ケリー・グリーンKelly Green(piano & Voice) 「LIFE REARRANGED」
( 2017年リリース 印象に残ったアルバムを-10 )
才色兼備のピアニスト・ヴォーカリストのデビュー・アルバム
~描くは、都会の人間模様か~
<Jazz>
Kelly Green 「LIFE REARRANGED」
Inpartmaint Inc. / JPN / IPM-8081 / 2017
KELLY GREEN (piano,vocal)
CHRISTIAN MCBRIDE (bass)
STEVE NELSON (vibraphone)
JOSH EVANS (trumpet)
NOAM ISRAELI (drums)
TAMIR SHMERLIMG (bass)
MIKE TROY (alto saxophone)
KUSH ABADEY (drums)
JOVAN ALEXANDRE (tenor saxophone)
MATT DWONSZYK (bass)
才色兼備のピアニスト&ヴォーカリストとして売り出しのケリー・グリーンKelly Green(Floridaに生まれ育つ)のデビュー・アルバム。ピアノの弾き語りを見事に披露するが、演奏に力が入った作品。基本的なベース、ドラムスのトリオに、曲によつて上のようなメンバーのトランペット、ヴィブラフォン、サックスなどを加えて味付けをしている。彼女はニューヨーク在住での活動と言うことで、雰囲気はやっぱりニューヨーク的で、ユーロとは違う。
アルバム案内では、ヴォーカルはダイアナ・クラールに通ずると言っているが、聴いてみると全く違う。ハスキーを売り物にする魅力ではなくて、どちらかというと美声を売り物にする方だが、その声の性質自体はそれ程引きつけられる魅力を感じなかった。ただし、なにか不思議な雰囲気を持っていて、これが一つの武器になりそうだ。
(Tracklist)
1. "Life Rearranged"
2. "Never Will I Marry" feat. Josh Evans, Noam Israeli & Tamir Shmerling
3. "I'll Know" feat. Christian McBride
4. "Little Daffodil" feat. Steve Nelson, Josh Evans, Noam Israeli & Tamir Shmerling
5. "If You Thought to Ask Me" feat. Josh Evans, Kush Abadey, Jovan Alexandre, Mike Troy & Matt Dwonszyk
6. "I Should Care" feat. Christian McBride & Noam Israeli
7. "Culture Shock" feat. Josh Evans, Kush Abadey, Jovan Alexandre, Mike Troy & Matt Dwonszyk
8. "Sunday in New York" feat. Christian McBride, Josh Evans & Noam Israeli
9. "Simple Feelings / The Truth" feat. Josh Evans, Kush Abadey, Jovan Alexandre, Mike Troy & Matt Dwonszyk
10. "If I'm Lucky" feat. Steve Nelson
11. "All of You" feat. Josh Evans, Jovan Alexandre, Mike Troy, Kush Abadey & Matt Dwonszyk
12. "I Sing" feat. Christian McBride, Josh Evans & Noam Israeli
13. "Life Rearranged (Reprise)" feat. Josh Evans, Kush Abadey, Jovan Alexandre, Mike Troy & Matt Dwonszyk
14. "Carousell" (bonus track)
これは彼女の弾き語りヴォーカルを単に前面に出したというものではない。つまり演奏に主力が置かれた曲もたっぷりと納まっている。
ちょっとジャズ・アルバムとして珍しいのは、SEが使われているところだ。
M1. "Life Rearranged"のスタートに、都会の生活ムードの電車の音が入りヴォーカルがスタート。これがなんとも不思議なムードで、曲の途中も顔を出し、そしてハイテンポの M2. "Never Will I Marry"に入って行く。タイトルからも都会に住む一人の女性の物語の始まりと・・・・言ったところか。
M3. "I'll Know"はバラッド曲でジックリと訴え、そして電車のSEで閉じる。
M4. "Little Daffodil"はヴィブラフォン(S. Nelson →)が登場して美しく、懐かしのジャズ・ムード。
M5. "If You Thought to Ask Me"は、トランペットとサックスのハモリが効果を上げるよき時代を思わせるところだ。
M7. "Culture Shock" も、トランペット、サックスの競演からスタート。両者のインプロが展開され、激しく演ずる陰でむしろピアノはサポート的に演ずる。ドラムス・ソロも展開。まさにジャズ・インスト曲の典型。12分に及ぼうかとする長曲。
M8. "Sunday in New York" 彼女のヴォーカルに続いてトランペットが歌いあげる。そしてベースのソロも展開(C.Macbride→)、スウィングする演奏のそこはニューヨークのムードたっぷりだ。
M9. "Simple Feelings / The Truth" は珍しくしっとりとしたヴォーカルに始まり上記メンバー総動員、静かにそれぞれが演奏するが最後は合奏となるも、乱れることなく落ち着いたパターンは保ったままで終わる。
M10."If I'm Lucky" もしっとりと唄う、ピアノとヴィブラフォンが上手く曲を流す。このムードは頂きです。
バックの演奏陣もなかなか芸達者で演奏が充実し、単なるヴォーカルものと言う雰囲気でなく、たっぷり演奏を聴かせている。全編を通して時に入る電車の走行音のSEも効果を上げてムード作りが上手い。歌詞など理解していないのだが、一つのコンセプトに集約されたアルバムとみた。私のようにユーロ・ジャズにどっぷりな人間にとって、こうしたよき時代を思わせるニューヨーク・ジャズにより構築された世界も時には良いものであった。
(視聴)
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