チャーリー・ヘイデンCharlie Haden (with C. Baker, E. Pieranunzi, B. Higgins) 「Silece」
1989年のリマスター復刻盤に感動
<Jazz>
Charlie Haden with Chet Baker, Enrico Pieranunzi, Billy Higgins 「Silece」
Soul Note / ITA / SNGG116-2 / 2017
Recorded Nov.11-12. 1987 at CMC Studio, Roma
Charlie Haden ( Bass ), Chet Baker (Trumpet , Vocal), Enrico Pieranunzi ( Piano ), Billy Higgins ( Drums )
"Soul Note Remastered Reissue Series"としての登場盤で、これはチャーリー・ヘイデンのSoul Note での初の録音盤(1987年)。
ヘイデンが、ウエスト・コースト・ジャズへの思いをこめたというコンセプトのもと制作された作品と言うが、今こうしてみると豪勢なメンバーによるカルテットだ。
なんと言っても、チェット・ベイカーが亡くなる半年前の演奏で、それだけでも興味がある。これは私は過去に一度も聴いてなかった盤であるだけに尚更だ。しかもあの抒情的ピアノ・プレイを聴かせてくれるピエラヌンツィが絡んでいて文句なしだ。
(Tracklist)
1. Visa
2. Silence
3. Echi
4. My Funny Valentine
5. ’Round About Midnight
6. Conception
とにかくチェット・ベイカーの演奏が印象的で、これはまさに彼のアルバムかと思わせる程です。2曲目の”Silence ”がチャーリー・ヘイデンの曲でこのアルバムの主役をなしていて、これが静かなエンリコのピアノに続いて、どちらかというと陽ではなく陰に包まれていると言って良いのだが、チェット・ベイカーの押さえてのペットの響きが支配する。それは極めて叙情的な世界であって、それにおもむろに登場するヘイデンのベースが更に深淵なる雰囲気を構築するんですね。私から見るとこれはチェット・ベイカーの人生を象徴するがごとくの出来映えだ。
M4.”My Funny Valentine”においては、何とか陽の世界を見せようとしているが、やっぱり聴く方の気持ちも入ってしまって、チェット・ベイカーのヴォーカルも登場するが、如何にもこのバンド4者の最大限の花ではあるが、やっぱり抒情的な世界になっている。
そしてこのアルバムの私の最大の焦点はM5.” ’Round About Midnight”だ。なんと11分を超える演奏だが、繊細な感覚が4者のそれぞれの全ての音に秘められている。この曲には完全に聴く私は取り込まれてしまった。ベイカーから続くピエラヌンツィにメロディー演奏が引き継がれ、両者の抒情的美が溢れている。そしてその後は優しいヘイデンのベースがほぼソロで演じられ、もう満足の極みである。
いやはや良いアルバムをリマスター再発してくれたものだ。当時リアル・タイムに聴いた人たちは、どんな気持ちで直後のベイカーの悲しみを送ったのだろうか、今こうして聴いていてその想は想像に難くないのであった。
(視聴)
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コメント
こんなアルバムがあったのですか。知りませんでした。私にとって、ヘイデンは最高と思っていたベーシストであり、ピエラヌンツイはヨーロッパ・ジャズ・ピアノへのマイルストーンであり、チェットはあの無頼の裏にある哀切がなんとも魅力的でした。
投稿: 爵士 | 2017年4月 9日 (日) 23時48分
爵士さん、こんばんわ。
このアルバムのメンバーを見ただけで、ゾクゾクして、リマスター盤ということも魅力で購入してみました。
当初のリリースされた1989年当時は別方向に頭が向いていまして、勿論聴いてなかったし、その評判等知らなかったため若干不安でしたが・・・結果は大成功、この4人のメンバーの特徴もちゃんと出てますし、納得のアルバムでした。
投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2017年4月10日 (月) 21時53分