(新年第2弾) ヨーナ・トイヴァネン・トリオJoona Toivanen Trio 「XX」
音の余韻を生かし透明感と共に深遠なる世界を描く
<Jazz>
JOONA TOIVANEN TRIO 「XX」
CAM JAZZ / ITA / CAMJ7920-2 / 2017
Joona Toivanen (p)
Tapani Toivanen (b)
Olavi Louhivuori (ds)
Recorded and mixed Cavalico on 31 May,1-2 June 2017 at Artesuono Recording Studio
Recording & Miixing engineer Stefano Amerio
澤野工房からの『Numurkah』(ATELIER SAWANO022 / 2000 (→))がリリースされて、我々も知ることになった若きメンバーのヨーナ・トイヴァネン・ピアノ・トリオ。全てを自らのオリジナル曲で網羅し、美しいピアノの流れに圧倒されたのだが、フィンランド生まれでスウェーデンで活躍中のトリオだ。今は嬉しいことにCAM JAZZから確実にニュー・アルバムをリリースしている。
ここでも過去に取りあげた如く、このトリオの前作は2014年の『NOVEMBER』(CAMJ7878)で、更に最近は、ヨーナ・トイヴァネン自身のピアノ・ヒロ・アルバム『LONE ROOM』(CAMJ7904/2016)のリリースもあった。
トリオ・リーダーのヨーナ・トイヴァネンは1981年フィンランド生まれで、今年は30歳代後半に入ったところ。トリオは、弟であるタパニ(b)と、同級生だったオラヴィ・ルーヒヴオリ(ds)と共に1997年にフィンランドで10代に結成。過去に拘らない若さで、コンテンポラリーな雰囲気のある中に北欧独特のアンビエントな世界を描くジャズを持ち味として私もお気に入りのトリオだ。これはその不変のトリオのCAM JAZZからの3年ぶりのアルバムで、エンジニアとして今売り出しのステファノ・アメリオが担当している。
そう言えば、ドラマーのオラヴィ・ルーヒヴオリは、ベテランの「トーマス・スタンコ・カルテット」にも加わっていて、今やスウェーデンでは名ドラマーの仲間入りか。(Tracklist)
1. Polaroid (J. Toivanen)
2. Robots (O. Louhivuori)
3. Grayscape I (J. Toivanen)
4. Grayscape II (J. Toivanen)
5. Lament (J. Toivanen)
6. The Owl (O. Louhivuori)
7. Gemini (T. Toivanen)
8. Seconds Before (J. Toivanen)
9. Orion (J. Toivanen)
10. Trails (T. Toivanen)
11. Mt. Juliet (O. Louhivuori)
収録リストを見ても、全11曲全て彼らのオリジナルに徹している。
このアルバムもそうなのだが、北欧独特の叙情性を感じさせるプレイは、ピアノも打音が少なく、余韻を味わうべく透明感の高いどちらかというと「静」を描いている。このスタイルは、若さとは裏腹という感じで、つまるところ深遠なる世界を描くのである。
又、時にピアノの弦も操作(ミュート)によってメロディーを流すことも有り、コンテンポラリーな世界も構築したりする。そんな中での北欧の都会とは離れた大自然の雰囲気すらも醸し出すところはお見事。ベースもアルコ奏法も交えて広がりと深みを構築する。更にドラマーのルーヒヴオリの曲M6."The Owl "にみるように、ドラムスによる描くところも如何にも北欧の自然を脳裏に浮かばせる一打一打の音に魂を込めているところは感動だ。とにかく曲作りの根本は、3者の演ずる音一つ一つをしっかりと聴かせる手法で構築する。聴く方もそんな流れに自然に集中してしまうのである。
ところどころこのアルバムではミニマル奏法的なところが見受けられるが、曲の流れを次第に盛り上げていく手法としての一つだろうが、あまり拘るところがなく、アンビエントな世界に流して行くとこにおいては適量で納めている。このようなところも若さを感じさせないテクニシャンぶりには驚かされるのだ。
こんな若き彼らの描く深遠なる世界で新年を迎えて心を新たにしているのである。
(視聴) "Polaroid"
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