サラ・マッケンジーSarah McKenzie 「PARIS IN THE RAIN」
華々しくヨーロッパを歌いあげるアルバム
<Jazz>
Sarah McKenzie 「PARIS IN THE RAIN」
impulse !, UNIVERSAL MUSIC / JPN / UCCI-1037 / 2017
Sarah McKenzie (vocal on 1-12) (piano on 1-7,10-13)
Jamie Baum (flute on 1,5,7,11)
Dominick Farinacci (trumpet on 1,5,11,13)
Scott Robinson (alto saxophone on 1,5,13)
Ralph Moore (tenor saxophone on 1,3,5,12-13)
Mark Whitfield (guitar on 1-2,4-6,8,10-11,13)
Romero Lubambo (nylon string guitar on 7,9)
Warren Wolf (vibraphone on 1-2,5-6,10-11)
Reuben Rogers (double bass on 1-7,9-13)
Gregory Hutchinson (drums on 1-7,9-13)
こうした溌剌とした華々しい演奏とヴォーカルを聴くと、なんか良き時代の古典ジャズって感じがしてしまうのは私だけであろうか?、まさにそんなアルバムだ。
オーストラリア・メルボルン出身のピアニストにしてシンガーのサラ・マッケンジーだが、ウエスト・オーストラリアン・アカデミー・オブ・パフォーミング・アーツにてジャズの学士課程を修了。2012年リリース『Don’t Tempt Me and Close Your Eyes』はオーストラリア・レコード協会のベスト・ジャズ・アルバムを受賞したという。そしてボストンのバークリー音楽大学への進学を志す。そこで奨学金を獲得すると共にフェスティバルでパフォーマンスする権利も得た。そして、2015年5月に同大学をジャズ・パフォーマンス専攻で卒業した後、有名ジャズ・フェスティバルに多く出演。更にニューヨークを始め、パリ、ロンドン、ウィーン、ミュンヘン、シドニーのトップ・ジャズ・クラブなどでもライブを行って来たようだ。
このアルバムは、特にヨーロッパを旅した"旅の記録"をテーマに選曲し、その後パリに移住してヨーロッパを目下堪能している彼女の自作曲も含めてのジャズ名曲のアルバム。
(Tracklist)
1. Tea For Two (Vincent Youmans / Irving Caesar)
2. Paris In The Rain (Sarah McKenzie)
3. One Jealous Moon (Sarah McKenzie)
4. Little Girl Blue (Richard Rodgers / Lorenz Hart)
5. I'm Old Fashioned (Jerome Kern / Johnny Mercer)
6. When In Rome (Cy Coleman / Carolyn Leigh)
7. Triste (Antonio Carlos Jobim)
8. Embraceable You (George Gershwin / Ira Gershwin)
9. In The Name Of Love (Kenny Rankin / Levitt Estelle)
10. Don't Be A Fool (Sarah McKenzie)
11. Onwards And Upwards (Sarah McKenzie)
12. Day In Day Out (Rube Bloom / Johnny Mercer)
13. Road Chops (Sarah McKenzie)
これは、2015年にアルバム『We Could Be Lovers』でimpulse!デビューを果たしたマッケンジーの2年ぶりimpulse!2作目となるもの。
ピアニストらしくアレンジも全て彼女自身で手がけている。いずれにしても彼女のヴォーカル・アルバムではあるが、ピアノ・プレイもM11”Onwards And Upwards ”などで聴かせてくれる。
又、バックも曲に合わせて豪華である。ジャズ好みの各種楽器陣が後押しする。
とにかく曲も曲だが、冒頭M1.”Tea For Two”はまさに華々しいです。そしてつづく彼女の曲M2.”Paris In The Rain”と、まあ明るくて良いと言えば良い。 なにせパリは女性の憧れの街ですからね。そして更に続く彼女の曲M3.”One Jealous Moon”もジャズ典型のアイテムのテナー・サックスが歌いあげ、ピアノとの交わりもジャズの楽しさだ。
M8. ”Embraceable You” は、このアルバムでは珍しく、ギターのみのバックで彼女はしっとりと唄ってみせる。そして続くM9.” In The Name Of Love ”のサンバへの転調もアルバムの流れとしては上出来。
M10. ”Don't Be A Fool ” は彼女の曲だが、意外にジャズというよりポピュラー曲ですね。ゆったりとした美しい曲。ここではビブラフォンが美しい。
いずれにしても、全体的には溌剌とした華々しさが前面に出ている嫌みの無い明るいアルバムで、まあ好感度は高いといったところ。
余談であるが、私はサラ・マッケンジーのアルバムへの初めての接点は、2011年ABCレコードからのリリースの『don't tempt me』 (ABC Records/Australia/2770600 →)であった。あのアルバムは、”You'd be so Nice to Come Home”で華々しくスタートする比較的明るさがあるところは同じだが、実は印象は大人っぽいと言うか、ジャズの深さをじっくり演じていたように思う。一方彼女の今作は華々しさとむしろ爽快な軽さが売り物で、これはこれで承けるところもあって、商業的にはよさそうだが、あとは好みの問題で別れるところでもあろうかと思われる。実は私自身は、もうその6年前のアルバムにむしろ軍配を挙げてしまうのであった。
(視聴)
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