アナセマAnathemaのニューアルバム「the optimist」
美しいモダン・プログレッシブ・ロックと評価されて・・・・・
<Progressive Rock>
Anathema 「the optimist」
Kscope / UK / Kscope356 / 2017
Personnel:
Vincent Cavanagh (vocals, guitar, keyboards, programming);1990-
Lee Douglas (vocals);2000-
Daniel Cavanagh (guitor, Piano, Keybord, Vocals)1990-2002, 2003-
John Douglas (keyboards, drums, programming); 1990-1997, 1998-
Daniel Cardoso (drums). 2012-
Jamie Cavanafh (Bass); 1990-1991, 2001-
こんなところで、ちょっとアナセマAnathemaも聴いておかねばと、ニューアルバムを手に入れた。なにせ美しいサウンドでモダン・プログレッシブ・ロックとも言われるようになってきたのだから。
昔はゴシック・メタルってとこでしたかね。次第にプログレっぽくなって・・・・、実はそんな変化するこのバンドも2012年の『weather system』(Kscope/UK/KSCOPE367/2012)(→)で取り敢えずは締めくくっておこうと思ったのですが・・・・・、あのアルバムはリーダーのヴォーカリスト=ヴィンセント・カヴァナー Vincent Cavanagh と女性ヴォーカリスト=リー・ダグラス Lee Douglas の心に響く歌声が素晴らしいと高評価。更にバンド演奏を支えたドラマチックに盛り上げたたデイヴ・スチュワートのオーケストラ・アレンジ、やっぱり英国としてのなんとなく哀愁を漂わせたところが聴く者の心を捉えたのであった。
あれから五年経って、彼らの11枚目の作品が登場して、やっぱり何となく手に入れることになるのであった。
アルバム・タイトルは「ジ・オプティミストThe Optimist=楽観主義者」と銘打って、どうも主たる作曲者のダニエル・カヴァナーDaniel Cavanagh (ギター/ピアノ/ヴォーカル/ループ)が「半・自伝的」と説明する作品のようだ。
(Tracklist)
1. 32.63N 117.14W
2. Leaving it behind
3. Endless ways
4. The Optimist
5. San fransisco
6. Springfield
7. Ghosts
8. Can't let go
9. Close your eyes
10. Wildfires
11. Back to start
そしてこのバンドの特徴のミニマル奏法がここでも取られている。特にM5. ”サンフランシスコ”ではその流れが顕著、メタリツクなヘビー・サウンドのミニマルの流れは良いのだが、この手のキーボードによるものはどうも私は苦手だ。
このグループの曲は、かってそれぞれの曲において同じ手法をとる為か、過去のアルバムでは、どの曲も同じに聴こえてしまうという感想を持ったことがある。
今回のアルバムは、その意味ではそれぞれの曲の個性も出ていてアルバムをトータルに観賞出来るところは更なる発展を遂げたと言っても良いかも知れない。
相変わらずリー・ダグラス Lee Douglas の声は美しい。又M6. ”スプリングフィールド”にみるように、静かな流れから次第に盛り上げていく曲の展開はやはり上手い。
タイトルにみる「楽観主義者」の生き行く道程の波乱に満ちた姿を描こうとしたのか、そんなコンセプト・アルバムとしても仕上げているところが興味ある。M9. ”クローズ・ユア・アイズ”などは、彼らとすれば精神的な世界を描いた感のある異色な曲であり、又M10.”ワイルドフィアーズ”なども高揚感は圧巻の仕上げで、じっくり聴いてみるとその価値が感じられる。(尚、隠しトラックもあって探して聴いてください)
さてなんと言ってもこのところは、ロジャー・ウォーターズの近作アルバム『is this the life we really want?』に圧倒されているところであって、そこにこのアルバムを聴いたわけだが、どうもそのタイミングはあまり良くなかった。つまりロジャー・ウォーターズと比較と言うことになってしまって、このアルバムは、余りにもその社会感覚と深刻さ、そして曲のスケールと展開などが中途半端な印象なのである。まあ誰がみてもそれは当然比較する相手が悪かったということで致し方ないところであり・・・・もう少し間隔を開けてよく聴き直した方がよいと思っているところだ。
しかし彼らの一歩又前進したプログレ・アルバムとして、その価値を感じさせる一聴に値するアルバムであることは間違いないところ。
(視聴)
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コメント
こんにちは、お邪魔します。アナセマは個人的に聞いていた時がありまして、特に最近のプログレッシヴ路線を取り出した「ウェザー・システム」と「ディスタント・サテライツ」にはなかなかの好印象を持っていました。
女性ボーカル中心のプログレ・バンドは敬遠しているのですが、このバンドはバランスが取れているので好きです。
ただ、ロジャー・ウォーターズの新作と比較されてしまうとちょっとかわいそうな気がします。せめてギルモアのアルバムと比べてほしい気がしました。
ともあれ、私も早く聞いてみたいです。タイトルのような気持にさせてくれるとありがたいです。
投稿: プロフェッサー・ケイ | 2017年7月16日 (日) 17時02分
親愛なる風呂井戸さま。お邪魔して申し訳ありません。アナセマということでコメントしました。
こう見えても、自分はアナセマを聞いていまして、「ウェザー・システム」や「ディスタント・サテライト」などは愛聴していました。
プログレ界の女性ボーカルは好きではないのですが、このバンドはバランスが取れているので気に入っています。
ただ、ロジャー・ウォーターズと比べれるのは可哀そうで、せめてギルモアのアルバムと比べてほしかったような気がします。
いずれにしても自分は早く聞きたいです。タイトルのような気持ちにさせてくれることを望んでいます。ご紹介ありがとうございました。
投稿: プロフェッサー・ケイ | 2017年7月16日 (日) 17時09分
親愛なる風呂井戸さま
失礼します。アナセマということでコメントさせていただきました。
実はアナセマには愛着がありまして、「ウェザー・システム」や「ディスタント・サテライト」はいまだに愛聴しています。
新作が出たとは知りませんでした。もともとプログレの女性ボーカルは好みではないのですが、このバンドはバランスが取れてよいです。
このアルバムのタイトルのように、気持ちがよくなることをきたしています。早く聞きたいですね。ロジャーのアルバムとは次元が違うでしょうが、ギルモアなら何とか比較できるかもしれませんね。
投稿: プロフェッサー・ケイ | 2017年7月16日 (日) 18時19分
プロフェッサー・ケイ様
コメント有り難うございます。このところ無用コメントが多かったものですから、コメントも許可制にしてあり多分ご迷惑をおかけしたと思います。
しばらく許可制で様子をみますのでよろしくお願いします。
アナセマですが、目下英国でも貴重なバンドと思ってます。今回も進歩しています。実はもう深入りしないようにしていたバンドなんですが、やっぱりニューアルバムが出ると買ってしまいます(笑)。物語が確実に浮かんできます。あとはスリルと重厚感と深刻性が増大してくればパーフェクトと思ってます。(私の偏見、そうした世界のバンドではないのかも・・・・?)
投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2017年7月16日 (日) 20時46分