ソニア・スピネロSonia Spinello Quartet 「WONDERland」
(今年聴いて印象に残ったアルバムを-3)
やや陰影のある優しさのヴォーカルとロベルト・オルサー・トリオの美が聴きどころ
<Jazz>
Sonia Spinello Quartet「WONDERland」
ABEAT Records / ITA / AB JZ162 / 2016
Sonia Spinello(vo)
Roberto Olzer(p)
Yuri Goloubev(b)
Mauro Beggio(ds)
featuring
Bebo Ferra(g)
Fabio Buonarota(flh)
なんといってもRoberto Olzer Trioをバックにしての女性ヴォーカル・アルバムと言うことで、取り敢えずは聴いたものだ。ヴォーカリストはソニア・スピネロSonia Spinelloで、「ジャズ批評」で2016年の「JAZZ AUDIO DISC AWARD 2016-VOCAL」の金賞を取っている。「ジャズ批評」もちょっと新しもの好きのような気もしましたけど。この女性は私はこのアルバムで初めて知ったもので、イタリアの歌手だがそんなに若くはなさそうだが詳しいことは解らない。彼女名義のアルバムはこれが最初ではないかと思われる。
これも何故だか解らないが、スティーヴィー・ワンダーの曲がずら~と並んでいる(何ででしょうね?)、10曲中5曲もだ。だからアルバム・タイトルは「WONDERland」となっているのかも知れない。あとは彼女自身の曲3曲とスティングとベーシストのゴロウベフY.Goloubevの曲1曲づつである。
ヴォーカルの質はどちらかというと陰性、明るいというものでは無い。それはこのアルバムとしての表現なのか、もともと彼女の素質なのかこれも実は知らないのだ。又彼女の発声の高音部は私の好みとは少々異なっているが、中・低音に魅力を持っている。 M1."Visions"の出来が良いですね。この仕上げはスピネロのヴォーカルとのマッチングも良く、オルサーのピアノ、ゴロウベフのベースが又退廃的なムードに抒情的な美しさを盛り上げますね。これはなかなかとスタートでこのアルバムではトップ・クラスの出来。
M3."Fragile"はStingのポピュラーな曲。なかなか味なフィーリングで聴き応えがある。この曲は良く聴くのだが、彼女らしさというか、彼女の特徴をしっかり出して唄われている。これは寺島靖国の今年の『for Jazz Vocal Fans Only Vol.2 』(TYR1059)にも選ばれている。
M4."Sorry"は、スピネロ自身のオリジナルの曲で、哀感があって良いです。このアルバムでの彼女の曲では出色。Flugelhornが生きています。
M2.、M5.、M6.ではギターが入るが、どうもこのアルバムでは彼女とのマッチングに魅力が発揮出来ていない印象を受け、感動の仕上げは至っていなかった。
M7."Too shy to say"は、ベース・ソロから始まって、彼女の優しさのヴォーカルが入り、するとピアノがそれを支えるという流れで、シンバル音とピアノの力まない繊細な流れは聴きどころ。
こうした女性ヴォーカル・アルバムでのロベルト・オルサー・トリオの優しさの漲ったバック演奏の美しさは、聴きどころであったもの。
(視聴)
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