フレッド・ハーシュ・トリオFred Hersch Trio「LIVE IN EUROPE」
[My Photo Album (瞬光残像)] Spring/2018
(我が家の庭から・・・エゴノキの花(その2) 満開 )
究極のトリオ演奏に迫る・・・・・・
<Jazz>
Fred Hersch Trio「LIVE IN EUROPE」
PALMETTO-RECORDS / PM2192 / 2018
Fred Hersch (piano)
John Hébert (bass)
Eric McPherson (drums)
Recorded at Flagey Studio 4, Belgium, Nov.24th,2017
最近のフレッド・ハーシュ(1955年Cincinnati/Ohio生まれ)の活躍は、年齢的には還暦過ぎの充実期とは言え、かっての大病からすれば驚くところである。
昨年9月には彼の・ピアノ・ソロ・アルバム『open book』(PM2186/2017)が同じPALMETTOレーベルからリリースされており、あれは韓国ライブからのものだったが、これは昨年末の2017年11月、ベルギーでレギュラー・トリオによるライブ演奏の録音もの。この時は、3週間に及ぶヨーロッパ・ツアーを行ったようで、その最後から2番目のコンサートを収録したものだという。
更に彼は今年(2018)になって、ソロ来日もしていて、なかなかその活動性も高いところだ。
さてこのアルバムは、宣伝紹介では彼の言葉として「ピアノも最高にすばらしいもので、音響もパーフェクトだった」、「いい演奏が出来た“感覚”をもてた日だった」、「自分の演奏だけでなく、トリオのメンバーのジョン・エベール、エリック・マクファーソンの演奏も、最高!このトリオで活動して9 年。今では、3人がいつも完全にイコール(対等)。演奏中はいつも同じ言語をシェアしているけれど、創造性、内容、エネルギーのレベルにおいて、改めて“打たれるものがあった”」と、この9年のキャリアのあるレギュラー・トリオによるこの日の演奏に喜びを持ったようだ。
(Tracklist)
1. We See (Thelonious Monk) 5:51
2. Snape Maltings (Fred Hersch) 7:24
3. Scuttlers (Fred Hersch) 2:39
4. Skipping (Fred Hersch) 4:49
5. Bristol Fog (for John Taylor) (Fred Hersch) 8:26
6. Newklypso (for Sonny Rollins) (Fred Hersch) 8:40
7. The Big Easy (for Tom Piazza) (Fred Hersch) 6:56
8. Miyako (Wayne Shorter) 7:10
9. Black Nile (Wayne Shorter) 6:44
10. Solo Encore: Blue Monk (Thelonious Monk) 5:17
リストを見ると10曲中6曲がハーシュのオリジナル曲。オープニングのモンクの曲M1.“We See”は軽妙にして跳ねるようなリズムと音の展開、こうゆう曲を聴く方はどう感ずるかだが、トリオ3者の絡み合いは如何にも完璧が要求される。演奏者が楽しんでいる世界だ。
又M2. "Snape Maltings"もメロディーというよりは、この異様な展開を3者が構築する技量に圧倒される。 ピアノの流れをベース、ドラムスがサポートするというトリオ世界とは完全に別物。
とにかくこのアルバムは全体的にもかなりの高揚感がある。ハーシュがこうして健康を回復してのトリオの楽しさの心の高まりをエベールとマクファーソンが共有しての世界に昇華している。そして例の如くハーシュのピアノの響きがクリアにして美しい。
まあ唯一、このトリオとしての深い人生を感ずる演奏に流れたのは、John Taylorに捧げたM5. "Bristol Fog"だ。メロディーの主役がピアノからベース、そしてピアノと展開して8分を越える世界には私の期待を裏切らなかった。ハーシュの美的世界を堪能できる。
M9." Black Nile "では、ドラム・ソロからスタート。激しさと言うよりは緻密さの感ずるところから始まって、次第に人生の夢をかき立てるところまでトリオの演奏は展開するのだ。
これは一つの究極のトリオ演奏を示したと言って良い演奏に溢れていた。ハーシュの夢を感ずる回復の姿は、トリオ・メンバーの対等な展開の世界であることを示したものであった。
まあ、私好みの曲は少々少ないことが残念だが、演奏技量の高さを感じさせて頂いたところに脱帽である。
(評価)
□演奏 : ★★★★★☆
□録音 : ★★★★★☆
(参考視聴)
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コメント
風呂井戸さん,こんばんは。TBありがとうございました。
このトリオも固定メンツが長くなり,非常に緊密なコンビネーションを聞かせるようになっていると思います。ただ,Herschの書くオリジナルがちょっと難しいなぁと思わせる部分もあって,完璧とは言い切れないのですが,それでもこのトリオのレベルの高さは疑いないところですね。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2018年5月24日 (木) 19時38分
中年音楽狂さん、こちらまでコメント、TBありがとうございます。
ハーシュの場合「ハーシュの美的世界」をどうしても期待してしまいますので、今回のハイレベルな軽妙なところはうなずきながらも、期待からは少々外れたとうところに私は感じています。まあこれもライブものですから、そんなところも聴けたというところで納得しましょうかね。
それでもM5. "Bristol Fog"のような曲もあって良かったです。
投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2018年5月25日 (金) 09時30分
ハーシュのアルバム、あまり追いかけている方ではないんですけど、半年遅れで買ってみました。元々自由度の高い演奏はけっこう好きなので、また、類似のトリオサウンドって聴いた感じなかなかないですよね。けっこうな高みに登って行った感じがしました。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2018年10月19日 (金) 19時24分
910さん、コメント・TB有り難うございます。
私は、このアルバムはハーシュに求めている物としては、少々別物だったんですが・・・・、トリオが対等に高揚してゆく様は聴き応えは十分でした。彼の充実度が実感されますね。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年10月22日 (月) 21時39分