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2017年9月11日 (月)

アレッサンドロ・ガラティAlessandro Galati 「WHEELER VARIATIONS」

これは単なる耽美派に止まらない深遠なる恐ろしい世界だ!!

<Jazz>
Alessandro Galati 「WHEELER VARIATIONS」
Somethin' Cool / JPN / SCOL-4024 / 2017

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Alessandro Galati (piano, compositions, arrangements)
Simona Severini (vocal)
Stan Sulzmann (tenor saxophone)
Stefano Cantini (soprano saxophone)
Ares Tavolazzi (bass)
Enzo Zirilli (drums)

recorded at Sonoria Studios, Prato.   
mixed at Artesuono Studios by Stefano Amerio.

 アレッサンドロ・ガラティAlessandro Galatiの演ずるピアノの耽美なる哀愁の美しさには、もう『TRACTION AVANT』(Via Veneto Jazz/VVJ007/1994)以来、何年も酔ってきたのだが、今年も早々に『Cold Sand』(Atelier Sawano/AS155/2017)の美しいアルバムを堪能できた。しかし彼はその一方、実験的スリリングという美しさとは別世界の顔も持っていて、実はこのアルバムはピアノ・トリオでなくヴォーカル入りの6人編成によるモノであったため、美しさとは別物の実験色の強いモノであろうと勝手に決めつけて飛びつかなかったものだ。
 しかし、どうもそうとも言い切れないところも、諸々の感想ではちらほら見えてくるために、遂に取り付くこととなったアルバムである。
 トランペット奏者の故ケニー・ウィーラー(Kenny Wheeler, 1930- 2014年)に捧げられたアルバムだが、ガラティが彼とどのような関係にあったかについては私はよく知らない。しかしウィーラーの感傷的な美旋律にはガラティーも感動を受けていたようだ。

Ag1w(Tracklist)
1. KEN
2. k
3. e[#1]
4. n[#1]
5. NY
6. n[#2]
7. y
8. WHEEL
9. w
10. h
11. e[#2]
12. e[#3]
13. l
14. ER
15. e[#4]
16. r


 このアルバムも、製作は技術者はStefano Amerioが担当してのコンビであり、それぞれの楽器が鮮明に録音され、オーディオ的にも優れ盤。又トラックリストを見ると上のように曲名はふるったモノで、全曲ガラティによる作曲・アレンジということになっており、如何にもKenny Wheelerに捧げる記念盤であることが如実に解る。

Simonaseveriniw_2 なんと言っても、全編を通じてのダークにして深遠なる哀愁感ある世界が聴きどころだ。Simona Severini(→)のヴォーカルは低音にソフトにして厚みがあり、なかなか陰影があって心に訴える響きで迫ってくる。そしてテナーとソプラノ・サックスが独特な詩情世界を構築する。もともと私はサックス等は演奏によっては、うるさく感じて好まないことがあるのだが、ここではそれ相当に控えていてまあなんとか許容範囲と言うところ。
 M3.e[#1]にて、もうガラティのピアノの打鍵の美しさと余韻の絶妙な世界が全開する。
 曲によっては特にM5.NYやM14.ERのように、攻めのスリリンクな演奏面もあってアクセントとして効果を上げている。
 もちろんガラティのピアノが、哀愁感たっぷりの美旋律を展開するのだが、ピアノ・トリオ作品とは違って、ヴォーカルのバックでは若干控えめに流れるところはやむを得ないところ。しかし相変わらずの流麗にして美しい響きを展開している。
  又M7.yでは、ベースとドラムスのデュオで流す世界が一つの聴きどころでもある。
 しかし、6者の演ずるそれぞれの緻密な役どころに隙が無く、この全曲に流れる世界は、深遠にして異世界に聴く者をして引っ張り込む異様なムードがあって、それは恐ろしいほどだ。まさに凄いの一言。
 そして終曲M16.rでは、ガラティのソロ・ピアノによる独壇場で、しっかりとファンを納得させるのである。これは名盤だ。

(試聴)

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コメント

的を得た評論、同感です。ボーカルを楽器と同等に扱うピアノトリオ+α のアルバムはいくつかありましたが、その中でもこれは秀逸だと思います。

投稿: 爵士 | 2017年9月12日 (火) 09時54分

爵士さん、コメント有り難うございます。
 若干、尻込みしていたアルバムですが、爵士さんの刺激もあって、いやはや聴いて良かったです。全曲ガラティの作曲・編曲で、彼のセンスが如何に優れているか解ります。
又Stefano Amerioによる録音・ミックスも優れています。このあたりも重要ですね。
 これは間違いなく今年の名盤です。
 

投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2017年9月12日 (火) 10時51分

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