大変身のイメルダ・メイIMELDA MAY 「LIFE. LOVE. FLESH. BLOOD」
”アイルランドの美空ひばり”(私の独断的命名)
~相変わらずの抜群の歌唱力は健在~
<Jazzy Pop, Blues , Folk>
IMELDA MAY 「LIFE. LOVE. FLESH. BLOOD」
DECCA / EU / 5714901 / 2017
Prodused by T Bine Burnett
Written by Imelda May
Vocals : Imelda May
Gest Player : Jeff Beck (Guitar M2), Jools Holand (Piano M9)
Marc Ribot : Guitar
Jay Bellerose : Drums
Zachary Dawes : Electric Bass
Dennis Crouch : Acoustic Bass
Patrick Warren : Keyboad
これはイメルダ・メイのメジャー四作目、アルバム・タイトルが凄いですね、まさに彼女の生き様そのもの。彼女は私に言わせると”アイルランドの美空ひばり”だ。何を唄わせてもトップ・クラスのヴォーカルを聴かせてくれる。とにかくそうは言っても今まではやっぱり”ロカビリー歌姫”が看板。ところがここに来て驚きの大変身。大体髪型を現代風に変え、化粧もそれにそってかってのロカビリー時代風とは全くの変身、女性ってこんなに変化するんですね。あの彼女をお気に入りのジェフ・ベックも驚いたでしょう。
↓↓ (見よ!この変身)
それも彼女をそうさせたのは、やっぱり離婚でしょうかね。彼女のロカビリー・バンドのリーダー格のギタリストDarrel Highamと18年の結婚生活にピリオドを打ち、離婚が報じられたのはもう少々前の話(2015年)。しかしその後ここまで変身とは全く信じられないところ。
私は、彼女をここで何回と取りあげたのはやっぱりファンだからです。とにかくロカビリーは勿論だが、ジャズを唄わせても最高です。ジェフ・ベックとの共演での”Lilac Wine”、”Cry me a River”なんかは一流のジャズ・シンガーをも圧倒する(アルバム:Jeff Beck 「EMOTION & COMMOTION」(WPZR-30373/4, 2010))。
そしてこのアルバムにみるように、唄うはその曲調も大変化、なにせあのロカビリーの”Johnny Got a Boom Boom ”からの変化ですからね。まあとにかくお得意のロカビリーも顔を出すが、もう完璧な大人のシンガーへ変貌を遂げてみせ、ジャジー・ポップから、ブルース、フォーク、ロック、ソウル、ゴスペル、ジャズにまでに渡っている。これぞ彼女の芸達者の極地。そしてこの曲群、やっぱり全曲彼女の手によるオリジナル曲である。彼女に言わせると”自分の日記みたいなもの”と表現されている。
レコーディングはLos Angelesにて7日間で行われたもの。
(Tracklist)
1. Call Me
2. Black Tears
3. Should’ve Been You
4. Sixth Sense
5. Human
6. How Bad Can A Good Girl Be
7. Bad Habit
8. Levitate
9. When Its My Time
10. Leave Me Lonely
11. The Girl I Used To Be
まずオープニングのM1.” Call Me”とM3.”Should’ve Been You ”で驚きますね。この2曲は今回の変身の代名詞的曲。みごとな二種の現代風ジャージー・ポップに感動です。
又二曲目のリード・トラックM2.”Black Tears ”はジェフ・ベックのギターが登場。彼女の内と外の真実の心の姿をバラードで歌いあげる。これは1-2年前からお目見えしていた曲。ロカビリー時代のスローバラードですね。そしてやっぱりジェフのギターは心に染み込みます。
M6. ”How Bad Can A Good Girl Be ”これは又聴きやすい親密感あるメロディーで一皮剥けた彼女を知ることになる気が休まる曲。
M7. ”Bad Habit ” やっぱり出ますね、ロカビリー調の軽快な曲。
M8.”Levitate ”親近感のあるメロディー、説得力のヴォーカル、そして隠れた色気まで臭わせて、一緒に唄いたくなるような曲。
M9. ”When Its My Time ”こんなカントリー・ブルースっぽい曲も登場。昔、プレスリーが激しい曲の後にしっとり唄い上げた姿とダブリますね。上手い。
とにかく全体的に非常に聴きやすい説得力十分の曲とヴォーカル。ソフトであるが、やや陰影のあるところが味噌だが、決して暗くない。そして軽快な曲も交えてのまあ見事なアルバムに仕上げている。
彼女は1974年7月10日生まれ(実はどうでも良い話だが、偶然私と生まれた月、日は一緒)、と言うことで40歳を過ぎている。アイルランドのダブリン出身のシンガー・ソングライター。本名はイメルダ・メアリー・クラビーImelda Mary Clabby 。2008年にアルバム『ラヴ・タトゥ』でメジャー・デビューしている。2012年8月に娘を生んでの母親でもある。
このニュー・アルバムで”ロカビリー歌姫”から、”落ち着いた雰囲気の大人なシンガー”へ変貌を遂げてみせ、新たな挑戦に踏み切った。それでも印象は30歳代と言ってもよい十分の若さを感じさせる。
このアルバム・リリースはこの4月。それを知らないで居て、ブログ「ロック好きの行き着く先は...」のフレさんに教えられました。サンキュー。
(視聴)
”Black Tears” ( 2016 )↓
”Cry me a River” with Jeff Beck ( 2010 )↓
”Danny Boy” with Jeff Beck (2010) ↓
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コメント
やっぱphotofloydさんの文章で読むと、もう一度聴こうかな、って気になりますね(笑)。
離婚が大きな転機だったのか…、それは調べなかったんでなるほど、って思いました。これからも色々なチャレンジしていってほしいし、それでも彼女なら器用にやりこなせるんじゃないかなって思いますね。
しかし、面白い素材、ベックもよく発見したな〜。
投稿: フレ | 2017年5月28日 (日) 09時36分
フレさん、コメント・TB有り難うございます。
このアルバムのリリースを教えて頂いて、大興奮でした。なんとこの変身に圧倒され、又曲のジャンルの変化にも驚かされ、・・・もともとジェフ・ベックとの共演からお気に入りの彼女でしたから、このニュー・アルバムは大歓迎。
私は次作はジャズ・スタンダード集でも期待してしまいます。やっぱりバラードが良いですね(笑い)。
投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2017年5月28日 (日) 17時02分