ティングヴァル・トリオTINGVALL TRIOのニュー・アルバム 「CIRKLAR」
新世代ピアノ・トリオと言われる中の美旋律が堪らない
<Jazz>
TINGVALL TRIO 「CIRKLAR」
SKIP Records / Germ / SKIP 9157-2 / 2017
Martin Tingvall マーティン・ティングヴァル - piano and compositions
Omar Rodriguez Calvo オマール・ロドリゲズ・カルヴォ - double bass
Jürgen Spiegel ユルゲン・シュピーゲル - drums and percussion
私の期待度の高いティングヴァル国際トリオの前作『BEAT』(SKIP Records/SKP9137-2)から3年ぶりの7作目が登場。
リーダーのティングヴァルMartin Tingvallは、近作はソロ・アルバム(『distance』 SKIP Records / SKP9147-2)が登場していたが、やっぱりこのドイツ、ハンブルグを拠点としたこのトリオは健在でした。国際トリオと言うのは、Martin Tingvallはスウェーデン、Omar Rodriguez Calvoはキューバ、Jürgen Spiegelはドイツ生まれと言うところによる。
今回も全曲ティングヴァルによるところから、ダイナミックな曲展開である中に、北欧の世界感がにじみ出ているところであるが、それが今までの魅力の一つでもあった。一部にはあのE.S.Tと比較されるものとして、新世代ジャズのピアノ・トリオと言われ注目されているが、意外に聴きやすい安堵感もある。
ドイツのEcho Jazz (今や世界的な権威ある賞となっている)は、前作までにジャズ部門でゴールド・ディスクを与えている。
(Tracklist)
01. Evighetsmaskinen
02. Bumerang
03. Vulkanen
04. Bland Molnen
05. Skansk Blues
06. Cirklar
07. Sjuan
08. Det Grona Hotellet
09. Tidlos
10. Psalm
11. Karusellen
12. Elis Visa
さて、このアルバムだが、スタートからの三曲は、親しみやすいリズム・旋律と共に、アグレッシブでダイナミックな展開を示し、ピアノの重低音も交えて結構威勢の良いところを聴かせ、三者の意気込みが感じられる曲から始まる。続くM04.”Bland Molnen” になって深遠なベースのアルコ奏法と期待のピアノの美旋律の登場だ。とにかく彼らの一見するところの出で立ちからは、信じがたいほどの北欧の大地を崇めるが如くの美旋律を聴かせてくれるのだ。こうした新しいピアノ・トリオの姿を試みる代表的トリオとして、今作も聴く者をして感動に導く。
私はM.06.” Cirklar ” なども好きな曲だが、物語的展開、安堵感、暗さの無い世界でリズミカルな流れに乗ってのピアノとベースの美旋律に注目だ。
ピアノの静かに流れる美しさは更にM.08.” Det Grona Hotellet” にも聴くことが出来、10.”Psalm ” にも繊細なシンバルの音の中に堪能できる。
M 07.”Sjuan” 、 M 09.”Tidlos” は、彼らの面目躍如の"動"の曲。
M.12. ”Elis Visa” は、締めくくりに相応しい大地からの声が感じ取れる曲。
近代的なダイナミックなセンスを持ちながら、そこにはクラシック的表情も見せつつ北欧的優しい美旋律を聴かせるという愛着の感じられるピアノ・トリオである。
(参考) ~Tingvall Trio Discography~
Skagerrak (2006)
Norr (2008)
Vattensaga (2009)
Vägen (2011)
In Concert (2013)
Beat (2014)
CIRKLAR (2017)
(視聴)
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コメント
トリオでの新譜ですか。なんか久しぶりのような気がしますが、やはり進化しているようで、外せませんね。
投稿: 爵士 | 2017年8月 8日 (火) 17時47分
爵士さん、こんばんわ。
新世代ピアノ・トリオといっても、E.S.Tの先進性まではまだまだですが、多分目指すところは異なるモノと思ってます。しかし彼らはマーティン・ティングヴァルの北欧の美学が一つの武器ですね。これからも期待は高まります。
投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2017年8月 8日 (火) 20時52分