ヘイリー・ロレンHalie Lorenのニュー・アルバム 「FROM THE WILD SKY」・・・・・・・・(別話題)アレッサンドロ・ガラティ決定盤登場
<Jazz, Pop>
Halie Loren 「FROM THE WILD SKY」
Victor Entertaiment / JPN / VICJ-61772 / 2018
Halie Loren : Lead Vocals, Piano, Ukulele, Harmonium, Clap & Stomp
Produced & Mixed by Troy Miller
ヘイリー・ロレンHalie Lore(1984年アラスカ生まれ)と言えば、何と言っても、彼女は今やその美貌と作曲能力とヴォーカルの色気で日本ではジャズ・ヴォーカリストとしては人気No1といっても過言では無い。2016年にライブ・アルバムはあったといえ、スタジオ・アルバムとしては、久々のニュー・アルバムだ。
そしてなんと驚きですね、今作は10曲彼女によって書かれたオリジナル曲集だ。しかも彼女のリード・ヴォーカルは当然だが、ピアノその他の楽器演奏も演じている。又このアルバム・ジャケも今までのアルバムと違いは感じていたが、なんと彼女のアート・ワークとデザインである。こうしてみると、これは完全に彼女がやりたいことをやったというアルバムとみて良いのだろう。
更に、英国人プロデューサー、トロイ・ミラーをプロデューサーに迎えコンテンポラリーにしてジャジーな因子の強いとは言え、完全なポップ・アルバムなのだ。
彼女は、14歳でプロとして歌い始め、22歳(2006年)に自作曲を収録する『Full Circle』(White Moon Production)でアルバム・デビュー。そしてその後の2008年のアルバムが日本で2010年に『THEY OUGHTA WRITE A SONG 青い影』(VICJ61618)として発売され、あっと言う間に人気歌手となる。2012年には初の来日公演などにより人気は不動となり、毎年来日している。
(Tracklist)
1. Roots
2. How to dismantle a life
3. Wild birds
4. Paper man
5. I can't land
6. Well-loved woman
7. Painter's song
8. August moon
9. Noah
10. Wisdom
11.A mi Manera
12. In My Life *
13. Turn Me On *
(*印:日本盤ボーナス・トラック)
彼女のライブには、もう毎年の行事になっているコットン・クラブに2回参じたが、披露曲はジャズ・スタンダードが主力。従って今回のアルバムも、てっきりスタンダード・ジャズ・ヴォーカル集と思っていたのだが、このポップ曲には、ちょっと肩すかしを食らった感覚である。
思い起こせば、彼女のオリジナル曲が主体のアルバムというのは、あのデビュー・アルバム『Full Circle』(→)以来かも知れない。そしてあのアルバムの再来と言って良いと言える今作だ。それは12年ぶりの原点回帰ということでもある。
日本でのヒット『青い影』以来、作られたヘイリー・ロレン像というのは、Jazzy not Jazz路線で、しかもバラード曲が人気を集めているわけであるが、ライブでの彼女の軽快なアクションをみるにつけ、やっぱりジャズというよりはロック寄りに彼女自身は一つの焦点を持っているのかも知れない。そして『Full Circle』同様、彼女の作品集である今作は、ロックから進歩したオルタナティブ・ミュージックであった。しかもあのデビュー作よりはむしろ更に大衆的に解りやすいところのポップ化されたところとなっているのは、若干後退かと残念がるところである。むしろここに至るのであれば、もっとロック、ポップからの異質性・変質性を高めて欲しかっようにも思うのである(その点では『Full Circle』のほうが面白い)。
ジャズっぽくて、ちょっと面白い曲はM4. "Paper man"あたり。又 M5. "I can't land"は、ややしっとり感もあって楽しめる。M8.."August moon"、M9. "Noah"は、美しいポップ曲 。11番目に登場する”マイ・ウェイ”("A mi Manera")は、スペイン語でのヴォーカルで魅力的、これが一番ヘイリー・ロレンらしい出来。ライブからのビートルズなどのボーナス曲2曲も彼女らしい曲仕上げ。
まあ今作は、ロックも好きである私にとっては、この手のポップなアルバムも悪くは無いのだが、こうして聴いてみると、やっぱり彼女への期待はジャズ系のヴォーカルにあるのだろうと言うことをあらためて感じたのであった。
(評価)
□ 曲・演奏・ヴォーカル: ★★★★☆☆
□ 録音 : ★★★★☆
(参考視聴) このアルバムとは全く関係ないHalie Lorenをどうぞ・・・
* * * * *
[追記]
本日到着・・・・・
ついに寺島レコードからアレッサンドロ・ガラティ・トリオ決定盤登場
Alessandro Galati Trio 「Shades of Sounds」
TERASIMA RECORDS / JPN / TYR-1062 / 2018
Alessandro Galati : piano
Gabriele Evangelista : bass
Stefano Tamborrino : drums
Recorded, Mixed & Mastered by Stefano Amerio
Producer : 寺島靖国
待望のアルバム本日到着。美旋律ピアニストのAlessandro Galatiの決定盤だ。
あの寺島靖国が、気合いを入れてのアルバム・リリース。
ガラティのオリジナル曲は1曲”Andre”の再録音版。あの私のガラティとの接点が出来た1994年のアルバム『TRACTION AVANT』からの美旋律の名曲。
録音は名エンジニアのステファノ・アメリオとくるから文句の付けようが無い。ピアノとシンバルそしてベースの響きが抜群。
評価はじっくり聴いてのここへの再登場により、しっかりしたいと思っている。
収録曲は右記。
とにかくスタートの"After You Left"からうっとりである。
ビル・エヴァンス、ジョン・コルトレーンも登場。
いずれにせよ、今年No1候補がここに登場した。
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