福盛進也トリオShinya Fukumori Trio 「For 2 Akis」
<My Photo Album (瞬光残像)> (2018-No2)
「輝き」 (Feb. 2018 撮影)
日本とヨーロッパの美学の結合~品格のある名盤
<Jazz>
Shinya Fukumori Trio 「For 2 Akis」
ECM / GERM / ECM2574 / 2018
Matthieu Bordenave (tenor saxophone)
Walter Lang (piano)
Shinya Fukumori 福盛 進也 (drums)
フランス Pernes-les-Fontainesの(Studio) La Buissonneにて2017年3月録音
このところリリースされたECM盤の中でも注目されているアルバム。なんと日本とフランスとドイツの美学の結合だ。ベース抜きのピアノ、サックス、ドラムスのトリオ作品。バンド・リーダーは日本人福盛 進也、彼のドラムスがシンバルの繊細にしてスリリンクな音を主体にして響く。ピアノはウォルター・ラングとくるから聴きたくなりますね。
(Tracklist)
1. Hoshi Meguri No Uta 星めぐりの歌(宮澤賢治)
2. Silent Chaos
3. Ai San San 愛燦燦(小椋佳)
4. For 2 Akis
5. The Light Suite : Kojo No Tsuki荒城の月(滝廉太郎)/ Into The Light / The Light
6. No Goodbye
7. Spectacular
8. Mangetsu No Yube 満月の夕(中川敬&山口洋)
9. Emeraude
10. When The Day Is Done
11. Hoshi Meguri No Uta星めぐりの歌 (var.)
私はうるさいサックスはお断りなのだが、ここに響くマシュー・ボーデネイヴ(フランス)のテナー・サックスはユッタリとしていてソフトで、その役割はメロディーをしっとりと流すというところで落ち着いている。そうですね、ECM盤ですからそんなところです。そしてウォルター・ラング(ドイツ)のピアノは前衛的なところはお預けで、例の如くの優しく自然の姿を描くが如くの美的センスで演じられている。福盛 進也のドラムスもやや後方に位置して録音され切れ味のよいシャープな響きだが、けっして前面に出るというスタイルでなく、シンバルの響きも快い。
M1. "Hoshi Meguri No Uta" は、曲が曲だけに懐かしい郷愁感があって聴き惚れる。
M2. "Silent Chaos" のように静かなシンバルとブラッシングの中に、ピアノが美しく語り始めるパターンは良いですね。後から顔をだすサックスは無くとも十分世界を描ききっていると思うのだが・・・・これは私の好みですけど。
M5. "The Light Suite : Kojo No Tsuki/ Into The Light / The Light"が面白いですね。荒城の月の世界から広がり発展する宇宙空間までを、ややスリリングな展開をも加味してのドラムス・プレイをみせるジャズの味を忘れずに描ききっている。
まあジャケ・デザインにみる都会的な世界と言うよりは、日本の郷愁を呼ぶ曲を取り混ぜて、デリケートにして優しく懐かしの哀愁感があるところを描いて、牧歌的な自然の中の人間の美を感ずるところにある。
トリオの洗練されたインター・プレイも見事で、愛される要素のたっぷりとあるアルバムで、静謐にして品格すら感じられるところがあって、名盤の登場と言ってもよいのではないか。
福盛 進也は、15歳でドラムを始め、17歳時に渡米、ブルックヘブンカレッジ、テキサス大学アーリントン校を経て、ボストンのバークリー音大を卒業、10年間のアメリカでの活動後、2013年にドイツのミュンヘンへ拠点を移し、以来ヨーロッパ広域で活躍してきた日本人ドラマーで、1984年大阪府阿倍野区生まれである。
(視聴)
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コメント
いつかは出て来るんじゃないか、いやでないんじゃないか、と首を長くして待っていた、有名人ではない日本人のECMのリーダー作でした。見事にECMのサウンドと、ECMらしい日本の歌の演奏で、まいってしまいました。こういうアルバムなら、何度も聴きたいですね。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2018年3月 8日 (木) 22時51分
910さん、コメント、TB有難うございます。
日本の郷愁が見事にECMサウンドに結実したアルバムで、万歳です(笑い)。ヘルゲ・リエンも日本の美しさにアプローチしていますし、このウォルター・ラングも・・・・と、日本とユーロの伝統的な郷愁の美を融合してゆくことは大歓迎です。これからも福盛 進也に期待ですね。
投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2018年3月 9日 (金) 09時49分
「The 日本」って、メロディをシンプルに演奏してながら、
リリカルで美麗なピアノ、穏やかなサックス、そして、非常に美しいメロディを奏でるドラムが創り出す世界は、「The ECM」って、感じの美しい会話でしたよね。
全編、郷愁を誘う美音三昧でした…。
トラバをありがとうございました。
こちらからも、とらばしますね!
投稿: Suzuck | 2018年3月 9日 (金) 19時06分
Suzuckさん、コメント、TB有り難うございます。
福盛 進也は知らなかったため、若干躊躇していたんですが、Suzuckさん方々に好評で私もと言うことで聴くことになったものです^^)。結果は大正解で、日本の郷愁メロディーが見事にユーロECMに溶け込んでいます。彼のドラムスもそのリズムやメリハリが適度で気持ちが良かったです。ウォルター・ラングとのお付き合いも・・・良かったですね。
さて、次がどう出るか?ちょっと話が早いですが、それも気になるところですね。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年3月 9日 (金) 22時28分
風呂井戸さん,こんにちは。TBありがとうございました。
日本的なメロディを聞かせながらも,ちゃんとECMカラーに染まっているところが凄いですよねぇ。初リーダー作としては大成功だと思います。こうした美学こそがECMの真骨頂ですが,まさか「荒城の月」や「愛燦燦」がECMのアルバムで聞けるとは思いませんでした。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2018年3月10日 (土) 11時50分
ECMな静謐な音で日本の曲を聴くってのは、ちょっと不思議な感覚を味わいましたが、しっかり聴かせる演奏に仕上がっており、聴き応え十分でありました。
TBが入りにくいblogなんで、コメント内にてTBさせていただきます。
https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64435454.html
投稿: oza。 | 2018年3月10日 (土) 17時45分
中年音楽狂さん、コメント、TB有り難うございます。私は福盛進也に関しての知識は無かったため、若干尻込みしていたんですが、中年音楽狂さんはじめ皆さんに好評で、早速仕入れたわけですが、成功でした(笑い)。
日本の懐かしメロディーとECMサウンドとの合体が、何の違和感なく聴けたところがお見事ですね。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年3月10日 (土) 20時41分
OZAさん、わざわざコメントそしてTBアドレス有り難うございました。今年の皆に共通の初話題はまさに福盛進也ですね。
ECM世界を愛して居る私としては、この快挙は青天の霹靂といったところでした。さてこれからどうなるか・・・?と、不安と期待です。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年3月10日 (土) 20時46分