようなパターンで、ムード、技法的にクラシックとの関わり合いも感じさせる音楽性である。

 スタートのM1."Eruption"で、如何にも嫌みとか、特異な刺激性というもののない洗練された世界を感じ取れる品のある流麗なトリオの流れに好感を持って対峙できる。
 M3."Paresse Infinie"も何か人生を説得されたところに置かれたような不思議な感覚になるという演奏。
 アルバム・タイトル曲のM7."Enivrance"は、ゆったりと物語調の旋律をピアノで流しつつ、これぞ心に安定感・安堵感を持たせる世界を構築してみせる。

 全体には、それほどのめり込んで聴き込むというので無く、部屋に流れていると何となく落ち着いたところに抵抗なく居られる。・・・・というそのあたりの洗練された味わいが何とも言えないところだ。これもジャズの一つの道と言いたい。

(Tracklist) 
1.Eruption
2.Boyhood
3.Paresse Infinie
4.Molo Molo
5.Dreams Ago
6.Archipels
7.Enivrance
8.Sabayon
9.Lambertinade

(視聴)

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2017年1月23日 (月)

マルガリータ・ベンクトソンMargreta Bengtson : 「Ballads」

北欧からのややあどけなさの発声が残った美声に降参

<Jazz>
Margreta Bengtson「Ballads」
SPICE OF LIFE / JPN / SOLSV0036 / 2016

Sol_sv0036margareta500

Margareta Bengtson マルガリータ・ベンクトソン(vocal)
Mathias Algotsson マティアス・アルゴットソン(piano, organ)
Peter Asplund ペーター・アスプルンド(trumpet, vocal)
Dicken Hedrenius ディッケン・ヘドレニウス(trombone)
Svante Söderkvist スヴァンテ・ソダークヴィスト(bass)

Recorded on July. 2016

17151794t7abd_2 今年になって聴いた美声第2弾。嘘か誠か”北欧一と言われる美しい歌声とその美貌で聴く人を魅了し続けるマルガリータ・ベンクトソンMargreta Bengtson”というのが宣伝文句。
 そこにバックは、あの私のお気に入りのマティアス・アルゴットソンMathias Algotssonのピアノがゆっくりと繊細に美しい世界を描くのでこりゃ溜まらない。実は私はこっちのほうが気になったというところ。彼とのデュオを軸に展開していて、そこにペーター・アスプルンドPeter Asplundのトランペット、ディッケン・ヘデレニウスDicken Hedreniusのトロンボーン、スヴァンテ・ソダークヴィストSvante Soderkvistのベースをフィーチャーしてスタンダードの名曲の数々をしっとりと歌い上げたバラード・アルバムである。

 しかも、このアルバム『Balladsバラッズ』は彼女の昨年の5年振りの来日記念盤であり、とにかくマルガリータの魅力をスタンダードの名バラードによって聴く者を魅了しようというなんとも大変なアルバムだ。
 とにかく北欧のミュージック・シーンは今や世界にその価値を認められている。そこからのまさに彼女の7年ぶりのプレゼント作品。

Margareta1 マルガリータ・ベンクトソンMargreta Bengtsonは、「リアル・グループTHE REAL GROUP」のソプラノ・シンガーとして長年活躍して来た。
 「リアル・グループ」とは、スウェーデン王立音楽アカデミーで出会った5名のメンバーで1984年に結成したアカペラ・グループ。これに関しては私の知らない世界であるのだが、マルガリータはその初代ソプラノ歌手であったと。1987年にアルバム『Debut』でCDデビューし、1995年には米国現代アカペラ協会(CASA)から、「The World's Best Vocal Group」賞を授与されているとのこと。
 しかし彼女は、2007年にジャズヴォーカリストとして独立。ソロ第一弾アルバム『I’m Old Fashioned/アイム・オールド・ファッションド』は全曲フルオーケストラをバックにスタンダードを歌い上げたアルバム。
 2009年に発売した第2弾アルバム『Where The Midnight Sun Never Set/ホエア・ザ・ミッドナイトサン・ネヴァー・セット』は、スモール・コンボをバックにジャズを歌い上げた作品で、私は未聴だがこれも好評のものだ。

 さてこのアルバム、とにかく冒頭のM1. "The very thought of you"から、詩的なピアノの調べが流れ、彼女の説得力ある美声による歌い込みに、このアルバムの方向が実感できる。とにかくしっとりと聴かせてくれるパターン。そして意外に彼女の唄い回しにはどことなく歳のわりにはあどけなさが残っていて、これも一つの魅力になっている。
 聴き慣れた曲M2. "My foolish heart"も、アルゴットソンのピアノは、彼女の美しい語りかける歌声を生かすべく、高音を使いゆったりと流す調べで、バック演奏としてお見事と言える。こうしたピアノとヴォーカルのデュオ・スタイルもバラード曲ではなかなか良いものだ。
 そしてM3." I thought about you"の後半にはトランペットが加わって、こんどは夜のムードを加味して盛り上げるのである。
 アルゴットソンは、ハモンドオルガンの名手でもあって、M4. "Gentle rain"では、バックはオルガンによる面白い味付けもあり、M8. "Long ago and far away"は、オルガンとベースが、更にM10. "Nature boy"は、オルガンとトランペットがと、バックの変化による味付けも聴きどころ。そしてM9. "Here ́s that rainy day"はピアノ・ソロがたっぷり聴けるという多彩な趣向で楽しませてくれる。

  こうして全編、アメリカン・ジャズを、その魅力あるポイントを失わずに北欧風ジャズに仕上げたところはなかなか魅力的なアルバムであった。

(Tracklist)
1. The very thought of you
2. My foolish heart
3. I thought about you
4. Gentle rain
5. My one and only love
6. Spring can really hung you up most
7. Our love is here to stay
8. Long ago and far away
9. Here ́s that rainy day
10. Nature boy
11. Never will I marry

(参考試聴) 「Ballads」関係が見当たらないため彼女の1stから

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2017年1月21日 (土)

ロジャー・ウォーターズ 抵抗開始!

Roger Waters →The Resistance bigins Today

”Pigs (Three Different Ones)” = Anti-Trump Song公開

(Zocalo Square,  Mexico city  Oct. 1 2016 )

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2017年1月19日 (木)

メイヴMEAV 「The Calling」

清楚さのある美しさで・・・・・こんな世界が理想郷か

Meavtrw
(MÉAV)

<New Age music, Ireland music>
MEAV 「The Calling」
Warner Classics / JPN / WPCR17087 / 2016

Thecalling

Artist : Meav
Producer:Craig Leon
Enginer:Richard Woodcroft 、 Brian Masterson

 まさに爽やかのケルトの風、清楚な美しさの歌声で迫ってくる知る人ぞ知る メイヴMéav Ní Mhaolchathaのアルバム。これは彼女の2013年リリースの四作目、日本では昨年2016年にお目見えしたもので、これぞ我が友人のお勧めで聴くことになったアルバム。
 実は私はこうしてきちっと彼女の歌声をアルバムで聴くのはこれが初めて。なるほどその美しさは群を抜いている。

 メイヴ(Méav Ní Mhaolchatha、メイヴ・ニー・ウェールカハ)
 
アイルランドのダブリン出身。クラシックと伝統音楽を愛するところは親からの影響とか。年少時より歌、ハーブ、ピアノを学ぶ。大学で法律を専攻したようだが、卒業後はやはり音楽関係に魅力を感じて、聖歌隊の出身者たちで構成され宗教曲を清楚な歌声で聴かせるコーラス・グループ「アヌーナ」に参加。メイヴはリード・シンガーとして活躍する。この「アヌーナ」在籍中各方面より注目を浴びた。
 その後ソロ・シンガーとして活動を開始し、1999年に1stソロ・アルバム『メイヴMéav』 、2002年に『銀色の海Silver Sea』を発表。このソロ活動の傍ら、「ロード・オブ・ザ・ダンス」や、アイルランド・ナショナル・チェンバー・オーケストラにソリストとしてツア-に参加している。
 2004~2007年「ケルティック・ウーマン」に参加。1stアルバム『Celtic Woman』はビルボード世界音楽チャート1位。

(Tracklist)
1. The First Time Ever I Saw Your Face
2. The Calling
3. Light Flight
4. Listen, Listen
5. The Songline To Home
6. Wayfaring Stranger
7. Sovay
8. Shenandoah
9. Once You Were My Lover
10. Glimmering Girl
11. Glasgow’s Burning
12. Black Is The Colour

 アルバムのオープニングから美しい世界が・・・・ジャズという世界ではなく、もちろんロックという世界ではない、これがNew Age musicというか、アイルランド・ケルト音楽といった方がよさそうだ。ストリングスの美しい流れにギターの調べというバックに、見事な清楚にして美しい声が飛び込んでくる。もうこれはいろいろと言うところの世界でない。まあとにかくアルバム通して、ケルテック・ムードの牧歌的美しさの風景を頭に描きつつ、じっくり彼女の歌声でこの美しき世界に没入していればよい。地球上のあらゆる地がこんな美しい世界であれば何も言うことなしだとほんとに思いながら聴き入るのであった。

(視聴)

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2017年1月15日 (日)

ロジャー・ウォーターズは叫ぶ「トランプはPIG(豚)だ」 = Desert Trip 2016

復活!問題作ピンク・フロイド「アニマルズ」

T このところ米国にて活動しているCreative Genius of Pink Floyd(ピンク・フロイドの創造的鬼才(守護神))の代名詞を持つロジャー・ウォーターズRoger Watersだが、米国大統領選においては、ヒラリー・クリントンやドナルド・トランプ両者の危険性を訴えていた。彼はポーランド系ユダヤ人移民のバニー・サンダースが適任者と当初から語っていたのだが・・・・結果的にはトランプの勝利。
 この新年2017年1月になって、トランプ勝利後の「初の記者会見」とやらが話題になっているが、とにかくアメリカ社会においてはその現在の姿が、世界を驚かせる程度の低さを露呈している。

 さて話は変わって、ここにロック・イベントを取りあげるのだが、これは昨年2016年10月2週間にわたってカルフォルニア州におけるビッグ・イベント「Desert Trip 2016」(↓)の模様であるが、ブート映像で見ることが出来る・・・大統領選進行中に於いての投票1.5ケ月前のロジャー・ウォーターズの叫びが印象的に記録されている。

Wide


<Progressive Rock>
ROGER WATERS 「THE BEST OF PINK FLOYD」
STARLINE / ST1604BDR / 2016

Thebestofpf

EMPIRE POLO CLUB,   INDIO,  CA  10. 9 2016 

 これは映像Blu-ray盤のブート・アルバム、これに見る「Desert Trip 2016」というのもスケールは馬鹿でかいイベントですね。これにはポール・マッカートニー、ボブ・ディラン、ザ・ローリング・ストーンズ、ザ・フー、ロジャー・ウォーターズ、ニール・ヤングという、ロック界の大物が一度に集結するから圧倒される。
 そしてこれはロジャー・ウォーターズのステージ映像版である。このところのウォーターズ得意の横長巨大スクリーン映像とライト・ショー、更には花火とでの演奏は圧巻。

 そしてバンドは、あの「THE WALL 世界ツアー」のメンバーを中心に、バッキング・ヴォーカルは女性2人になり、Ian Ritchieのサックスが加わっている。セットリストは下記のような28曲、約3時間、全てピンク・フロイド時代の曲だ。

Thewhotr(Roger Waters set list)
"Speak to Me"
"Breathe"
"Set the Controls for the Heart of the Sun"
"One of These Days"
"Time"
"Breathe (Reprise)"
"The Great Gig in the Sky"
"Money"
"Us and Them:
"Fearless"
"You'll Never Walk Alone"
"Shine On You Crazy Diamond (Parts I-V)"
"Welcome to the Machine"
"Have a Cigar"
"Wish You Were Here"
"Pigs on the Wing 1"
"Pigs on the Wing 2"
"Dogs"
"Pigs (Three Different Ones)"
"The Happiest Days of Our Lives"
"Another Brick in the Wall (Part 2)"
"Mother"
"Brain Damage"
"Eclipse"
"Why Cannot the Good Prevail"
"Vera"
"Bring the Boys Back Home"
"Comfortably Numb"


 そしてこのところ印象的なのは、彼が1977年に世間に訴えた社会批判、文明批判のアルバム『ANIMALSアニマルズ』 のウェイトが高くなってきていることだ。
 既にこの中の中心3曲のうちの2曲の”Dogs”、”Sheep”はとっくに登場済みだが、このところ遂に”Pigs(Three Different Ones)豚”がメイン曲になりつつある。彼はもともとPig(豚)は資本家の醜い面の象徴として捉えており、あのアルバムにおいて、この曲で痛烈にアジった。それがここに来てトランプの言動とオーバー・ラップして彼の格好の標的になっている。しかもウォーターズにとって「壁」(1979年、アルバム「THE WALL」)は最も人生の究極のテーマであり、ここに来て更にトランプの「メキシコとの壁」騒ぎで益々その関心は高まっているのだ。

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 ”TRUMP IS A PIG”とスクリーンに大々的に映し出し、会場には豚を飛ばし、豚には”FUCK TRUMP AND HIS WALL”、”#STOP TRUMP”、”IGNORANT LYING RACIST SEXIST”、”TOGETHER WE STAND DIVIDED WE FALL”と記されている。そしてあの曲”Pigs(Three Different Ones)”を、ピンク・フロイド時代からのSnowy Whiteのハードなギターと共に、リズム・セッションでごり押し展開をするウォーターズの姿は、あの狂気のはらんだ熱烈な1970年代末期のライブを思い起こす。そして更に今回スケール・アップした会場にて、今日の聴衆をして熱狂の渦に巻き込んでいるのである。トランプをCHARADE(インチキ野郎)とオーバーラップさせ、”そこまでやるのか”と・・・このステージはどうも歴史的に語り継がれそうな雰囲気だ。

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 このピンク・フロイド時代、ロジャー・ウォーターズのワンマン・アルバム『ANIMALSアニマルズ』は、評論家の間では、かってのフロイドのスペーシー・サウンドとの対比から不評であった。しかもこの曲”Pigs”は、他の2曲と違って、このアルバムの為に彼が急遽書き下ろしたハードな曲であって、ピンク・フロイドに似つかわしくないと言わしめた。更に資本家批判の内容の辛辣さに反発もあった。しかしそれはこの時代、パンクを代表するロックの原点回帰の流れの中で、一部の評論家のピンク・フロイドにも向けられたAOR(Adult-Oriented-Rock, Audio-O-R)化したプログレッシブ・ロックに対する批判へのウォーターズの回答でもあったし、むしろそれによって彼は自己の中にあったものの吐露する道を発見し、過去との決別的アルバム製作となったものだった。この流れは私自身は評論家と違って当時結構評価していたんですが・・・、事実、当時の北米でのライブにみるように若者の興奮度は更に高まり、軒並み沈没したプログレッシブ・ロックの中では唯一生き残るどころか、更にその成功を得たのだった。

 今こうして、改めて今回のライブで聴いてみると、なかなか世相批判においてはその現実的厳しさを実感として感じさせ、ロックらしい激しさと観衆を引き込む味のあるハードな曲で大会場向きだ。。
 アルバムのリリースから40年近く経った現在、彼が訴えたことが、そのまま社会問題化している事実は、今にして彼の以前からの発想が現代社会の問題点を捉えていること、それをロックとして訴えてきたことなどに注目せざるを得ないのではないだろうか。

(”Pigs”演奏時のスクリーンには下のような文章が映される)

I think apologizing’s a great thing. But you have to be wrong
I will absolutely apologize, sometime in the hopefully distant future. If I’m ever wrong”
A nation without borders not a nation at all. We must have a wall “

“ I was down there, and I watched our police and our firemen,
down on 7-eleven. Down at the world trade centre, right after it came down.”

I have a great Relationships with Blacks.
I've always had a Great Relationship with the Blacks.
My IQ is one of the highest - and you all know it!  Please don't feel so stupid or insecure it's not your fault 

an extreamely credible source has called my office and told me that Barack Obama's Birth certificate is a fraud
I'm not a Schmuck. even if the world goes to hell in a handbasket. I won't lose a penny.
You know. it really doesn't matter what the media write   as long as you've got a young. and beautiful. piece of ASS.
 
If IVANKA weren't my daughter. perhaps I would be dating her.
 
I could stand in the Middle of fifth avenue and shoot somebody. and I wouldn't lose any Voters.

14731393_1196199360423867_740066374 彼の近年甦ったアルバム『死滅遊戯』以来のニュー・アルバムもいよいよ最終段階に入っているようだ。おそらく現在の世界情勢からみても単なるミュージックというところには止まらないだろうと思われる。又彼の今年は「北米「US+THEM」ツアー」 も控えている。70歳過ぎても益々盛んなロジャー・ウォーターズは注目せざるを得ない。

 (視聴)

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2017年1月12日 (木)

ウォルター・ラングのもう一つの顔=TRIO ELF 「MusicBoxMusic 」


新世代感覚のテクノ・サウンドをベースにしたピアノ・トリオ作品

<Jazz>
TRIO ELF 「MusicBoxMusic」

Yellowbird / GER / YEB77652 / 2016

Musicboxmusicw

(TRIO ELF)
Walter Lang : piano
Gerwin Eisenhauer : drums
Peter Cudek : bass

 あの優しく美しく伝統的ピアノ・トリオを演じてくれるドイツのウォルター・ラングWalter Lang 、彼の奏でるピアノの透き通った音色はロマンチシズムに満ちた世界を感じさせてくれる。それは何とも言えない心地よさだ。
 その彼の結成しているウォルター・ラング・トリオ(近作↓参照)とは別に、彼にはもう一つの顔がある。それがTRIO ELFである。

  (参照)ウォルター・ラング・トリオWalter Lang Trio 「Moonlight Echoes」(2015)

Trioelfw_2  このTRIO ELFは、ピアノ・トリオをベースに、ドラムンベースやテクノ的なエレクトロ・サウンドを操るとう超現代的トリオ演奏を展開する意欲作を演ずる(10年前に結成)。

 とにかくあのウォールター・ラングが優しく端正な美的な世界から、一歩発想を変えての一つの創造的挑戦的世界なのである。
 しかしこのアルバムを聴いてみると、ラングの透明性にしてロマンチシズムに溢れた演奏はところどころに顔を出し、何故か聴く者をほっとさせるのではあるが・・・・・?。
 しかしその美しさと対比してのやや緊迫感のある展開を示すM7.” Usain”などは、そのこうする二面性の存在の意味とその目的に簡単には納得するのは難しい。
 M8.”Lullaby for a weaking child”では、そこに聴けるラングのピアノは何時もの彼の特徴の粘質で無いさっぱりとした美的抒情性をもって聴かせてくれる。このあたりは納得だが。
 しかしM10.”Stadium”のピアノの重低音でのスタートで、続く展開はテクノ的リズムでの進行、この意味はあまり解らない。
 M11.” Suq”今度は Bassの重低音でスタートするが、その後の軽い展開が不可思議。あまり魅力が感じられるという曲でない。

 やっぱりおおよそその展開が奇妙で、なんだか目的がよく解らない。この異種の共存があまり彼の演ずるところとの意味づけにどんな位置づけになるのか疑問を感ずるのだ。挑戦は解るがちょっと中途半端と言わざるを得ない。

 結論的には、そんな中にもやっぱりトリオとしての味を追求している事の意義を持っていることは事実だ。そうしたところに興味のある者は聴いてみても価値はある。ただしほんとにこれが、参照として挙げたWalter Lang Trioの「Moonlight Echoesに惚れ込んで聴く人を魅了するのだろうか?ちょっと疑問の世界であった。

(Tracllist)
1. Emptiness
2. Krumm
3. Prléude to ELF Police
4. The ELF Police
5. Tripolis
6. Salutation to the Sun
7. Usain
8. Lullaby for a weaking child
9. Dance da Fita
10. Stadium
11. Suq

(視聴)

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2017年1月 8日 (日)

ロベルト・ボナティROBERTO BONATI TRIO 「BIANCO IL VESTITO NEL BUIO」

圧巻!トリオのスリリングな抽象音の展開

<Jazz,  Free jazz>
ROBERTO BONATI TRIO 「BIANCO IL VESTITO NEL BUIO」
Parma Fronntiere / Italy / PF CD001 / 2012

Bianco_2

Recorded Live at the Festival Verdi/ParmaJazz Frontiere festival in Teatro Regio, Parma(Italy) on Oct. 21, 2011

Alberto Tacchini (piano)
Roberto Bonati (acoustic bass)
Roberto Dani (drums, percussion)

Rb これも寺島靖国のアルバム「for Jazz Audio Fans Only Vol.9」(2016)から知ったアルバム。

  リーダーはイタリア・ジャズ界のベーシストであり作曲家にして音楽の研究家といったほうがよいロベルト・ボナティRoberto Bonati(→)だが、どうも2011年にイタリアにおける二つのジャズ・フェスティヴァルのコラボによって結成を為しえたピアノ・トリオのようだ。
 しかしこれがフリー・ジャズ世界のインプロヴィゼイション指向のトリオによるスリリングにして、しかもECM的世界を描く圧巻のアルバム。凄いところはそれが叙情性すら感じさせるところだ。既に5年前のアルバムなのだが、今にして納得している私である。

Albertotacchini ライブものであるが、録音が又素晴らしく良い。トリオのそれぞれの楽器の響きが手に取るように迫ってくる。そして三者それぞれに優劣無く一つ一つの音を重要視して曲仕上げをしている。こうした様は3人の演奏の技術的レベルの高さがなければ成り立たないところで、更にその上に音楽というものに研究家としての造詣が深いと言うことが解るのだ。

Robertobonatitrio スタートのM1.”Tacea La Notte Placida ”からあっという間にこの世界にのめり込まされる。それは5曲目にやってくるアルバム・タイトル曲” Bianco Il Vestito Nel Buio ”(暗闇に揺れる白いワンピース)という異様な空間に、余韻を生かした音によって導かれるのだ。
  M4.”Settembre ”は、多分”九月”の意味だろうが、ふと淋しさを感じさせる演奏に陶酔するのは私だけの感覚だろうか。
 M7.” Lacrymosa”のピアノの描く哀れにして悲壮な美しい叙情性にも感動だ。
 こんなムードは、このようなライブものであると、拍手が意外に気分を壊すのだが、なんと全曲終わった時のみ拍手は収録されていて、このあたりのアルバム造りにもセンスが感じられた。

(Tracklist)
1.  Tacea La Notte Placida
2.  MiserereII
3.  End Of March
4.  Settembre
5.  Bianco Il Vestito Nel Buio
6.  Early Morning
7.  Lacrymosa

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15895280(参照) Roberto Bonati の近作

Roberto Bonati, Bjergstred Jazz Ensemble
「Nor Sea  Nor Land  Nor Salty Waves :  a Nordic Story」
(PARMA FRONTIERE / ITA / PFCD003 / 2016)
 ノルウェーのビックバンドとコラボし、実験色の強いシンフォニックな色合いを付けたジャズイなアルバム。私にとっては難解のフリージャズから現代ミュージック調のもので、トラッド風の曲も感じられるが、安易な気持ちでは寄りつけない。
1. Prophecy of the Völva
2. Nor Sea, nor Land, nor Salty Waves - Part I
3. Nor Sea, nor Land, nor Salty Waves - Part II
4. Wolves’ howling and Swans’ Song
5. Fimbulvetr
6. Wolf Age and Bloody End
7. Nocturnal
8. Eagle

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(視聴)

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2017年1月 4日 (水)

今年の酉年にちなんで・・・ブッゲ・ヴェッセルトフトBugge Wesseltoft 「TRIALOGUE」

その道の達人による未来志向のジャズとは・・・・

<Future Jazz>
Wesseltoft Schwarz Berglund 「TRIALOGUE」
Jazzland / nor / 060253786601 / 2014

Trialogue1

Recorded at Schloss Elmau Feb 2014
Bugge Wesseltoft(p), Henrik Shwarz(computer), Dan Berglund(b) 



 酉(とり)年にちなんで・・・・十二支の「とり」は、「鶏(ニワトリ)」の事になるようだが、まあ拡大して「鳥」ということでは、なんと言ってもこのジャケのアルバムだ。
 もともと「酉」の意味は、”果実などが極限まで熟した状態”を言うようで、従って”物事が頂点にまで極まった状態”を言っていることになる。しかしそんな意味でもこのアルバムの価値を見いだせるのである。

Trialogue2 これは2014年リリースだが・・・・今年新年早々に頭に浮かんだ。とにかく強烈なインパクトのあったものであり、今になったが是非とも記録しておきたい。
 しかしこのタイプのジャズは何と言えばよいのろうか?、フューチャー・ジャズと言う言葉があるが、これも漠然としている。とにかくエレクトロ・アコースティックでアンビエントな世界に、それに止まらずスリリングな味付けの中に抒情性すら感ずるという演奏が見事なアルバムだ。

 とにかくドイツ・ベルリンの奇才エレクトロ・ジャズのヘンリク・シュワルツHenrik Shwarzに、ノルウェー・オスロのジャズ・ピアニストのブッゲ・ヴェッセルトフトBugge Wesseltoftが合体、そこにスウェーデンのあのE.S.T.で知られたベーシストのダン ・ ベルグルンド Dan Berglundが合流したんですから、それはやっぱり単なるトリオでなく未来志向の快作になるのは推して知るべしであった。
 又ブッゲ・ヴェッセルトフトは、昨年秋に来日、それも5人の女性を引き連れての再興プロジェクト「ニュー・コンセプションズ・オブ・ジャズ(NCOJ)」2016年版として話題をさらった。しかし彼は私好みとしては、クラシックのイメージすら感じさせる『it's snowing on my piano』(1997, 2013再発)『Songs』(2012)のようなソロ・ピアノのアルバムもあり、更に、同郷のシゼル・アンドレセンとのコラボレーションも印象深く、非常に不思議な人だ。

Wsbjoach

 そしてこのアルバムは非常に録音もリアルで良好。スタートM1.”Interlude”は、我がオーディオ装置が壊れたかと思わせる不思議な雑音様のコンピューター・サウンドを交えて、ピアノが深遠な世界に導く。しかしこうしたテクノ系にしてはベースはアルコ奏法を交え不思議な世界に導き、ピアノの調べは極めて叙情的で美しい。このテクノ感覚の斬新さにクラシック調の演奏がかみ合って聴くものを引き込んでいくのだ。曲はインプロヴィゼイションの流れを取り込んでの彼らのオリジナルもので効果を上げている。又曲によってヴァイオリン、ビオラ、チェロなどが加わって一層クラシック・ムードを盛り上げる。
 ピアノ・トリオを愛する者にはテクノ指向は実は受け入れないところと思うのだが、何故かこのアルバムはおそらく抵抗なく入ってしまうのではと、私自身がそうであったことから想像してしまうのだ。それ程異色快作であった。

(視聴)

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2017年1月 1日 (日)

謹賀新年 2017 =アラベラ・美歩・シュタインバッハー Arabella Miho Steinbacher 「Fantasies・・・・」

明けましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします

                     2017年 元旦

Tr

 (今年の初聴きアルバム)
  惚れ惚れする緊張感と美しさ、そして懐かしの心をくすぐる

<Classic,  Violin Concerto >
Arabella Miho Steinbacher 「Fantasies, Rhapsodies and Daydreams」
PENTATONE / GERM / PTC 5816 536 / 2016

Fantasiesrd

Recorded at Salle Yakov Kreizberg of the Auditorium Rainnier III, Monte-Carlo in October 2014
(演奏)
アラベラ・美歩・シュタインバッハー(ヴァイオリン;1716 年ストラディヴァリウス「ブース」(日本音楽財団貸与))
ローレンス・フォスター(指揮)、モンテ・カルロ・フィルハーモニー管弦楽団

(曲目)
(1)ワックスマン:カルメン幻想曲(11'41")
(2)サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン Op.20(9'01")
(3)ヴォーン・ウィリアムズ:揚げひばり(14'40")
(4)サン=サーンス:ハバネラ Op.83(11'06")
(5)サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ Op.28(9'51")
(6)マスネ:タイスの瞑想曲(5'57")
(7)ラヴェル:ツィガーヌ(10'52")



 名曲のヴァイオリン・コンチェルト集である。ヴァイオリニストは女性で、今や世界的な評価を勝ち取るに至った日本人の血の入ったドイツ人アラベラ・シュタインバッハー、オーケストラはモナコ公国のモンテ・カルロ・フィルハーモニー管弦楽団である。

927_690x465 アラベラ・美歩・シュタインバッハーArabella Miho Steinbacher (1981年11月14日- )は、諸々の紹介を見ると以下のようなところ・・・・・
 ドイツ女流のヴァイオリニスト。ミュンヘンでドイツ人の父親と日本人の母親との間に生まれた。3歳でバイオリンを始め、9歳でミュンヘン音楽大学にてアナ・チュマチェンコに学んだ。ドロシー・ディレイやイヴリー・ギトリスにも師事した。2000年にハノーファーで開催されたヨーゼフ・ヨアヒム・ヴァイオリン・コンクールで入賞、翌年にはバイエルン州より奨学金を授与された。
 ゲルギエフ、マゼール、パッパーノ、シャイーといった数多くの巨匠指揮者たち、世界を代表するオーケストラとの共演を次々と成功させ、今やドイツ音楽界を担う地位を確立している。繊細さと力強さをあわせもつ演奏で、バッハから近現代作品までレパートリーは広い。
・・・と、知ることが出来る。

 このアルバムでの私の個人的な一つの注目点は、冒頭から登場するワックスマンFranz Waxman(1906-1967)のM1.「カルメン幻想曲」だ。この幻想曲」は、サラサーテのものが有名だが、この映画音楽で名を馳せたワックスマンのものもジョルジュ・ビゼー作曲のオペラ『カルメン』に登場するメロディを用いて、ヴァイオリンの名演技を示し聴かすべくを目的とする作品で、なかなか魅力的。私は幼少の頃から「カルメン」はなんとなく聴かされてきて非常に懐かしさが回顧される曲で有り、それがヴァイオリン協奏曲手法で、ときに懐かしのメロディーの登場にほろっとしてしまう。それが見事にシュタインバッハによってメロディーが歌いあげられるが如く演じきられている。
 その他、「ツィゴイネルワイゼン」、「揚げひばり」、「タイスの瞑想曲」等と名曲がズラーっと並んで登場。M6.「タイスの瞑想曲」にはうっとりとしてしまい楽しめるそのものの一枚だ。
 そして彼女のヴァイオリン演奏の技量と音質とを知りたいならM7.ラヴェルの「ツィガーヌTzigane」(10'52")ですね。この曲にはヴァイオリンのソロ演奏の要素も多く、又各種演奏技術を要するところが要求される。しかし繊細な技術が見事に演じられていて素晴らしい。

  このアルバムは、なかなか力が入っていて、SACDハイブリット盤であり、サラウンド録音も同時に聴ける。このタイプは歓迎ですね。
 今年のオープニングは名曲クラシックで・・・・そして今年一年もジャズやロックに、感動がありますよう願ってのスタートであります。

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<今年の予感>
     昨年から、CD全盛期を迎える前のLPの再生の比率が高くなってきたのが気になります。
     今年はLPの購入に・・・と言うことになって行くのだろうか・・・・・

  (懐かしの機器 DENON Turntable DP-80 及び MICRO Dynamic Balance Tonearm MA-505L
      
そしてDENON Pre-Amplifiyer PRA2000 が健在なのです)

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(視聴) Arabella Steinbacher ”Méditation from "Thais"”

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