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2017年8月30日 (水)

サンタナ&アイズレー・ブラザーズThe Isley Brothers ・ Santana 「Power of Peace」

世界の平和と愛を歌いあげる~期待を超えた注目盤

<Soul, Funk,  R&B, Rock>
The Isley Brothers ・ Santana  「Power of Peace」
Legacy Recordings / USA / 88985448512 / 2017

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 Produced & Arranged by Carlos Santana
 
   ジャズ・ピアノ・トリオの抒情的プレイに浸ったり、時にプログレッシブなロックに入れ込んだり、はたまたクラシックのオーケストラ演奏に没頭したりと・・・音楽生活も多種多彩で異常ではないかと言われるのであるが、一向に疑問すら持たない私なのである。そんな流れの中で、ふとこんなソウル・ファンクといった世界にも魅力を感じてしまう。

 今回は、あのサンタナが導入源であった。そう、あっと驚きのサンタナ・バンドの大集合で、昔のラテン・ロックの華を思い起こしてくれた「サンタナⅣ」であったが、あれにゲスト参加したロナルド・アイズレーが今回の話題。どこでどう結びついたかは知らないが、40年、50年という歴史の中で、なんとサンタナ合流でのアイズレー・ブラザーズのアルバムがリリースされたのだ。
 まあ、そんな事になったので、なにはともあれ聴くと言うことになるのである。主力メンバーは下のようになる。

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  このメンバーを見ても、やっぱりアルバム・タイトルどおり「平和」がテーマなんだろうと思う。中身はなんだかんだと言ってもソウル、ファンク、ブルース、ジャズ、ポップスからの彼らが選んだ名曲群、今世界はつまらぬ抗争を繰り返している中に、もっと「平和と愛の心」に想いを馳せろと言わんばかしのアルバムなのである。トランプにも是非聴いて欲しいと言うところだ。
 アイズレー・ブラザース(ロナルド・アイズレー(Vo)、アーニー・アイズレー(G))にサンタナが合流と言うことは、当然女房のシンディ・ブラックマン・サンタナ(Dr)も参加している。そして更にベース、パーカッション、ヴォーカル等で10人以上のミュージシャンが、曲によって必要度で参加している豪華版。なにせロック界とR&B界双方で半世紀以上頑張ってきたこの連中のジョイント版は、やっぱりこの時代にこそ注目しておかねばならないし、どんな演奏や歌を聴かせるかは興味が湧くところである記念盤なのである。

     Absence of conflict is PEACE  --Carlos Santana !

Theisleybrothersandcarlossantana(Tracklist)
“Are You Ready”
“Total Destruction To Your Mind”
“Higher Ground”
“God Bless The Child”
“I Remember”
“Body Talk”
“Gypsy Woman”
“I Just Want To Make Love To You”
“Love, Peace, Happiness”
“What The World Needs Now is Love Sweet love”
“Mercy Mercy Me (The Ecology)”
“Let The Rain Fall On Me”
“Let There Be Peace On Earth”


 いっやーー、やっぱりツイン・ギターのハイパワー・バンドが聴かれる。サンタナ・バンドとは一味違ったところが聴きどころである。
 スタートはKarl Parazzoのパーカッションが鳴り響くところはサンタナ効果だねぇ~。そしてラテン・ロック調に染められたハイパワー曲がエネルギッシュなロナルド・アイズレーのヴォーカルで色づけられる。ギターもかなり騒ぎます。そしてベースにはやっぱりサンタナ・バンドからBenny Rietveldが加わっている。
 5曲目の“I Remember”が異色だ。これはシンディ・ブラックマン・サンタナの曲で、彼女のヴォーカルが聴かれる。いや~~知らなかったが、彼女のヴォーカルはなかなか魅力的。
 Billie Holidayの“God Bless The Child”、Curtis Mayfieldの“Gypsy Woman”の2曲では、情緒ゆたかな味わいあるロナルドのヴォーカル、そして美しいサンタナのギターと納得の曲。
 “Body Talk”のリズムは快調ですな。
 “Let The Rain Fall On Me”は、ピアノ・トリオ・ジャズそのもの。バラード調でそれに説得力十分のヴォーカル。これは期待しなかった意外性の良い曲仕上げ。
 最後の“Let There Be Peace On Earth”では、美しい女性合唱を聴かせ、平和を訴えるのだ。

 意外性のアルバムの出現に、ちょっとご機嫌な私なのであった。

(視聴)

”Gypsy Woman”

”I Remember”

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2017年8月26日 (土)

スティーヴン・ウィルソンSteven Wilson のニュー・アルバム 「to the bone」

なんと意外や、ポップ色が前面に・・・・

<Progressive Rock>
Steven Wilson  「to the bone」
Caroline / EU / CAROL016BR / 2017


Tothebone

Blu-ray版(収録内容)
〇アルバム・ハイレゾ・ステレオ・ミックス音源(24-bit/96k)
〇アルバム・ハイレゾ・5.1サラウンド・サウンド・ミックス音源(24-bit/96k)
〇「Pariah」ミュージック・ビデオ
〇「Song of I」 ミュージック・ビデオ
〇「Ask Me Nicely」アルバム・レコーディングのドキュメンタリー映像(約85分) 


 現代プログレッシヴ・ロックシーンのナンバー1=スティーヴン・ウィルソンSteven Wilson  (英国プログレ・バンドのポーキュパイン・ツリーのリーダー)が2年振りとなるソロ名義の5枚目(ソロは2008年に1st)のアルバム『トゥ・ザ・ボーンto the bone』をリリースした。2016年のアルバム『4 1/2』以来だ。

  なんと言っても彼は、あの大御所キング・クリムゾンからエマーソン・レイク・アンド・パーマー、イエス、ジェスロ・タル、XTC、ティアーズ・フォー・フィアーズ、 ロキシー・ミュージックなどのリイシューで最新ミックスを任されるエンジニアであって、それだけ自身の作品にもサウンドには拘っている。従って今回もそれを体感するために、ハイレゾ・サウンドそして5.1サラウンドにも拘ってのBlu-ray版を購入した。

Xyz

(Album"to the bone"Track list)
1. to the bone
2. nowhere now
3. pariah
4. the same asylum as before
5. refuge
6. permanating
7. blank tapes
8. people who eat darkness
9. song of i
10. detonation
11. song of unborn

Stevenwilson  オープニングM1.”to the bone”は意味深なサウンドだが、なかなか軽快にパーカッションがリード。しかもスティーヴンのヴォーカルも意外に軽い。しかし不思議に演奏の重厚感は伝わってくる。それでも今までのメタリックなサウンドは姿を消して、おやっと思うのだ。
 全く前知識なしで聴いたのだが、どうも今作はこんな風に紹介している事が解った。それは”スティーヴンが若い頃に好きだったピーター・ガブリエル『So』やトーク・トーク『Colour of Spring』、ティアーズ・フォー・フィアーズ『Seeds of Love』と言ったタイプのプログレッシブ・ポップ作品からインスピレーションを受けた作品”と言うことの様なのだ。

 M2.”nowhere now” を聴いても、プログレじゃなくポップそのものだ。

Ninet_tayeb_1w_2 しかし、そう思って聴いているとM3.” pariah” なんかは良い曲だ。イスラエルの女性シンガー、ニネット・テヤブNinet Tayeb(→)がボーカルとして参加していて、これがなかなかハスキー・ヴォイスでスティーヴンのどちらかというと美声に対比して面白く、なかなか味わい深い。後半バックの演奏も盛り上がりが壮大でこれは魅力曲。
 M4. ”the same asylum as before” では、ギター・ソロも、コーラス・ヴォーカルもと、とにかく聴く方はかしこまること無くイージーに聴ける。
 M5.”refuge”が彼らしい曲と言えそうな暗めで味わい深さがある。

 そしてそうこう聴いていると、今までのスティーヴン・ウィルソンのソロものとの比較では、圧倒的に異色で有り、う~~んどっかで聴いたムードだと思って見たら、そうです後半の数曲はなんとカナダのラッシュの何年も前の全盛期のタイプだなぁ~~。そう、そんなとところが今回のアルバム。今までの暗さもヘビーさもそれなりに見せるは見せるが、明らかにその世界でないのが今作だった。
 さ~~て、スティーヴン・ウィルソン・ファンはどう受け止めるのか・・・・??>肩すかし?そう言ったところでもない。曲の完成度の高さはやはり彼の成せる技。

(視聴)  ”pariah” SW with Ninet Tayeb

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2017年8月22日 (火)

ウォルター・ラング・トリオWalter Lang Trio 「FULL CIRCLE」

どこか定まらないムードに若干不満足だが・・・

<Jazz>
Walter Lang Trio 「FULL CIRCLE」
Atelier Sawano / JPN / AS-151 / 2016


Fullcircle_2

Walter Lang : piano
Thomas Markusson : bass
Sebastian Merk : drums


 ジャズ・ピアニスト=ウォルター・ラングWalter Lang は、1999年から既にピアノ・トリオとして10枚以上のアルバムをリリースしているが、日本では"Swing Journal"を代表に、かなりの高評価を勝ち取って来ている。彼のもう一つのトリオである今年紹介したTRIO ELFは別にすると、ウォルター・ラング・トリオによる近作は、ここでも取りあげてきたが、このアルバムと同メンバーによるStarlight Reflection』2013)そしてMoonlight Echoes』2015)であった。そしてこの2作はいずれも夜の世界を描いてきた。それがなかなか心にしみいる世界でお気に入りだったんだが、今作は少々異なっている。そんな訳でここでの私の感想を書くにもなんとなく少々後回しになって、今、遅くればせながらの登場である。

 登場する曲は、何故か日本の名曲2曲、それとパット・メセニーの曲を代表にその他というところだが、オリジナル曲が多くを占めている。そしてテーマは小島万奈によるライナー・ノーツにあるところの”今回は全編を通して世界の土地や音楽への心を綴った、回想と現実を漂うようなアルバムだ”と言うところなのかも知れない。

Walterlangtrio

(Tracklist)
1. Minuano
2. Bokka(牧歌:宮澤賢治)
3. Play that Fiddle
4. Mathias
5. Oborozukiyo(おぼろ月夜:岡本禎一)
6. Season of Lent
7. Full Blast
8. Old Folks
9. Bali
10. Full Circle
11. Gipsies in Byzantium
12. Taksim Meydani
13. Kansas Skies

M1. Minuano パット・メセニーの曲。この明るさ、どうも期待したムードでない。
M2. Bokka やはり日本の曲は良いですね。哀感があって思索的な世界に導いてくれて私好み。
M3. Play that Fiddle オリジナル曲だが、この曲に見るような明るいというか軽い旋律がどうもあまり納得しない。
M4. Mathias この曲もあまり意味を感じない曲
M5. Oborozukiyo なんと文部省唱歌ですね。ベースによる旋律が主役をなす曲作りであるが、後半にピアノによる主旋律が演じられる。このような日本の曲が良い仕上げだ。
M8. Old Folks 物思いにふけれる味のある曲。
M10. Full Circle オリジナルとしてはやはりアルバム・タイトルにもなっているこの曲が良い。手頃に美しい中に深遠さのある世界に没頭できる。
M11. Gipsies in Byzantium ドラムスから始まって、美しいピアノ、なかなか宇宙感覚のある聴き応えがあり、こうした世界が私はラングに求めたい。
M13. Kansas Skies これはなんと懐かしくなるフォーク・ロック調で、どこかで聴いたような安堵感のある”カンサスの空”であるが、これはオリジナル曲。

 どうも結論的には、それぞれ曲が独立して聴き所も勿論あるのだが、あまり全編通してどうも充実感ある意味が持てなかった。それは特にオリジナル曲の軽いタッチはあまり私の好むところで無かった為かも知れない(これは前作でも少し覗いて見られる疑問点でもあったのだが)。彼はTRIO ELFのような実験的トリオも試みているので、こちらのトリオではやっぱり抒情的な美しさ、そして思索的世界を深く推し進めて描いて欲しいと思うのだが、それは単なる私の期待なのかも知れない。

Walterl1wウォルター・ラングをちょっと回顧しておこう・・・・・
   
 1961年ドイツ生まれ ボストンのBerklee School of MusicそしてAmsterdam School of Artsを卒業している。1999年Walter Lang Trio結成。主なアルバム(↓)

初期トリオ
    "Walter Lang Trio plays Charles Chaplin" (1999)
    "Across The Universe" (2002)
    "Softly as in a morning Sunrise" (2005)
    "The Sound Of A Rainbow"(2005)

現トリオ Walter Lang (piano),  Thomas Markusson (bass),  Sebastian Merk (drums)
     "Starlight Reflection"  (2013)
     "Moonlight Echoes" (2015)
     "FULL CIRCLE" (2016)

TRIO ELF
     "Music Box Music" (2016)

(視聴)

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2017年8月18日 (金)

ジョナサン・ウィルソンJonathan Wilsonのアルバム 「Fanfare」

不思議な多要素満杯のロック・アルバム

< Rock,  Pop,  Folk,Wold,&Country, Psychedelic>
Jonathan Wilson 「Fanfare」

Down Town / USA / 70373 / 2013

Fanfare

Songwriter : Jonathan Wilson
Produced and Recorded by Jonathan Wilson at Fivestarstudios in Los Angeles

 シンガー・ソングライターでプロデューサーとして知る人ぞ知るジョナサン・ウィルソンJonathan Wilson(1974年、ノースカロライナ生まれ) のアルバム。実は私は詳しいことは全く知らなかったが、これは彼の2ndアルバムだ。
 しかし、こうした不思議な充実ロック・アルバムがあることを知っただけでも収穫だ。
 何故、このアメリカン・ロックの世界に首を突っ込んだかと言うと、そうです今北米ロツク・ツアーを行っているロジャー・ウォーターズの「US+THEM Tour」の10人のメンバーの一人で、重要なヴォーカルとギターを演じているのがジョナサン・ウィルソン。しかも彼はウォーターズのニュー・アルバム『is this the life we really want? 』でも重要な役をしている。

Mi0003732431(Tracklist)
1. Fanfare
2. Dear Friend

3. Her hair is growing long
4. Love to love
5. Future Vision
6. Moses pain
7. Cecil Taylor
8. Illumination
9. Desert Trip
10. Fazon
11. New Mexico
12. Lovestrong
13. All the way down

  しかし彼の多能力というか、多芸というか、そんなところが如実に出ているアルバムだ。近年のロイ・ハーパーやドーズなど多くのアーティストのプロデューサーとしての実績も大きいだけあって、このアルバムは、ロックの多様性を全て詰め込んだような感想を持つのだ。しかし、ヘビー・メタルとかゴシック・メタル調は全くない。
 どうもよく解らないのがアルバム見開きの写真(↓)、このアルバムに私の持つ印象とは違う。それでも、ここに描かれるところは人間模様として、作者にとっては重要なのかも知れない。

Fanfare1

 M1. ”Fanfare” 思いの外、壮大な曲である。日本語で言う”ファンファーレ”だが、その意味するところは?。そしてなんとプログレっぽいではないかと思わせるに十分の曲。ピアノ、ストリングスも加味され、かっての70年代イタリアン・プログレをふと思い出したが、ジョナサンのヴォーカルもソフトで聴き応えあるし、彼のメロディーの持つところも美しく実感する。驚きは彼のマルチ・プレイヤーぶりだ。ここでは9種の楽器とヴォーカル担当している。そしてロックの多要素をふんだんに盛り込んだような曲。
 M2.” Dear Friend” キダーとヴォーカルでなかなか味な曲。描くは、宇宙感覚で見た人間模様か?、これも私に言わせると歌ものイタリアン・プログレだ。中盤から後半にかけてのギター・ソロは聴かせます。
 M3. Her hair is growing long 彼の6種の楽器とヴォーカルでの曲。オープニングには子供の声のSEも入って、アコーステック・ギターでゆったりと聴かせる。この曲のムードは一種独特のジョナサン世界。
 ここまでに明らかなのは、彼はやっぱりギタリストなんだなぁ~というところだ。しかし私には、Psychedelicというイメージはどうも感じられない。
 M4. ”Love to love” これぞオールド・ロックで明解な歌。M5.. ”Future Vision”は軽快ロック。M6..” Moses pain” は、まさしくフォーク・ロック、多分これが得意のパターンだろう。8. Illumination はヘビー・ロック。M9.”Desert Trip”、M12.” Lovestrong”は、美しいスロー・ロック・バラード、エレキの泣きソロも聴かせる。
 ヴォーカルは、70年代のピンク・フロイド流にも通ずるところ。

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(US+THEM tour)
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 グラハム・ナッシュ、デヴィッド・クロスビー、ジャクソン・ブラウン、パット・サンソンなどゲスト参加、又ロイ・ハーパーとの共作曲も。とにかくメタルの以外のロックの多要素を詰め込んでの芸達者ロック・アルバム。
 成る程、ロジャー・ウォーターズが彼のアルバムにギタリスト&ヴォーカルとして選ぶのも理解出来る。

 ついでに、このアルバムでジョナサン・ウィルソンの操る楽器群を紹介する(驚きのマルチ・プレイヤー)→Electric Guitar, Organ, Clavinet, Synthesizer, Drums, Bass, Piano, Fender Rhodes, Mellotron, Millennium bells, Hammond Organ, Vibes, Percussion, Acoustic 12 string Guitars, Piano

(視聴) ”Dear Friend” from 「Fanfare」

 

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2017年8月15日 (火)

「吾唯足知」~吾、唯足るを知る

龍安寺の「知足の蹲踞(つくばい)」の教えるもの

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                                     (龍安寺蹲踞)

 毎年所謂「お盆(盂蘭盆会)」を迎えると、祖先の霊を供養しつつ、少しは”人”と言うものを考えることがある。

 昔、修学旅行と言えば京都でした。そして有名な「石庭」(枯山水の方丈庭園)を見るために訪れるのは龍安寺である。この寺は室町幕府の管領、守護大名で、応仁の乱の東軍総帥でもあった細川勝元(禅宗を信仰、自ら医術を研究し医書「霊蘭集」を書き、さらに和歌・絵画にも優れた才能を発揮したという文化人でもあった由)が宝徳2年(1450年)に創建した禅寺だと言う。

13092356_164839750580865_581808009_ 実は、この寺にはもう一つ有名なモノがある。それは上の写真の「知足の蹲踞(つくばい)」だ。この一般公開されているものは、方丈(寺院の住持や長老の居室)の北側にあるが、実は本物は非公開の茶室「蔵六庵」の露地にある(→)。蹲踞は茶室に入る前に手や口を清めるための手水鉢(ちょうずばち)のこと。水戸藩主徳川光圀公の寄進によるものと伝えられている。
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 この蹲踞には右のように「五・隹・疋(但し、上の横棒がない)・矢」と刻まれている。水溜めに穿った中心の正方形を漢字部首の「口」と見れば、上から時計回りに「るをる」となる。「知足のものは貧しといえども富めり、不知足のものは富めりといえども貧し」という禅の格言を謎解き風に図案化したものと見られてきた。
 解りやすく言うと”満足することを知っていれば、人生は幸福に満たされ豊かと言える”とか、”足りないと嘆くより、足りていることに感謝せよ”ともとられている。この教えはなかなか含蓄のあるもので、現在まで多くの人に支持されている。
 しかし、私流に解釈すると、そのことは教訓として重要だが、”常に足りないものを知り、得ようと努力し、向上心を持ち続けること”に繋げなければ意味無いのではないか、とも思うのだが。

 ☆ もう一つ、下に写真を公開する・・・・・・

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  これは、上に紹介した龍安寺の「知足の蹲踞(つくばい)」に非常によく似たものだが、実は私の家の庭にあるのである。10年前に住宅を移築した際に、私の希望で和風の庭を造ったのだが、これは私の希望というので無く、お願いした庭師さん(親類で今はもう引退している)に全てをお任せしたところ作り上げたものである(考えて見ると、私に教訓を垂れたのかも)。この蹲踞の上には、既に解体した古い我が家にあった山茱萸の老木が移植され枝を垂らしている。
A2w 日常的にこれを眺めて居るわけであるが・・・・特に冬期に多いのだが、小鳥がどこからともなくここに来て水を飲んだり、又我が家からプレゼントしたリンゴを突いたりしている。
 そしてこれは常に「吾れ唯だ足るを知る」を私に言い聞かせているのであるが・・・・なかなかその境地に落ち着けないでいる。つまり歳の割には何時までも若輩ものの私なのである。

               *          *          *          *

(追加)

Kyotoryoanji_mg_4512方丈庭園 - 今回話題の所謂「龍安寺の石庭」である。幅 25 メートル、奥行 10 メートルほどの空間に白砂を敷き詰め、東から5個、2個、3個、2個、3個の合わせて15の大小の石を配置する。この庭はその石の配置から「虎の子渡しの庭」や「七五三の庭」の別称がある。
 この庭と蹲踞との関係もあって、「虎の子渡しの庭」とは、話が長くなるので別の機会とするが・・・・、「七五三の庭」とは、東から5、2、3、2、3の5群で構成される石組を、5と2で七石、3と2で五石、そして3で三石と、七・五・三の3群とも見られることによる。古来より奇数はおめでたい数と扱われてきた。この石庭は、どの位置から眺めても必ずどこかの1つの石が見えないように配置されていることでも有名なのである。
 そこで、蹲踞の「吾唯知足」には「われ、ただ足る」という意味があって、石庭の石が「一度に14個しか見ることができない」ことを「不満に思わず満足する心を持ちなさい」という戒めの意味が込められているのだという話もあるし、一方「足りないものを見つめ、今の自分が存在することを心から感謝することを忘れてはならない」という想いが込められているとも言われる。

(龍安寺を観る)

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2017年8月11日 (金)

ジョルジュ・パッチンスキー・トリオGeorges Paczynski Trio ニュー・アルバム「LE VOYAGEUR SANS BAGAGE~荷物なしの旅」

静の思索的美と動のスリリングさ・・・好録音も聴きどころ

<Jazz>
Georges Paczynski Trio 「LE VOYAGEUR SANS BAGAGE」
Arts & Spectacles / FRA / ASCD 161101 / 2017

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Georges Paczynski (ds, p 15)
Stéphane Tsapis (p)
Marc Buronfosse (b)

Recorded mixed and mastered by Vincent Bruley
Studio Piccolo Paris
All compositions by Georges Paczynski

 とにかく好録音(エンジニアはヴァンサン・ブルレVincent Bruley)は知られたところのドラマー=パッチンスキーGeorges Paczynski のピアノ・トリオ・アルバムの最新盤。
  このジョルジュ・パッチンスキー・トリオは2013年の『LE CARNET INACHEVÉ』以来お気に入りなんですが、今作も、勿論彼のオリジナル曲で埋められており、その哲学的世界は我々を唸らせたピアノ・トリオ作品の前作『LE BUT, C'EST LE CHEMIN』Art & Spectacles / ASCD140901)からの流れの中にある。そして期待度100%で迎い入れるのである。今回も当然同メンバーでのアルバムだ。

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 どうもテーマは一人駅に立つ旅人を神秘的に描いての全16曲と言うことらしい。、1-2分という短い曲から、長くとも5分という曲により構成されている。そこは前作も同じでこれもパッチンスキーの意志とみて良さそうだ。

(Tracklist)
1. La vieille valise (4:43)
2. Le réveil démonté (3:13)
3. La cymbale Fatiguée (2:34)
4. La baguette déformée (5:02)
5. La partition déchirée (4:27)
6. Le pupitre rouillé (3:56)
7. Le disque sans titre (3:02)
8. Le livre sans auteur (2:38)
9. Le miroir lézardé (2:56)
10. La statuette d'un sage (2:50)
11. Sur le quai désert (2:20)
12. En marche arrière (3:56)
13. Le violoncelle de lady L (1:59)
14. Les rails enchevêtrés (1:04)
15. Deux vers d'un poètes (4:07)
16. L'ascension sans fin (2:16)

 しかしヴァンサン・ブルレの録音は素晴らしい。ドラマーのリーダー作と言うことだけではないだろうが、パッチンスキーのシンバル音の素晴らしさは出色だ。しかしピアノ・トリオとしての曲作りは決して崩れていない。Stéphane Tsapis のピアノの旋律は、ピアノ・トリオとしての重要なポジションにあって、思索的な世界に導くのだ。

 今回もどことなく陰があり、しかも美しい。前作の”ある冬の夜に見た夢”という世界同様に思索的な感覚にも陥るし、”旅人の孤独感と期待感との交錯”を描いているようにも思う。パッチンスキーの年齢とは考えられないロマンが存在している。

11g_paczynskipresencesw  M1. ”La vieille valise” スタートのピアノの音にゾクっとする。ピアノからベースに、そしてシンバルの音と思索の世界が始まる。
 M3.”La cymbale Fatiguée” ピアノによるメリハリをシンバルの音が繋いでゆく
 M4..” La baguette déformée” この曲の5分が、このアルバムでは最も長い曲。深夜の落ち着きを描いているが如く流れる。ピアノの繊細さが堪らない。4分あたりでシンバルが響く抑揚が見事で、単調さを感じさせない。
 M5.. ”La partition déchirée”ジャズのスウィング感の心地よさも忘れていない曲。
 M10. ”La statuette d'un sage” 、M12. ”En marche arrière”15. Deux vers d'un poètes  にみる Stéphane Tsapis の緩急のメリハリ、澄んだ音の旋律の美のピアノ・プレイにも注目だ。このアルバムの価値観を高める見事な役を果たしている。
 M14. Les rails enchevêtrés では、トリオ・プレイで見事な前衛性を披露。

 「静の思索的美」と「動のスリリングなところ」を見事に操るプレイに圧倒される。それはリーダーがドラマーであることによるのか、はたまた彼らの目指すところがそこにあるのか、前作に続いて聴き惚れるアルバムであった。

(参考視聴)  (現トリオものが見当たらないので・・・参考まで)

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2017年8月 6日 (日)

ティングヴァル・トリオTINGVALL TRIOのニュー・アルバム 「CIRKLAR」

新世代ピアノ・トリオと言われる中の美旋律が堪らない

<Jazz>
TINGVALL TRIO 「CIRKLAR」
SKIP Records / Germ / SKIP 9157-2 / 2017

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Martin Tingvall  マーティン・ティングヴァル   -  piano and compositions
Omar Rodriguez Calvo
オマール・ロドリゲズ・カルヴォ - double bass
Jürgen Spiegel
ユルゲン・シュピーゲル   - drums and percussion

 私の期待度の高いティングヴァル国際トリオの前作『BEAT』(SKIP Records/SKP9137-2)から3年ぶりの7作目が登場。
 リーダーのティングヴァルMartin Tingvallは、近作はソロ・アルバム(『distance』 SKIP Records / SKP9147-2)が登場していたが、やっぱりこのドイツ、ハンブルグを拠点としたこのトリオは健在でした。国際トリオと言うのは、Martin Tingvallはスウェーデン、Omar Rodriguez Calvoはキューバ、Jürgen Spiegelはドイツ生まれと言うところによる。
 今回も全曲ティングヴァルによるところから、ダイナミックな曲展開である中に、北欧の世界感がにじみ出ているところであるが、それが今までの魅力の一つでもあった。一部にはあのE.S.Tと比較されるものとして、新世代ジャズのピアノ・トリオと言われ注目されているが、意外に聴きやすい安堵感もある。
  ドイツのEcho Jazz (今や世界的な権威ある賞となっている)は、前作までにジャズ部門でゴールド・ディスクを与えている。

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(Tracklist)
01. Evighetsmaskinen 
02. Bumerang 
03. Vulkanen 
04. Bland Molnen 
05. Skansk Blues 
06. Cirklar 
07. Sjuan 
08. Det Grona Hotellet 
09. Tidlos 
10. Psalm 
11. Karusellen 
12. Elis Visa

Tingt4 さて、このアルバムだが、スタートからの三曲は、親しみやすいリズム・旋律と共に、アグレッシブでダイナミックな展開を示し、ピアノの重低音も交えて結構威勢の良いところを聴かせ、三者の意気込みが感じられる曲から始まる。続くM04.”Bland Molnen”  になって深遠なベースのアルコ奏法と期待のピアノの美旋律の登場だ。とにかく彼らの一見するところの出で立ちからは、信じがたいほどの北欧の大地を崇めるが如くの美旋律を聴かせてくれるのだ。こうした新しいピアノ・トリオの姿を試みる代表的トリオとして、今作も聴く者をして感動に導く。
 私はM.06.” Cirklar ” なども好きな曲だが、物語的展開、安堵感、暗さの無い世界でリズミカルな流れに乗ってのピアノとベースの美旋律に注目だ。
  ピアノの静かに流れる美しさは更にM.08.” Det Grona Hotellet”  にも聴くことが出来、10.”Psalm ” にも繊細なシンバルの音の中に堪能できる。
 M 07.”Sjuan” 、 M 09.”Tidlos”  は、彼らの面目躍如の"動"の曲。
 M.12. ”Elis Visa” は、締めくくりに相応しい大地からの声が感じ取れる曲。

 近代的なダイナミックなセンスを持ちながら、そこにはクラシック的表情も見せつつ北欧的優しい美旋律を聴かせるという愛着の感じられるピアノ・トリオである。

(参考) ~Tingvall Trio Discography
   Skagerrak (2006)
   Norr       (2008)
   Vattensaga (2009)
   Vägen        (2011)
   In Concert (2013)
   Beat         (2014)
   CIRKLAR   (2017)


(視聴)

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2017年8月 3日 (木)

グレゴリー・プリヴァ・トリオGrégory Privat Trio 「Family Tree」

フランスで熟成したピアニスト

<Jazz>
Grégory Privat Trio 「Family Tree」
ACT Music / Germ / ACT9834-2 / 2016

Familytree


Gregory Privat (p), Linley Marthe (b),  Tilo Bertholo (ds)

 先般紹介したLars Danielssonの「Liberetto シリーズ」を聴くにつけ、ニュー・メンバー・ピアニストのグレゴリー・プリヴァGrégory Privat にちょっと興味が沸いたのである。そこで彼のリリースしている近作アルバムを聴いてみたもの。
 彼は仏領マルティニーク島(知らなかったので調べてみると、カリブ海に浮かぶ西インド諸島のなかの一島。海を隔てて北にドミニカ国が、南にセントルシアがある。こんなところに、現在もフランス領があるんですね)出身、1984年生まれで今年33歳という若さ。父親がピアニストでその影響を受け、6 歳からピアノを始め、16歳の時には作曲をし、即興に彼なりきのものを既に持つようになったという経過。その後、フランスのトゥルーズで数々のセッションを重ね、そして中心都市パリに移住しての活動となる。その時は 27 歳だったという。

  • Gregory10w(Tracklist)
    1. Le Bonheur 4:13
    2. Riddim 6:25
    3. Family Tree 6:19
    4. Zig Zagriyen 5:00
    5. Le Parfum 5:39
    6. Sizé 5:26
    7. Filao 7:04
    8. Ladja 5:27
    9. Seducing The Sun 6:19
    10. Happy Invasion 7:54
    11. La Maga 4:29
    12. Galactica 8:27
  •  このアルバムの収録曲は上のとおり。全て彼のオリジナル曲である。
     冒頭(M1.”Le Bonheur” )から、不思議な世界に連れられて行くように、彼の流れるようなピアノの音の洪水に誘われる。ACTのトリオ録音も快調だ。
      なんと言ってもアルバム・タイトル曲であるM3.”Family Tree”、これぞカリブ海に浮かぶ島の情景なのか、なぜか哀愁がにじみ出す情感豊かにピアノの描くメロディが流れる。これがプリヴァだからこそ描く世界なのかと聴き入ってしまう。ドラムスも襲ってくる波のような抑揚を演じ、トリオの相性も良い。
     M5. ”Le Parfum”ではオーソドックスなトリオ演奏、そしてM6. ”Sizé” は、美しさから次第に彼らのめくりめくるインプロの交錯の盛り上がりに進む難解さも披露し、一転してM7.”Filao”は、ゆったりしたメロディアスな流れにに、ベースが厚く響き、最後にはピアノの美しさに快い世界を築く。M9.”Seducing The Sun”のピアノの美しさと澄んだシンバルの響きは、やはりこれも快感。

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     彼らの演奏はなかなか技巧的にもハイレベル、私には若さの弱点なんかは全く感じられなかった。こうした逸材であればLars Danielssonに引っ張り込まれるのがよく解ったのである。やはり私にとっては今後も注目的存在。

    (視聴)

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