インドラ・リオス・ムーアIndra Rios-Moore「CARRY MY HEART」
[My Photo Album (瞬光残像)] Spring/2018
(我が家の庭から・・・・NikonD800/90mm/PL/May.2018)
この心は何処まで届くのか・・・・・トランプ出現の落胆
<Jazz, Soul>
Indra Rios-Moore「CARRY MY HEART」
Impulse!/ International / 6722684 / 2018
Indra Rios-Moore (vo)
Benjamin Traerup (sax)
Thomas Sejthen (b)
Knuth Finsrud (ds)
Samuel Hallkvist (g)
インドラ・リオス・ムーア(1980-)のImpulse!第2弾。彼女に関しては私は白紙だったが、これも美女狩り得意の友人からの紹介だ。
彼女は、NY出身で現在バルセロナを拠点に活動する女性シンガーというところだが、、2017年のアメリカの大統領選挙でトランプが選ばれた結果に対し、「あの結果はまるで顔をビンタされたような気持ちになった」というところからのリリース・アルバムという。
彼女は見ての通り、ラテン・アメリカの血が入った有色人種ということで、当然のこととして”平等な人権”ということにはかなり敏感に生きてきたのであろう事は想像に難くない。
Indraという名前は ヒンズー教で”天空の戦士”の事だという、彼女は時代を超えた音楽を創造する事、はたまた拘りを超越して戦う意志の表現なのだろうか?。以前にピンク・フロイドの曲”Money”をカヴァーしているところからも社会派であり、しかも今回は選挙後のアメリカ社会の政治的リアリティに関して唄いたいというところからのアルバムであるところが重要なポイントであろう。
(Traklist)
1. Carry my heart
2. Keep on pushing
3. I can see clearly now
4. Any major dude will tell you
5. Give it your best
6. Be mine
7. Don't say goodnight (it's time for love
8. Love walked in
9. Come sunday
10. What you won't do for love
11. I loved you
アルバム・タイトル曲のM1."Carry my heart"から彼女の美しい歌声が優しく響くが、どことなく哀しみをもった陰影がある。彼女の唄は、ゴスペル、ソウル、R&Bなどがベースなのだろうか。
2曲目のM2. "Keep on pushing"は、アフリカ系アメリカ人公民権運動の集団のシンボルとしての賛歌として多く唄われるようになったインプレッションズ(1960代を中心に)の曲の一つ。ここでも彼女の意志がみえる。
ロックと言えども、ジャズやR&Bの因子が見え隠れしたスティーリー・ダンのM4."Any Major Dude"が彼女を刺激した曲のようだ。
これも、ソウル・バンドのアイズレー・ブラザースのM7."Don't Say Good Night"
更に、白人でR&Bやソウルの流れにあったボビー・コールドウェルのM10. "What you won't do for love" のAORのタイプも登場だ。
こうして聴いてみると、穏やかに彼女の美しい声での訴える唄が多く、バツク演奏陣は静かにそれを支える。特に彼女の夫のBenjamin Traerupのサックスも優しい。強烈に訴えるのでないこんなパターンであるからこそ彼女のトランプ思想への落胆が一層浮かび上がるように聴こえるのだ。
彼女の年齢からみれば、ちょっと相応しくない”一昔前のアメリカにおける人権運動の流れを感ずる歌”に共感している姿こそ、アメリカにおける苦労の結晶の長い歴史の経過から築かれた大切なものが、トランプによって一瞬にして崩れて行く状況を悲しんでいるように伝わってくるのである。
(評価)
□ 歌、演奏 : ★★★★★☆
□ 録音 : ★★★★☆
(視聴)
① "Carry My Heart"
* * *
② "Money/Pink floyd" カヴァー
(これだけソウルフルになった"Money"は・・・作者ロジャー・ウォーターズも驚きだろう)
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コメント
いや印象的で心に響く歌唱ですね。伝わってきました。
投稿: 爵士 | 2018年5月12日 (土) 18時23分
爵士さんをして、納得させる歌唱は本物でしょうね。
現在トランプ思想に異議を唱えるピンク・フロイドの創造的才能と言われるロジャー・ウォーターズが、広く世界にライブを展開し訴えていると時に、過去の彼のまさにトランプ批判にも当てはまる”Money”をカヴァーしたり、こうして現トランプ思想の空しさを歌いあげるインドラのアルバムは、美しいなりきに、その心の哀しさを感じ取れるところです。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年5月12日 (土) 21時31分