スノーウィ・ホワイトSnowy White久々のアルバム「RELEASED」
一つの境地、非常に聴きやすいブルース・ロック
<Blues, Rock>
Snowy White「RELEASED」
Snowy White / Imp. / SWSOLO2016 / 2016
all musics : written by Snowy White
Guitar : Snowy White
All instruments, synths and Programming and vocals : Snowy White
私の愛するギタリストの一人、スノーウィ・ホワイト(Snowy White =本名Terence Charles White 1948年英国生まれ)のソロ・アルバム。彼ほど実力がありながら、目立たないロック・ギタリストはいないと言ってよいぐらいだ。常に一歩控えめな位置に居り、それだけに奥深さと味の深さを感じ取れる。そんな真摯にして紳士な彼の近作がこれだ。
とにかくリラックスして聴けるブルース・ロック。今のスノーウィ・ホワイトのギターは激しさはなく、非常に心地よい響きだ。
近年は、ピンク・フロイド時代からのお付き合いで、ロジャー・ウォーターズのツアーやライブには必ず同行している彼だが、あのウォーターズの足かけ4年に及んだ「The Wall ツアー」をこなし、そして昨年は「Desert Trip 2016」など、とにかく社会に常に打って出るウォーターズを、いつも静かに見守っているかの如くのツアー同行でのギター・サウンドを聴かせてくれている。そんな彼だが、昨年の少々の休みに、多分ふと我に返ってのことと思うが、独自のレーベルでこんなソロ・アルバムをリリースしていた。(彼のバンド・アルバム『REALISTIC』(2011年)、ライブ・アルバム『Live at Rockpalast』(2014年)以来の新作)
(Tracklist)
1. Opening Peace
2. The Blues Talking
3. It's All Down To Me
4. It's Always Love (That Breaks Your Heart)
5. Out Of Control
6. I Know What's Coming
7. Blue Day
8. Blues On A Borrowed Guitar
9. Life Full Of Lonely
10. Missing..
11. Wrong Side Of The Tracks
12. Everything - It's Alright
13. How Was It For You
なんとも優しく聴きやすい彼のエレキ・ギタ-・サウンドや彼の演ずる各種演奏機器(シンセサイザー等)そしてヴォーカルでブルース・ロックを展開するソロ・アルバム。ホワイトは、ギターは殆どフェンダーでなく、ギブソン(レスポール)を使うところが特徴だ。
M8.”Blues On A Borrowed Guitar”を代表的に、得意のブルース・ギターを十分味合わせてくれる。
いずれにしても、このアルバムの彼のギター・サウンドは、全体的に非常に角の無い優しさとクリアな音色とで、時に泣きも入って聴く者をして安らげてくれる。
M9.”Life Full Of Lonely”は、彼の得意な繊細なクリアーにして軽快なギター・サウンドを、このアルバムでは珍しく”The White Flames”のメンバーと共に聴かせてくれ、近年お付き合いのMax Middletonのピアノとの交わりがなかなか洒落ていて味わい深い。
M.10 ”Missing...”は、ギター・サウンドと曲の流れとが、ちょっとピンク・フロイド風の仕上げ。ところが彼のヴォーカルで全く別物となるが、それは上手いのか下手なのかよく解らない独特のもので、これはホワイトだとすぐ解るもの。
もともと以前にも取りあげてきたが、彼には3つの世界を持っている。一つは延々と続いてきたシャジィーでブルージィーなロックである「Snowy White & The White Flames」、そして彼のブルースの世界「Snoey White's Blues Agency」や「The Snowy White Blues Project」、それとピンク・フロイド時代からの「ロジャー・ウォーターズとのお付き合い」だ。
今回のアルバムはそれらから離れての完全のソロ(4曲を除いて)。自己でマルチ楽器をこなしている。私の印象とすれば、まさにウォーターズとのお付き合いの一休みの一時に、心安まる世界を構築したという感じである。
いやはやホワイトらしい、万人に聴いてもらいたいクリアーで美しく真摯なギター・アルバムである。
(試聴)
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コメント
突然ですが、新作が出ていたとは知りませんでした。自分は1994年作品の「Highway to the Sun」を持っていて、しばらくはよく聞いていました。
もともとシン・リジィにもいましたから、ゲイリー・ムーアやもちろんデヴィッド・ギルモアなども参加していましたし、なぜかポール・キャラックやクリス・レアも演奏に加わっていました。意外にも聞きやすかったことを覚えています。
フロイドのライヴの時には、カーテンの奥に隠れてギルモアのパートを弾いていたという都市伝説みたいなものも流れましたが、本当のところはどうなのでしょうか。
いずれにしても、伝統的な英国職人を思わせるギタリストですから、聞いてみたいですね。
投稿: プロフェッサー・ケイ | 2017年5月15日 (月) 22時36分
プロフェッサー・ケイ様、こんにちわ。
このアルバムは過去の彼の作品では、最もポピュラーに聴きやすい万人向け作品と思います。益々彼は人生を達観しているのでは?と思ってしまいます。ロジャー・ウォーターズとのお付き合いでしっかり稼いで、このアルバムに資金投入したのでは(笑い)と思います。
そうそう、彼は昔ピンク・フロイド「アニマルズ・ツアー」で、会場とロジャー・ウォーターズの狂気の沙汰でギルモアが嫌気をさし、ステージを投げ出した時があるのですが、その際ギター・パートをしっかり彼が埋めたという有名な話もあります。
投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2017年5月16日 (火) 17時45分