« 2018年4月 | トップページ | 2018年6月 »

2018年5月29日 (火)

最近のカメラ事情(1)・・・人気のミラーレス・カメラ「SONY α7シリーズ」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

Dsc02919trw

作例
 (我家の庭から・・・薔薇の季節(2)) 
Sonyα7Ⅲ(ILCE-7M3)/ Sony SEL24105G(SEL24-105mmF4G OSS) /73mm, 1/200sec, F4.5/ ISO100

[カメラの話題]

サブ・カメラからメイン・カメラに?・・・・・・

ミラーレス一眼「Sonyα7Ⅲ ( ILCE-7M3)」
 35mmフルサイズ裏面照射型センサー2420万画素、ISO100-51200、
   AF 693点像面位相差AFセンサー(コントラストAF枠425点)、瞳AF
   AF追従高速連写10コマ/秒、177枚連写持続能、4k動画(QFHD:3840X2160)


このカメラの初代「Sonyα7」 が登場したのは2013年。小型でありながらセンサーは驚きのフルサイズ機ということで注目され、既に足掛け5年の経過であるが、昨年11月「SonyαR7Ⅲ」 、今年になって3代目のこのシリーズのベーシック機として「Sonyα7Ⅲ」が登場して、俄然その注目は高まって目下一つのブームを起こしている。
 それも昨年5月には最上級機「Sonyα9」を登場させ、目下のデジタル機の最高峰を伺ったため、この「α」シリーズがSonyの主力機器としての位置がほぼ認知され、ユーザーも安心して対応できるムードにも落ち着いたのだ。

(私も最近この「Sonyα7Ⅲ」に更新(レンズは話題のSony SEL24105G) ↓)

Img_1082trw

 カメラもフィルムからデジタルの時代になって、その進歩は著しい。もともと一眼レフの主流となったことすら驚きであったが、今やそれが当たり前で、かってのフィルム・カメラは既に知らない若者が多くなってきたことで、我々自身も自分の歳を感ぜざるえないところとなっている。

 又、そのデジタル機も当初は簡便な「デジタル・コンパクト・カメラ」でスタートして、そのブームもすざまじかった。しかしそれも既に「スマート・フォン内蔵カメラ」にその道は譲ってしまっている。そしてカメラ業界もなんとなく低調時代に入ってしまった。
 しかし・・・時代は思わぬ展開がするもので、そんなスマート・フォン・カメラ流行で、今度はそれ以上を求めて、デジタル・コンパクト機も高価で高機能なモノは再び注目を浴び、若い連中にももてはやされる時代となった。

Column6_img_02 一方、既に本格的な高機能多機能なカメラとして主流になった「デジタル一眼レフ・カメラ」もここに来て危うい状況が生まれてきたのである。それが「ミラー・レス一眼」の高機能化である。
 もともと一眼レフ・カメラは、ハイレベルのファインダーが撮影者にとっては重要で、その撮影のための見える像はレンズを通して来た光をミラーで反射し、その光をプリズムを通してのファインダーで見ていた訳だが(右図:撮影時はミラーが跳ね上がって光がセンサーに当たる)、その為この性能を上げるためには、かなりの装置に費用が掛かっている。
 ところが、右図下のようなファインダーで見る像は、ミラー・プリズム装置を無くして、撮影用のイメージ・センサーで受けた光の像を電気的に直接見て撮影対象に相対するという方法がここに来て有力になった。それはそのセンサーの受けた像をエレクトリック・ビュー・ファインダー(EVF)で、かってのプリズムを通してみていた像に負けない像がほぼリアルタイムに見られるようになって来たと言うことが大きいのだ。こうして光学的装置からエレクトリックな装置でまかなうようになった「ミラー・レス機」が注目されているのだ。それは余計な装置が減少し、費用は下げられ、又フランジバック(レンズ・マウントからセンサーまでの距離)が短いなどもあって、カメラの大きさも小型化出来るというメリットが大きいためだ。

7konica もともとコニカ・ミノルタ・カメラの技術陣がソニーに移って、過去の遺産を受け継ぎながらカメラを製造していたわけだが、「デジタル・一眼レフ」は相変わらず、ニコン、キャノンの天下であった。しかしソニーは、このミラーレス機能を発展させ、もともと持っていたミノルタαシリーズ一眼レフの高技術を合体させ、エレクトリック機能の高度化による高機能「ミラー・レス一眼レフ」に力を注いできた。
 そして2013年に出現した「Sonyα7」機(私の初代機↑)は、レンズ群は、当時まだ十分揃ったとは言えないが、マウントを使うことによってほぼあらゆる過去の多くのメーカーのレンズを使うことが出来るように設計されていた為に人気機種となったのだった。

Img_1001tr そして今年発売されたこの新しい「Sonyα7Ⅲ」機も同様で、私の場合、右のように主にライカ・レンズを付ける事が多い(→)。それも「ニコン・フルサイズ一眼レフ」機のサブ機感覚なんですね。又キャノンの一眼レフ機用レンズはマウントでその機能を生かしたままこのカメラでも性能発揮して使えるのである。

 今やこのシリーズのベーシック機と言われているこの「α7Ⅲ」が、なんと像を感知する”デジタル・センサー”と”オート・フォーカス機能(瞳AFが話題)”更に”シャッター機能(10コマ/秒)”などにトップ・レベルの優秀な機能を発揮しており、しかもフルサイズセンサー機として驚きの小型化が成功して、人気も最高潮に達しているのである。

Sel24105gtr こんな人気の中で、ソニーも、このαシリーズ・カメラへの純正レンズのラインナップをもかなり充実しつつある。中でも驚くことに最近発売したこのカメラ対応のレンズである「Sony SEL24105G(SEL24-105mmF4G OSS) (→)は、値段もリーズナブルで、性能も手頃。又ズームは一般標準利用範囲での24-105mmとカヴァー範囲が広く超人気レンズとなった。そしてこの春から異常状態で、なんと現在も生産が間に合わず、注文から手に入るまで2ケ月位待たされるという事態となっている(事実私も1ケ月半待たされた)。そして今時は価格は発売から次第に下がるのが通例だが、これは2017年11月発売し6ヶ月の経過があるにも関わらず、下がらずにいて、ソニーの希望価格よりも高値で動いているところもある始末だ。

Slide_01w 又、このαシリーズに対応用として初めてレンズ・メーカーのタムロンも、ここに来て新レンズ「TAMRON Model A036(28-75mm, F/2.8)」(←)を発売。これも手頃の価格で、性能も良好と言うことで好評。なんとこれも注文が多く、製造が追いつかず、やはり購入するには、待たされるという事態が起きている。
 今時、こんな事態はカメラ販売では珍しく、如何にこの”Sonyαシリーズ”の人気が高いか解る。当に「一眼レフ・カメラ」から「ミラー・レス・カメラ」への流れが本格化してしまった訳である。
 そこで既にキャノンもミラー・レス機に着手。多分ニコンもおそらくこの流れに追従することになるだろうと思われる。いよいよカメラ業界も又々大きな転換期となって来たのである。
 そして私の場合でも、・・・・・どうもこのミラーレス機がサブ・カメラからメイン・カメラになりつつある事を感ずる今日この頃なのである。

(参考)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年5月26日 (土)

中西繁傑作作品「雨の舗道」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

Dsc_4283trw

(我が家の庭から・・・・薔薇の季節)

[絵画の話題]   中西繁作品

縦位置構図と横位置構図の意味するところは・・・・

  中西繁画伯の数多い傑作の中の一枚と私は思っている「雨の舗道」(F130号大作)という作品がある。これは画伯が2004年から2年間フランスへ留学した(モンマルトルの100年以上前にゴッホの住んだ部屋にアトリエを構えた)時に、その構想と作製に関係した作品と推測しているが、2007年の日展に出品されたものだ。
 サクレクール大聖堂のあるモンマルトルの丘、その北側の周回する並木道コーランクール通りの一枚だ。

□ 雨の舗道 (F130号) 2007年作品

Photo_2

 この作品は130号という大作ですが、夕方であろうか、雨の降る葉も落ちた季節のコーランクール通りの舗道を一人の婦人が笠をさして歩いて行く。着ているコートからもう寒い季節を迎えての冷たい雨だろう。手には赤い袋を提げている(これが又一つのポイントになってますね)。私は個人的な勝手な決めつけで、これは決して若い婦人ではないと思っている。まだ明るさの残った空が濡れた舗道に反射し、そこに移る婦人の影は華々しいフランスの通りにしては、後ろ姿であるだけに何故か陰影のある哀感を感ずるところだ。左の人間謳歌の時代を反映する若者のビキニ姿の看板。これとの対比が更にその印象を強めていると思っている。
 私はこの葉の落ちた木の枝によって描かれるパリ風景が好きであって、この作品のように周りの建物などが更に味わい深く感じられる。路面の車のライトの反射など気分を盛り上げている。又、雨に濡れたベンチ、舗道には孤独な鳩が一羽歩んでいるのも印象的。心に感じさせる叙情詩的な素晴らしい作品である。

 とにかく中西繁先生のフランス・パリに纏わる一連の作品は、このように素晴らしいのであるが、ここに「雨の舗道」を取りあげたのには、ちょっと理由がある。

 次の作品を見て欲しい。

□ 雨の舗道 (3.5m× 2.5m 大作)  2018年作品

152640445874027042177_img_0786

 さてこの上の作品は、中西繁画伯による今年製作されいるなんと3.5メートル(6.5X2.5mと記されていたがおそらく 3.5x2.5mだと思いますが)を越える大作のようでである。それは、先日先生のブログ「中西繁アート・トーク」でほぼ完成したと書かれていたのを見ただけであるので確実のところは言えないのですが・・・。

Photo 今作はなんと横位置の大作であった。少しづつ2007年作と比べると描いたところに異なる場所もある。まず気になるのは婦人の正面奥の街路樹が大きく描かれていること、左のベンチが無くなっていること、この舗道の車道寄りの街路樹の幹の形が異なっていること、画面が縦構図から横になり左右に広くなったため、車道にはむこうに向かう車が描かれた。広い舗道もやや昇り坂に見えたモノが、横に広く構図をとって、やや平らになった。そしてこれは意味があるのかどうか、婦人の持っているバッグもしくは下げ袋の赤がやや派手さが押さえられた。やはり舗道の手前には孤独な鳩がいる。


 そこで私が最も問題としたいのは、縦位置から横位置に変わった構図である。これはおそらく3メートル以上の大きさの大作であるから、縦も2.5mあって、物理的に横にせざるを得なかったのかも知れないが・・・・・?。
 ・・・・と、思いつつも実は私は縦位置が好きであるため、ここに少々その変化を書きたかったのである。もともと人間がこうして見たときには、横位置の方が安定感があると言われている。しかしこの2007年の原作品の方は、縦位置の構図であって、それが又私は好きなのである。更に、縦構図では画面半分から下は舗道を描いているのであるが、これを広く取った意味は大いにあると思っているからである。その遠近感がたまらないのです。
O0446029513783934133
 まあ昔から右のような黄金図形(長方形)(縦横比1:1.618=この黄金長方形から右の図のように、最大の正方形を除くと、残った長方形がまた黄金長方形の比率になり、そこからまた最大の正方形を除くと、永遠に相似な図形ができていく)と言うのがあって、最も人間が安定して見れる構図はこの横位置長方形なんですね。そしてどのような比でも横位置が安定感がある(この絵画は1:1.4か?)。
 しかし私は縦位置の不安定感に実は凄く惹かれるのです。まあこれは私個人の感覚ですからどうしようも無いのですが・・・・。しかしこの絵はやや暗さも一味あって、ならばこそ安定感にない縦位置であって欲しかったと思うのは偽らざる気持ちなのでした(しかし大きさから無理な話と思いますが・・・)。・・・しかし見方によっては、この大きさですから前に立った鑑賞者にとっては、この横位置の中に入っての臨場感は凄いと思います(「赤レンガ倉庫展」に向けたものでしょうか)、その為の横位置かも知れません。画伯は今回はそれを狙ったのかも・・・・とも推測されます。

そこでもう一枚(↓)。

□ 雨のコーランクール (F130号)  2007年

130

 これは上の「雨の舗道」と対をなすコーランクールの一枚ですね。これも傾斜のある道路の広い舗道の一枚です。雨上がり直後のようです。舗道の描写が素晴らしく圧巻です。これも素晴らしい作品ですね。しかし私の眼から見ると、「雨の舗道」とは全く印象が異なります。その決定的なところは、やはり舗道を歩く婦人が描かれていますが、この作品では、こちらに向かってくるところが印象を変えていると思ってます。こちらはやはり夕方と思いますが同じ暗さでも、見る印象は明るいのです。ここにも孤独の鳩が登場しますが、ここでは孤独と言うよりは、可愛く感じます(不思議ですね)。そして私はこの作品の場合はこの横位置が良いと思います。不安感の無い光景なのです。

 ・・・・と、縦位置横位置の構図というのは私にとっては大いにそれぞれ意味有りで楽しいのです。

<参考までに・・・>
W 中西繁先生の絵画では、実は縦位置はそう多くない。しかし右に見るように・・・・
「終着駅(アウシュビッツ・ポーランド)」(F100号)(→)という作品があるが縦位置である。
 あの忌まわしい第二次世界大戦の虐殺の代名詞だ。このビルケナウの収容所に入った線路と向こうにゲートの建物。これを描いた日本人画家は他に私は知らないが、これを描かなければならなかった中西繁画伯の心を知らなければならないだろう。この大部分を締める線路と遠くのゲートであった建物とのバランスのこの構図が、縦位置での印象を倍増している。
 戦争は許せない。(現在ポーランドでは、ここは「負の遺産」として公開している。数年前に私も訪れてみたが、あえて現在は暗い印象の無い景色となっている。しかし絵には心がある。見るとおり、この絵には明るさは無い)

中西先生へ・・・・先生の肖像および絵画を無断で掲載させて頂いて申し訳ありません。問題がありましたらご連絡ください。対応いたします。

(参考)

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2018年5月22日 (火)

フレッド・ハーシュ・トリオFred Hersch Trio「LIVE IN EUROPE」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

Dsc_4161trw

(我が家の庭から・・・エゴノキの花(その2) 満開 )



究極のトリオ演奏に迫る・・・・・・

<Jazz>
Fred Hersch Trio「LIVE IN EUROPE」
PALMETTO-RECORDS / PM2192 / 2018

Liveineu

Fred Hersch (piano)
John Hébert (bass)
Eric McPherson (drums)

Recorded at Flagey Studio 4, Belgium, Nov.24th,2017


E01948d138494cw_2  最近のフレッド・ハーシュ(1955年Cincinnati/Ohio生まれ)の活躍は、年齢的には還暦過ぎの充実期とは言え、かっての大病からすれば驚くところである。
 昨年9月には彼の・ピアノ・ソロ・アルバム『open book』(PM2186/2017)が同じPALMETTOレーベルからリリースされており、あれは韓国ライブからのものだったが、これは昨年末の2017年11月、ベルギーでレギュラー・トリオによるライブ演奏の録音もの。この時は、3週間に及ぶヨーロッパ・ツアーを行ったようで、その最後から2番目のコンサートを収録したものだという。
 更に彼は今年(2018)になって、ソロ来日もしていて、なかなかその活動性も高いところだ。

 さてこのアルバムは、宣伝紹介では彼の言葉として「ピアノも最高にすばらしいもので、音響もパーフェクトだった」、「いい演奏が出来た“感覚”をもてた日だった」、「自分の演奏だけでなく、トリオのメンバーのジョン・エベール、エリック・マクファーソンの演奏も、最高!このトリオで活動して9 年。今では、3人がいつも完全にイコール(対等)。演奏中はいつも同じ言語をシェアしているけれど、創造性、内容、エネルギーのレベルにおいて、改めて“打たれるものがあった”」と、この9年のキャリアのあるレギュラー・トリオによるこの日の演奏に喜びを持ったようだ。

(Tracklist)
1. We See (Thelonious Monk) 5:51
2. Snape Maltings (Fred Hersch) 7:24
3. Scuttlers (Fred Hersch) 2:39
4. Skipping (Fred Hersch) 4:49
5. Bristol Fog (for John Taylor) (Fred Hersch) 8:26
6. Newklypso (for Sonny Rollins) (Fred Hersch) 8:40
7. The Big Easy (for Tom Piazza) (Fred Hersch) 6:56
8. Miyako (Wayne Shorter) 7:10
9. Black Nile (Wayne Shorter) 6:44
10. Solo Encore: Blue Monk (Thelonious Monk) 5:17

Images

 リストを見ると10曲中6曲がハーシュのオリジナル曲。オープニングのモンクの曲M1.“We See”は軽妙にして跳ねるようなリズムと音の展開、こうゆう曲を聴く方はどう感ずるかだが、トリオ3者の絡み合いは如何にも完璧が要求される。演奏者が楽しんでいる世界だ。
 又M2. "Snape Maltings"もメロディーというよりは、この異様な展開を3者が構築する技量に圧倒される。 ピアノの流れをベース、ドラムスがサポートするというトリオ世界とは完全に別物。
 とにかくこのアルバムは全体的にもかなりの高揚感がある。ハーシュがこうして健康を回復してのトリオの楽しさの心の高まりをエベールとマクファーソンが共有しての世界に昇華している。そして例の如くハーシュのピアノの響きがクリアにして美しい。
 まあ唯一、このトリオとしての深い人生を感ずる演奏に流れたのは、John Taylorに捧げたM5. "Bristol Fog"だ。メロディーの主役がピアノからベース、そしてピアノと展開して8分を越える世界には私の期待を裏切らなかった。ハーシュの美的世界を堪能できる。
 M9." Black Nile "では、ドラム・ソロからスタート。激しさと言うよりは緻密さの感ずるところから始まって、次第に人生の夢をかき立てるところまでトリオの演奏は展開するのだ。

 これは一つの究極のトリオ演奏を示したと言って良い演奏に溢れていた。ハーシュの夢を感ずる回復の姿は、トリオ・メンバーの対等な展開の世界であることを示したものであった。
 まあ、私好みの曲は少々少ないことが残念だが、演奏技量の高さを感じさせて頂いたところに脱帽である。

(評価)
□演奏 : ★★★★★☆ 
□録音 : ★★★★★☆
 

(参考視聴)

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2018年5月18日 (金)

チェット・ベイカーChet Baker & Bill Evans「THE COMPLETE LEGENDARY SESSIONS」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

Dsc_4122trw

(我が家の庭から・・エゴノキStyrax japonicaの花 D800,90mm,1/125sec,F5.6,ISO1600 )(15,May,2018)


宝物は更なる宝物になれたか・・・・・

<Jazz>
Chet Baker & Bill Evans「THE COMPLETE LEGENDARY SESSIONS」
STATE OF ART RECORDS / Euro / STATE OF ART 81219 / 2018

Legendarysessions

New York 1958-1959
24BIT DIGITALLY REMASTERED / STEREO


Listmembers トランペッター・チェット・ベイカーChet Baker(1929-1988) といえば、とにかく私にとっての名盤は『CHET~ballards by CHET BAKER』(Reverside/RLP12-299/1959)なんですが、Bill Evansとの共演をはじめ、参加メンバーも豪勢でとにかく人気盤。勿論当初はモノラル録音盤であり、それがステレオ盤になり、このところ音質重視で復刻LP盤のリリースも、又リマスター盤ということで近年はCDとしては、Chet Baker/Bill Evans 『Alone Together』 (Jazz Images/Euro/JIM38003/2016)があるのだが・・・・。
 ここに来て『THE COMPLETE LEGENDARY SESSIONS』(←)というものも出ている。かってのReversideの『CHET』なども持ち合わせているのであるが、24ビット・リマスター盤ということと他のセッションの数曲追加の全15曲のアルバムリリースであってのことで買ってみたという訳である。

Img_1 とにかくチェット・ベイカーといえば、悲劇のミュージシャンのレッテルは今日に於いても貼られている。1950年代半ばにおいては、所謂美男子、トランペット演奏も一級、唄も歌えると、時代の寵児とも目され、マイルス・デイヴィスをも凌ぐ人気を誇っていたわけである。
 しかしこのアルバム録音当時の1950年代後半から1960年代にかけてはあのヘロインに耽溺してしまい、その為このドラッグ絡みの事件を数多く起こして、米国はじめ公演先の国でも逮捕されたりしていた上に一時服役もするという状態に陥った。
 更に、1970年にはドラッグ絡みの喧嘩騒ぎで前歯を折られるという事もあったようで、演奏活動を休止したりした。その後復活したが、1975年頃より活動拠点を安堵を求めてか主にヨーロッパに移した。
 そして1988年5月13日、オランダアムステルダムのホテルの窓から転落死、その原因は定かではなく自殺説もある。

 ところでこのCD盤だが、名盤『CHET』 と作曲家チーム、ラーナー& ロウ楽曲集『Chet Baker Plays The Best Of Lerner And Loewe』からの合計14曲のチェット・ベイカー、ビル・エヴァンスの共演セッションを完全収録を売り物に、ボーナス・トラック1曲を加えたもの。

Chetbaker1dragankudjerski さて、問題のこの24BIT DIGITALLY REMASTERED の音であるが、Reversideから数年前にサービス日本盤として出されたCD(MONO/UCCO-99047)と比較してもはっきり言ってそう大きくは音質は高まったとは言えない。シンバルやフルートは右から聴こえてくるようにステレオ化は成されては居り、トランペット、サックスの響きにやや味付けを感じたが、どうもこれは私の期待が大きすぎたのか、そんなに目をみはるような大きな意味は無かった。
 又私のようにBallards好きからして聴いてみると、追加のセッションものはそれ程面白い訳でも無く、これも期待は空振りであった。そうは言ってもこの時代物をこれだけの内容、そして音質向上の努力の結果には敬意を表したい。初めてのこの『CHET』ものを入手するのであれば、当然これをお勧めするところだ。

  と、言うところで・・・・今や無きものに何か期待して新しい感動をつい求めてしまうのは、これぞファン気質というところか?。満足できる新しい発見があれば、それはそれ幸せと言うことだから。

(評価)
□演奏・    :★★★★★
□録音・音質 :★★★★☆

(参考視聴)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年5月15日 (火)

恐ろしや70歳越え(声) 奥村チヨ 卒業アルバム「ありがとう~サイレントムーン」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

Dsc_3928trw_2

(我が家の庭から・・・   NikonD800/90mm/PL/May,2018)

歌謡曲の歴史~50年前からの一物語の終焉

日本歌謡曲

奥村チヨ 卒業アルバム「ありがとう~サイレントムーン」
Universal Music / JPN / UPCY-7465 / 2018

Photo

 「サイレントムーン」 奥村チヨ : Vocals
              渡辺なつみ作詞、浜圭介作曲、高橋哲也編曲
 

Cybgk0euqaa4w こうゆうのを話題にするのは慣れない話ですが・・・若い人は当然知らない話で、50年前に「東芝三人娘」というのがありました。それが50年経った訳だから・・・当然彼女らは現在70歳前後なんですね。
 それは小川知子、奥村チヨ、黛ジュン、1960年代後半(かっての東京オリンピック直後の頃)の歌謡曲黄金時代に活躍した三人の女性歌手。東芝音楽工業(現・EMIミュージック・ジャパン)からレコード歌手としてデビューしたこの三人だ。それも現在も健在で活動しているから凄い。

 その奥村チヨ(1947年生まれ)が70歳を過ぎての今年2018年に引退すると言うことで話題になっている。しかも新曲「サイレントムーン」(渡辺なつみ作詩、浜圭介作曲)を歌ってアルバム・リリースしてのことである。
 彼女は、高校三年生の時にCMソングを唄って、東芝の草野浩二の目にとまり、高校卒業してシルビー・バルタンの「私を愛して」のカヴァーからスタート。

Photo_3 「ごめんネ…ジロー」(1965年)「北国の青い空」(1967年)などをヒットさせたのだったが、その「北国の青い空」は、当時エレキ・ギターの全盛期を作ったベンチャーズ(→)が日本でも圧倒的人気があって、これは彼らの作曲した曲で、これを歌いあげた事によって私も一目置くことになった。

 しかし、その彼女のコケティッシュな魅力、小悪魔のようでいて可憐な可愛らしさがあるというイメージから、本人の希望とは裏腹に、レコード会社の戦略もあって「恋の奴隷」を初めに「恋狂い」と「恋泥棒」の「恋三部作」を発表し、圧倒的ヒットを飛ばしたのであった。それにより当然紅白歌合戦にも選ばれたが、メインの曲「恋の奴隷」は、その内容から不適切となって(今じゃ考えられないことだが)、「恋泥棒」を唄ったという話が残っている。
 その後の「中途半端はやめて」など、ヒットはするがそのコケティッシュなイメージは更にエスカレートして、本人はいよいよ納得しないところとなった。

Showa_07

 そこで1971年12月になって、本人の歌手引退も辞さない強い希望から実現した曲で、自身のコケティッシュ・イメージを脱却した「終着駅」(千家和也作詞、浜圭介作曲)を発表し、これが又販売枚数が40万枚と好評を得た。そしてこれは作曲者の浜圭介にとっても認められた作品で有り、奥村チヨは彼と結婚して、1974年に芸能界の第一線を退いたのだった。
 ・・・・と、考えて見れば昔々のお話しで、なんとそれが1980年になると、ビクターから、「せめてさよならは…」をリリースして歌手活動を再開。1993年に、折からの1960年代ブームに乗って「恋の奴隷」が再ヒットしちゃったんですね。

 更に個性的な歌唱スタイルで1995年にはなんと新曲「パローレ・パローレ」 (岡田冨美子作詞、金野孝作曲)が大ヒット、それは彼女が50歳になろうとしていた時である。若い人からは”唄がうまいあのおばさんは一体誰れ?”と話題沸騰したのは、我々から見るとニンマリする話であった。
 そして2000年には「浮雲」(金野孝作詞、浜圭介作曲)も実力溢るる曲で人気を獲得、いよいよ70歳を過ぎての今年になって、自分でも納得の新曲「サイレントムーン」を得たと言うことで引退宣言となったのだ。それが又この曲、若々しい声で唄いあげていていやはや恐ろしいお婆ちゃんの物語であった。

 そこで今回リリースされた引退記念アルバム(CD+DVD)の内容は以下。話題となった曲の多い彼女の経歴からも収録曲が不十分ということで、巷には若干の不満があるようだが・・・、一枚のCDに納めようとしたらこんなところであろうか。取り敢えず最後の新曲「サイレントムーンSilent Moon」がトップと最後(カラオケ版)に収録。

Co1_2【収録曲】
DISC1(CD)
1.サイレントムーン
2.私を愛して Car tu t'en vas
3.ごめんネ・・・ジロー
4.北国の青い空
5.涙いろの恋
6.恋の奴隷
7.恋泥棒
8.くやしいけれど幸せよ
9.嘘でもいいから
10.中途半端はやめて
11.終着駅`95
12.別離の讃美歌
13.何かありそうな西銀座
14.バスが来たら
15.浮雲
16.サイレントムーン(カラオケ)

DISC2(DVD)
・サイレントムーン(Music Video)
・奥村チヨMemorial Video
・浮雲(Music Video)

(視聴)

① 恋の奴隷

②  終着駅

③  サイレントムーン

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2018年5月12日 (土)

ヨーナス・ハーヴィスト・トリオJoonas Haavisto Trioのニュー・アルバム「Gradation」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

Dsc_3904trw

  (我が家の庭から・・・・「モッコウバラ」   NikonD800/90mm/PL/May,2018)


北欧の世界を感じさせるコンテンポラリー・ジャズ

<Jazz>
Joonas Haavisto Trio「Gradation」
BLUE GLEAM / JPN / BG009 / 2018

512tyby78l

Joonas Haavisto : Piano
Antti Lötjönen : double bass
Joonas Riippa : Drums
Recorded December 17-19,2017 at Kallio-Kuninkala Studio, Järvenpää, Finland


 ヨーナス・ハーヴィスト(フィンランド)は北欧気鋭のピアニストだ。その4枚目のトリオ作が日本のBlue GLEAMレーベルからリリースされた。
 前作は日本でも好評の『Okuオク』(BLUE GLEAM/BG007)で、あれから2年ぶりとなる。日本の「奥」の世界をイメージしてのあの深遠なる演奏に再び触れたいと今作にも自ずから期待してしまう。今作は、ヨーナスのトリオ結成12年目の作品となるようだ。
 彼はなんと世界からの好評を受ける中、2017年には、あの名門ピアノ・メーカーのSteinway & Sonsの専属アーティストにもなったようだ。
 今作、収録全8曲(ハーヴィストのオリジナル7曲、トラディショナル1曲)で構成されたアルバムで、今回も何とも北欧の世界を感じさせるアルバムである。


Joonas001trw(Tracklist)
1.  Surge
2.  Moriens
3.  Sitka*
4.  Flight Mode
5.  Sigh
6.  Emigrantvisa
7.  Polar Night (Bonus Track )
8.  At The Dock

All compositions by Joonas Haavisto exept "6"(traditional)
Teemu Viinikainen : guitar (*印)

 過去の様式から一歩前進しての現代感覚で作り上げるジャズ芸術も多様化しているが、彼らのピアノ・トリオのジャンルはコンテンポラリー・ジャズというところに納まるのかも知れない。
 しかし美旋律ものというものではないが、北欧の自然からの美しい印象が流れてくる。新しいセンスのジャズを構築するのだが、所謂アヴァンギャルドという印象も無く、むしろ郷愁を誘うクラシックな深い世界を感じることが出来る。

16681581_2294595660679072_52860314516711618_2294595480679090_2765969_2 スタートは意外にもダイナミックにしてやや激しいピアノ・プレイで迫ってくるが、M2. " Moriens"になると、北欧をイメージする深い味わいのトリオ演奏が展開する。特に中盤のベース独奏が深く想いをもたせ、そして続くピアノが深遠な自然の展開をイメージするリリカルな見事なプレイにしみじみとしてしまう。
 M3. " Sitka"は、アラスカにある都市だそうだが、この曲のみ美しく優しいギターが加わってイメージを変える。それがこのアルバム・・トータルからみて、一つのアクセント効果をもたらしている。
 M4. " Flight Mode"のようにピアノのエネルギーを展開する曲もあるが、スウェーデンのトラッドというM6. " Emigrantvisa"は、なんとなく郷愁を誘うところがあって北欧の自然豊かな世界を想像させるに十分な曲だ。

1888868_trio

  相変わらずこのトリオは、過去に捕らわれない世界に挑戦しつつも、人の心をつかむ技に長けていて、なんとなく引き込まれていってしまう。そんなところが持ち味で、日本的な感覚にもマッチするところがポイントだ。

(評価)
□ 曲・ 演奏 : ★★★★★☆
□ 録音   : ★★★★★☆

(参考視聴) Joonas Haavisto Trio

 

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2018年5月 8日 (火)

インドラ・リオス・ムーアIndra Rios-Moore「CARRY MY HEART」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

Dsc_3796trw

(我が家の庭から・・・・NikonD800/90mm/PL/May.2018)


この心は何処まで届くのか・・・・・トランプ出現の落胆

<Jazz, Soul>

Indra Rios-Moore「CARRY MY HEART」
Impulse!/ International / 6722684 / 2018

Carrymyheartw

Indra Rios-Moore (vo)
Benjamin Traerup (sax)
Thomas Sejthen (b)
Knuth Finsrud (ds)
Samuel Hallkvist (g)

 インドラ・リオス・ムーア(1980-)のImpulse!第2弾。彼女に関しては私は白紙だったが、これも美女狩り得意の友人からの紹介だ。
 彼女は、NY出身で現在バルセロナを拠点に活動する女性シンガーというところだが、、2017年のアメリカの大統領選挙でトランプが選ばれた結果に対し、「あの結果はまるで顔をビンタされたような気持ちになった」というところからのリリース・アルバムという。
 彼女は見ての通り、ラテン・アメリカの血が入った有色人種ということで、当然のこととして”平等な人権”ということにはかなり敏感に生きてきたのであろう事は想像に難くない。

  Indraという名前は ヒンズー教で”天空の戦士”の事だという、彼女は時代を超えた音楽を創造する事、はたまた拘りを超越して戦う意志の表現なのだろうか?。以前にピンク・フロイドの曲”Money”をカヴァーしているところからも社会派であり、しかも今回は選挙後のアメリカ社会の政治的リアリティに関して唄いたいというところからのアルバムであるところが重要なポイントであろう。

Indra1w(Traklist)
1. Carry my heart
2. Keep on pushing
3. I can see clearly now
4. Any major dude will tell you
5. Give it your best
6. Be mine
7. Don't say goodnight (it's time for love
8. Love walked in
9. Come sunday
10. What you won't do for love
11. I loved you

  アルバム・タイトル曲のM1."Carry my heart"から彼女の美しい歌声が優しく響くが、どことなく哀しみをもった陰影がある。彼女の唄は、ゴスペル、ソウル、R&Bなどがベースなのだろうか。
 2曲目のM2. "Keep on pushing"は、アフリカ系アメリカ人公民権運動の集団のシンボルとしての賛歌として多く唄われるようになったインプレッションズ(1960代を中心に)の曲の一つ。ここでも彼女の意志がみえる。
 ロックと言えども、ジャズやR&Bの因子が見え隠れしたスティーリー・ダンのM4."Any Major Dude"が彼女を刺激した曲のようだ。
 これも、ソウル・バンドのアイズレー・ブラザースのM7."Don't Say Good  Night"
  更に、白人でR&Bやソウルの流れにあったボビー・コールドウェルのM10. "What you won't do for love" のAORのタイプも登場だ。

Indragroup

 こうして聴いてみると、穏やかに彼女の美しい声での訴える唄が多く、バツク演奏陣は静かにそれを支える。特に彼女の夫のBenjamin Traerupのサックスも優しい。強烈に訴えるのでないこんなパターンであるからこそ彼女のトランプ思想への落胆が一層浮かび上がるように聴こえるのだ。
 彼女の年齢からみれば、ちょっと相応しくない”一昔前のアメリカにおける人権運動の流れを感ずる歌”に共感している姿こそ、アメリカにおける苦労の結晶の長い歴史の経過から築かれた大切なものが、トランプによって一瞬にして崩れて行く状況を悲しんでいるように伝わってくるのである。

(評価)
□ 歌、演奏 :  ★★★★★☆
□ 録音       : ★★★★☆

(視聴)

①   "Carry My Heart"

                *          *          *

② "Money/Pink floyd" カヴァー
(これだけソウルフルになった"Money"は・・・作者ロジャー・ウォーターズも驚きだろう)

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2018年5月 4日 (金)

アレッサンドロ・ガラティ・トリオALESSANDRO GALATI TRIO 「Shades of Sounds」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

Dsc_3871trw

(Nikon D800/90mm/PL/Apr.2018)


ガラティの「メロディー信仰の世界」で描ききった作品
    ~寺島レコード、気合いでリリース~

<Jazz>
ALESSANDRO GALATI TRIO 「Shades of Sounds」
TERASIMA RECORDS / JPN / TYR-1062 / 2018

20180326_515eae

Alessandro Galati  : piano
Gabriele Evangelista  : bass
Stefano Tamborrino :  drums

Recorded in Nov. 2017 at Artesuono Studio (Italy)
Recorded, Mixed & Mastered by Stefano Amerio
Producer : 寺島靖国Yasukuni Terashima

 先日このアルバムが到着して、「今年の目玉の一つは遂に手に」と私は感じ取った。1994年のアルバム『TRACTION AVANT』(VVJ007)以来、アレッサンドロ・ガラティ(1966年イタリア・フィレンツェ生まれ)に虜になってしまっている私が、ここに来て今年は彼のアルバムを近年リリースしてきた「澤野工房盤( 『OUTER GOLD, INNER LORD』(AS161) )」と、それに加えてあの寺島靖国が名エンジニアであるステファノ・アメリオの手による録音に興味を持って企画されたこの「寺島レコード盤」と、立て続けに2枚手に入ると言う事になったのである。そんな訳で、この春は私にとっては大変な感動の時となってしまった。
 もともとガラティはイタリアVia Veneto Jazzレーベルからのリリースだが、日本盤としてBLUE GLEAM盤が頑張っていたのだ。ところが、ここに来て澤野工房そして寺島レコードと、今や人気のこの両レーベルが競ってリリースしてくれることは、何に付けても頼もしい話である。

Image_triow そしてアレッサンドロ・ガラティ・トリオは、この現メンバーで落ち着いてますね。ガラティ自身もベースのGabriele Evangelistaには絶対の信頼を置いているし、Stefano Tamborrinoのドラムスの演奏についても”空気をプレイする”と絶賛している。
 それがこのところの『Seals』VVJ090/2014)『On a Sunny Day』(VVJ105/2015)『Cold Sand』 (AS155/2017)などの成功アルバムをリリースしている原点なのかもしれない。

 さて、このアルバムの音に関しては、ステファノ・アメリオの技量を十分に堪能できる。しかもそれには寺島靖国の介入がどこまで具体的にあったかは不明だが、私の聴くところによると見事寺島サウンドの味付けをも感ずることが出来た。そしてそれを聴き分けるには格好のアルバムがある。それは、つい先日リリースされた澤野工房の『OUTER GOLD, INNER LORD』である。こちらも同じガラティ・トリオでアメリオの同じスタジオにおける録音・ミックスであるが、これが若干違うところが面白い。私の気のせいかも知れないが、ドラムスの取り入れが異なっている。この寺島盤ではかなり効果を上げているのだ。
 もう一つ言うならば、さすがガラティのピアノ演奏とアメリオによる録音だ。ピアノの音色が出色の出来だ。寺島靖国の昨年の自慢のアルバム『BALLADS』(TYR-1058/2017)と比較しても、明らかにこちらは格段上の艶のある美しさだ(ピアノは名機Fazioli)。これは、演奏技術、録音技術、ピアノの質による相違であろう・・・この音こそピアノ・トリオの真髄と言いたくなる。

Sqsjfuo4(Tracklist)
1. After You Left
2. Stella By Starlight / Victor Young
3. You'll Walk In The Field
4. Blue In Green / Bill Evans
5. Coracao Vagabundo / Caetano Veioso
6. Andre / Alessandro Galati
7. The Two Lonely People / Bill.Evans
8. Nobody Else But Me / J.Kern , O.Hammerstein
9. Moments Notice / John Coltrane

 収録曲は9曲で、彼のオリジナル曲はM6のみ。Bill Evans、 Victor Young、John Coltraneなど登場するが、
M1とM3は、なんとイスラエルのトラッドということだ。この2曲は当然我々には聴いたことがない曲で、まさに新曲なのである。実は私が思うには、これがこのアルバムの一つのポイントにもなっていると思っている。
  それはまずM1. "After You Left" の抒情性溢れたメロディーとガラティの手によるピアノの哀感の響きはもはや究極のイタリア情感そのものである。これを冒頭に持ってきた寺島靖国のしたたかなこのアルバムの狙いが見えてくる。そしてM3. "You'll Walk In The Field"に置いても、ベースの語りやシンバルの響きが全くこのピアノの哀感を更に盛り上げての描いていて、そこにみる世界は歴史的に流れているイタリアの抒情性の奥深さを感じて聴き入ってしまう。
 M2. "Stella By Starlight"も、この抒情性の流れに完全に同化させ、スローにして哀感をも助長する。
 M4. "Blue In Green"はエヴァンスの色がイタリアのやや湿度のある色に描かれる。ここにもガラティの所以たるところが聴ける。
M6. "Andre"は、ガラティの唯一の曲だが、私をしてかって虜にしたこの曲。これはかなり日本を意識しての彼の美学を再現してくれたのではないだろうか。今回の演奏と録音は、かってのものと比較して、かなりドラムスの効果を上げる録音となって、如何にも三位一体のトリオ作品として聴き取れる。
 リズム感たっぷりのM8. "Nobody Else But Me"M9. "Moments Notice" にしても、やや押さえられた演奏で、ピアノの美しい音が生きていて”優美な印象の世界”に導かれる。

Trentinoinjazz

 とにかくこのアルバムは全体を通して流れはバラード調に仕上げられていて、抒情的、耽美的な流れをしみじみと感じさせる心の奥深いところに響くものになっている。ガラティの繊細な感覚による美旋律家たるところの面目躍如、これはおそらく寺島靖国の目指したアルバムに仕上がったモノと言えると思う。当然私は万歳である。

(評価)
□ 曲、演奏 : ★★★★★
□ 録音    : ★★★★★

(視聴) このニュー・アルバムに関する映像は未だ見当たりませんので・・・

| | コメント (4) | トラックバック (1)

« 2018年4月 | トップページ | 2018年6月 »