ラーシュ・ダニエルソンLars Danielsson 「Liberetto III」
欧州各地の民族性を網羅したような・・・異色性は更に
<Jazz>
Lars Danielsson 「Liberetto III」
ACT / GERM / ACT9840-2 / 2017
Lars Danielsson (b, cello, p intro 5 & 8, wah-wah cello & guembri 9),
Grégory Privat (p),
John Parricelli (g),
Magnus Öström (ds, perc)
Guests:
Arve Henriksen(tp 1, 2, 6, 9, voice 6),
Dominic Miller(ac-g 10),
Hussam Aliwat(oud 4 & 7),
Björn Bohlin (english horn 2, 3, 8 & oboe d'amore 1),
Mathias Eick (tp 10)
ラーシュ・ダニエルソンのカルテット・タイプの恒例バンド“リベレット”によるシリーズの第3作目。過去に「Liberetto 」&「LiberettoⅡ」の2作に魅了された私であり、当然手に入れたこのアルバムだ。この3作目で変わったのはカルテット・メンバーのあの話題のピアニスト・ティグランだ。彼に変わってグレゴリー・プリヴァが新メンバーとして加入している。
そしてカルテットと言っても、上のように更にトランペットなどのゲストも迎えての作品だ。
とにかく全ての曲はダニエルソンのオリジナルによるものだが、彼はスウェーデン出身、しかし印象は全く北欧とは違った世界である。それはこの3作目にして更に強まっているのだ。かってTigranが影響していたかと思っていたが、どうもそうでは無かったようだ。とにかくサウンド、曲の旋律、そして醸し出すムード、これらはカラフルそのもので、いやはや欧州を広く総なめの感ありだ。
(Tracklist)
1. Preludium (2:09)
2. Agnus Die (4:56)
3. Lviv (4:34)
4. Taksim By Night (4:15)
5. Dawn Dreamer (6:26)
6. Orationi (4:02)
7. Sonata In Spain (4:07)
8. Da Salo (6:02)
9. Gimbri Heart (3:56)
10. Mr Miller (3:31)
11. Affrettando (5:18)
12. Berchidda (4:46)
とにかくこのバンドは、タニエルソンがベース、チェロ、民族楽器グエンブリを演じ、過去の2枚は、アルベニアのティグランTigranのピアノが一つの核でもあったと思う。それが、カリブ海、マルティニークで生まれたというプリヴァGrégory Privatに変わったわけだが、しかしピアノの流れはこれ又快調で、実はこのピアノの占める位置がもっと多くても良いのではと思うぐらいであった。それもノルウェイの注目トランペッターArve Henriksenがゲスト参加し、4曲で重要な流れの位置にあってのこと。それに加えBjörn Bohlin のenglish horn などが、今回のアルバムの一つの特徴を築いていることなどで、少々出番が少なかった感がある。実は、私にとってはピアノが旋律を流してくれるM5,M8,M12などの曲に魅力を感じているのである。
又かつてエスビョルン・スヴェンソン・トリオE.S.T.で活躍していたドラマーのMagnus Öströmの味もM3, M9あたりで聴き取れてなんかホットしているのである。
M4.はトルコですかね、M7.はスペインでしょうね、といった具合で、多様な欧州の異国的民族性も盛り込んでいて、更にM6,M10は、トランペットとベースで醸し出す世界は、日本からみると明らかに異国そのものであり、そしてその哀愁を聴かせてくれる。
とにかくこうしてみると欧州は様々な多様性が基礎にある諸国の集合体で有り、そんな世界をダニエルソンらしい好感メロディーで広く網羅し聴かせてくれたアルバムであった。ただ私の好みからはピアノの役の多かったアルバム「Ⅰ」「Ⅱ」の方に軍配は上がる。
(視聴)
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