ジョルジュ・パッチンスキー・トリオGeorges Paczynski Trio ニュー・アルバム「LE VOYAGEUR SANS BAGAGE~荷物なしの旅」
静の思索的美と動のスリリングさ・・・好録音も聴きどころ
<Jazz>
Georges Paczynski Trio 「LE VOYAGEUR SANS BAGAGE」
Arts & Spectacles / FRA / ASCD 161101 / 2017
Georges Paczynski (ds, p 15)
Stéphane Tsapis (p)
Marc Buronfosse (b)
Recorded mixed and mastered by Vincent Bruley
Studio Piccolo Paris
All compositions by Georges Paczynski
とにかく好録音(エンジニアはヴァンサン・ブルレVincent Bruley)は知られたところのドラマー=パッチンスキーGeorges Paczynski のピアノ・トリオ・アルバムの最新盤。
このジョルジュ・パッチンスキー・トリオは2013年の『LE CARNET INACHEVÉ』以来お気に入りなんですが、今作も、勿論彼のオリジナル曲で埋められており、その哲学的世界は我々を唸らせたピアノ・トリオ作品の前作『LE BUT, C'EST LE CHEMIN』(Art & Spectacles / ASCD140901)からの流れの中にある。そして期待度100%で迎い入れるのである。今回も当然同メンバーでのアルバムだ。
どうもテーマは一人駅に立つ旅人を神秘的に描いての全16曲と言うことらしい。、1-2分という短い曲から、長くとも5分という曲により構成されている。そこは前作も同じでこれもパッチンスキーの意志とみて良さそうだ。
(Tracklist)
1. La vieille valise (4:43)
2. Le réveil démonté (3:13)
3. La cymbale Fatiguée (2:34)
4. La baguette déformée (5:02)
5. La partition déchirée (4:27)
6. Le pupitre rouillé (3:56)
7. Le disque sans titre (3:02)
8. Le livre sans auteur (2:38)
9. Le miroir lézardé (2:56)
10. La statuette d'un sage (2:50)
11. Sur le quai désert (2:20)
12. En marche arrière (3:56)
13. Le violoncelle de lady L (1:59)
14. Les rails enchevêtrés (1:04)
15. Deux vers d'un poètes (4:07)
16. L'ascension sans fin (2:16)
しかしヴァンサン・ブルレの録音は素晴らしい。ドラマーのリーダー作と言うことだけではないだろうが、パッチンスキーのシンバル音の素晴らしさは出色だ。しかしピアノ・トリオとしての曲作りは決して崩れていない。Stéphane Tsapis のピアノの旋律は、ピアノ・トリオとしての重要なポジションにあって、思索的な世界に導くのだ。
今回もどことなく陰があり、しかも美しい。前作の”ある冬の夜に見た夢”という世界同様に思索的な感覚にも陥るし、”旅人の孤独感と期待感との交錯”を描いているようにも思う。パッチンスキーの年齢とは考えられないロマンが存在している。
M1. ”La vieille valise” スタートのピアノの音にゾクっとする。ピアノからベースに、そしてシンバルの音と思索の世界が始まる。
M3.”La cymbale Fatiguée” ピアノによるメリハリをシンバルの音が繋いでゆく
M4..” La baguette déformée” この曲の5分が、このアルバムでは最も長い曲。深夜の落ち着きを描いているが如く流れる。ピアノの繊細さが堪らない。4分あたりでシンバルが響く抑揚が見事で、単調さを感じさせない。
M5.. ”La partition déchirée”ジャズのスウィング感の心地よさも忘れていない曲。
M10. ”La statuette d'un sage” 、M12. ”En marche arrière”15. Deux vers d'un poètes にみる Stéphane Tsapis の緩急のメリハリ、澄んだ音の旋律の美のピアノ・プレイにも注目だ。このアルバムの価値観を高める見事な役を果たしている。
M14. Les rails enchevêtrés では、トリオ・プレイで見事な前衛性を披露。
「静の思索的美」と「動のスリリングなところ」を見事に操るプレイに圧倒される。それはリーダーがドラマーであることによるのか、はたまた彼らの目指すところがそこにあるのか、前作に続いて聴き惚れるアルバムであった。
(参考視聴) (現トリオものが見当たらないので・・・参考まで)
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