ビル・キャロザーズBill Carrothersの名盤「after hours Volume 4」
都会の夜を描くジャズを演ずる
<Jazz>
Bill Carrothers 「after hours Volume 4」
Go Jazz Records / Germany / GO 6037 2 / 2002
Bill Carrothers(p)
Billy Peterson(b)
Kenny Horst(ds)
Recording : Steve Wiese at Creation Audio (1998)
ビル・キャロザーズBill Carrothers(1964年、米国ミネソタ州生まれ) の90年代末期の名盤『after hours Vol.4』をあらためて聴くことになった。それも前回紹介の寺島靖国によるアルバム『FOR JAZZ DRUMS FANS ONLY vol.1』に、近年リイシューされたこのアルバムからの聴き慣れたC.Porterの曲”My Heart Belong To Daddy”が納められていて、なかなかの名演奏、そして名録音、うーんこれは是非この曲を納めたアルバムを聴いてみたいと言うことになったのだ。(この曲はBill Carrothers Trio (Gary Peacock & Bill Stewart)として全く別の演奏もあるが、私の好みからは断然こちらに軍配を挙げる)
これは夜中から明け方にかけて録音するというちょっと珍しいシリーズものであって、これは4作目。それもリリースされた1999年当時はなかなかの評価を勝ち取っている。時間が時間のためか、とにかくキャロザーズの力みなのないそして都会の夜を見事に演じた一枚である。
実はこのアルバムは3回のリリースを経てきている(1999, 2002, 2014)人気盤。私が今回手に入れたのは2回目の2002年リリースものだ。(Setlist)
1 In The Wee Small Hours 3:40
2 On Green Dolphin St. 7:15
3 On Green Dolphin St. (Reprise) 2:58
4 For Heaven's Sake 6:20
5 Chelsea Bridge 5:38
6 It's Easy To Remember 3:56
7 My Heart Belongs To Daddy 7:15
8 Lost In The Stars 4:12
9 A Flower Is A Lovesome Thing 5:45
10 P.S. I Love You 5:47
11 Young And Foolish 4:29
12 For All We Know 4:46
やはり全編After Hoursのムードがたっぷりで私好み。とにかく洗練されたピアノ・トリオ・ジャズを都会の夜の世界に身を置くがごとく、しっとりと聴くことが出来る。
そして録音が又良いのだ。ただクリアーにしてリアルな音のみを追求するというのでなく、曲としての仕上げを十分意識した適度なリアル感と音の余韻、更に楽器の配置と音の広がりなどが優れているため、実に気分良く聴ける。これはまさにミュージックを考えての録音である。
演奏面の技術的な高さとセンスの良さも素晴らしい。M1." In The Wee Small Hours" は、スタートに相応しく流れるが如くのピアノの調べ、これが余韻のあるクリアー・サウンドで迫ってくる。その響きは優しさに満ちあふれている。そしてベース、ドラムスがバックから見事に支える演奏とサウンドで曲の厚みを作り上げる。そしてこの流れは続く曲群に置いても見事な抑揚を持って迫り、シンバル音の配置、ドラムスの適度なリズム構成、ベースの語りと楽しませて入れる。
M.2, M,3 の2曲の"On Green Dolphin St."そしてM.4 "For Heaven's Sake" では、三者の音の夜を描く余韻に魅了される。M.6 "It's Easy To Remember"は思索の世界。
お目当ての特にM.7 "My Heart Belongs To Daddy" やM. 8 "Lost In The Stars" 等のピアノのタッチの優しさは絶妙そのもの。 又M.11 "Young And Foolish "のベースの語りと、ドラムスの攻めも一つの聴きどころ。
こうしてアルバム12曲を通して聴くと、このトリオのセンスの良さがしみじみと感じられるのである。いやはやこうした名盤は再発を繰り返すのはよく解るところだ。
(試聴)
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