ロベルト・オルサーRoberto Olzer の ピアノ・ソロ・アルバム「Torre Del Lago」
祖母への感謝の贈り物
<Jazz>
Roberto Olzer 「Torre Del Lago」
ATELIER SAWANO / JPN / AS 158 /2017
Roberto Olzer plays Fazioli Grand Piano F278 (solo)
Recorded on May 15,2017 at Artesuono Recording Studio Udine, Italy
Recorded, Mixed & mastered by Stefano Amerio
ちょっと一瞬見入ってしまうほど心にしみ入る静寂な風景をジャケットにしたイタリアのロベルト・オルサーRoberto Olzer のピアノ・ソロ・アルバム。タイトルは「Torre del Lago」、これはイタリア、トスカーナの地名のようである。その地は、あのイタリアのオペラの作曲で有名なジャコモ・プッチーニ(1858 - 1924年)が愛したと思われる土地で、彼の人生の殆どを過ごしていたのだという。いずれにしてもこのアルバムで、オルサーはプッチーニの曲を多く採用していることの結果、このタイトルになったのかも知れない。
又アルバムには、”彼の言葉”が記されているが、その内容から見ると、2016年にトリオで来日しての公演中に、彼を音楽へと導いてくれた愛する祖母が本国で亡くなったのだった。そして家族全員で愛していたプッチーニの曲をここに演じて、その彼女への感謝と追憶の想いをこのアルバムに込めたと言うことのようだ。
(Tracklist)
1. Luiza
2. Mi chiamano Mimi
3. Pezzo in La
4. 7/8, Attesa
5. We Will Meet Again
6. Coro a bocca chiusa
7. In Her Family
8. Remembering Pramila
9. Sentimentale
10. Straight to the Dream
11. Sono andati? Fingevo di dormire
12. Torre del Lago
13. La Grazia e discesa dal cielo
14. Epilogo
Bonus Track:5/4Johnnes Bickler,Vissi D'arte Giacomo Puccini
プッチーニGiacomo Puccini(→)の曲を中心としての14曲だが、プッチーニとは、どちらかというとオペラの作曲家という印象であるが、私はオペラって少々苦手なんです。しかし「マノン・レスコー」「トスカ」「蝶々夫人」などは極めて有名だが、ここに取りあげられた曲群は、オルサーの編曲もあるためか、私にとっては初めての曲のように聴いたところだ。
そして5曲はオルサー自身のオリジナル曲。その他、スタートはA.Carlos Jobinの曲の"Luiza"だが、とにかく優しいと言う一言の世界。M5."We Will Meet Again"はBill Evans、M7" In Her Family"はPat Metheny、更にM10."Straight to the Dream"はEnrico Pieranunziと、広くカヴァーもしている。しかしそれもオルサーの敬虔な気持ちに特化された演奏の世界に変容している。
クラシックとかジャズのピアノ・ソロというジャンルを越えて、彼の心を込めた心優しく美しく仕上げたアルバムである。特にプッチーニの曲、M11. "Sono andati? Fingevo di dormire"は、優しい郷愁と哀感の世界で素晴らしい。そして彼の曲M14. "Epilogo"で静かに幕を閉じるのである。
ただ、ボーナス曲があって、彼の感傷に溺れているだけでない姿を見ることが出来た。それには、これからの彼の生きる道への決意のような明るさと力強さを聴かせて全編の締めくくりをしているように私には聴き取れたのである。
アルバム作成に当たって、録音、ミックスなどの技術は、このところ評価の高いStefano Amerio(→)が担当して、スリリングなジャズ・トリオ録音時とちょっと異なり、刺激の少ない優しさと適度な余韻のあるところに仕上げている。
又使われているピアノはイタリアらしく、このところオルサーは拘って使っている名高い「Fazioli Grand Piano F278 」 である。こんなところも聴きどころの一つである。
(視聴)
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コメント
風呂井戸さん はじめまして。
愛媛県松山市の松井(baikinnmann)と申します。
ジャズが好きで特にピアノ中心に聴いております。
好きなミュージシャンの情報を得ようとネット検索してよく風呂井戸さんの記事に出会い、参考にさせていただいております。
さっそくですが当ロベルト・オルサー ソロ作は知りませんでした。ご紹介ありがとうございます。
Luizaをはじめ曲も良さそうなので近く入手してみようと思います。
(2008年のメンデルスゾーンへのオマージュ作品「Esprit de Finesse」は愛聴盤です)
私も、聴いたJAZZ CDの感想をFBにへたくそながら乗せてますので機会ございましたら覗いてみてください。
松井 浩
勤務先: 協和発酵キリン
愛媛県松山市在住
投稿: baikinnmann | 2017年11月 3日 (金) 10時13分
Baikinnmannさん、御丁寧な御挨拶と感想ありがとうございます。
近年はピアノ・トリオを中心にユーロ系に流れている私ですが、ロベルト・オルサーは愛聴している一人です。
これからも感動作品など語り合えたら嬉しいです。よろしくお願いします。
投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2017年11月 3日 (金) 10時57分
風呂井戸さん
さっそくご返事いただきありがとうございます。
今後また、時々お邪魔させていただければと思います。
投稿: baikinnmann | 2017年11月 3日 (金) 15時33分
baikinnmannさん、早速FB拝見しました。
"SOREN BEBE TRIO / HOME"なども私好みで共感を感じました。過去のReviewでは、私の知らないモノもありまして参考になりました。これからもお互い納得作品の情報をよろしくお願いします。
PS:ちなみにSOREN BEBE TRIO の2010年作品は「FROM OUT HERE」のように思いますが・・・・あれで私はこのトリオを知りました。そうそう、Marc Johnsonとのトリオも良かったですね。
投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2017年11月 3日 (金) 17時41分
風呂井戸さん
さっそくFBのほう見てくださってありがとございます。週1ぐらいでアルバムの感想載せています。
また、2010年「FROM OUT HERE」とのご指摘もありがとございます。さっそく訂正しました。
Marc Johnsonとのトリオ、気にはなっていましたが、未聴です。近く入手したいと思います。
今後もいろいろ情報交換お願いいたします。
投稿: baikinnmann | 2017年11月 5日 (日) 02時43分