アレッサンドロ・ガラティ Alessandro Galati Trio 「OUTER GOLD, INNER LOAD.」
[My Photo Album (瞬光残像)] 四月の高原
優しく美しくそして深遠に・・・・スタンダードもガラティの世界
<Jazz>
Alessandro Galati Trio 「OUTER GOLD, INNER LOAD.」
ATELIER SAWANO / JPN / AS 161 / 2018
Alessandro Galati: piano
Gabriele Evangelista: bass
Stefano Tamborrino: drums
Recorded on 21,22/08/2017 at Artesuono Recording Studios UDINE, ITALY.
Recorded, Mixed & Mastered STEFANO AMERIO
いやはや、優しいアレッサンドロ・ガラティ・トリオのアルバムが登場しました。かっては、日本では彼の作品はBLUE GLEAMがリリースしてきたんですが、近年は澤野工房ATELIER SAWANOが担当していますね。昨年の『Cold Sand』(AS 155)を筆頭に、かってのガラティの哀愁の美旋律を呼び込んでくれてます。そして今回はなんと「澤野工房が作品を企画・制作するにあたって常に拘ってきたポイントが二つある。フォーマットとしてピアノ・トリオであることと、素材がスタンダード・ナンバーであること。ジャズという音楽を多くの方に届けたい、それもでき得ることなら生活の一部となるような心地よさと共に・・・」ということの事で誕生した一枚。
メンバーはこのところ固定したトリオで、とにかく優しく優しく包んでくれるようで美しく深遠なピアノ・トリオでのスタンダード集が誕生したのだ。
そして録音、ミックスは今時の注目株ステファノ・アメリオだ。(Tracklist)
01. Alone Together (A. Schwartz)
02. Blue Monk (T.Monk)
03. Caravan (D. Ellington)
04. Falling in Love with Love (R. Rogers)
05. Django (J. Luis)
06. Sunny (B. Hebb)
07. Garota de Ipanema (a.c. Jobin)
08. How Deep Is the Ocean (I. Berlin)
演奏は、有名なスタンダード曲を、とにかくガラティ流の編曲で優しさに溢れている。そして録音もそれに準じて刺激の無い優しさを出して、聴くに非常に快感である。ピアノはそれほど前面に出ず、ドラムスはやや奥に位置するがシンバル音は繊細に美しく伸びている。これがアメリオ流だ。
実はこれに平行して、あの寺島靖国がなんとアレッサンドロ・ガラティに、このアメリオと共に挑戦していて、そのアルバムもTERASHIMA RECORDSから近々リリースされる。アルバム『Shades of Sounds』(TYR1062/2018.4)だ。とにかく楽しみなのである。 まあ1994年のアルバム『TRACTION AVANT』(VVJ 007)以来ガラティ・ファンの私にとっては、当に嬉しさいっぱいのこの春である。
このアルバムで驚いたのは、私が子供の頃から好きなM03." Caravan" (D. Ellington)が、あの疾走するリズムと打って変わってスロー・ナンバーでしっとり聴かせるのである。ガラティは自己のオリジナル曲によるアルバムに拘りがあるというだけあって、こうしてスタンダード取りあげさせると、それは素材でしかなくやはり彼自身の世界に溶け込ませるのである。
又、そうは言ってもM02." Blue Monk" (T.Monk)やM04. "Falling in Love with Love" (R. Rogers)では、スウィング感をしっかり描いて、決してジャズの楽しさも忘れては居ない。
M07. "Garota de Ipanema" (a.c. Jobin)のブラジルからユーロへの変容がこれまた聴いての楽しみというところだ。
まあとにかくこのガラティの世界はスタンダードものにしても、究極は彼自身の世界そのものであって、自分のオリジナルと大きな変わりは無い。つい数年前にはやや実験色の強いスリリングな世界を”アヴァンギャルドavant-gardeな”と思わせる革新的なところをかなり試みていたが、このところ彼の本質的なユーロの美旋律に原点回帰していて私にとっては至福の世界である。
ここで下手な評論は止めて、是非とも聴いて頂くことをお勧めして、もうすぐに出る寺島レコードにも期待しつつ一締めとする。
(評価)
□ 演奏 ★★★★★
□ 録音 ★★★★★
(参照) アレッサンドロ・ガラティ(灰とダイアモンドと月の裏側の世界)
(参考視聴)
* * *
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コメント
風呂井戸さま、トラバをありがとうございます。m(_ _)m
やっぱり、「Caravan」につきますよね。
ガラティさま、、「スタンダード縛り? そういうことなら、これはどうだ!」ってしたり顔が目に浮かびます。
体験したことのない世界でした。
私も、寺島盤も大変楽しみです。
投稿: Suzuck | 2018年4月14日 (土) 11時34分
Suzuckさん、コメント、TB有り難うございます。とにもかくにもガラティと来ると目の無い私ですが・・・、このスタンダード集にも驚きました。こんなにガイティ流に変化するんですね、あの"Caravan"が。もう殆どオリジナル・ムードで聴きました。
Suzuckさんにも好評で、ホッとしています(笑)。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年4月14日 (土) 15時12分
風呂井戸さん 4月は山作業や花の追っかけ、自分のブログ書きに忙しく、新譜のチェックもサボっていて、しばらくぶりに貴ブログにお邪魔したら、ガラティの新譜。しかも前作に次いで澤野から・・・。知りませんでした。実は毎年行われるHyougo クリスマス・ジャズコンサートの一日は、澤野のピアノ・トリオ・ディになっていて、昨年ひょっとしたらガラティ?と期待していたらエルマー・ブラス・トリオ。今年は期待してもよさそうですね。早速聴いてみたいと思います。
投稿: 爵士 | 2018年4月19日 (木) 14時06分
爵士さん、春はいろいろと御活躍のご様子何よりです。
ガラティのこのアルバムはスタンダードを元にしていますが、やはり彼の世界を描いていてなるほどと感心しています。
又近々Terashima Recordsからもリリースされます。嬉しい限りです。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年4月19日 (木) 17時46分