寺島靖国選曲シリーズ「Jazz Bar 2017」 * ミケーレ・ディ・トロ Michele Di Toro Trio
これで17巻目、今回もやはり・・・ピアノ・トリオが中心で
注目:ミケーレ・ディ・トロ・トリオMichele Di Toro Trio
<Jazz>
Y.Terashima Presents 「Jazz Bar 2017」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1061 / 2017
(Tracklist)
1. Lilofee [Edgar Knecht]
2. Un Sogno d'estate [Lello Petrarca]
3. Se non avessi piu' te [Jesper Bodilsen]
4. On The Horizon [Jacob Christoffersen]
5. Kasztany [L.A. Trio]
6. Machismo Mouse [Darin Clendenin]
7. A Bruxa [Abe Rábade]
8. Pinocchio [Tingvall Trio]
9. Esperanza [Michel Bisceglia]
10. Purple Quarry [J.S. Trio]
11. Distances [Michele Di Toro]
12. My Love And I [Frank Harrison]
13. Paris 2002 [Stephan Becker]
2001年から始まったこのシリーズ、もう17年ですね。当初寺島靖国はこのオムニバスはレコード会社の選曲したものとは違う、だから売れても売れなくてもいい、だから個人色は出す、とにかく好きなものをかき集める・・・とスタートしたもの。結果は売れたと言うことですね、17年も続いているんですから。
さて、今回の2017年盤は、上のように13曲選曲収録されている。ここで私は何時も取りあげているTingvall Trio(M8. "Pinocchio" ) そしてMichel Bisceglia(m9. "Esperanza" ) は当然と思っているが、M1. "Lilofee" [Edgar Knecht] そしてM3. "Se non avessi piu' te" [Jesper Bodilsen] 、M5. "Kasztany" [L.A. Trio]もなかなか素晴らしい。
そして今回私の注目は、Michele Di Toro Trio(M11. "Distances" )とFrank Harrison Trio(M12. "My Love And I" )だった。そこでまずミケーレ・ディ・トロMichele Di Toro Trioについてここで焦点を当ててみたい。↓↓
■ ① Michele Di Toro Trio 「PLAY」
abeat for JAZZ / Italy / ABJZ134 / 2014
「ジャズ批評2015 年3 月号」”ジャズオーディオ・ディスク大賞2014” の8 位に選ばれた注目盤であるが(この時のNo.1は、Alessandro Galati「Seals」だった)、ピアニストのミケーレ・ディ・トロの評判は聞いていながらも、実は彼のこのアルバムには手を付けてこなかったので、ここで敢えてよいチャンスと挑戦してみたわけである。
Michele Di Toro (p)
Yuri Goloubev (b)
Marco Zanoli (ds)
Recorded on January, 30th and 31th 2014 at Protosound Polyproject, Chieti, Italy
(Tracklist)
1.Lutetia *
2.Ninna Nanna *
3.Daunted Dance %
4.Corale *
5.Distances
6.Remembering Chopin *
7.Joni... %
8.Change Of Scene %
9.Touch Her Soft Lips And Part
10.Chorale VIII - Ascension %
(*印:Michele Di Tro 、 %印:Yuri Goloubev)
このトリオ・メンバーからもその内容は押して知るべしと言うところ。1曲を除いてその他全曲彼らのオリジナル曲。このアルバムのリーダーであるミケーレ・ディ・トロは4曲。そしてなんとベースのユーリ・ゴロウベフYuri Goloubevは頼もしいことに4曲も提供していて、彼はロシアのクラシック・ベーシストで今やユーロ・ジャズには無くてはならないベーシスト(私の好みのロベルト・オルサー・トリオのベーシストだ)。
過去にマーシャル・ソラール賞やフリードリッヒ・グルダ賞を受賞したという名ピアニスト、ミケーレ・ディ・トロとユーリ・ゴロウベフのピアノトリオとなればやはり注目。とにかく上品で流麗なタッチで耽美な世界が展開して感動もの。繊細なメロディを奏でて、それに見合ったテクニックを披露するリズム陣の黄金トリオのアルバムだ。
このアルバムのM5."Distances"が、今回の『Jazz Bar2017』に取りあげられたのだった。
■ ② Michele Di Toro 「PLAYING WITH MUSIC」
MUSIC CENTER / IMP / BA 161 CD / 2017
イタリア・ジャズ界でも、ナンバー1の美男子と言われるこのミケーレ・ディ・トロ。1974年生まれ。これは2003-2004年の彼の30歳を迎える時の録音もの。もともとクラシック・ピアノを身につけ、ショパンを愛し、あのエンリコ・ピエラヌンツィの流れにある。
そしてこのアルバムは廃盤状態にあり”幻のイタリア・ジャズ・ピアノ盤”と言われ中古市場を賑わせていたもの。そして昨年再販盤がリリース。そんな訳で注目し、手に入れたのだが、ミケーレ・ディ・トロのピアノ・ソロ、デュオ、トリオ演奏で、ライブとスタジオ録音版。いかにもヨーロピアン・ジャズのピアニストと言った印象で、クラシックの影響も受けており、上品で流麗なタッチで耽美な世界が繰り広げられている。しかしここにみる彼のアレンジやインプロヴィゼーションは驚きの凄さで圧倒する。成る程名盤と言われるのも解る。聴いていてふと数歳年上のGiovanni Mirabassiが頭に浮かんだ。
Michele Di Toro (p)
Franco Cerri (g)
Marcello Sebastiani (b)
Marco (b)
Alberto Biondi (ds)
Tony Arco (ds)
(Tracklist)
1. Sabrina *
2. Sensual Thought *
3. Honeysuckle Rose
4. How Insensitive
5. L'Importante E Finire
6. My Funny Valentine
7. In A Sentimental Mood
8. Playing "A La Turque" *
9. Farmer's Trust
10. See You! *
11. Marrakech *
(*印:Michele Di Toro)
かって私は、プログレッシブ・ロツクの世界でイタリアのメロディアスな曲仕上げとロマンティズムは群を抜いていることに圧倒されたわけだが、これは長い歴史の中から国民的に培われて来たものであろうと思っている。そしてジャズ界においても全くその道はしっかりと息づいていて、彼の作品もその流れを十二分に演じきっている。
(視聴) Michele Di Toro Trio
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コメント
風呂井戸さんこんばんわ。
さっそくですが、この2作所有しております。ミケーレディトロ 私も好きです。
「PLAYING WITH MUSIC」の瑞々しくメロディアスなピアノには魅了されます。
おっしゃる通りクラシックで技術がしっかりしていて品が良いゴロウベフのベースと良い組み合わせですね。
また、ゴロウベフとオルサーのトリオも2作有しています。
好きなアルバムを記事にされていたので、どうしてもコメントしたくなりました。
今後も記事楽しみにさせていただきます。
松井
投稿: baikinnmann | 2018年1月15日 (月) 20時22分
baikinnmannさん、おはようございます。
やはり押さえるところはしっかりと押さえているのですね(ニッコリ)。私は評判を聞きながら、彼をきちんと聴いてこなかったものですから、今回丁度良いチャンスと2枚手にして楽しんでいます。やはりイタリアの底力を感じています。しっかりとした土壌があっての快作と思っています。更なる期待株ですね。
投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2018年1月16日 (火) 09時29分