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2017年6月20日 (火)

アナト・フォート・トリオAnat Fort Trio 「Birdwatching」

自然界から人間を知らしめるアルバム

<Jazz>
Anat Fort Trio   Gianluigi Trovesi  「Birdwatching」
ECM / JER. / 4732357 / 2016

Birdwatchingw

Anat Fort: piano
Gary Wang: double bass
Roland Schneider: drums
Gianluigi Trovesi: alto clarinet

Recorded November 5-7, 2013 at Auditorio Stelio Molo RSI, Lugano
Produced by Manfred Eicher.

Af3trw  これはイスラエル出身の女流ピアニスト、アナト・フォートAnat FortのECM3作目で、昨年にリリースされたアルバム。
 実はこのピアニストに関しては白紙であって、ここに来て2007年のカルテット作品『A Long Story』から、トリオもの『And If』(2010)、そしてこの近作『Birdwatching』と、一気に彼女のECMアルバム3作を聴いてみたということになった。

 さてこの近作アルバムだが、トリオ・メンバーのGary Wang(b)とRoland Schneider(ds)は、長年一緒の仲と言うことであり、スペシャル・ゲストにイタリアのリード奏者Gianluigi Trovesiをフィーチャーしたカルテット作品。

(Tracklist)
1 First Rays 2 Earth Talks 3 Not The Perfect Storm 4 It's Your Song 5 Jumpin' In 6 Milarepa Part 1 7 Song Of The Phoenix I 8 Song Of The Phoenix II 9 Murmuration 10 Meditation For A New Year 11 Inner Voices 12 Sun

  収録12曲の11曲がFortのオリジナル、他の1曲(M11)はメンバー4人の共作。録音は、2013年11月、スイスにて行われている。

 静かにして、穏やかなピアノ・ソロM1.”First Rays ”からスタート、”最初の光、輝き”ということで、朝の光景だろうか?既に真摯な気持ちにさせる。
 そして続くM2.”Earth Talks ”から Gianluigi Trovesiのalto clarinetが登場。クラリネットの音色から優しさの満ちた世界に。
 しかし、M3.”Not The Perfect Storm ”は意外に荒々しさを感じさせる曲に変わる。
 M4.”It's Your Song ”はクラリネットなしのピアノ・トリオで描く希望に満ちた世界に。
 M5.”Jumpin' In ”は又々印象は変わって不安感が・・・・これは自然界の一つの厳しさを表現か。演奏も極めて現代音楽的で、彼らの内包しているアグレッシブな部分を見る思いだ。
 M6.”Milarepa Part 1”は、再び一荒らし去っての安堵が漲る。
 M7.M8.”Song Of The Phoenix”不死鳥の如く自然の静かにして力強い姿を感ずる
 M9.”Murmuration ”クラリネットが響き、彼女のピアノが追従して不思議な広がりが。
  M10.”Meditation For A New Year ”自然界の姿か、ピアノは躍動と美しさを演じている。
 M11.”Inner Voices ”かなりフリーな演奏で有りながら、4者の思が結ばれる自然への不思議感。
 M12.”Sun”明るい未来感のある静かなピアノ・ソロの響きで終わる。

 予想外のフリーでダイナミックな曲にも驚くのだが、その感情に自然に対応しつつ、やはり静謐にして抒情的、自然の持つ深遠さなどを見事に描ききった作品に思う。今回のアルバム・タイトルを『野鳥観察』にしての”自然の厳しさと美しさとの対話”にしたのは、過去の作品からもごく自然な流れと感じた。

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R1632410w_2 アナト・フォートは、テルアビブ近郊にて1970年3月8日生まれ。ニュージャージー州のウィリアムパターソン大学で音楽を学び、ジャズの即興の探究や彼女のスキルを開発するために1996年にはニューヨークに移動もしている。こうした経過で最初のアルバム『Peel』(Orchard, 1999)を製作した。その後2007年、37歳の時に、Poul Motianのドラムスでアルバム『A Long Story』(→)にてECMデビューをした。
 今回三アルバムを聴くことになって、その結果、これからの彼女の次作も私にとっては気になる存在となった。

(視聴)

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