リズ・ライトLizz Wright 近作「GRACE」
( 2017年リリース 印象に残ったアルバムを-11 )
スピリチャル・ヴォイス満開のリズ・ライト
<Jazz, Blues, Gospel>
Lizz Wright 「GRACE」
Universal Music / JPN / USSCO-1192 / 2017
Lizz Wright (Vocals)
Kenny Banks Sr.(p), Marc Ribot(G), David Piltch(B), Chris Bruce(G),Marvin Sewell(G), Jay Bellerose(D), Patrick Warren(Key)
リズ・ライトLizz Wright (born January 22, 1980)は、 もう日本でも知られている米国南部ジョージア州出身のジャズ、ゴスペル歌手(ブルース、ソウル、フォークの因子も)だ。
父親は、教会の牧師で音楽監督を務めていた。その影響で、ブルース、ジャズに開眼。高校では聖歌隊に参加し、ナショナル・コーラル・アウォードという賞を受賞しているようだ。ジョージア州立大学では本格的なバンド活動をし、大学卒業後にジョー・サンプルのアルバム『The Pecan Tree』(2002年)にてデビュー。ジョー・サンプル・バンドのメンバーを務める。2003年にVerveから自己の1stアルバム『Salt』をリリース。
本作はConcordに移籍しての2作目(デビュー以来通算6作目)。彼女のルーツであるアメリカ南部のソウル曲が中心、Ray Charles, Allen Toussaint, k.d. lang, Bob Dylan, Frank Perkinsや Mitchell Parishなど懐かしの往年のミュージシャンをカヴァーしている。
プロデュースはシンガーソングライターJoe Henryだが、おそらくリズの歩んだ道から彼女のセンスで選曲されたところが多いのではと思う。LAのサンセット・ブルヴァードでのライヴ録音、そしてユナイテッド・レコーディング・スタジオでの多彩なミュージシャン達との録音による作品。
(Tracklist)
1. Barley (Allison Russell)
2. Seems I’m Never Tired Lovin’ You (Cortez Franklin)
3. Singing in My Soul (Thomas A Dorsey)
4. Southern Nights (Allen Toussaint)
5. What Would I Do (Ray Charles)
6. Grace (Rose Cousins-Mark Erelli)
7. Stars Fell on Alabama (Frank Perkins-Mitchell Parish)
8. Every Grain of Sand (Bob Dylan)
9. Wash Me Clean (k.d. lang)
10. All the Way Here(Lizz Wright-Maia Sharp)
11. This is Heven to Me (Bonus Track)
とにかく充実感のある彼女の歌声がやはり魅力ですね。又曲も哀感のあるものから、美しい世界を描くものと充実していて彼女の歌いあげる充実ヴォイスに感動するアルバムだ。バックも素晴らしく、20年来一緒に活動してきたKenny Banks Sr.、スペシャル・ゲスト・ギタリストMarc Ribot(→), ベースの David Piltch, ギタリスト Chris BruceとMarvin Sewell, ドラマーJay Bellerose, キーボーディスト Patrick Warrenが参加して充実。
M1. "Barley" スタートのこれって"大麦"のことなのか、南部の穀倉地帯での生活を唄うのか、リズム感たっぷりのフォーキーな曲で、幕開きとしては十分の説得力。
ロカビリー調の曲(M3. " Singing in My Soul" )もあるが、ほぼ全編ゆったりとした曲と彼女のヴォーカルをじっくり楽しめる。時にバッキング・コーラスも入って盛り上げる(M2、M6など)。
なんと言ってもやはりアルバム・タイトル曲のM6. "Grace"が私はお気に入り。これは"優雅、恩恵、慈悲、感謝"という意味なのだろうが、やはり"感謝"なのだろう思う。バラード曲で彼女の歌い込み説得力十分の良い曲だ。
M2. " Seems I’m Never Tired Lovin’ You"も哀感ある愛がたっぷりで聴き惚れる。
又、M7、M9などは、バックのギターも美しく、単なる歌ものでなく聴くに十分な魅力をもっている。
南部のソウルをもってして歴史的ストーリーを綴っているようだが、彼女のスピリチャルな歌声による決して暗くならずむしろ感謝の心を示しつつ希望を持たせる曲に仕上げたアルバム作りに感動すらあった。
(参考)Lizz Wright Discography
<Verve>
『Salt』(2003年)
『Dreaming Wide Awake』(2005年)
『The Orchard』(2008年)
『Fellowship』(2010年)
<Concord>
『Freedom & Surrender』(2015年)
『Grace』(2017年)
(視聴)
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コメント
salt 以来のファンです。最近は聴いてませんが、R&Bとかソウルというより、スピリチュアルという形容のほうがぴったりですね。
投稿: 爵士 | 2018年1月25日 (木) 21時07分
爵士さん、今晩わ。
おっしゃるとおりですね。爵士さんはしっかりと聴き込んできたんですね。今回はアルバム一枚としてトータルにじっくり一つの人生の流れとして聴いた方がよいと思われる作品と思いました。歌詞もしっかり確認したいところです。
しかし日本人には出せない声の重量感は聴き応えありますね。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年1月25日 (木) 22時00分
風呂井戸さん,こんにちは。
私はLizz Wrightをずっと贔屓にしていますが,今回はまたJoe Henryという優れたプロデューサーを得て,ますます素晴らしい作品をリリースしたなって思います。本作は昨年のベストの1枚にも選びましたしね。記事にも書きましたが,最近活動が控えめなCassandra Wilsonを,私の中では完全に越えました。
ということで,TBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2018年2月11日 (日) 17時20分
中年音楽狂さん、コメント、TB有り難うございます。確かライブにも参加しておられるごひいきのヴォーカリストなんですね(ニッコリ)。声量とそのマイルドにして充実感のある声の質は確かに群を越えています。そしてソウルフルなところが溜まらないですね。まだまだこれからが楽しみですね。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年2月11日 (日) 19時14分