エンリコ・ピエラヌンッィEnrico Pieranunziのドビュッシーへの想い 「Monsieur Claude - A Travel with Claude Debussy」
[My Photo Album (瞬光残像)] Spring/2018
(Nikon D800/ 90mm/19,Apr,2018)
しかし、これはどこか変なアルバムと言ってしまいたい代物
<Jazz>
Enrico Pieranunzi 「Monsieur Claude - A Travel with Claude Debussy」
BONSAI / France / BON180301/2018
Enrico Pieranunzi(p),
Diego Imbert(b), Andre Ceccarelli(ds)
Featuring: David El Malek(sax-M1,3,6,9), Simona Severini(vo-M4,5,8,11)
Mixed and Mastered by Stefano Amerio
あのフランスの作曲家トビュッシーClaude Achille Debussy(1862.8.22-1918.3.25)(←)も今年没後100年なんですね。それにちなんで、なんと注目度も100%のエンリコ・ピエラヌンツィが、ドビュッシーに捧げた作品だ。
トビュッシーといえば「海」というのがありましたねぇ~、それはそれとして彼の作曲群はクラシック・ファンの中でもそれなりに支持者が多いと思うのだが、私的にはイマイチ夢中になるという感動はなかった。「月の光」とか「亜麻色の髪の乙女」とか聴いたこともあるが、まあ知らない方が多いので、現代ジャズ・ピアノの美旋律最右翼のピエラヌンツィがトリオを中心にして演ずるといことの訳で、興味津々で聴くことになったのである。
(Tracklist)
1. Bluemantique (d'après Valse Romantique de Claude Debussy) (5:30)
2. Passepied nouveau (d'après Passepied de Claude Debussy) (4:51)
3. L'autre ballade (d'après Ballade de Claude Debussy) (5:36)
4. Romance (Paul Bourget / Claude Debussy) (5:02)
5. Rêverie (Claude Debussy / arrangement Enrico Pieranunzi) (7:45)
6. Cheveux (d'après La fille aux cheveux de lin de Claude Debussy) (5:11)
7. Blues for Claude (Enrico Pieranunzi) (4:28)
8. Nuit d'étoiles (Théodore de Banville / Claude Debussy) (8:11)
9. Mr. Golliwogg (d'après Golliwogg's Cake-Walk de Claude Debussy) (5:35)
10. My Travel with Claude (Enrico Pieranunzi) (2:04)
11. L'adieu (Guillaume Apollinaire / Enrico Pieranunzi) (6:38)
まずは聴いての印象だが・・・・ウーンこれはあまりジャズ・ファンには勧めるものではないなぁ~~。ピアノ・トリオの美しさを前面にと言ったものではないし、そういう中でもM1,3,6,9には、SAXが登場してジャズっぽくなってくれるのだが、どこかしっくりしない。
M2."Passepied nouveau" は、エンリコ・ピエラヌンツィ(→)らしいピアノが、如何にもクラシック調をベースに聴かせてくれるところは聴きどころと思う。この流れで全編通してくれると、一つの世界を描けたのではと思いつつ、次なる変化に欲求不満になる。
又、更にM4,5,8,11の4曲は、シモーナ・セヴェリーニの歌をフィーチャーしていますが、ちょっとクラシック・ベースにポップ、フォーク感覚もあったりとして、M8."Nuit d'étoiles"や最後の締めくくりの曲M11. " L'adieu " なんかは発声も充実してなかなか良い出来だと思うのだが、どこか印象がちぐはぐ。一つの曲として聴くにはなかなか完成度も高く魅力もあるのだが、このアルバムとしてどこか不釣り合いと言ったところで終わってしまうところが空しい。
私がそれでもちょっと注意して聴いたのは、M7. "Blues for Claude"や、M9. "Mr. Golliwogg" のようなピアノ・トリオのやや前進的展開に見るところもあるが、感動というところとはほど遠い。
M10. "My Travel with Claude" は短い曲だが、ここにみるような、何かを思わせるピアノの響きの世界は嬉しくもなった。このパターンで仕上げて欲しかった思うのである。
結論的には、私のような中途半端者にとっては、このアルバムの評価は難しく、演奏のレベルは高そうだが、多分これからも聴き込みたいと言うものではなかったというところ。高評価の方が居られれば、その聴きどころとアルバムとしての評価の話を聞かせて頂きたいと思っている。録音は、さすがStefano Amerioで良いです。
(評価)
曲・演奏: ★★★★☆☆
録音 : ★★★★★
(視聴)
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コメント
こんにちは。
エンリコさんは大好きなピアニストなんですが、今作は残念な印象ですね。2曲目の流れで作ってほしかったですね。エンリコさんらしくもありコンセプトにあるクラシックらしくもありとても素晴らしいのですが。
投稿: mwbeaks | 2018年4月22日 (日) 11時14分
風呂井戸さん こんにちは。
メルドーやエドゥアール・フェルレのバッハが良かったので、どうかと思いましたが?こちらは見送りします。
大物ミュージシャンでも失敗作あるものですね。コンセプトや共演者の相性もあるかと思いますが...
そういうことがあるのもジャズならではのことで、それも魅力ではありますが...
大物と言えばミラバッシのアニメッシュもいまいちでした。
もっとも聴く方の好みで評価も異なるとは思います。私見ですのでお許しください。
また、いつもすごく参考になる記事ありがとうございます。 松井浩
投稿: baikinnmann | 2018年4月22日 (日) 15時43分
追記でお願いします。
Youtubeの2曲(SAX入りとモンクのような曲)で判断してはいけないと思ってSPOTIFYで全曲聴いてみましたが、今回はやはり見送りします。
投稿: baikinnmann | 2018年4月22日 (日) 16時23分
mwbeaksさん、コメント有り難うございます。
エンリコ・ピエラヌンティとなると、どうしても期待が大きく、その反動かも知れませんが、今作は雑貨屋さんのようで、一つの流れを感ずることが出来なかったのは、私の至らなさかも・・・と、思っています。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年4月22日 (日) 17時14分
baikinnmannさん、研究成果のコメント有り難うございます。
今回のこのエンリコ・ピエラヌンティは、興味のある方々のご意見を聞きたかったのです。それも私的にはどうも期待外れ・・・と言ったところで。彼にはこのような面があるのは解っていましたが、それでも、それでもと期待しすぎでした。
これから近々ニュー・アルバムが又出ますので、そちらに懲りずに(笑い)期待しています。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年4月22日 (日) 17時20分
こんばんは
エンリコ・ピエラヌンティのアルバムは、ほとんど聴いていないので、アップされているドビュッシーの「ロマンティックなワルツヘ短調」を聴いただけの感想です。テナー・サックスでメロディが吹かれていますが、ドビュッシーの初期の比較的易しい曲とはいえ、アルペジオを多用して色彩感を出している点やリズムの反映が希薄なジャズ化で、ただ重苦しいものになっている印象です。
僕は、てっきり、ピエラヌンティの独奏かトリオにより演奏されていると思ったので、テナーが入っていて驚きました。ギーゼキングやチッコリーニの演奏を聴くと、独奏者によって個性が出る曲だとは思いますが、ピアノの響きが聴きものであるドビュッシーのピアノ曲をジャズ化するのはたいへんだと思いました。「Reverie」は、メロディが美しくて、いろいろに編曲されていますが、ロマンティックなワルツヘ短調の方は、ピアノで演奏効果が出る曲のように思いました。
投稿: azumino | 2018年4月23日 (月) 20時58分
azuminoさん、コメント有り難うございます。
私はazuminoさんのように、ドビュッシーには通じて居らず、どちらかというと誰もが聴くようなポピュラーな曲のちょい聴き程度ですので、今回のアルバムの評価は難しいのですが、エンリコ・ピエラヌンティの過去の美学には痺れてきた人間としては、ピアノ・トリオを中心としたクラシックなニュアンスの強い深遠なモノを期待していました。それが期待とは別物で、ちょっと残念と言ったところでした。
しかし、ふと逆にドビュッシーにピアノ曲を中心にアプローチしたいという気持ちになっています。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年4月24日 (火) 19時12分