寺島靖国プレゼント「FOR JAZZ DRUMS FANS ONLY Vol.1」
ジャズにおけるドラムスの役割の再認識を!
<Jazz>
Yasukuni Terashima Presents
「FOR JAZZ DRUMS FANS ONLY Vol.1」
Terashima Records / JPN / TYR1057 / 2017
ドラムスが生き生きと活躍するジャズ演奏シリーズの開幕だ。この寺島靖国によるシリーズでは、「Jazz Bar」、「FOR JAZZ AUDIO FANS ONLY」、「For Jazz Vocal Fans Only」など楽しませてもらっているが、中でも時にちょっと馴染みの無い演奏家にお目にかかる事があって、しかもそれがなかなか納得の世界であることを教えて頂いたと言う経過もある。そんな事で、楽しみにしている一つです。そこに今度はドラムスに焦点を当ててのシリーズで、いやはやこれも当然聴いてみたくなったというところなのである。
宣伝では、「ガッツと哀愁のサウンド」というところがテーマであるようで、それはそれ重要点であることは納得である。レーベル創立10周年ということもあって新たなコンピレーション・シリーズをスタートさせたという意味は、「ジャズは音で聴け」と言うところにも関わってくるようで、案外録音された音にもポイントを置かれていて、私にとっては、それも楽しみと言えば楽しみなシリーズでもある。
さて登場は、以下の通り13のグループのアルバムからの選曲だ。
1. It's All Right With Me (Cole Porter) by Emmet Cohen
2. Fragile (Sting) by Hans Esbjerg
3. Alone Together (Arthur Schwartz) by Joe Mulholland Trio
4. My Heart Belong To Daddy (Cole Porter) by Bill Carrothers
5. Wise (Alex Mercado) by Alex Mercado Trio
6. Tres Palabras (Oswaldo Farres) by Christof Sanger
7. The Fruit (Bud Powell) by David Hazeltine
8. From The Beginning (Matija Dedić) by Matija Dedić
9. The Intimacy Of The Blues (Billy Strayhorn) by Albert Heath
10. Rockin' Chair (Horgy Carmichael) by Allison Miller
11. Marie's Delight (Red Garland) by Kris Bowers
12. Omnibus (Ernst Glerum) by Ernst Glerum
13. Eastern Elegy (Daniel Freedman) by Daniel Freedman
(Allison Miller)
成る程聴いてみるとピアノ・トリオ曲が中心であるでが、ドラムスの活動が華々しい曲が連なって流れる。シンバルの音にハッと思わせるリアルな録音モノが連続して登場。成る程これはよく集めたモノである。
3. Alone Together (Arthur Schwartz) by Joe Mulholland Trio:トリオによる生き生きとしたスウィング演奏、ドラム・ソロ(Bob Tamagni)の占める位置も有り、又ベースとドラムスの掛け合いが面白い(アルバム「Runaway Train」より)。
4. My Heart Belong To Daddy (Cole Porter) by Bill Carrothers:シンバル音(Kenny Horst)で圧倒してピアノに入るスタイル。ピアニストの熟練したパッサージ・ワークが見事で最終的には抒情的ピアノ・トリオ曲に仕上げている(アルバム「After Hours」(→)より)。
5. Wise (Alex Mercado) by Alex Mercado Trio:なかなか派手な録音もの。メキシコの実力派ピアニストAlex Mercadoによる、Antonio Sanchez(ds)、Scott Colley(b)参加のピアノトリオ作品(アルバム「Symbiosis」より)。
8. From The Beginning (Matija Dedić) by Matija Dedić:ドラムス(Jeff Ballard)から入るピアノ・トリオもの。Matija Dedićのピアノの芸達者ぶりが聴ける(アルバム「From The Bebinning」(→)より)。
10. Rockin' Chair (Horgy Carmichael) by Allison Miller:名女性ドラマーAllison Millerの登場だ。なかなか聴かせる曲仕上げ。前半ベース主導で流れ、そして美しいシンバル、控えめなピアノによって流れるメロディーが美しい世界を築き上げる。聴き惚れます(アルバム「Boom Tic Boom」より)。
13. Eastern Elegy (Daniel Freedman) by Daniel Freedman :ドラマーのFreedmanによる抒情性豊かな曲で、次作への期待に繋げる(彼の初リーダー・アルバム「Imagine That」より)。
ジャズもいろいろな聴き方があるが、ここに見るようなピアノ・トリオものでは、どちらかというとドラムスはリズム隊として、バックで支えるところに位置することが多い。しかしこの企画物でドラムスの位置の重要性も認識させてくれていて、ちょっと”でかした企画”であったと思う。
(試聴)
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