リサ・ヒルトンLisa Hiltonの2作「NOCTURAL」、「HORIZONS」
(今年聴いて印象に残ったアルバムを-5)
ピアノ・トリオをベースにトランペットとサックスのクインテットも展開
現代思想の漲っていると言われるピアノ・トリオ演奏を展開する人気の女流ピアニストのリサ・ヒルトンLisa Hiltonのアルバム2作を今年はそれなりに納得して聴いたのだった。
ピアニストがオーソドックスなベース、ドラムスとのトリオを演じていると、誰もが試みたいのがトランペットやサックスとの共演のようだ。この2枚はそんなアルバムで、彼女のピアノ・プレイが挑戦しているのがよく解る。ここで取りあげる2アルバムは、トリオと曲によってのトリオ+αのクインテット作品。
①<Jazz>
Lisa Hilton「NOCTURNAL」
Ruby Slippers Productions / US / 1020 / 2016
Lisa Hilton (p), Gregg August (b), Antonio Sanchez (ds), J.D. Allen (tsax), Terell Stafford(tp)
(Tracklist)
1. Nocturnal
2. A spark in the night
3. Seduction
4. Whirlwind
5. Willow weep for me
6. Where is my mind
MIDNIGHT SONATA
7. I.Symphony of blues
8. II.Desire
9. III.Midnight stars
10. Twilight
11. An augast remembered
何故か、前作『HORIZONS』 (2015年↓)に登場した彼女のオリジナル曲"Nocturnal"からスタートする。これはこのアルバム・タイトル曲でもある。そこには彼女の思い入れがあってのことだろう。クインテットの軽快なアンサンブルに彼女の発展的ジャズ心をみなければいけないのかも知れない。
②<Jazz>
Lisa Hilton「HORIZONS」
Ruby Slippers Productions / US / RSP1018 / 2015
Lisa Hilton (p), Sean Jones (tp), J.D. Allen(tsax), Rudy Royston (ds), Gregg August (b)
(Tracklist)
1. Vapors and Shadows
2. Nocturnal
3. Sunset and the Mocking Bird
4. The Sky and the Ocean
5. Gold on The Ceiling
6. Surfer Blues
7. Moon River
8. Lazy Moon
9. Perfect Day
10. When It Rains
11. Dolphins
12. Curents
(2作の感想)
本場アメリカですから、こんなプレイヤーが健闘しているのはよく解るところである。とにかく彼女のピアノ・プレイは、展開が流麗なメロディを描きつつしかもダイナミックな面を持っていて、Jazzそのもののからの発展形を探究しているとも感じられるセンスに漲っている。このあたりは所謂ジャズ・ファンにはどう捉えられるだろうか。
この2枚のアルバムは、一つのテーマで作られた連作のように思う。それはピアノ・トリオにサックス、トランペットをクインテット版ではあるが、主体はトリオ作品、曲によってサックス、トランペットが入るパターン。一方又彼女のピアノ・ソロ曲も登場する。
しかし私は元々ピアノ・トリオ好きですから、このアルバムでもやっぱりピアノ・トリオが良いですね。
『HORIZONS』では彼女自身のオリジナル曲"Vapors and Shadows"やDuke Ellingtonの"Sunset and the Mocking Bird"が聴きどころだし、『NOCTURNAL』では、3曲目の人気曲"Seduction"が情緒たっぷりでうっとりとする。”MIDNIGHT SONATA”とした組曲3曲M7-M9(I~III)は更にうっとりもので素晴らしい。と、言ったところで聴きどころはたっぷりとある。
そしてサックスやトランペットが入るとガラッとイメージが変わるのだが、これも私好みとは異なるも決して悪くない。 『NOCTURNAL』の彼女の曲"A spark in the night"、The Pixiesの"Where is my mind"が出色。押さえられたサックスとピアノが美しい。しかしサックスやトランペットのファンからすると若干欲求不満になりかねないかも。
トランペットとの相性の良い曲は"Willow weep for me"ですね。
ヨーロッパの哀愁とは異なった米国の情緒の魅力と言ったところか。
彼女はカルフォルニア州出身、ジャズ・ピアニスト、作曲家、バンド・リーダーである。ちょっと年齢は解らないがミュージシャンとしては円熟期で、1997年より活躍している。アルバムも既に20枚以上有り業績的にはもうベテラン。
今回取りあげたこの2枚のアルバムでは、やっぱり私的には『NOCTURNAL』の方が推薦盤です。
(視聴)
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