ベネディクト・ヤーネル・トリオBenedikt Jahnel Trio 「THE INVARIANT」
流麗なピアノと風格あるクラシック調な哲学的ジャズ世界
<Jazz>
Benedikt Jahnel Trio 「THE INVARIANT」
ECM / JERM / ECM2523 5712837 / 2017
Benedikt Jahnel: piano
Antonio Miguel: double bass
Owen Howard: drums
Recorded March 2016 at Rainbow Studio, Oslo
produced by Manfred Eicher.
ECM盤が続きます。前回、Julia Hülsmann Trio の『Sooner and Later』を取りあげたが、あのアルバムのジャケからふと思い出したアルバム。私はジャケに結構拘っているのですが、訴えてくる印象が似ているのでこのアルバム『THE INVARIANT』を再考するに至った。
ところがなんとジャケ(Cover photo)の作成者をみると、『Sooner and Later』のLiner photosを担当したArne Reimerという人の写真によるものだった。
まあそれはそれとしてこれもドイツですね、ベルリンを拠点にして活躍中のピアニストのベネディクト・ヤーネルBenedikt Jahnel によるトリオ作品。5年ぶりのECM第2作目となるもの。
このアルバムのタイトルは「不変」と訳せば良いのか、いずれにしてもこのトリオ結成して10年と不変で来たようで契りは深い。そのトリオ・メンバーはスペイン人ベーシスト、アントニオ・ミゲルと、カナダ人ドラマー、オーウェン・ハワードと国際的。
(Tracklist)
1. Further Consequences
2. The Circuit
3. Mirrors
4. Mono Lake
5. Part Of The Game
6. For The Encore
7. Interpolation One
8. En Passant
曲は全てベネディクト・ヤーネルによるもの。彼は1980年生まれのドイツ人、2000年にベルリン芸術大にて学位取得し、2005年米国N.Y.に渡り、2007年にベルリンに戻っている。
とにかくオープニングM1.” Further Consequences ”から聴かれる彼のピアノはクラシック調にして流麗そのもの。その曲名も哲学的であり描くところも深い。それがECM流に流れて、M2.”The Circuit ”に繋がって行く。
そして9分以上のM3.” Mirrors ”には、その深遠な世界にはまってしまう。
M4.” Mono Lake ”は、やや安堵感が漂ってほっとする。
M5.”For The Encore ”は欧州的美の広がる静謐さが感じ取れる優しい曲。
M7.”Interpolation One ”のベースとピアノの音で描く暗さは凄いが、M8.”En Passant ”で一転して明るい陽光の差す様な世界に、そして流麗なピアノの調べを経て静かに幕を閉じる。
はっきり言って、曲の流れは聴きやすく難解では無い、しかし描く世界の哲学的世界は深い。しばらく解釈に時間がかかって横に置いておいたが、今こうして聴き直してみると、これはなかなかハイレベルな格調高い名盤です。
(視聴)
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コメント
風呂井戸さん,こんばんは。
本作はJulia Hulsmannを更に上回るよさを持っていると思います。今年聞いたECMレーベルの作品の中でも屈指の一枚ですね。最近のECMレーベルのピアニストは,総じて質が高いですが,この人たちは本当に素晴らしいと感じています。
ということで,TBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2017年4月17日 (月) 21時50分
中年音楽狂さん、コメント、TB有り難うございます。
多国籍トリオとして、これだけの世界観とトリオとしての結びつきには驚きです。
ECMのなせる技と共にレベルの高さを実感します。
遅まきながらこちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2017年4月18日 (火) 15時38分