ヴィクトリア・トルストイViktoria Tolstoy 「Meet Me At The Movies」
北欧の世界観の感じられるヴォーカル
<Jazz>
Viktoria Tolstoy 「Meet Me At The Movies」
Act Music / Germ / ACT9827-2 / 2017
Viktoria Tolstoy (vo),
Krister Jonsson (g),
Mattias Svensson (electric & acoustic bass),
Rasmus Kihlberg (ds)
Special Guests:
Iiro Rantala(p), Nils Landgren: trombone(vo)
スウェーデンの人気女性ヴォーカリスト、ヴィクトリア・トルストイViktoria Tolstoy 。彼女はロシア系で文豪トルストイの孫娘だということで一目置かれてきた。1974年生まれで、もうベテラン歌手。
これはアメリカ・クラシック映画主題曲を歌ってのアルバムだ。ACT-Musicのアルバムだけあって録音が良い。又彼女の唄声は低音から高音まで標準的で聴き応えがソフトでヴォリュームもあってなかなかの良質モノ。 過去に10枚のアルバムをリリースしているが、私自身はそれ程興味を持つこともなく今日に至っていたが、このアルバムで彼女のファンには叱られそうだが、実はを見直しているんです。(そこで彼女のDiscographyを参考までに末尾に記す)
(当アルバムのTracklist)
1. Calling You (Bob Telson) from the movie “Bagdad Café”
2. As Time Goes By (Herman Hupfield) from the movie “Casablanca”
3. En Man [Marlowe‘s Theme] David Shire (Swedish lyrics by Rolf Börjlind)
from the movie “Farewell, My Lovely”
4. Out Here On My Own (Michael & Leslie Gore) from the movie “Fame”
5. Why Should I Care (Clint Eastwood) from the movie “The Bridges of Madison County”
6. The Book of Love (Peter Gabriel) from the movie “Shall We Dance?”
7. Love Song For A Vampire (Annie Lennox) from the movie “Bram Stokers Dracula”
8. Kiss From A Rose (Seal) from the movie “Batman Forever”
9. Angel (Sarah McLachlan) from the movie “City Of Angels”
10. New World (Björk / von Trier) from the movie “Dancer In The Dark”
Bonus track
11. Smile (Chaplin / Turner / Parsons) from the movie “Modern Times”
まずスタートから映画『バグダッド・カフェ』のM1.”Calling You ”を持ってくるというのは、なんとも気迫の感じられるところだ。それもなかなか味付けが良い。ホリー・コールとつい比較したくなるのだが、彼女流を貫いていてVegasというよりは、北欧の自然風景が浮かんでくるところは恐ろしい。"I am calling you"と歌いあげるところも大人の雰囲気を醸し出している。この曲だけでも一聴の価値ありだ。
バックはギター、ベースで洒落た演奏を聴かせるが、曲によってピアノも加わる。
又サラ・マクラクランとこれも比較したくなるM9.”Angel”が登場。ギターはカントリー風に演ずるが、やっぱり彼女の唄声が入るとなんとなく北欧風に聴こえてくるところが不思議。
M3.”En Man [Marlowe‘s Theme]”は、スウェーデン語で唄われるが、これが全く意味不明。その為私には静かな都会のムードが感じられて納得。
映画『カサブランカ』、『モダン・タイムス』からも登場(M2.”As Time Goes By”,M11.” Smile” )で、クラシック・ムードも近代北欧に仕上げている。
映画『マジソン郡の橋』の一曲M5."Why Should I Care"も優しくしっとり唄うところはお見事。
映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のビョークの曲M10.” New World ”は、さすがちょっとこのアルバムではイメージの変わった曲となった。
映画音楽というのは、その映画の印象が強いので、自己流の展開はある意味では避けられることが多い。しかしこのヴィクトリアの場合はさすがベテラン、果敢に北欧風に仕上げたところは、冒険であったと思うが、それがむしろ私には北欧の世界観が感じられてなかなか良いアルバムに仕上げたと思うのである。
<参考 Viktoria Tolstoy - Diacography>
1994 – Smile, Love and Spices
1996 – För Älskad
1997 – White Russian
2001 – Blame It On My Youth
2004 – Shining on You
2005 – My Swedish Heart
2006 – Pictures Of Me
2008 – My Russian Soul
2011 – Letters to Herbie
2013 – A Moment of Now (with Jacob Karlzon)
2017 – Meet Me At The Movies
(視聴)
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コメント
文豪トルストイの孫娘のボーカリストが人気だということは知っていたのですが、なんとなく際物っぽくて手を出さずじまいでした。風呂井戸さんの好評価、ちょっと見直さねば ・・・。
投稿: 爵士 | 2017年3月28日 (火) 14時38分
爵士さん、こんばんわ。
そうなんです・・・・、ここに来て円熟期に入って、なかなか良い味出しています。
北欧のジャズも今や有力なアーティストの華がみられていますね。嬉しいことです。
投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2017年3月28日 (火) 20時35分