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2017年4月24日 (月)

ジョエル・レンメル・トリオJoel Remmel Trio 「SOME THINGS NEVER CHANGE」

美旋律ジャズでありながらフリー・インプロヴィゼーション展開重視

<Jazz>
Joel Remmel Trio「SOME THINGS NEVER CHANGE」
Atelier Sawano / JPN / JRT003 / 2016

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Joel ‐ Rasmus Remmel : piano
Heikko ‐ Joseph Remmel : bass
Aleksandra Kremenetski : drums

  取りあえず2013年の1stアルバム『LumeKristall』から注目してきた東欧はエストニアの若きピアノ・トリオの昨年リリースされた3rdアルバム。
 今回のアルバムは過去の2作よりは一歩前進というか発展というか進化を示していると思う。聴きやすいメロディーを取り入れた曲を主とするところから脱却して、おそらく即興を重視したややスタイルを複雑にした曲のため、ちょっと評価に躊躇するところがあって、しばらく横に置きっ放しになっていた。しかし彼らの流れは注目価値ありというところで、そのため遅まきながら今になってここ登場することになった。

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(Tracklist)
1. Kolmekesi Paadis
2. Stepping Into The Basement
3. Some Things Never Change
4. Taevatahed Laulvad
5. By The Book
6. Vaikse Aja Ilu
7. Mul On Hea Jeesuses
8. Turn Out The Stars

 殆どが、ピアニストのJoel Remmelの曲だが、女流ドラマーのAleksandra Kremenetskiの曲も1曲(M4)登場。

 オープニングから、メロディ中心と言うよりは、演奏のスリリングな交錯がみられるフリー・インプロヴィゼーションの展開となる。メロディの美しい欧州のピアノ中心のトリオ曲というところから完全に脱却を図っている。もともとフリージャズ世界に足を入れていたところがあるようで、過去の2作品にもそんな因子が顔を出していたが、若いといえども結成して7年経過したこの3rdでは、思い切ってその世界に展開を広げた感がある。
 アルバム・タイトルとなっているM3.”Some Things Never Change”は、ベースの低音からスタートとして次第にメロディーの美しさを交えつつも、やや前衛的ジャズ印象を貫いて展開するため、聴く方はこれらの多様なスタイルについて行けるかがポイントだろう。
 M6.”Vaikse Aja Ilu”では彼らの特徴であるピアノ・メロディの美しさと、変調する中にも優しい展開が支配し、ここにきて彼らの過去のアルバムの美しさを思い出した。それもそのはずこの曲1stアルバムにも登場していたもの。後半に入ってのインプロヴィゼーションに手を加えている。そして最後の1分間は安堵の流れを聴かせてくれて、なにかほっとする響きで終える。
 そしてM7.”Mul On Hea Jeesuses”では、この曲の前半はクラシック流の美ピアノの音で支配して、後半は一転してやや荒々しい古典的ピアノ・ジャズと化すという変化のアレンジを見せる。
 M8.”Turn Out The Stars”は最終トラックにふさわしいこのアルバムの締めくくりである。ビル・エヴァンスの曲のアレンジだ。それは美しいメロディのみに止まらない彼らの姿勢を変調ジャズにて示すのだ。

  進化する若きトリオの1シーンを感じさせるアルバムであった。

(視聴)

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