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2018年5月15日 (火)

恐ろしや70歳越え(声) 奥村チヨ 卒業アルバム「ありがとう~サイレントムーン」

[My Photo Album (瞬光残像)]  Spring/2018

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(我が家の庭から・・・   NikonD800/90mm/PL/May,2018)

歌謡曲の歴史~50年前からの一物語の終焉

日本歌謡曲

奥村チヨ 卒業アルバム「ありがとう~サイレントムーン」
Universal Music / JPN / UPCY-7465 / 2018

Photo

 「サイレントムーン」 奥村チヨ : Vocals
              渡辺なつみ作詞、浜圭介作曲、高橋哲也編曲
 

Cybgk0euqaa4w こうゆうのを話題にするのは慣れない話ですが・・・若い人は当然知らない話で、50年前に「東芝三人娘」というのがありました。それが50年経った訳だから・・・当然彼女らは現在70歳前後なんですね。
 それは小川知子、奥村チヨ、黛ジュン、1960年代後半(かっての東京オリンピック直後の頃)の歌謡曲黄金時代に活躍した三人の女性歌手。東芝音楽工業(現・EMIミュージック・ジャパン)からレコード歌手としてデビューしたこの三人だ。それも現在も健在で活動しているから凄い。

 その奥村チヨ(1947年生まれ)が70歳を過ぎての今年2018年に引退すると言うことで話題になっている。しかも新曲「サイレントムーン」(渡辺なつみ作詩、浜圭介作曲)を歌ってアルバム・リリースしてのことである。
 彼女は、高校三年生の時にCMソングを唄って、東芝の草野浩二の目にとまり、高校卒業してシルビー・バルタンの「私を愛して」のカヴァーからスタート。

Photo_3 「ごめんネ…ジロー」(1965年)「北国の青い空」(1967年)などをヒットさせたのだったが、その「北国の青い空」は、当時エレキ・ギターの全盛期を作ったベンチャーズ(→)が日本でも圧倒的人気があって、これは彼らの作曲した曲で、これを歌いあげた事によって私も一目置くことになった。

 しかし、その彼女のコケティッシュな魅力、小悪魔のようでいて可憐な可愛らしさがあるというイメージから、本人の希望とは裏腹に、レコード会社の戦略もあって「恋の奴隷」を初めに「恋狂い」と「恋泥棒」の「恋三部作」を発表し、圧倒的ヒットを飛ばしたのであった。それにより当然紅白歌合戦にも選ばれたが、メインの曲「恋の奴隷」は、その内容から不適切となって(今じゃ考えられないことだが)、「恋泥棒」を唄ったという話が残っている。
 その後の「中途半端はやめて」など、ヒットはするがそのコケティッシュなイメージは更にエスカレートして、本人はいよいよ納得しないところとなった。

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 そこで1971年12月になって、本人の歌手引退も辞さない強い希望から実現した曲で、自身のコケティッシュ・イメージを脱却した「終着駅」(千家和也作詞、浜圭介作曲)を発表し、これが又販売枚数が40万枚と好評を得た。そしてこれは作曲者の浜圭介にとっても認められた作品で有り、奥村チヨは彼と結婚して、1974年に芸能界の第一線を退いたのだった。
 ・・・・と、考えて見れば昔々のお話しで、なんとそれが1980年になると、ビクターから、「せめてさよならは…」をリリースして歌手活動を再開。1993年に、折からの1960年代ブームに乗って「恋の奴隷」が再ヒットしちゃったんですね。

 更に個性的な歌唱スタイルで1995年にはなんと新曲「パローレ・パローレ」 (岡田冨美子作詞、金野孝作曲)が大ヒット、それは彼女が50歳になろうとしていた時である。若い人からは”唄がうまいあのおばさんは一体誰れ?”と話題沸騰したのは、我々から見るとニンマリする話であった。
 そして2000年には「浮雲」(金野孝作詞、浜圭介作曲)も実力溢るる曲で人気を獲得、いよいよ70歳を過ぎての今年になって、自分でも納得の新曲「サイレントムーン」を得たと言うことで引退宣言となったのだ。それが又この曲、若々しい声で唄いあげていていやはや恐ろしいお婆ちゃんの物語であった。

 そこで今回リリースされた引退記念アルバム(CD+DVD)の内容は以下。話題となった曲の多い彼女の経歴からも収録曲が不十分ということで、巷には若干の不満があるようだが・・・、一枚のCDに納めようとしたらこんなところであろうか。取り敢えず最後の新曲「サイレントムーンSilent Moon」がトップと最後(カラオケ版)に収録。

Co1_2【収録曲】
DISC1(CD)
1.サイレントムーン
2.私を愛して Car tu t'en vas
3.ごめんネ・・・ジロー
4.北国の青い空
5.涙いろの恋
6.恋の奴隷
7.恋泥棒
8.くやしいけれど幸せよ
9.嘘でもいいから
10.中途半端はやめて
11.終着駅`95
12.別離の讃美歌
13.何かありそうな西銀座
14.バスが来たら
15.浮雲
16.サイレントムーン(カラオケ)

DISC2(DVD)
・サイレントムーン(Music Video)
・奥村チヨMemorial Video
・浮雲(Music Video)

(視聴)

① 恋の奴隷

②  終着駅

③  サイレントムーン

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コメント

こんばんは

奥村チヨの歌はいいですね。本人の歌唱力はもちろんですが、曲にも恵まれたと思います。シルヴィー・ヴァルタンのカバーをはじめ、彼女の洋楽も記憶に残っています。

この記事ですが、奥村チヨについてすごく要領よくまとめられていて、感心しきりです。僕は彼女のCD、レコード、EPをかなりコレクトしていて、昔からたまに聴いていました。歌う曲にポップなセンスが入っていて、そういったところにも惹かれています。引退は残念ですが、50年間はすごいです。いい記事をありがとうございます。

投稿: azumino | 2018年5月16日 (水) 00時03分

 azuminoさん、コメント有り難うございます。
 昔話で恐縮です。1960年代は日本の歌謡曲界も活発で、又世界ではロックが盛り上がり・・・と、楽しい時代でした。時代背景も右肩上がりの経済状態があって、その時代を推し進めるモノ、批判するモノ、その両者に活動性は高かったと思います。そんな時の「〇〇三人娘」というのは、何に付けても良かったですね。
 そうですね、私も当時の奥村チヨの持っていたLPは、今回の話で探してみると、「チヨとあなたの夜」「甘い生活/奥村チヨ」なんてのが出てきました。定価は1500~1800円てす。物価から考えると当時LPは高かったですね。いやはや、今回50年の経過をなんとなく振り返ってしまいました。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年5月16日 (水) 19時00分

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