ウォルター・ラング・トリオWalter Lang Trio 「FULL CIRCLE」
どこか定まらないムードに若干不満足だが・・・
<Jazz>
Walter Lang Trio 「FULL CIRCLE」
Atelier Sawano / JPN / AS-151 / 2016
Walter Lang : piano
Thomas Markusson : bass
Sebastian Merk : drums
ジャズ・ピアニスト=ウォルター・ラングWalter Lang は、1999年から既にピアノ・トリオとして10枚以上のアルバムをリリースしているが、日本では"Swing Journal"を代表に、かなりの高評価を勝ち取って来ている。彼のもう一つのトリオである今年紹介したTRIO ELFは別にすると、ウォルター・ラング・トリオによる近作は、ここでも取りあげてきたが、このアルバムと同メンバーによる『Starlight Reflection』(2013)そして『Moonlight Echoes』(2015)であった。そしてこの2作はいずれも夜の世界を描いてきた。それがなかなか心にしみいる世界でお気に入りだったんだが、今作は少々異なっている。そんな訳でここでの私の感想を書くにもなんとなく少々後回しになって、今、遅くればせながらの登場である。
登場する曲は、何故か日本の名曲2曲、それとパット・メセニーの曲を代表にその他というところだが、オリジナル曲が多くを占めている。そしてテーマは小島万奈によるライナー・ノーツにあるところの”今回は全編を通して世界の土地や音楽への心を綴った、回想と現実を漂うようなアルバムだ”と言うところなのかも知れない。
(Tracklist)
1. Minuano
2. Bokka(牧歌:宮澤賢治)
3. Play that Fiddle
4. Mathias
5. Oborozukiyo(おぼろ月夜:岡本禎一)
6. Season of Lent
7. Full Blast
8. Old Folks
9. Bali
10. Full Circle
11. Gipsies in Byzantium
12. Taksim Meydani
13. Kansas Skies
M1. Minuano パット・メセニーの曲。この明るさ、どうも期待したムードでない。
M2. Bokka やはり日本の曲は良いですね。哀感があって思索的な世界に導いてくれて私好み。
M3. Play that Fiddle オリジナル曲だが、この曲に見るような明るいというか軽い旋律がどうもあまり納得しない。
M4. Mathias この曲もあまり意味を感じない曲
M5. Oborozukiyo なんと文部省唱歌ですね。ベースによる旋律が主役をなす曲作りであるが、後半にピアノによる主旋律が演じられる。このような日本の曲が良い仕上げだ。
M8. Old Folks 物思いにふけれる味のある曲。
M10. Full Circle オリジナルとしてはやはりアルバム・タイトルにもなっているこの曲が良い。手頃に美しい中に深遠さのある世界に没頭できる。
M11. Gipsies in Byzantium ドラムスから始まって、美しいピアノ、なかなか宇宙感覚のある聴き応えがあり、こうした世界が私はラングに求めたい。
M13. Kansas Skies これはなんと懐かしくなるフォーク・ロック調で、どこかで聴いたような安堵感のある”カンサスの空”であるが、これはオリジナル曲。
どうも結論的には、それぞれ曲が独立して聴き所も勿論あるのだが、あまり全編通してどうも充実感ある意味が持てなかった。それは特にオリジナル曲の軽いタッチはあまり私の好むところで無かった為かも知れない(これは前作でも少し覗いて見られる疑問点でもあったのだが)。彼はTRIO ELFのような実験的トリオも試みているので、こちらのトリオではやっぱり抒情的な美しさ、そして思索的世界を深く推し進めて描いて欲しいと思うのだが、それは単なる私の期待なのかも知れない。
ウォルター・ラングをちょっと回顧しておこう・・・・・
1961年ドイツ生まれ ボストンのBerklee School of MusicそしてAmsterdam School of Artsを卒業している。1999年Walter Lang Trio結成。主なアルバム(↓)
初期トリオ
"Walter Lang Trio plays Charles Chaplin" (1999)
"Across The Universe" (2002)
"Softly as in a morning Sunrise" (2005)
"The Sound Of A Rainbow"(2005)
現トリオ Walter Lang (piano), Thomas Markusson (bass), Sebastian Merk (drums)
"Starlight Reflection" (2013)
"Moonlight Echoes" (2015)
"FULL CIRCLE" (2016)
TRIO ELF
"Music Box Music" (2016)
(視聴)
| 固定リンク
« ジョナサン・ウィルソンJonathan Wilsonのアルバム 「Fanfare」 | トップページ | スティーヴン・ウィルソンSteven Wilson のニュー・アルバム 「to the bone」 »
「ROCK」カテゴリの記事
- ロジャー・ウォーターズ Roger Waters 「The Dark Side of The Moon Redux」(2023.10.08)
- ウィズイン・テンプテーション Within Temptation 「Wireless」(2023.08.12)
- ピンク・フロイドの頭脳・ロジャー・ウォーターズ「新『狂気』」10月公開 Roger Waters 「The Dark Side Of The Moon REDUX」(2023.07.23)
- ロジャー・ウォーターズ 2023欧州ライブ プロショット映像版 Roger Waters 「THIS IS NOT A DRILL - LIVE FROM PRAGUE 2023」(2023.06.23)
- イメルダ・メイ Imelda May 「11 Past the Hour」(2023.05.04)
「JAZZ」カテゴリの記事
- ヘンリック・グンデ Henrik Gunde 「Moods」,「Moods Vol.2」(2024.09.07)
- サンディ・パットン Sandy Patton 「Round Midnight」(2024.09.03)
- ブリア・スコンバーグ Bria Skonberg 「What Is Means」(2024.08.27)
- クララ・ハーバーカンプ Clara Haberkamp trio 「Plateaux」(2024.08.22)
- ジョヴァンニ・グイディ Giovanni Guidi 「A New Day」(2024.08.17)
「ピアノ・トリオ」カテゴリの記事
- ヘンリック・グンデ Henrik Gunde 「Moods」,「Moods Vol.2」(2024.09.07)
- クララ・ハーバーカンプ Clara Haberkamp trio 「Plateaux」(2024.08.22)
- ジョヴァンニ・グイディ Giovanni Guidi 「A New Day」(2024.08.17)
- ダイアナ・クラール Diana Krall 「Famous Blue Raincoat - 2024 TOKYO 3RD NIGHT」(2024.07.28)
- ファーガス・マクリーディー Fergus McCreadie Trio 「 Stream」(2024.07.13)
「ユーロピアン・ジャズ」カテゴリの記事
- ヘンリック・グンデ Henrik Gunde 「Moods」,「Moods Vol.2」(2024.09.07)
- クララ・ハーバーカンプ Clara Haberkamp trio 「Plateaux」(2024.08.22)
- ジョヴァンニ・グイディ Giovanni Guidi 「A New Day」(2024.08.17)
- クラウディア・ザンノーニ Claudia Zannoni 「STURDUST ~ Love Nancy」(2024.08.12)
- ファーガス・マクリーディー Fergus McCreadie Trio 「 Stream」(2024.07.13)
「ウォルター・ラング」カテゴリの記事
- ウォルター・ラング Philipp Schiepek & Walter Lang 「Cathedral」(2021.08.04)
- ウォルター・ラング Walter Lang Trio「TENS」(2020.12.29)
- ウォルター・ラング Walter Lang Trio 「PURE」(2020.02.13)
- 謹賀新年 2019 ウォルター・ラング Walter Lang Trio 「Translucent Red」(2019.01.01)
- ウォルター・ラング・トリオWalter Lang Trio 「FULL CIRCLE」(2017.08.22)
コメント