マティヤ・デディクMatija Dedićのピアノ・トリオ作品 「From The Beginning」
華麗なタッチの流麗なピアノが魅力
<Jazz>
Matija Dedić 「From The Beginning」
Dallas Records / EU / DALLAS 570 / 2009
Matija Dedić : piano
Jeff Ballard : drums
Larry Grenadier : bass
このアルバムに至ったのは、これもまた寺島靖国の『FOR JAZZ DRUMS FANS ONLY Vol.1』(Terashima Records/TYR1057)に取りあげられたこのトリオの曲"From The Beginning"を聴いたためだ。とにかく洗練された演奏ぶりと、そしてトリオ・メンバーに興味を持ったからである。
実はこの肝心のクロアチア出身のピアニストのマティヤ・デディクMatija Dedić(1973年ザグレブ生まれ)を私は知らなかった 。このアルバムは、2009年リリースのピアノ・トリオ作品だ。 むしろリズム隊のブラッド・メルドー・トリオのドラマーのあるジェフ・バラードJeff Ballard 、ブラッド・メルドーやパット・メセニーとの関係で知られるベーシスト、ラリー・グレナディアLarry Grenadier が参加していることが興味を持った要因でもある。
メンバーからみると、その筋ではかなりの評価を得ていると推測するところだが、このマティヤについては、思いのほか情報は少ない。日本では知る人ぞ知ると言った所なのだろうか。いやはや私の世間の狭さを痛感させられた。
CD2枚組の全12曲、マティヤMatija Dedićのピアノ・ソロも4曲登場し、彼のオリジナル曲が半分の6曲を占めている。こうして見ると、これは完全に彼の作品ということになるのだが、メジャー・デビュー作だったのか?。
スタートの(CD1)M1."Rrom the beginning"が寺島靖国に選ばれてた訳だが、ジェフ・バラードJeff Ballardのドラムスから入って、ピアノがおもむろに登場する。そのピアノは極めて華麗で、無理に主役に踊り出ず、続いてベースがピアノに変わって流れの主役になり、中盤以降は三者のトリオ・プレイが楽しめる。なかなか洒落た演奏だ。
そして(CD1)M4."W.A.M."は、おもっいっきり三者のジャズの乗りを展開する快感の曲。 (CD1)M6."You are Too beautiful"では、スローナンバーで流麗なピアノの華麗さ、繊細さは当に”ビューティフル”そのもの。 (CD1)M5."Angela"及び(CD2)M3."Marina's dilemma",M6."Dr.A"は、ピアノ・ソロで完全にクラシック世界をベースにした美しいジャズを聴かせる。
(CD2)M2."Nardis"、(CD2)M5."Bye,bye blackbird"の三者のインタープレイは、その華麗さに圧倒される曲。 (CD2)M4."Lush life"もその洒落た美しさは卓越している。
このトリオは、流麗なピアノが魅力と同時に、ジャズの醍醐味と味を知り尽くしたかのようなリズム隊によって、お互いが出しゃばること無く華麗なタッチで仕上げているところが魅力。それにしてもピアニストのマティヤ・デディクMatija Dedićはこれからも相当に期待してよいプレイヤーにしてコンポーザーと思う。日本では、このアルバムより後の2015年のアルバム『Sentina』 (BLUE BAMBO/US/PWBBM021)で支持を得たようだが、近作に『DEDICATED』(ears&eyes Records/2017)があり、是非ともアプローチしたいところだ。
(試聴)
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