ティル・ブレナーTill Brönner & ディーター・イルグDieter Ilg 「NIGHTFALL」
トランペットとベースのデュオ作品
<Jazz>
Till Brönner & Dieter Ilg 「NIGHTFALL」
Sony Masterworks / EU / 88985492112 / 2018
Till Brönner (Trumpet & Flugelhorn.)
Dieter Ilg (Bass)
ヨーロピアン・ジャズを代表するトランペッターのティル・ブレナーTill Brönner とディーター・イルグDieter Ilgのベースによるちょっと希有なデュオ作品。
ティル・ブレナーってこのところヴォーカルも健闘するミュージシャンで売ってるのだが、このアルバムでは、全くそれは登場なしでトランペッターのみの演技だ。
又この両者はドイツ出身で競演の歴史は長いようだが、私にとってはまるで初物。それもそのはず、私は意外にトランペットなどのラッパものは敬遠してしまって居るのです。そんな事でティル・ブレナーの接点は無いに等しい状態でしたが、しかし実は私がチェット・ベイカー等は好きなのを知っている友人が、これを聴くようにと宛がって来た事により、主体性無く聴くことになったのである。
まあ私のトランペットなどを敬遠してきた理由は、主として大編成のジャズ・バンドものでの派手なところの事なんですが、どうもファンファーレ的なものは好まないのだ。一方小編成でのマイルドにソフトに演ずるもの、ミュートを効かしたものなど、そして特にクールな世界はむしろ逆に好きなんです。そしてこれはそれに通ずる一枚だ。
(Tracklist)
1. A Thousand Kisses Deep - Leonhard Cohen
2. The Fifth of Beethoven - Ornette Coleman
3. Nightfall - Till Brönner & Dieter Ilg
4. Nobody Else But Me - Jerome Kern
5. Air - J.S.Bach
6. Scream & Shout - Will.I.Am & Britney Spears
7. Wetterstein - Till Brönner & Dieter Ilg
8. Eleanor Rigby - The Beatles
9. Peng! Peng! - Till Brönner & Dieter Ilg
10. Body & Soul - Johnny Green
11. Ach, bleib mit Deiner Gnade - Melchior Vulpius
こうして見ると解るが、、ポップス、ジャズ、クラシックの名曲を演じてますね。そしてアルバム・タイトル曲のM3. "Nightfall" はじめ、オリジナル曲は3曲登場する。
スタートM1. "A Thousand Kisses Deep"から、晩年のコーエンのムードたっぷりに、マイルドなフリューゲルホーンが響いて、う~んこれなら行けそうだとニンマリのパターン。そしてベースがリズムを演じたり、物語ったりとデュオの為にその活躍も手に取るように解るのだが、やはりM3. "Nightfall" の世界は、如何にも哀しそうなトランペットの響きを支えて背景の描きは、どちらかというと端正で好感度が高い。こんな流れで、ベースのムード作りの貢献度は両者の息の合ったところの結果だろうが非常に高い。私の浅い経験からはトランペットをこのように支えるところの世界は初感覚にも近いものだった。
M7. "Wetterstein"、 M9. "Peng! Peng!"のようなフリー・ジャズ的実験的世界をも演じてみせる味付けには驚いたが、究極のところ、彼らの基本的なところは静寂な世界を彩っていくというところにあると思うのだが、曲によっては静かな中にスリリングなところも見せて、ジャズに求める姿勢にも前衛的な面をしっかり抱えている。
ドイツと言うことで、ピンと来ないが、このアルバムには、チェット・ベイカーにも通ずるところを持ったトランペットの味がやはりあった。
ティル・ブレナーTill Brönner は、1971年5月6日ドイツ生まれ(40歳代後半に入った円熟期)。音楽一家に生まれ、9歳の時にトランペットを始め、クラシックの世界での訓練を積んできて、さま ざまなコンテストで優勝しているという。15歳の時にはクラシックに留まらず、ジャズのコンテストでも優勝している。更にケルン音楽大学でトランペットを専攻するなど、ベルリンでの活動も幅広い。
1993年、22歳になった彼は、いよいよ初のリーダー・アルバムを発表。アルバム・タイトルは、『ジェネレーション・オブ・ジャズ』。さらに『マイ・シークレット・ラヴ』(1995)、『ジャーマン・ソングス』(1996)と立て続けにリーダー作を発表。日本では1999年の『ラブ』からお目見えしているようだ。
Okehレーベルの最新作『ザ・グッド・ライフ』がヴォーカルも含め話題沸騰、”トランペット&ヴォーカルの貴公子”として君臨するに至っている。
以下のDiscographyにみるように、活動は1990年代から20年の実績を誇っている。
<Till Brönner Discography>
Generations of Jazz (Minor Music, 1994)
German Songs (Minor Music, 1996)
My Secret Love (Minor Music, 1996)
Midnight (Universal Classics & Jazz, 1997)
Love (Verve, 1999)
Chattin' with Chet (Verve, 2000)
Blue Eyed Soul (Universal/Verve, 2002)
Jazz Seen (A&M, 2002)
That Summer (Verve, 2004)
Oceana (EmArcy, 2006)
The Christmas Album (Universal/Verve, 2007)
Rio (Universal Classics & Jazz, 2009)
At the End of the Day (Bam Bam, 2010)
Till Bronner (Bam Bam, 2013)
The Movie Album (Verve, 2014)
Canyon Songs (MPS/Naxos, 2015)
The Good Life (Sony Masterworks, 2016)
Nightfall (Sony Masterworks, 2018) (with Dieter Ilg)
(視聴)
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コメント
トラバをありがとうございました。
仄暗い空間でしたよねぇ。
最後は、祈りにも似た敬虔な気持ちにもなりました。
タイトル曲がそのままアルバムを表していましたよね。
とらばします!
投稿: Suzuck | 2018年3月14日 (水) 08時18分
Suzuckさん、こちらこそコメント・TB有り難うございます。
アルバムタイトル曲"nightfall"は、"たそがれ"というより"深夜"のムードでしたが、それが又良かったです。
Paolo Fresuも・・・・ニュー・アルバムも出るようですしアプローチしたいです。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年3月14日 (水) 10時18分