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2018年1月29日 (月)

ボボ・ステンソンBobo Stenson Trio 「Contra la indecisión」

久しぶりに巨匠のピアノの世界に浮遊

<Jazz>
Bobo Stenson Trio 「Contra la indecisión」

ECM / Germ / ECM2582 5786976 / 2018

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Bobo Stenson (piano)
Anders Jormin (double bass)
Jon Fält (drums)

Bstriow

  しばらく聴いていなかったため、なにか懐かしい気持ちになって聴いているスウェーデンのピアニストの巨匠ボボ・ステンソンのトリオ最新作。過去のアルバムにみせた耽美で叙情詩的な世界を落ち着いた中に構築し、しかしフリー・ジャズのニュアンスのある彼ら独自のインプロをハイレベルで三位一体で展開してみせることも忘れていないアルバムとなっている。この浮ついたところのない静かな世界は、新年の新たな出発にぴったりのアルバムだ。

Bobo_stensonw2(Tracklist)
1. Canción Contra La Indecisión (Silvio Rodriguez)
2. Doubt Thou The Stars (Anders Jormin )
3. Wedding Song From Poniky (Béla Bartók)
4. Three Shades Of A House (Anders Jormin )
5. Élégie (Erik Satie)
6. Canción Y Danza VI (Frederic Mompou)
7. Alice (Bobo Stenson )
8. Oktoberhavet (Anders Jormin )
9. Kalimba Impressions (Bobo Stenson, Anders Jormin, Jon Fält)
10. Stilla(Anders Jormin )
11. Hemingway Intonations(Anders Jormin )

 さて収録曲は上のようなところ。7曲は彼らのオリジナル(ベーシストのアンデルス・ヨルミンAnders Jormin はなんと5曲、ボボ・ステンソンBobo Stenson は1曲、トリオ3人での1曲)で、その他はサティ、バルトークのほかモンポウなどの曲がお目見えするが、意外やキューバのシルヴィオ・ロドリゲスの曲(アルパム・タイトル曲)が冒頭に登場する。
 とにかく、全てを知り尽くしたと言えるベテランのボボ・ステンソンのピアノには、静謐な美しさと共に乱れのない彼の築く空間の世界が厳然とこのアルバムにも構築されている。しかし今回も私は過去のアルバムから感じているところだが、ベーシストのヨルミンの果たしている役割が意外に大きいと思っているのだが・・・。

 M1. "Canción Contra La Indecisión"、ボボ・ステンソンの美しく思いの外明るいピアノのメロディーが展開。 
 M3. "Wedding Song From Poniky"は、 Béla Bartókの曲で、特にピアノの調べは、このアルバムでもピカイチの美しさにしばし我を忘れる。
 M2. "Doubt Thou The Stars"、 M8. "Oktoberhavet"などヨルミンによる曲では、彼のアルコ奏法に織り交ぜてのシンバルの繊細な響きも加わった美しい世界で、なかになか深遠で聴き応えある。
 M7. "Alice"は、ステンソンの曲だが、彼の特徴の一つでもあるECM的空間にフリー・ジャズとも言える世界を展開している。繊細なシンバルの響き、メロディというよりは静寂な空間を描くピアノの音、こうした味付けは過去にも見られた手法である。そしてこの曲と同時に、その後の3者によるM9. "Kalimba Impressions"も、そこにはトリオのインプロヴィゼーションによる静かな中に描くスリリングなインタープレイの味が聴き所だ。
 M10. "Stilla"は、彼らのジャズ心をトリオのそれぞれの味を交錯させての見事なアンサンブルを演じた1曲。

Reflectionsw_2 私は思い起こせば、ボボ・ステンソンを最初に聴いたのは、1996年のECM盤アルバム『Reflections』(ECM/ECM1516)(右上)であったかも知れない。あのアルバムは、美しさの漂う曲と共に、決して軟弱でない彼らの凜々しさを感じたアルバムであった事を思い出す。
 その後ニューヨークに進出してのドラマーにポール・モチアンを迎えてのこれもECM盤『Goodbye』(2005年リリース、2016年再発ECM/UCCU-5753)(右下)あたりは、その取り合わせに驚きつつもGoodbyew
キース・ジャレットとは又違った北欧の臭いのするフリー・ジャズの流れに感動して聴いたのだった。

 この今回のアルバムは、過去のものとの比較では、フリージャズの実験性の色合いは減少していて、ボボ・ステンソンの野心性は後退してはいるが、やはり美しさの中に描くハイレベルの空間の美はお見事と言わざるを得ない。

(参考)Bobo Stenson
 1944 年、スウェーデン出身。音楽一家に育つ。 10 代の時から演奏活動を始め、ソニー・ロリンズ、スタン・ゲッツ、ドン・チェリーなどとセッションを重ねたようだ。 1970 年代には盟友ヤン・ガルバレクと共にカルテットで活動を開始、この頃は私はあまりマークして居らず、当時の作品は歴史的名盤と言われているが実のところ聴いていない。1971 年にはアリルド・アンデルセンとヨン・クリステンセンを迎え、自己のトリオを結成。 その後、トーマス・スタンコ、チャールズ・ロイドなどのグループにも参加。現在は、トリオとしてアンデルス・ヨルミンとヨン・フェルトと活動を続けている。このトリオは、北欧の自然をイメージする音楽的空間を描きつつ、音楽をプログレッシブな感覚で構築する現代最高のアンサンブルとして尊敬を集めていると言うのだ。ステンソンは既に70歳を越えており、キース・ジャレットと双璧をなす北欧の巨匠とされている。 

<Bobo Stenson Discography>
Underwear (ECM, 1971)
Reflections (ECM, 1993)
War Orphans (ECM, 1997)
Serenity (ECM, 1999)
Goodbye (ECM, 2005)
Cantando (ECM, 2007)
Indicum (ECM, 2012)
Contra la indecisión(2018)

The Sounds around the House, Piano Solo (Caprice Records, 1983)
Very Early (Dragon Records, 1987)
Solo Piano (La Sensazione, 1999)

(視聴)

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2018年1月25日 (木)

リズ・ライトLizz Wright 近作「GRACE」

( 2017年リリース 印象に残ったアルバムを-11 )

スピリチャル・ヴォイス満開のリズ・ライト

<Jazz, Blues, Gospel>
Lizz Wright 「GRACE」
Universal Music / JPN / USSCO-1192 / 2017

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Lizz Wright (Vocals)
Kenny Banks Sr.(p), Marc Ribot(G), David Piltch(B),  Chris Bruce(G),Marvin Sewell(G), Jay Bellerose(D), Patrick Warren(Key)

Lizzwright2_2 リズ・ライトLizz Wright (born January 22, 1980)は、 もう日本でも知られている米国南部ジョージア州出身のジャズ、ゴスペル歌手(ブルース、ソウル、フォークの因子も)だ。
 父親は、教会の牧師で音楽監督を務めていた。その影響で、ブルース、ジャズに開眼。高校では聖歌隊に参加し、ナショナル・コーラル・アウォードという賞を受賞しているようだ。ジョージア州立大学では本格的なバンド活動をし、大学卒業後にジョー・サンプルのアルバム『The Pecan Tree』(2002年)にてデビュー。ジョー・サンプル・バンドのメンバーを務める。2003年にVerveから自己の1stアルバム『Salt』をリリース。

 本作はConcordに移籍しての2作目(デビュー以来通算6作目)。彼女のルーツであるアメリカ南部のソウル曲が中心、Ray Charles, Allen Toussaint,  k.d. lang, Bob Dylan, Frank Perkinsや Mitchell Parishなど懐かしの往年のミュージシャンをカヴァーしている。
 プロデュースはシンガーソングライターJoe Henryだが、おそらくリズの歩んだ道から彼女のセンスで選曲されたところが多いのではと思う。LAのサンセット・ブルヴァードでのライヴ録音、そしてユナイテッド・レコーディング・スタジオでの多彩なミュージシャン達との録音による作品。

(Tracklist)
1.  Barley (Allison Russell)
2.  Seems I’m Never Tired Lovin’ You (Cortez Franklin)
3.  Singing in My Soul (Thomas A Dorsey)
4.  Southern Nights (Allen Toussaint)
5.  What Would I Do (Ray Charles)
6.  Grace (Rose Cousins-Mark Erelli)
7.  Stars Fell on Alabama (Frank Perkins-Mitchell Parish)
8.  Every Grain of Sand (Bob Dylan)
9.  Wash Me Clean  (k.d. lang)
10. All the Way Here(Lizz Wright-Maia Sharp)
11. This is Heven to Me  (Bonus Track)

Ribotschindelbeckwiki とにかく充実感のある彼女の歌声がやはり魅力ですね。又曲も哀感のあるものから、美しい世界を描くものと充実していて彼女の歌いあげる充実ヴォイスに感動するアルバムだ。バックも素晴らしく、20年来一緒に活動してきたKenny Banks Sr.、スペシャル・ゲスト・ギタリストMarc Ribot(→), ベースの David Piltch, ギタリスト Chris BruceとMarvin Sewell, ドラマーJay Bellerose, キーボーディスト Patrick Warrenが参加して充実。

 M1.  "Barley" スタートのこれって"大麦"のことなのか、南部の穀倉地帯での生活を唄うのか、リズム感たっぷりのフォーキーな曲で、幕開きとしては十分の説得力。
 ロカビリー調の曲(M3. " Singing in My Soul" )もあるが、ほぼ全編ゆったりとした曲と彼女のヴォーカルをじっくり楽しめる。時にバッキング・コーラスも入って盛り上げる(M2、M6など)。
 なんと言ってもやはりアルバム・タイトル曲のM6. "Grace"が私はお気に入り。これは"優雅、恩恵、慈悲、感謝"という意味なのだろうが、やはり"感謝"なのだろう思う。バラード曲で彼女の歌い込み説得力十分の良い曲だ。
 M2. " Seems I’m Never Tired Lovin’ You"も哀感ある愛がたっぷりで聴き惚れる。
 又、M7、M9などは、バックのギターも美しく、単なる歌ものでなく聴くに十分な魅力をもっている。
 
 南部のソウルをもってして歴史的ストーリーを綴っているようだが、彼女のスピリチャルな歌声による決して暗くならずむしろ感謝の心を示しつつ希望を持たせる曲に仕上げたアルバム作りに感動すらあった。

(参考)Lizz Wright Discography
<Verve>
『Salt』(2003年)
『Dreaming Wide Awake』(2005年)
『The Orchard』(2008年)
『Fellowship』(2010年)
<Concord>
『Freedom & Surrender』(2015年)
『Grace』(2017年)


(視聴)

 

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2018年1月21日 (日)

ケリー・グリーンKelly Green(piano & Voice) 「LIFE REARRANGED」

( 2017年リリース 印象に残ったアルバムを-10 )

才色兼備のピアニスト・ヴォーカリストのデビュー・アルバム
     ~描くは、都会の人間模様か~

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<Jazz>
Kelly Green 「LIFE REARRANGED」
Inpartmaint Inc. / JPN / IPM-8081 / 2017


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KELLY GREEN (piano,vocal)
CHRISTIAN MCBRIDE (bass)
STEVE NELSON (vibraphone)
JOSH EVANS (trumpet)
NOAM ISRAELI (drums)
TAMIR SHMERLIMG (bass)
MIKE TROY (alto saxophone)
KUSH ABADEY (drums)
JOVAN ALEXANDRE (tenor saxophone)
MATT DWONSZYK (bass)

 才色兼備のピアニスト&ヴォーカリストとして売り出しのケリー・グリーンKelly Green(Floridaに生まれ育つ)のデビュー・アルバム。ピアノの弾き語りを見事に披露するが、演奏に力が入った作品。基本的なベース、ドラムスのトリオに、曲によつて上のようなメンバーのトランペット、ヴィブラフォン、サックスなどを加えて味付けをしている。彼女はニューヨーク在住での活動と言うことで、雰囲気はやっぱりニューヨーク的で、ユーロとは違う。
 アルバム案内では、ヴォーカルはダイアナ・クラールに通ずると言っているが、聴いてみると全く違う。ハスキーを売り物にする魅力ではなくて、どちらかというと美声を売り物にする方だが、その声の性質自体はそれ程引きつけられる魅力を感じなかった。ただし、なにか不思議な雰囲気を持っていて、これが一つの武器になりそうだ。

Kg3w(Tracklist)
1. "Life Rearranged"   
2. "Never Will I Marry" feat. Josh Evans, Noam Israeli & Tamir Shmerling 
3. "I'll Know" feat. Christian McBride
4. "Little Daffodil" feat. Steve Nelson, Josh Evans, Noam Israeli & Tamir Shmerling   
5. "If You Thought to Ask Me" feat. Josh Evans, Kush Abadey, Jovan Alexandre, Mike Troy & Matt Dwonszyk
6. "I Should Care" feat. Christian McBride & Noam Israeli   
7. "Culture Shock" feat. Josh Evans, Kush Abadey, Jovan Alexandre, Mike Troy & Matt Dwonszyk   
8. "Sunday in New York" feat. Christian McBride, Josh Evans & Noam Israeli   
9. "Simple Feelings / The Truth" feat. Josh Evans, Kush Abadey, Jovan Alexandre, Mike Troy & Matt Dwonszyk   
10. "If I'm Lucky" feat. Steve Nelson   
11. "All of You" feat. Josh Evans, Jovan Alexandre, Mike Troy, Kush Abadey & Matt Dwonszyk   
12. "I Sing" feat. Christian McBride, Josh Evans & Noam Israeli
13. "Life Rearranged (Reprise)" feat. Josh Evans, Kush Abadey, Jovan Alexandre, Mike Troy & Matt Dwonszyk
14.  "Carousell" (bonus track)   


 これは彼女の弾き語りヴォーカルを単に前面に出したというものではない。つまり演奏に主力が置かれた曲もたっぷりと納まっている。
 ちょっとジャズ・アルバムとして珍しいのは、SEが使われているところだ。

Steve1w M1. "Life Rearranged"のスタートに、都会の生活ムードの電車の音が入りヴォーカルがスタート。これがなんとも不思議なムードで、曲の途中も顔を出し、そしてハイテンポの M2. "Never Will I Marry"に入って行く。タイトルからも都会に住む一人の女性の物語の始まりと・・・・言ったところか。
 M3. "I'll Know"はバラッド曲でジックリと訴え、そして電車のSEで閉じる。
 M4. "Little Daffodil"はヴィブラフォン(S. Nelson →)が登場して美しく、懐かしのジャズ・ムード。
 M5. "If You Thought to Ask Me"は、トランペットとサックスのハモリが効果を上げるよき時代を思わせるところだ。
  M7. "Culture Shock" も、トランペット、サックスの競演からスタート。両者のインプロが展開され、激しく演ずる陰でむしろピアノはサポート的に演ずる。ドラムス・ソロも展開。まさにジャズ・インスト曲の典型。12分に及ぼうかとする長曲。
Christian_mcbride1w  M8. "Sunday in New York" 彼女のヴォーカルに続いてトランペットが歌いあげる。そしてベースのソロも展開(C.Macbride→)、スウィングする演奏のそこはニューヨークのムードたっぷりだ。
 M9. "Simple Feelings / The Truth" は珍しくしっとりとしたヴォーカルに始まり上記メンバー総動員、静かにそれぞれが演奏するが最後は合奏となるも、乱れることなく落ち着いたパターンは保ったままで終わる。
 M10."If I'm Lucky" もしっとりと唄う、ピアノとヴィブラフォンが上手く曲を流す。このムードは頂きです。

 バックの演奏陣もなかなか芸達者で演奏が充実し、単なるヴォーカルものと言う雰囲気でなく、たっぷり演奏を聴かせている。全編を通して時に入る電車の走行音のSEも効果を上げてムード作りが上手い。歌詞など理解していないのだが、一つのコンセプトに集約されたアルバムとみた。私のようにユーロ・ジャズにどっぷりな人間にとって、こうしたよき時代を思わせるニューヨーク・ジャズにより構築された世界も時には良いものであった。

(視聴)

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2018年1月18日 (木)

Trio X of Sweden  「Atonement」

( 2017年に聴いて印象に残ったアルバムを-9 )

美メロによる快感と安心感・安堵感のアルバム
      ~良識ジャズの典型 ~

<Jazz>
Trio X of Sweden 「Atonement」
Prophone / SWE / PCD171 / 2017

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レナート・シモンソンLennart Simonsson(p)
パー・ヨハンソンPer V Johansson(b)
ヨアキム・エクバーグJoakim Ekberg(ds)

 レナート・シモンソン、パー・ヨハンソン、ヨアキム・エクバーグの3人によって2002年に結成されたピアノ・トリオ「Trio X of Sweden 」のニュー・アルバム。
 調べてみると、この「Trio X of Sweden」はスウェーデン中部のウプサラ県が地域の音楽文化を支える目的で主宰する「ウプランドの音楽(Musik i Uppland)」のアンサンブルのひとつと言うことだ。1987年に「Trio con X」として発足、2002年から現在の名称で活動しているとのこと。
 2012年に発表されたアルバム『Traumerei』は、クラシックをジャズアレンジした作品で好評を博したらしいが、私は未聴。ちょっと聴いてみたい気持ちになっている。
 今回のこの最新アルバムは、映画音楽やポピュラーミュージックをカヴァーして、シモンソンはじめ彼等のオリジナル曲をも適度に配して、とにかく優しく優雅に聴かせてくれる。アルバム・タイトルの『Atonement』とは”償い”という意味で、これには結構深い意味を込めているのかも知れない。美しくメロディアスでエレガントな作品である。

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(Tracklist)
1.  I skymningen (Wilhelm Peterson-Berger) たそがれに
2.  Somaoh (Lennart Simonsson)*
3.  Atonement (Lennart Simonsson)*
4.  Nå skrufva fiolen, Fredmans Epistel No 2 (Carl-Michael Bellman)
5.  Wedding March (Felix Mendelssohn) 結婚行進曲
6.  Urban Reconnection (Lennart Simonsson)*
7.  Vallflickans Dans (Hugo Alfvén) 羊飼いの娘の踊り
8.  Naomi (Per V Johansson)*
9.  Utskärgård (Bobbie Ericson)
10.  I hoppet sig min frälsta själ förnöjer, Swedish hymn No 325 (Trad. Hymn)
11.  Liksom en herdinna, Fredmans Epistel No 80 (Carl-Michael Bellman) フレードマンの手紙
12.  Theme from Schindler’s List (John Williams) シンドラーのリストのテーマ
13.  Raindrops Keep Fallin’ on My Head (Burt Bacharach) 雨にぬれても
14.  The Mulberry Tree (Lennart Simonsson)*
15.  Send in the Clowns (Stephen Sondheim)
                   
 (*印:オリジナル曲)

  このトリオの演奏は、まずは癖が無いといったところをまず感じますね。対象の曲も確かにジャズ、クラシック、トラッド、ソウル、ポップ、ロックとオールラウンドにこなします。もちろんピアニストLennart Simonssonを中心としての彼らのオリジナル曲も5曲登場している。ポピュラーに知られた曲も、勿論彼らなりきの編曲やインプロヴィゼーションの導入などが成されているが極めてオーソドックスなものに感じるし、なにかジャズの教科書的演奏に聴こえてくるんです。

 オリジナル曲も非常に優しいし、聴く方には快感です。特にベーシストのヨハンソンの曲M8.  "Naomi" は、なにか懐かしいメロディーで、郷愁におそわれる。そんな思いに連れて行ってくれる良い曲ですね。ベースによるメロディー、それに続くピアノに取って代わるメロディー両者の美しさにホッとするところです。
 更にシモンソンのM14. " The Mulberry Tree "(Lennart Simonsson)は、そのピアノの奏でるやや不安げな美メロによるなかなかの名曲。
 又なんとM5. " Wedding March" (Felix Mendelssohn)結婚行進曲まで登場するが、これが又結構静かな思索的ジャズに変身なんですね、これはちょっと驚き。
 スウェーデンの賛美歌M10. " I hoppet sig min frälsta själ förnöjer, Swedish hymn No 325"などにも心安まります。
 その他私にとってはジョン・ウィリアムズの「シンドラーのリストのテーマ」M12.  "Theme from Schindler’s List" (John Williams)には美しさと懐かしさで参ったと言ったところです。

 こんな良識と快い響きと安心感の漂ったアルバムも珍しい。誰にでも勧められるアルバムです。

               - - - - - - - - - - - - - - -

<追記> 2018.1.29

714f2h8rhllw さっそく彼らの2012年のアルバム『Träumerei』(PROPHONE/PCD139)(→)を早速聴くことが出来ました。いやはやこれもにくいアルバムですね。冒頭にM1."Träumerei"が登場するも、美しい中にやっぱりジャズなんですね。トリオ・メンバーのインプロが展開します。そしてM3."Sound the Trumpet"でスウィングするジャズを惜しげも無く展開して圧倒してくる。これはうかうか油断成らないぞと思わせ、そしてその後美しいピアノ・トリオに名曲のオンパレードで又々引き込むのです。Mozartの M10."Lacrimsa"やBachのM11."Air"にはもうメロメロにされました。
  (Tracklist)
1.  Träumerei Robert Schumann 1810-1856 From Kinderscenen op 15
2.  Vid Frösö kyrka / At Frösö Church Wilhelm Peterson-Berger 1867-1942From Frösö Flowers
3.  Sound the Trumpet, Beat the Drum Henry Purcell 1659-1695 Welcome Ode for James II
4.  Aria Johann Sebastian Bach 1685-1750 From The Goldberg Variations
5.  Promenade Modest Musorgskij 1839-1881 From Pictures at an Exhibition
6.  Moonlight Sonata Ludwig van Beethoven 1770-1827 Sonata No 14 op 27, 1st Movement
7.  Roslagsvår / Swedish Polka Hugo Alfvén 1872-1960
8.  Boléro Maurice Ravel 1875-1937
9.  Largo Frédéric Chopin 1810-1849 From Preludes op 28
10.  Lacrimosa Wolfgang Amadeus Mozart 1756-1791 From Requiem K 626 / Drick ur ditt glas Carl-Michael Bellman 1740-1795 Epistel No 30
11.  Air Johann Sebastian Bach 1685-1750

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    2018年1月14日 (日)

    寺島靖国選曲シリーズ「Jazz Bar 2017」 * ミケーレ・ディ・トロ Michele Di Toro Trio 

    これで17巻目、今回もやはり・・・ピアノ・トリオが中心で
      注目:ミケーレ・ディ・トロ・トリオMichele Di Toro Trio

    <Jazz>
    Y.Terashima Presents 「Jazz Bar 2017」
    TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1061 / 2017

    2017jazzbar

    (Tracklist)
    1. Lilofee [Edgar Knecht]
    2. Un Sogno d'estate [Lello Petrarca]
    3. Se non avessi piu' te [Jesper Bodilsen]
    4. On The Horizon [Jacob Christoffersen]
    5. Kasztany [L.A. Trio]
    6. Machismo Mouse [Darin Clendenin]
    7. A Bruxa [Abe Rábade]
    8. Pinocchio [Tingvall Trio]
    9. Esperanza [Michel Bisceglia]
    10. Purple Quarry [J.S. Trio]
    11. Distances [Michele Di Toro]
    12. My Love And I [Frank Harrison]
    13. Paris 2002 [Stephan Becker]

     2001年から始まったこのシリーズ、もう17年ですね。当初寺島靖国はこのオムニバスはレコード会社の選曲したものとは違う、だから売れても売れなくてもいい、だから個人色は出す、とにかく好きなものをかき集める・・・とスタートしたもの。結果は売れたと言うことですね、17年も続いているんですから。
     さて、今回の2017年盤は、上のように13曲選曲収録されている。ここで私は何時も取りあげているTingvall Trio(M8. "Pinocchio" ) そしてMichel Bisceglia(m9. "Esperanza" ) は当然と思っているが、M1. "Lilofee" [Edgar Knecht] そしてM3. "Se non avessi piu' te" [Jesper Bodilsen] 、M5. "Kasztany" [L.A. Trio]もなかなか素晴らしい。

     そして今回私の注目は、Michele Di Toro Trio(M11. "Distances" )とFrank Harrison Trio(M12. "My Love And I" )だった。そこでまずミケーレ・ディ・トロMichele Di Toro Trioについてここで焦点を当ててみたい。↓↓

     ① Michele Di Toro Trio 「PLAY」
         abeat for JAZZ / Italy / ABJZ134 / 2014

    Play

      「ジャズ批評2015 年3 月号」”ジャズオーディオ・ディスク大賞2014” の8 位に選ばれた注目盤であるが(この時のNo.1は、Alessandro Galati「Seals」だった)、ピアニストのミケーレ・ディ・トロの評判は聞いていながらも、実は彼のこのアルバムには手を付けてこなかったので、ここで敢えてよいチャンスと挑戦してみたわけである。

    Michele Di Toro (p)
    Yuri Goloubev (b)
    Marco Zanoli (ds)
    Recorded on January, 30th and 31th 2014 at Protosound Polyproject, Chieti, Italy

    (Tracklist)
    1.Lutetia *
    2.Ninna Nanna *
    3.Daunted Dance %
    4.Corale *
    5.Distances
    6.Remembering Chopin *
    7.Joni... %
    8.Change Of Scene *9.Touch Her Soft Lips And Part %
    10.Chorale VIII - Ascension %
           
     (*印:Michele Di Tro  、 %印:Yuri Goloubev)

     このトリオ・メンバーからもその内容は押して知るべしと言うところ。1曲を除いてその他全曲彼らのオリジナル曲。このアルバムのリーダーであるミケーレ・ディ・トロは4曲。そしてなんとベースのユーリ・ゴロウベフYuri Goloubevは頼もしいことに4曲も提供していて、彼はロシアのクラシック・ベーシストで今やユーロ・ジャズには無くてはならないベーシスト(私の好みのロベルト・オルサー・トリオのベーシストだ)。
     過去にマーシャル・ソラール賞やフリードリッヒ・グルダ賞を受賞したという名ピアニスト、ミケーレ・ディ・トロとユーリ・ゴロウベフのピアノトリオとなればやはり注目。とにかく上品で流麗なタッチで耽美な世界が展開して感動もの。繊細なメロディを奏でて、それに見合ったテクニックを披露するリズム陣の黄金トリオのアルバムだ。
     このアルバムのM5."Distances"が、今回の『Jazz Bar2017』に取りあげられたのだった。

     ② Michele Di Toro 「PLAYING WITH MUSIC」
          MUSIC CENTER / IMP / BA 161 CD / 2017

    Playingwm

      イタリア・ジャズ界でも、ナンバー1の美男子と言われるこのミケーレ・ディ・トロ。1974年生まれ。これは2003-2004年の彼の30歳を迎える時の録音もの。もともとクラシック・ピアノを身につけ、ショパンを愛し、あのエンリコ・ピエラヌンツィの流れにある。
     そしてこのアルバムは廃盤状態にあり”幻のイタリア・ジャズ・ピアノ盤”と言われ中古市場を賑わせていたもの。そして昨年再販盤がリリース。そんな訳で注目し、手に入れたのだが、ミケーレ・ディ・トロのピアノ・ソロ、デュオ、トリオ演奏で、ライブとスタジオ録音版。いかにもヨーロピアン・ジャズのピアニストと言った印象で、クラシックの影響も受けており、上品で流麗なタッチで耽美な世界が繰り広げられている。しかしここにみる彼のアレンジやインプロヴィゼーションは驚きの凄さで圧倒する。成る程名盤と言われるのも解る。聴いていてふと数歳年上のGiovanni Mirabassiが頭に浮かんだ。

    DitorowMichele Di Toro (p)
    Franco Cerri (g)
    Marcello Sebastiani (b)
    Marco (b)
    Alberto Biondi (ds)
    Tony Arco (ds)

    (Tracklist)
    1.  Sabrina *
    2.  Sensual Thought *
    3.  Honeysuckle Rose
    4.  How Insensitive
    5.  L'Importante E Finire
    6.  My Funny Valentine
    7.  In A Sentimental Mood
    8.  Playing "A La Turque" *
    9.  Farmer's Trust
    10.  See You! *
    11.  Marrakech * 
             (*印:Michele Di Toro)

     かって私は、プログレッシブ・ロツクの世界でイタリアのメロディアスな曲仕上げとロマンティズムは群を抜いていることに圧倒されたわけだが、これは長い歴史の中から国民的に培われて来たものであろうと思っている。そしてジャズ界においても全くその道はしっかりと息づいていて、彼の作品もその流れを十二分に演じきっている。

    (視聴) Michele Di Toro Trio

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    2018年1月11日 (木)

    エスペン・バルグ・トリオEspen Berg Trio「Bølge」

    (2017年に聴いて印象に残ったアルバムを-8

    美意識が支配する中にモダニズムを追求する静と動の交錯

    <Jazz>
    Espen Berg Trio「Bølge」
    BLUE GLEAM / JAPAN / BG008/ 2017


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    Espen Berg (p)
    Barour Reinert Poulsen (b)
    Simon Olderskog Albertsen (ds)

    Recorded at  Rainbow Studio, Oslo, Norway

     2016年にここでアルバム『モンステルmønster』(BlueGleam/JPN/BG-006/2015)を紹介したノルウェーの気鋭ピアニストの第2弾だ。彼らは2016年ジャパン・ツアーを行って、高評価を得ている。
     相変わらず憂いを湛えたリリシズムと静謐な美意識が支配する中にモダニズムを追求する静と動の交錯する3者のインタープレイが楽しめるアルバムである。ブラッド・メルドーエスビョルン・スベンソンの影響を受けていると言われておりその先進性を追求する姿勢も諾(うべな)るかなと言うところだ。

    1004670(Tracklist)
    1. Hounds of Winter
    2. Maetrix 
    3. XIII
    4. Bølge
    5. Tredje
    6. Cadae
    7. For Now
    8. Bridges
    9. Skoddefall
    10. Climbing
    11. Vandringsmann (Bonus Track)
    12. Scarborough Fair (Bonus Track)


     オープニングのM1. "Hounds of Winter"は、スタートから美しさと静かさとそして安定感をもって安堵感を醸し出してくれる。しかし中盤からはテンポを早めての変調して流麗なピアノの流れとアンサンブルの妙を見せる演奏、これが"Hounds"の姿なのか。そしてハイテンポのM2. "Maetrix"へと流れる。
     さてこのアルバム・タイトルの「Bølge」というのは、ノルウェー語で「波」を意味しているとか、なるほど寄せては返すという曲の流れを表現しているものと思われるがそんな世界を堪能できる。
      とにかくそのM4. "Bølge"の約7分の曲は彼らの真骨頂の美しさだ。「波」と言っても高い荒々しい波でなく、静かに広がりをもって寄せてくる人の心に精神的安定感と幸福感に満たしてくれる情景だ。この曲でこのアルバムは私のお気に入りとなるんです。
     しかし一方M6. "Cadae"に見るようなトリッキーにして荒々しくポリリズムの描くところ、彼らの尋常ならぬインタープレイの境地を示している。
     そして続くM7. "For Now"の反転しての美しい落ち着きの世界へと繋がり、自然と人間との交わりの中から描く情景に心を奪われる。
     M8. "Bridges"、M9. "Skoddefall"を聴くと、なるほど彼らのジャズ心はこんな複雑なアンサンブルのある先進性のあるところに目指していることが知ることが出来る。
     Bonus Trackとして聴き慣れたM12. "Scarborough Fair" が登場するが、流麗なピアノ・プレイを聴かせ編曲の妙を見せる。

     とにかく美しい旋律や哀感のある情景のみに浸ろうとすると、複雑な変拍子やポリリズムがパンチを浴びせてくる。しかしそれはあくまでも美しい世界を構築する彼らの目指す方法論としての重要な役割の一つとして果たしていることなのだろう。こうしたハイレベルな現代主義的トリオ・ジャズはこれからも注目のところにあると言える。

    (視聴)

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    2018年1月 8日 (月)

    ステイシー・ケントStacey Kent 「I know I dream」

    (2017年に聴いて印象に残ったアルバムを-7)

    ストリングス・オーケストラをバックに、とにかく優美なアルバム

     今年も美女狩りシリーズは相変わらず続きそうですが・・・・

    <Jazz>
    Stacey Kent 「I know I dream」
    Okeh / IMPORT / 88985462882 / 2017

    Iknowidream

    Stacey Kent : Vocals
    Jim Tominson : Saxophones
    Graham Harvey : Piano
    John Pericelli : Guitars
    Jeremy Brown : Bass
    Joshua Morrison : Drums      
    Adrian Bending : Orchestra Contractor

    etc.

     ステイシー・ケントはデビューは1997年と言うことで、20年のキャリアーでのニュー・アルバム登場。それも今回は初めてオーケストラとの共演と言うことで、彼女としてはかなりジャズ一点張りというのでなく広く対象を求めた感のある作品となった。
      彼女は、米国ニューヨーク生まれの女性ヴォーカリスト。サラ・ローレンス大学では文学を専攻したという(その為か、英語、フランス語、ポルトガル語がお見事)。91年のヨーロッパ旅行の際、ロンドンで英国のミュージシャンと交流を深めて以降、ロンドンを拠点に活動中ということだ。
      過去のアルバムはここでも何度か取り上げてきたが、前作は『Tenderly』(Okeh/88875156772/2015)で、これはそれからの2年ぶりの新作。
      こうして彼女もベテランとなってきているが、しかしなんとこのアルバムでも相変わらずその歌声はキュートで愛着あるところは昔と同じで、ファンも納得のところだろう。
     プロデュースはなんと彼女の夫でサックス奏者のジム・トムリンソン。Jazzy not Jazzを前面に出したのは、多分広く彼女を売って行こうという企み(笑)なんでしょうね。
     

    Gallerietrw(Tracklist)
    1. Double Rainbow
    2. Photograph
    3. Les amours perdues
    4. Bullet Train
    5. To Say Goodbye
    6. Make It Up
    7. Avec le temps
    8. I Know I Dream
    9. La Rua Madureira
    10. Mais Uma Vez
    11. That's All
    12. The Changing Lights

     オープニング曲はカルロス・ジョビンの"Double Rainbow"で、冒頭からフルートそしてストリングス・オーケストラの響きが流れ中盤ではサックスが響く、なるほどこれは所謂ジャズ・アルバムとは違って、Jazzy not Jazzの世界だ。M2. "Photograph"でも彼女のヴォーカルはひときわ丁寧に優しく美しく唄う。
     驚きはM4."Bullet Train"だ。これは”弾丸列車”と訳せば良いのか、なんと日本の新幹線のことだ。ここでは名古屋駅でのアナウンスがSEとして流れ、新幹線をテーマにした昨年ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロが歌詞を手掛けたと言う新曲の登場である。なかなか軽めに歌いあげて聴く方も何というか不思議な感覚になる。
     M5. "To Say Goodbye"もストリングスの流れが優美で、それとともに美しく歌いあげる。後半はサックスも歌いあげて曲の仕上げは美しさ一本に迫るものだ。
     M7. "Avec le temps"は、これはフランス語か、とにかく哀愁を持って歌いあげて聴かせる技も見事。彼女は意外にフランス語がなかなか合いますね。
     M8. "I Know I Dream"はタイトル曲だが、新曲のようでしっとりと聴かせてくれる。
     最後のM12. "The Changing Lights"は過去のアルバムからのストリングス・バージョン。

     とにかく、ジャズに捕らわれず彼女の魅力をたっぷりと多くの者に聴かせようとしたジャケのとおりの優美なアルバムであった。

    (視聴)

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    2018年1月 5日 (金)

     (新年第2弾) ヨーナ・トイヴァネン・トリオJoona Toivanen Trio 「XX」

    音の余韻を生かし透明感と共に深遠なる世界を描く

    <Jazz>

    JOONA TOIVANEN TRIO 「XX」
    CAM JAZZ / ITA / CAMJ7920-2 / 2017

    71hfsyvvadlxx

    Joona Toivanen (p)
    Tapani Toivanen (b)
    Olavi Louhivuori (ds)
    Recorded and mixed Cavalico on 31 May,1-2 June 2017 at Artesuono Recording Studio
    Recording & Miixing engineer Stefano Amerio

    Numurkah 澤野工房からの『Numurkah』(ATELIER SAWANO022 / 2000 (→))がリリースされて、我々も知ることになった若きメンバーのヨーナ・トイヴァネン・ピアノ・トリオ。全てを自らのオリジナル曲で網羅し、美しいピアノの流れに圧倒されたのだが、フィンランド生まれでスウェーデンで活躍中のトリオだ。今は嬉しいことにCAM JAZZから確実にニュー・アルバムをリリースしている。
      ここでも過去に取りあげた如く、このトリオの前作は2014年の『NOVEMBER』(CAMJ7878)で、更に最近は、ヨーナ・トイヴァネン自身のピアノ・ヒロ・アルバム『LONE ROOM』(CAMJ7904/2016)のリリースもあった。

    Miikkapirinen6650w

     トリオ・リーダーのヨーナ・トイヴァネンは1981年フィンランド生まれで、今年は30歳代後半に入ったところ。トリオは、弟であるタパニ(b)と、同級生だったオラヴィ・ルーヒヴオリ(ds)と共に1997年にフィンランドで10代に結成。過去に拘らない若さで、コンテンポラリーな雰囲気のある中に北欧独特のアンビエントな世界を描くジャズを持ち味として私もお気に入りのトリオだ。これはその不変のトリオのCAM JAZZからの3年ぶりのアルバムで、エンジニアとして今売り出しのステファノ・アメリオが担当している。
     そう言えば、ドラマーのオラヴィ・ルーヒヴオリは、ベテランの「トーマス・スタンコ・カルテット」にも加わっていて、今やスウェーデンでは名ドラマーの仲間入りか。

    Joonatoivanentriow(Tracklist)
    1. Polaroid (J. Toivanen)
    2. Robots (O. Louhivuori)
    3. Grayscape I (J. Toivanen)
    4. Grayscape II (J. Toivanen)
    5. Lament (J. Toivanen)
    6. The Owl (O. Louhivuori)
    7. Gemini (T. Toivanen)
    8. Seconds Before (J. Toivanen)
    9. Orion (J. Toivanen)
    10. Trails (T. Toivanen)
    11. Mt. Juliet (O. Louhivuori)

     収録リストを見ても、全11曲全て彼らのオリジナルに徹している。
     このアルバムもそうなのだが、北欧独特の叙情性を感じさせるプレイは、ピアノも打音が少なく、余韻を味わうべく透明感の高いどちらかというと「静」を描いている。このスタイルは、若さとは裏腹という感じで、つまるところ深遠なる世界を描くのである。
     又、時にピアノの弦も操作(ミュート)によってメロディーを流すことも有り、コンテンポラリーな世界も構築したりする。そんな中での北欧の都会とは離れた大自然の雰囲気すらも醸し出すところはお見事。ベースもアルコ奏法も交えて広がりと深みを構築する。更にドラマーのルーヒヴオリの曲M6."The Owl "にみるように、ドラムスによる描くところも如何にも北欧の自然を脳裏に浮かばせる一打一打の音に魂を込めているところは感動だ。とにかく曲作りの根本は、3者の演ずる音一つ一つをしっかりと聴かせる手法で構築する。聴く方もそんな流れに自然に集中してしまうのである。
     ところどころこのアルバムではミニマル奏法的なところが見受けられるが、曲の流れを次第に盛り上げていく手法としての一つだろうが、あまり拘るところがなく、アンビエントな世界に流して行くとこにおいては適量で納めている。このようなところも若さを感じさせないテクニシャンぶりには驚かされるのだ。

     こんな若き彼らの描く深遠なる世界で新年を迎えて心を新たにしているのである。

    (視聴)  "Polaroid"

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    2018年1月 1日 (月)

    謹賀新年   波蘭ジャズ=ピアノ・コンビレーション・アルバム「POLISH PIANISM」

     明けましてお目出度う御座います
     今年もよろしくお願いします       2018年元旦


    Trw
                                 (Mt. Asama)
                      *          *          *          *


    波瀾ジャズ=更なる
    発展期待のアルバムの登場だ!

    <Jazz>
    「POLISH PIANISM」
    CORE PORT / RPOZ-10037 / Japan

    91wlwiqzgw

    Mozdzer = Danielsson = Fresco,  Franciszek Raczkowski Trio,  Slawek Jaskulke Trio, Piotr Wylezol,  Hania Rani & Dobrawa Czocher,   Simple Acoustic Trio,   Sebastian Zawadzki Trio & Strings

      いずれそんな時が来るのでは・・・と、期待を込めながら待っていたアルバムの登場だ。ここれはポーランドのピアノを中心としたジャズ演奏陣のコンピレーションもの。
     このポーランドと言えば、2012年に旅行したことがあるのだが、とにかくクラシックは当然としてロック、ジャズをはじめ音楽というモノ全体を非常に愛して居る国民によって、重みのある長い歴史を乗り越えてきた新しい時代の国作りが行われいる国だ。
     又あのショパンの国だけあって、あらゆる音楽にその基礎には”音楽という学問”がきちんと備わっている印象を受けるのである。多分想像するに、国民の教育には音楽の価値感をしっかり幼少時からたたき込んでいるのではないかと思うのである。
     そんなところからも、ロックにおいてもプログレッシブ・タイプが好まれているし、ジャズにおいても美しいリリカルな旋律を聴かしながらも、新しいところにアプローチしていく姿が感じ取れる。しかも歴史的トラッド的ミュージックの尊重の姿もしっかり備わっているのだ。
     そんなところから、新年の第一号のアルバムとしては、これだと満を持して登場させる。

    Papoland
                                             (Kraków(Poland)にて 2012年筆者撮影)

     このアルバムは、そんなところを背景にこのジャンルに於いて今や追従を許さないオラシオ氏が選曲して作り上げたものだ。その結果下に全てを記すが、今やポーランドに限らすユーロ圏そして世界に支持者のいるミュージシャンの集合となった。
     かってのポーランド・ジャズ界での功労者クリシュトフ・コメダを思い起こすわけだが、今日に於いては、その流れをしっかりと発展させているレシェク・モジジェル、マルチン・ヴァシレフスキなどが、ここにも登場して楽しませてくれる。

      さてオラシオ氏の選曲だが、このアルバム製作に於いて彼の意気込みはかなりのものであったかと理解は出来るが、ちょっとポーランドのミュージシャンの芸術性に少々懲りすぎた感はぬぐえない。まあそんなところで、少々力が入りすぎたか?、このアルバムは非常に奥深く聴き応えは十分ではあるが、ちょっとゆとりを持って、ポーランドの親近感を増す為にも、もうちょっとポピュラーなイジーリスニング的な面も盛り込んでは良かったのではと、ふと思う。例えばコメダものであれば、Simple Acoustic TrioかLeszek Możdżerの”Sleep Safe a Warm (ローズマリーの赤ちゃん)”とか。
     そうは言っても、私のように特にジャズにおいてはユーロ系のリリカルな世界を好む人間にとっては、ポーランドというのは当然その対象として重要で有り、こうしたアルバムが登場したことは、極めて歓喜に値すると評価してしまうのである。

    (Tracklist)

    Leszek_mozdzerw1 モジジェル=ダニエルソン=フレスコ/「サファーリング」
    Możdżer - Danielsson – Fresco / 「Suffering」
    (Lars Danielsson) from "THE TIME" album P C 2005 Leszek Możdżerc
    # Leszek Możdżer (p), Lars Danielsson (b), Zohar Fresco (perc)

    2 フランチシェク・ラチュコフスキ・トリオ/「5/8」
    Franciszek Raczkowski Trio / 「 5/8」
    (Franciszek Raczkowski) from "Apperentice" album PC2015 for tune
    # Franciszek Raczkowski (p), Paweł Wszołek (b), Piotr Budniak (ds)


    Slawekjaskulke2trw_23 スワヴェク・ヤスクウケ・トリオ/「メアリ」
    Sławek Jaskułke Trio / 「Mary」
    (Sławek Jaskułke) from "ON" album PC2015 Sławek Jaskułke
    # Sławek Jaskułke (p), Max Mucha (b), Krzysztof Dziedzic (ds)

    4 ピョトル・ヴィレジョウ/「ホワイト・ウォーター」
    Piotr Wyleżoł / 「White Water」
    (Piotr Wyleżoł) from "Improludes" album P C 2014 Hevhetia
    # Piotr Wyleżoł (p)

    5 ハニャ・ラニ&ドブラヴァ・チョヘル/「レプブリカ・マジェニ」
    Hania Rani & Dobrawa Czocher / 「Republika Marzeń」
    (Grzegorz Ciechowski, Zbigniew Krzywański) from "Biała Flaga" album P C 2015 MyMusic
    # Hania Rani (p), Dobrawa Czocher (cello)


    Marcinw6 シンプル・アコースティック・トリオ/「シンプル・ジャングル」
    Simple Acoustic Trio / 「Simple Jungle」
    (Marcin Wasilewski) from "Habanera" album PC 2000 Marcin Wasilewski
    # Marcin Wasilewski (p), Sławomir Kurkiewicz (b), Michał Miśkiewicz (ds)

    7 セバスティアン・ザヴァツキ・トリオ&ストリングズ/「ズヴウォカ」
    Sebastian Zawadzki Trio & Strings / 「Zwłoka」
    (Sebastian Zawadzki) from "Euphony" album PC2015 for tune
    # Sebastian Zawadzki (p), Sofie Meyer (1st vln), Polyxeni Zavitsanou (1st vln), Kalina Wasilewska (2nd vln), Susan Bregston (viola), Valeriya Sholokova (cello), Johannes Vaht (b), Morten Lund (ds)

    1tubisw8 トゥビス・トリオ/「シェデム・シェデム」
    Tubis Trio / 「Siedem Siedem」
    (Maciej Tubis) from "Live in Luxembourg" album PC2008 Maciej Tubis
    # Maciej Tubis (p), Marcin Lamch (b), Przemek Pacan (ds)


    9 レシェク・クワコフスキ/「プションシニチュカ」
    Leszek Kułakowski / 「Prząśniczka」
    (Stanisław Moniuszko) from "Katharsis" album PC1999 Leszek Kułakowski
    # Leszek Kułakowski (p), Jacek Niedziela (b), Marcin Jahr (ds), Paweł Kukliński (1st vln), Jakub Rabizo (2nd vln), Błażej Maliszewski (viola), Tadeusz Samerek (cello)


    Michaltoajw10 ミハウ・トカイ・トリオ/「ザ・サイン」
    Michał Tokaj Trio / 「The Sign」
    (Michał Tokaj) from "the sign" album P C 2014 Hevhetia
    # Michał Tokaj (p), Michał Barański (b), Łukasz Żyta (ds)

    11 スワヴェク・ヤスクウケwithハンセアティカ・チェンバー・オーケストラ/「バイ・ゾポト」
    Sławek Jaskułke with Hanseatica Chamber Orchestra / 「By Zopt」
    (Sławek Jaskułke) from "Fill the Harmony Philharmonics" album PC2005 Sławek Jaskułke
    # Sławek Jaskułke (p), Sławomir Kurkiewicz(b), Krzysztof Dziedzic(ds), Hanseatica Chamber Orchestra


    (視聴)

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