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2017年9月19日 (火)

ゲイリー・ピーコック・トリオGary Peacock Trioのニュー・アルバム 「Tangents」

恐れ多い・・・80歳を越えたベーシストの心境の世界に足を入れる

<Jazz>
Gary Peacock Trio 「Tangents」
ECM / GERM / 5741910 / 2017

Tangentsw

Gary Peacock (double-bass)
Marc Copland (piano)
Joey Baron (drums)
Rec. May 2016, Auditorio Stelio Molo RSI, Lugano, Switzerland

Mi0003861169 ゲーリー・ピーコックGary Peacock(1935年-) とくれば、私にとってはキース・ジャレットということになるのだが、ビル・エヴァンスとのお付き合いなどと言う歴戦の経過から、もう現在のジャズ界のピアノ・トリオと比較してみると、一時代前の人ってことなんですね、しかしなんとそれが現在なんです。チャリー・ヘイデン亡き後、うーん、この人でしょうね頑張っているのは。なにせ驚くなかれ、80歳の誕生日を記念して制作されたピーコックのNew Trioの演奏盤、昨年の演奏だ。そしてECMからのリリースである。
 彼はなんとECMでの初デビューは1977年の『Tales of Another』ということで、恐れ多くも40年前なんですね。最近は2年前にECMからこのメンバーで、アルバム『Now This』(ECM/4715388/2015)をリリースして絶賛を浴びたのだった。これもピーコックとしては長い歴史に於いては、New Trioと言われるところだが、主として10年以上前から既にこのトリオは、ピアニスト・マーク・コープランドMarc Coplandとドラマー・ジョーイ・バロンJoey Baronとなっていたという結構長い経過とも言える。

 全体に明るいとは言えないムードだが、とにかく深みと言うか、彼の心からの響きというか、詩的な世界というか、やっぱり枯れた味わいというところなのだろうか、じっと聴き入る思索瞑想に浸る世界なのである。いずれにしてもピーコックは、昔来日して禅の思想などを学ぶ為ということで、京都で2年間の隠遁生活を送ったこともあるという精神的な深みを目指すタイプであって、彼のこのアルバムもそんなところが見え隠れする。

Garyjoey(Tracklist)
1. Contact
2. December Greenwings
3. Tempei Tempo
4. Cauldron
5. Spartacus
6. Empty Forest
7. Blue In Green
8. Rumblin'
9. Talkin' Blues
10. In And Out
11. Tangents


  上のような収録11曲であるが、ピーコックの曲が5曲とほぼ半分、コープランドの曲が1曲、バロンの曲が2曲、3人の共作が1曲、 Northの”Spartacus”、Milesの”Blue In Green”で全11曲。

 まずはスタートのM1."Contact"これぞ人間が巨匠と言われるようになっての面目躍如のベースから始まる瞑想と言うか思索というか、そんな世界感。すぐ追従するピアノ、バックでサポートするシンバルが何とも言えない微妙な空間を持ってサポートする。こんな展開をされると、即参ってしまう私なのだ。
 M5. "Spartacus" は、美意識では筆頭格のコープランドのピアノが切々と物語と旋律を流すところに力強いベースでお見事な抒情世界。それは同様にM7."Blue In Green" でも味わえる。若干バロンは遠慮気味ですね。
 しかしM6. Empty Forest の3者のインプロヴィゼーションと思われる音の交錯と余韻の世界はお見事で、これぞトリオだ。。
 M8. "Rumblin'", M9."Talkin' Blues"で見せる軽快な世界は年齢を超えたミュージシャンの描くところですね。
 締めのM11."Tangents" では、ピーコックのベースが自分の心境を曲にしたような深い世界を演じる。そこにピアノが流れをアクティブにして暗さの無いところに導いてくれる。

 なかなか期待を裏切らない深い世界のベースを聴かせてくれたピーコック、そしてコープランドのピアノとバロンのドラムスが絶妙にトリオを形作って、彼らのオリジナル9曲+αでトリオ健在なりを示してくれた味わい深い作品だ。年齢を感じさせない素晴らしい演奏と言わずに、むしろ年齢だからこそ出来たいぶし銀の作品と評価したい。

(視聴)  Gary Peacock Trio

 

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2017年9月15日 (金)

松尾明AKIRA MATSUO TRIO 「BALLADS」

録音の質のリアリティーはハイレベルに確保しているが・・・・
  ~ミュージックとしての熟成度が低く、演奏は並~

<Jazz>
AKIRA MATSUO TRIO 「BALLADS」
TERASIMA RECORDS / JPN / TYR-1058 / 2017

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松尾明 Akira Matsuo (ds)
寺村容子 Yoko Teramura (p)
嶌田憲二 Kenji Shimada (b)


【録音】2017年3月27日
横浜ランドマークスタジオにて録音


 近年、素晴らしい録音モノが増えてきて、そこに感動もあって嬉しいことであるが、そんな意味で注目したアルバムがこれだ。
 以前にもそんな評判で手にしてガッカリしたものでYOKO TERAMURA TRIO『TERAMURA TOKOMOODS』(TERASIMA RECORDS/TYR-1026)があったのを思い出した。基本的にはあのアルバムと大きな差は無いと言っておく、それはその録音サウンドだが、いかにもベースはブンブンと唸って響き、ピアノはキンキンと確かにクリアに鳴る。しかし何か空しいのですね。それはミュージックとしての仕上げに貧しいのである。是非とも比べて欲しいのはつい先頃のリリース盤で言えば、GEORGES PACZYNSKI TRIO『LE VOYAGEUR SANS BAGAGE』(ASCD-161101)がある。これと比較してみると明解だが、そこにはピアノ、ベースのバランス、そしてそこに加わるドラムス、シンバルの鮮烈な響き、それが全て曲としてのバランスの中で、クリアにリアルな音で迫ってくる。つまり曲としての仕上げに明らかな差があるのだ。更に前回紹介のALESSANDRO GALATI『WHEELER VARIATION』SCOL-4024)のそれぞれの楽器とヴォーカルの配置の絶妙さを知るべきである。
 又演奏技術や音に対してのセンスというものが濃縮して快感のミジュージックが出来上がるのだが、その意味に於いてもこのアルバムには感動は無かった。
 はっきり言うと5曲ぐらい聴くと飽きる。

P_matsuoakira 実は宣伝文句は・・・・
「松尾明トリオ4年ぶりとなる作品は、寺島レコード第1弾アルバム『アローン・トゥゲザー』のトリオが再集結!寺島レコードの原点"哀愁"のメロディ、ジャズの名曲、そして長い付き合いのメンバーによる名演、すべてを凝縮した、レーベル10周年にして松尾明トリオの10年間の集大成ともいえる記念すべき作品に仕上がった。」
・・と言うのだが、残念ながら哀愁もあまり感じられない。ただ曲をとにかく一生懸命演奏したモノとして評価するに止まるのである。一番はピアノ・トリオとしての大切なピアニストの演奏に味が感じられないと言うところも大きいでしょうね。

 追記しておかねばならないのは、どうも寺島靖国は録音の技法のそのあたりをやっぱり気にしているらしいことが、ライナー・ノーツを読んで解った。そして録音されたマスターから続いて「Another Mastering Edition」を追加したんですね。しかしそれも録音された音源は同一であることからやはり無理は無理な作業によって何とかしたと思っているようだが、本質的にはそれほど大きな効果は上げていない。

 それには録音時からの方法論にはかなりの工夫が必要であって、そう簡単に脚色出来るものでない。このアルバムを聴くと、狭い部屋での三人の演奏を、一番前で聴いたという感じなのだ。やはりもっと広がり、奥行き、三人のバランスが重要に思う。音の強さを下げたから後方に位置するというのでなく、録音によっては同じ強さの音でも後方に位置して聞こえるという技量があるのだ。

Yoko_t2 今や再生ミュージック・ソースの出来不出来は、半分は技術陣の腕にかかっているというのが一般的な見解だ。これは決して極端な話でないと思う。それにつけてもこのアルバムの寺村容子(→)のピアノにはもう少し思想と繊細さが欲しい演奏でした。

 ちょっと辛辣に書きすぎたが、実は宣伝文句が立派すぎて、聴いてみての反動が大きかったというところなのである。

(Tracklist)
1.  Lupus Walk (Akira Matsuo)
2.  Estate (Bruno Martino)
3.  I'll Be Seeing You (Sammy Fain)
4.  Moonlight Becomes You (Jimmy Van Heusen)
5.  How Deep Is The Ocean (Irving Berlin)
6.  Do You Know What It Means Miss New Orleans (Eddie DeLange, Louis Alter)
7.  Sway To Fro (Kenji Shimada)
8.  Violet For Your Furs (Matt Dennis)
9.  Just A Mood (George Shearing)
10.  Steaway To The Moon (Yoko Teramura)

(参考視聴)TERASIMA RECORDSのサウンド  (Yoko Teramura Trio)

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2017年9月11日 (月)

アレッサンドロ・ガラティAlessandro Galati 「WHEELER VARIATIONS」

これは単なる耽美派に止まらない深遠なる恐ろしい世界だ!!

<Jazz>
Alessandro Galati 「WHEELER VARIATIONS」
Somethin' Cool / JPN / SCOL-4024 / 2017

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Alessandro Galati (piano, compositions, arrangements)
Simona Severini (vocal)
Stan Sulzmann (tenor saxophone)
Stefano Cantini (soprano saxophone)
Ares Tavolazzi (bass)
Enzo Zirilli (drums)

recorded at Sonoria Studios, Prato.   
mixed at Artesuono Studios by Stefano Amerio.

 アレッサンドロ・ガラティAlessandro Galatiの演ずるピアノの耽美なる哀愁の美しさには、もう『TRACTION AVANT』(Via Veneto Jazz/VVJ007/1994)以来、何年も酔ってきたのだが、今年も早々に『Cold Sand』(Atelier Sawano/AS155/2017)の美しいアルバムを堪能できた。しかし彼はその一方、実験的スリリングという美しさとは別世界の顔も持っていて、実はこのアルバムはピアノ・トリオでなくヴォーカル入りの6人編成によるモノであったため、美しさとは別物の実験色の強いモノであろうと勝手に決めつけて飛びつかなかったものだ。
 しかし、どうもそうとも言い切れないところも、諸々の感想ではちらほら見えてくるために、遂に取り付くこととなったアルバムである。
 トランペット奏者の故ケニー・ウィーラー(Kenny Wheeler, 1930- 2014年)に捧げられたアルバムだが、ガラティが彼とどのような関係にあったかについては私はよく知らない。しかしウィーラーの感傷的な美旋律にはガラティーも感動を受けていたようだ。

Ag1w(Tracklist)
1. KEN
2. k
3. e[#1]
4. n[#1]
5. NY
6. n[#2]
7. y
8. WHEEL
9. w
10. h
11. e[#2]
12. e[#3]
13. l
14. ER
15. e[#4]
16. r


 このアルバムも、製作は技術者はStefano Amerioが担当してのコンビであり、それぞれの楽器が鮮明に録音され、オーディオ的にも優れ盤。又トラックリストを見ると上のように曲名はふるったモノで、全曲ガラティによる作曲・アレンジということになっており、如何にもKenny Wheelerに捧げる記念盤であることが如実に解る。

Simonaseveriniw_2 なんと言っても、全編を通じてのダークにして深遠なる哀愁感ある世界が聴きどころだ。Simona Severini(→)のヴォーカルは低音にソフトにして厚みがあり、なかなか陰影があって心に訴える響きで迫ってくる。そしてテナーとソプラノ・サックスが独特な詩情世界を構築する。もともと私はサックス等は演奏によっては、うるさく感じて好まないことがあるのだが、ここではそれ相当に控えていてまあなんとか許容範囲と言うところ。
 M3.e[#1]にて、もうガラティのピアノの打鍵の美しさと余韻の絶妙な世界が全開する。
 曲によっては特にM5.NYやM14.ERのように、攻めのスリリンクな演奏面もあってアクセントとして効果を上げている。
 もちろんガラティのピアノが、哀愁感たっぷりの美旋律を展開するのだが、ピアノ・トリオ作品とは違って、ヴォーカルのバックでは若干控えめに流れるところはやむを得ないところ。しかし相変わらずの流麗にして美しい響きを展開している。
  又M7.yでは、ベースとドラムスのデュオで流す世界が一つの聴きどころでもある。
 しかし、6者の演ずるそれぞれの緻密な役どころに隙が無く、この全曲に流れる世界は、深遠にして異世界に聴く者をして引っ張り込む異様なムードがあって、それは恐ろしいほどだ。まさに凄いの一言。
 そして終曲M16.rでは、ガラティのソロ・ピアノによる独壇場で、しっかりとファンを納得させるのである。これは名盤だ。

(試聴)

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2017年9月 7日 (木)

ジェフ・ベックJeff Beck 2016年ライブ映像盤2題=その1「Baloise Session 2016」

BONES とJimmy Hallとの共演~良好映像Blu-ray盤

<Rock>
JEFF BECK 「Baloise session 2016」
VIDEOSMASH / VS-299BDR / 2017


Baloisesessionw

NTSC FULL HD 16:9  Linear PCM Stereo / Dolby 5.1 Surround time approx. 76min. / 1BDR
Live at Event Halle, Basel, Switzerland on 22nd October, 2016

Jeff Beck - Guitar 
Carmen Vandenberg - Guiter
Jonathan Joseph - Drums
Rhonda Smith - Bass
Tracks 1,4,10,11,16 -  Rosie Bones on Vocal
Tracks 6,7,13,14,15 - Jimmy Hall on Vocal


 2016年ジェフ・ベックの原点回帰・スタジオ・アルバム『LOUD HAILER』(ATOCO)リリース後、BONESを引き連れてのツアーを続けていたジェフ・ベックの、歴史あるスイスのバーゼルにおける”バロイーズ・セッション”でのライブの模様が、プロ・ショットのブルーレイ映像・5.1サラウンド・サウンドで登場した。

Hollywoodbowl2016w(参考までに)
 ここに来て忙しいのは、更にジェフ・ベックがデビュー50周年の節目に行った2016年8月10日のスペシャル・ライヴを収録した映像作品が、これ又ブルー・レイ映像版で登場する。それは『LIVE AT HOLLYWOOD BOWL』(→)で、こちらはスティーヴン・タイラー(エアロスミス)、かってコンビのキーボーディストのヤン・ハマー、更にいつものお付き合いの今やブルースの主といったバディ・ガイ、ZZトップのビリー・ギボンズや女性シンガー・べス・ハートをゲストに迎え、まさにスぺシャルそのものの記念ライブ。こんな堪らない映像版も登場する(これに関しては次回とする)。

 さて、本題に戻って、2016年10月22日スイス・バーセル・イベントホールで収録されたこの公演はハイヴィジョンTV放送されたもので、最高レベル・プロショット映像・サウンドで楽しめるので嬉しい限り。

Rosiejeffw(Tracklist)
1. The Revolution will be Will Be Televised
2. Lonnie on the Move
3. Live in the Dark
4. The Ballad of the Jersey Wives
5. You Know You Know
6. Morning Dew
7. A Change Is Gonna Come
8. Big Block
9. Cause We've Ended as Lovers
10. O.I.L. (Can't Get Enough of That Sticky)
11. Scared for the Children
12. Beck's Bolero
13. Shapes of Things
14. Rollin' and Tumblin'
15. Superstition
16. Right Now


Jeff1

 い~や、何時見てもジェフ・ベックはかっこいいですね。デビュー50周年とは信じられないところだ。この今回のツアー映像はいろいろとブートでも見ましたけど、このBlu-ray版は最高です。ギターを弾く指先の細かい動作までしっかり見れます。
 今回共演したRosie Bones も例のごとくステージ・アクトは歌以上に派手で・・・・尖っているムードはロックとして楽しめる。意外にCarmen Vandenberg のギターはおとなしいが、まあジェフとのツインですから遠慮しているんでしょうね。ほんとはもう少し暴れさせてやって欲しかった。しかし近年はジェフは若い女性軍をうまく使ってますね。
 アルバム『LOUD HAILER』からの曲を、主としてRosie Bonesにステージ華やかにさせ、そうはいっても ”Big Block”、” Cause We've Ended as Lovers”、 ”Rollin' and Tumblin'”などなど、過去の注目曲をしっかり盛り込んで楽しませる。更にハーモニカ奏者でヴォーカリストのJimmy Hall (もう昔だが、ジェフ・ベックの1985年のアルバム『フラッシュFlash』でヴォーカルを演じた)には又彼のブルース調なども聴かせて一段とライブを厚くしている。もう彼も70歳に近いはずだが歌は衰えていない。今でもジェフは彼との共演を楽しんでいる。
 私は結構Rhonda Smith のJazzyな Bassが好きなんですが、それも生かして楽しいステージにしていて先ずは結構なライブであった。

(参考視聴)
”Live in the Dark”

            *                       *

  Tokyo Internatinal Forrum 2017

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2017年9月 3日 (日)

マリオ・ラジーニャの作品Mario Laginha Novo trio 「TERRA SECA」

ポルトガル音楽の民族性をジャズ的発展へ

<Jazz>
Mario Laginha Novo trio 「TERRA SECA」
ONC Prodçóes / POR / NRTI017 / 2017

10073035812

Mario Laginha - piano
Miguel Amaral - portuguese guitar
Bernardo Moreira - contrabass

 ジャズへのアプローチは多種多様ではあるが、民族性を生かしたものも最近よくお目にかかる。ポーランドのアンナ・マリア・ヨペクの3部作の小曽根真、福原友裕との「HAIKU俳句」の”Yoake”、”Pandora”、”Do Jo Ji”なんかは驚きだった。

Guiter これもポルトガルのジャズ・ピアニストの大御所と言われるマリオ・ラジーニャMario Laginha(1960年、リスボン生まれ)の試みる変則ピアノ・トリオ・アルバム。つまり彼のピアノにベース、ギターというドラムレス構成。彼には一般的なベース・ドラムスとのトリオも結成しているが、これは特にミゲル・アマラルMiguel Amaral演ずるポルトガル・ギターportuguese guitarが大きな特徴だ(→)。ポルトガルというとあの民謡”ファド”が重要だが、あの国を旅行した時に聴いたのを思い出す音色であって、これはあちらでは一般的に使われているギターだと思う(実際には、一般的クラシック・ギターとは異なる流れにあるようだが)。

 さて、このアルバムの中身は、ジャズとポルトガル音楽をかけあわせたような作品。サウンドはそれぞれの持ち味を発揮したところだが、やはり“ファド”のような叙情性を感じさせるギターの音が散りばめられている。
 そしてやっぱりクラシック的ムードが全体に流れているのである。まあ真剣に向き合って聴くという難しいことは避けて、むしろバック・グラウンド・ミュージック的気持ちで流しているとポルトガル・ムードに浸れて、ちょっと変わった気分にさせてくれるのである。
 この作品は、1曲以外は全てオリジナルだというので、それにしてもジャズにポルトガルの素朴なムードは確実にあって、彼の意気込みが感じられる。彼はThe most Creative Contemprary Portuguese Jazz Musiciansと言われている存在だ。

Mario1

(Tracklist)
1. Terra Seca
2. Dança
3. Quando as Mãos se Abrem
4. Tão Longe e Ainda Perto
5. Fuga para um Dia de Sol
6. Há Correria no Bairro
7. Enquanto Precisares - para o Pedro
8. Pela Noite Fora
9. O Recreio do João
10. Chão que se Move

500_laginha2 リーダーのマリオ・ラジーニャは、私は今までに聴き込んだ記憶が無いのだが、ジャズ・ピアニストとしての数十カ国に渡る演奏歴と、数々のオーケストラやビッグバンドに委嘱作品を提供する作曲家としてのキャリアを20年以上に渡って展開する、まさにポルトガルを代表する音楽家のひとりと言うところのようだ。そして紹介など見ると、リーダー作品としては、バッハの作曲技法に影響を受けた自作曲集『Canções & Fugas』(2006年)、ショパンへのオマージュ作品『Mongrel』(2010年)、建築にインスパイアされたピアノ・トリオ編成による『Espaço』(2007年)など、多様かつ個性的な作品を発表し続けていると言うのである。更に、世界の民族性を尊重した音楽作りに貢献しているようで、いやいや今後取り敢えずは少しは注目しておかねばならないと言ったところ。

(視聴)

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