寺島靖国選曲シリーズ「For Jazz Audio Fans Only Vol.10」
(ミュージック鑑賞の秋)
(このところLP復活で、古き名機のDENON DP-80が頑張ってます)
オーディオ・ファンを楽しませてくれるジャズ・アルバム10巻目
~好録音のピアノ・トリオを満喫~
<Jazz>
Yasukuni Terashima Presents
「For Jazz Audio Fans Only Vol.10」
Terashima Records / JPN / TYR-1060 / 2017
2001年スタートの寺島靖国選曲のコンピレーション・シリーズの『Jazz Bar』も既に16年となり、年1枚での16巻をなんとなく聴いて来た。そしてここに取りあげるそれに継ぐシリーズとして、これも既にいつの間にか10年となる『For Jazz Audio Fans Only 』、今年で10巻目となった。これも私は取り敢えず楽しみにしているシリーズで、既に聴いたアルバムからの曲も収録されているのだが、やっぱり聴いてしまうのである。
寺島靖国の選曲は録音にも拘りがあってのことで、『Jazz Bar』に登場する曲群もオーディオ・ファン向けでもあるが、この『For Jazz Audio Fans Only 』シリーズは更にその点が強調されている。又曲もどちらかというとピアノ・トリオが主力であるため、その点は私好みとも一致していて、既にこれによって知ったマイナーなトリオも過去にあって、結構楽しませて頂いているのである。そして10年目の「Volume 10」を、ここで少々紹介する事とする。
(Tracklist)
1. Estate [The Kirk Lightsey Trio]
2. Les Rails enchevetres [Georges Paczynski Trio]
3. Spring Lingers [Alf Haggkvist Trio]
4. Laberinto [Sergio Gruz Trio]
5. St. James Infirmary [大橋祐子トリオ]
6. Elm [Roberto Olzer Quartet]
7. Pap [Carsten Daerr Trio]
8. Drum Afterlude [Carsten Daerr Trio]
9. Breath [Luigi Martinale Trio]
10. Noble One [Scott Earl Holman Trio]
11. When My Anger Starts To Cry [RGG]
12. Then Goodbye [Michael Salling Trio]
13. Fit To Fly [Guido Santoni Trio]
2曲目は、あのシンバルの響きを代表に驚きのサウンドであったGeorges Paczynski Trioのアルバムだが、ここでは既に紹介した『LE VOYAGEUR SANS BAGAGE』(ASCD161101)から"Les Rails enchevetres"が取りあげられている。これはフランスのヴァンサン・ブルレVincent Bruleyによる録音・ミックスもので、数年前の作品からそのリアルなサウンドで話題になってきており、そのメンバーによる今年のリリースもの。
M5. "St. James Infirmary" は、大橋祐子トリオだ。寺島レコード・アルバム『WALZ 4』(TYR-1054)(→)から。スタジオ録音の他、大間知基彰氏が、オーディオ・マニアに評価の高いオクタヴィア・レコード江崎友淑エンジニアと組んだホール録音などが別にCD一枚あって話題になったもの。オーディオ・マニアに喜ばれた。
M6."Elm"これもここで既に取りあげた Roberto Olzer Quartetのアルバム『FLOATIN' IN』(ABJZ168)からの、Richie Beirachの曲だ。私の愛する曲では最右翼のもので、これはトリオにトランペットが加わった良演奏、録音はこれも名手イタリアのStefano Amerioだ。
M9. "Breath" この曲は知らなかったが、イタリアのLuigi Martinale Trioによるもので、なかなか情緒のあるピアノ・トリオ演奏と好録音で気持ちが良い。アルバム『face the music』(ABJZ549)(→)からで、ピアニストのルイジ・マルティナーレのオリジナル曲が6曲収録されていて、この曲はその内の1曲。彼はエンリコ・ピエラヌンツィに多々指導を受けてきたようであるが、今年で50歳代半ばになり円熟期。
M12. "Then Goodbye"も良いですね。デンマークの Michael Salling Trioですが、アルバム『Nice Vibrations』(CALI087)(→)からだ。スウィングするジャズ心とヨーロッパ的リリシズムが合体した感のあるこれも愛すべきアルバム。
今回の選曲もなかなか味なもので、ナイスなコンピレーション・アルバムが出来上がった。本来オムニバスものは余り好まないのだが、これは選ばれ採用されるモノが、ピアノ・トリオが主力であってその為私は大歓迎ということになるのであった。又今時の名技術陣による好録音合戦を目の当たりに体験できる。そんなところも注目点。
(試聴)
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コメント
こんばんは
いろいろな演奏者を聴くことのできるよさそうなアルバムですね。僕が知っているのは、カーク・ライトシー、ロベルト・オルサー、カーステン・ダールだけです。寺島さんの選曲ですから、好みはあるのでしょうが、これだけのものを聴いて集めてくるのは、やはりすごいです。
sonyがレコードの製造を計画するなど、レコードも復権しつつあり、レコードプレーヤーもひところより種類が増えた感じです。喜ばしい傾向のように思います。
投稿: azumino | 2017年11月 6日 (月) 21時14分
azuminoさん、コメント有り難うございます。
寺島靖国選曲シリーズは、いつも私はミュージシャンに新しい発見があって楽しんでます。それと音質に拘っているところが又良いですね。録音の違いは相当な影響をもたらしますから・・・・。
秋の夜長は・・・オーディオ・シーズンの到来でもありますね、又楽しい情報期待しています。
投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2017年11月 6日 (月) 22時32分