ジュリア・ハルスマン・トリオJulia Hülsmann Trio 「Sooner and Later」
ECM流のピアノ・トリオ・アルバムだが・・・・高尚の一言
<Jazz>
Julia Hülsmann Trio 「Sooner and Later」
ECM / JERM / ECM 2547 / 2017
Julia Hülsmann(p)
Marc Muellbauer(double bass)
Heinrich Köbberling(ds)
Produced by Manfred Eicher
Recorded Sep. 2016, Rainbow Studio, Oslo
(Tracklist)
1. From Afar *
2. Thatpujai *
3. You & You +
4. Biz Joluktuk
5. All I Need
6. The Poet (For Ali) -
7. Offen -
8. J.J. *
9. Soon *
10. Later +
11. Der Mond *
(Composer : "*印"Julia Hülsmann、 "+印"Heinrich Köbberling"、 "-印"Marc Muellbauer)
1968年生まれのドイツの女流ジャズ・ピアニストにしてコンポーザーのジュリア・ハルスマンのピアノ・トリオ作品。
彼女はベルリンを拠点にしてのベテラン・ジャズ・ピアニストだ。このところはクインテット、カルテットという作品が続いていたが、久々の6年ぶりのトリオ作品と言うことだ。
まずECMと言えどもジャケの印象は更に地味で、そしてそこには日常の姿をしっかり見つめようとする想(こころ)を感じ取れる。
そして演奏は明らかに”ECMサウンド”で、物静かに哲学的に流れて行く。演奏の特徴は彼女の名前を冠したアルバムだが、ピアノが決して前面に出て振る舞うと言うところがないところだ。三者の対等なるトリオ演奏が聴きどころ。
とにかく、M1、M2と冒頭から詩的な世界が広がる。そしてその流れはM3, M4ても同様だ。刺激性の無い演奏が彼らの持ち味として安定性の感覚を聴く者に及ぼしてくる。
これはどこかで見たが「文学性の演奏」と言わしめる世界なのである。全編、静かに流れるが、これは単なる抒情性とか美旋律といったところとは異なるのだ。ただし静かな流れと言っても、快調なリズムをも展開する。とにかく高尚という言葉に尽きる演奏なのだ。
あまりにも整然とした演奏に、はっとするような山が無いと言えばそうなのだが、従ってなんとなく始まって、快く聴いてなんとなく終わるというアルバムなのである。そんなところは北欧ものの大自然をイメージするとか、逆に南のイタリアにおける演歌調を味うとは違っている。これが・・・ドイツなのか?。
なにせ、花粉症の季節、抗アレルギー剤を内服しているせいか、聴き入っているとすぐ寝てしまうのである。
収録11曲中の殆どの9曲が彼らのオリジナル曲(ジュリアが5曲)であるが、作品紹介をみると・・・・、"ツアーでヨーロッパ、アメリカ、ペルー、中央アジア、中国も一緒に廻ったとのことでアジアでの演奏は「自分たちの世界を広げてくれた」という。M-4”Biz Joluktuk ”はその中央アジアでのツアー時にキルギスで12歳のヴァイオリニストが弾くのを聴いた曲に インプロヴィゼーションを施したものと言うのだ。
M-2”Thatpujai ”ドイツのピアニスト、ユタ・ヒップのソロで聴かれるフレーズをテーマにしているとか"・・・・など、彼らの印象を受けたものにインプロヴィゼーションを繰り広げた曲群のようだ。
結論、こうした真摯な高尚なアルバムも好感が持てるし私にとっては価値あるアルバム。
(視聴)
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コメント
風呂井戸さん,こんばんは。
このアルバム,いいですよねぇ。いかにもECM的な音ながら,小難しいところは一切ないって感じで,一般的なリスナーにとっても結構受けがよいのではないかと思えます。
リリース・ラッシュが続くECMですが,アルバムのクォリティを維持すること自体,驚異的ですね。
ということでTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2017年4月14日 (金) 23時41分
中年音楽狂さん、コメント・TB有り難うございます。
このトリオは、おっしゃるように”小難しいところは一切ないって感じで”・・・と言うところに私はレベルの高さを逆に感じてしまうのです。
非常に入りやすい「文学的・哲学的世界」と言えるのでしょうか?。
私の方からもTBさせて頂きます。
投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2017年4月15日 (土) 10時11分