なんとなく好きな曲(1) 「Cry Me A River」~歌姫の競演
特別な意味は無いのだが、昔からなんとなく好きな曲(歌)があるもので・・・・そのうちの一つにもう60年前の曲で、今でも女性ジャズ・ヴォーカルのアルバムにはよく登場する「Cry Me A River」だ。
この曲は、近年ロックの大御所にもなりつつあるジェフ・ベックもギター・ソロで演じたりと、登場は延々と今日に繋がっているのだ。そこで取り敢えず最近この曲を唄いあげた歌姫を聴き比べてみようと、手元にあったアルバムから取り出して並べてみたところ十数曲となった。
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
もともとこの曲は1955年にジュリー・ロンドンJulie London(1926-2000 (→))の歌唱で米国で大ヒットしたものだが、作曲・作詞者はアーサー・ハミルトンArther Hamilton(1926-)である。この曲も意外に難産で、当初は映画音楽(「皆殺しのトランペット」)として作曲されたのだが却下され、なんと映画企画者で監督・主演のJack Webbがこの曲を惜しんで、自分と離婚したばかりのジュリー・ロンドンに紹介したというのである。そしてジュリーは、ギターとウッド・ベースのデュオをバックに唄いあげてヒットとなったものだ。これによりB級女優であったジュリーは一躍歌手として脚光を浴びることになったというもの。
私が昔初めて聴いた当時は、当然このジュリーの唄ったものだが、歌の歌詞の内容などは特に理解もせず気にもしないで聴いて気に入っていたのだが、一度は裏切りながら復縁を乞う恋人に向かって”いまさらもう遅い、川のように泣くがいい”といういやはや”恨み節”と言えるバラード曲なんですね。しかし究極はそう言いながらも受け入れる女心を臭わせるのが良いのかも。
そして1956年には映画「女はそれを我慢できないThe Girl Can't Help It」にジュリーは特別出演してこの曲を登場させ、世界的ヒットとなった。
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
そこで私が作製したCD(勿論、私のプライベイトのもの)
「CRY ME A RIVER」 selected by photofloyd
1. Jeff Beck
2. Imelda May
3. Julie London
4. Nicki Parrott
5. Cheryl Bentyne
6. Diana Krall
7. Ilse Huizinga
8. Lyn Stanley
9. Hetty Kate
10. Barbora Mindrine
11. Alexis Cole
12. Halie Loren
13. Tierney Sutton
どうですか、結構興味深いメンバーが集まりました。
”さあ、皆うまく歌えよ・・・・”と言う感じで、Jeff Beckの演奏からスタートさせた。そして歌姫トップは、ジェフとのコンビの私が言うところのあちらの美空ひばりImelda Mayの歌から始まる(実は美空ひばりもこの曲を日本語歌詞で歌っていますが、良い音源が手元に無し)。このイメルダはロックでもジャズでも何でもこなす、上手いです。そしておもむろにJulie Londonの登場、今聴いても情感の表し方は古くさくなくお見事。そして続いて今や花形のヴォーカリストを登場させるというパターン。いやはやそれぞれ皆個性ありますね。
Nicki Parrottは無難に唄っていますが、ちょっと情感が少ないかな。Cheryl Bentyneはバックのトランペットが効いてジャズっぽい。Diana Krallはやっぱり独特のクラール節。Ilse Huizingaはやや大人しいかなぁ、ちょっと既成のイメージとは違う。Lyn Stanleyはバックのサックスと共に大人ムード。Hetty Kateは情感抜きの異色派。Barbora Mindrineはバックこそ違ってもジュリー派。Alexis Coleは唄い聴かせる派。Halie Loren は小節を効かしての自分派。Tierney Suttonはまさに彼女の世界で歌い込む、別の曲かと思わせる。
こうして並べて聴いていても、それぞれに個性があって飽きないところが味噌。従ってまだまだ多くの女性ヴォーカリストがこれからも聴かせてくれることが楽しみな曲である。
Cry Me A River
(Arther Hamilton)
Now you say you're lonely
You cry the long night through
Well, you can cry me a river
Cry me a river
I cried a river over you
Now you say you're sorry
For being so untrue
Well, you can cry me a river
Cry me a river
I cried a river over you
You drove me, nearly drove me, out of my head
While you never shed a tear
Remember, I remember, all that you said
You told me love was too plebeian
Told me you were through with me and
Now you say you love me
Well, just to prove that you do
Come on and cry me a river
Cry me a river
I cried a river over you
I cried a river over you
I cried a river...over you...
今頃になって あなたは「淋しい」なんて言うのね
一晩中 涙に暮れながら
だったら たくさんお泣きなさい
川のように泣くといいわ(涙が川になるまで泣いてみせて)
私だって あなたの為に たくさん涙を流してきたんですもの
今さら 「すまない」なんて謝られてもね
自分がどんなに不実だったかを
だったら たくさんお泣きなさい
川のように泣くといいわ
私だって あなたの為に たくさん涙を流してきたんですもの
あなたが涙しなかった時も
私はどれほどあなたに夢中だったことか
忘れもしないわ あなたが私に言った事
恋なんて バカらしいとか
私とはもう終わっただとか
それなのに
今さら あなたは「愛してる」なんて言うのね
だったら それを証して見せて
川のように あふれる涙で
(ネット上でみた日本語訳を拝借)
(視聴)
* Imelda May
* Diana Krall
* 美空ひばり
| 固定リンク
« (検証シリーズ) ステファノ・バターリア・トリオStefano Battaglia Trio検証 アルバム「In The Morning」 | トップページ | 話題のハイレゾCD=MQA-CD 登場 ~CD革命~ まずは日本から »
「音楽」カテゴリの記事
- 寺島靖国氏の看板アルバム 「Jazz Bar 2024」(2024.12.10)
- ジョン・バティステ Jon Batiste 「BEETHOVEN BLUES」(2024.12.05)
- ヨーナス・ハーヴィストJoonas Haavisto 「INNER INVERSIONS」(2024.11.25)
- コリン・ヴァロン Colin Vallon 「Samares」(2024.11.20)
- エミル・ヴィクリッキー Emil Viklicky Trio 「Moravian Rhapsody」(2024.11.30)
「JAZZ」カテゴリの記事
- 寺島靖国氏の看板アルバム 「Jazz Bar 2024」(2024.12.10)
- ジョン・バティステ Jon Batiste 「BEETHOVEN BLUES」(2024.12.05)
- ヨーナス・ハーヴィストJoonas Haavisto 「INNER INVERSIONS」(2024.11.25)
- コリン・ヴァロン Colin Vallon 「Samares」(2024.11.20)
- エミル・ヴィクリッキー Emil Viklicky Trio 「Moravian Rhapsody」(2024.11.30)
「ジェフ・ベック」カテゴリの記事
- ジェフ・ベック Jeff Beck 「CROSSROADS GUITAR FESTIVAL 2019」(2020.01.10)
- ジェフ・ベックJeff Beckの映像版「JEFF BECK BARCELONA 2018」(2018.08.11)
- なんとなく好きな曲(1) 「Cry Me A River」~歌姫の競演(2018.06.18)
- ジェフ・ベック50周年ライブ映像版「LIVE AT THE HOLLYWOOD BOWL」(2017.10.24)
- ジェフ・ベックJeff Beck 2016年ライブ映像盤2題=その1「Baloise Session 2016」(2017.09.07)
「イメルダ・メイ」カテゴリの記事
- イメルダ・メイ Imelda May 「11 Past the Hour」(2023.05.04)
- なんとなく好きな曲(1) 「Cry Me A River」~歌姫の競演(2018.06.18)
- 大変身のイメルダ・メイIMELDA MAY 「LIFE. LOVE. FLESH. BLOOD」(2017.05.27)
- ジェフ・ベック Jeff Beck : とにかく楽しい「Rock'n'Roll Party」(2011.02.08)
- ライブで健闘のジェフ・ベック Jeff Beck(2011.01.26)
「ダイアナ・クラール」カテゴリの記事
- ダイアナ・クラール Diana Krall 「Famous Blue Raincoat - 2024 TOKYO 3RD NIGHT」(2024.07.28)
- ダイアナ・クラールのニュー・アルバム Diana Krall 「THIS DREAM OF YOU」(2020.10.10)
- ダイアナ・クラール2019年東京ライブ Diana Krall 「3 DAYS IN TOKYO 2019」(2020.01.14)
- ダイアナ・クラールとトニー・ベネットのデュエットTony Bennett & Diana Krall 「LOVE IS HERE TO STAY」(2018.09.26)
- なんとなく好きな曲(1) 「Cry Me A River」~歌姫の競演(2018.06.18)
「女性ヴォーカル」カテゴリの記事
- アルマ・ミチッチ Alma Micic 「You're My Thrill」(2024.11.10)
- メロディ・ガルドー Melody Gardot 「THE ESSENTIAL」(2024.11.05)
- エレン・アンデション Ellen Andersson 「Impressions of Evans 」(2024.10.31)
- サマラ・ジョイ Samara Joy 「Portrait」(2024.10.22)
- メラニー・デ・ビアシオ Melanie De Biasio 「Il Viaggio」(2024.10.16)
「ニッキ・パロット」カテゴリの記事
- ニッキ・パロット Nicki Parrott 「Misty」(2023.02.25)
- ニッキ・パロット Nicki Parrott 「Great 70's」(2021.09.10)
- キャロル・ウェルスマンCarol Welsman「This is Carol - Jass Beauties」(2019.09.03)
- ニッキ・パロットのニュー・アルバム Nicki Parrott 「from NEW York to PARIS」(2019.05.14)
- ニッキ・パロットNicki Parrott 「Stompin' At The Savoy」(2018.09.30)
「ヘイリー・ロレン」カテゴリの記事
- ヘイリー・ロレン Haile Loren 「Dreams Lost and Found」(2024.04.19)
- なんとなく好きな曲(1) 「Cry Me A River」~歌姫の競演(2018.06.18)
- ヘイリー・ロレンHalie Lorenのニュー・アルバム 「FROM THE WILD SKY」・・・・・・・・(別話題)アレッサンドロ・ガラティ決定盤登場(2018.04.26)
- 今年も「ヘイリー・ロレンHalie Loren東京ライブ」に参加・・・・(2016.04.18)
- ジャズ路線が強化~ヘイリー・ロレンHalie Loren の新譜「butterfly blue」そして”バレンタイン・スペシャル・ライブ”(2015.02.16)
「アレクシス・コール」カテゴリの記事
- なんとなく好きな曲(1) 「Cry Me A River」~歌姫の競演(2018.06.18)
- アレクシス・コールAlexis Cole & Bucky Pizzarelli 「A Beatiful Friendship」(2015.08.18)
- バイノーラル3D録音=アレキシス・コールAlexis Cole 「A KISS IN THE DARK」(2015.06.24)
- やっぱり、オーソドックス・ジャズ・ヴォーカル~アレクシス・コールAlexis Cole「いつか王子様が」(2013.10.21)
- アレクシス・コールAlexis Cole : 「Close Your Eyes」(2013.10.01)
「シェリル・ベンティーン」カテゴリの記事
- なんとなく好きな曲(1) 「Cry Me A River」~歌姫の競演(2018.06.18)
- シェリル・ベンティーンCheryl Bentyneのソロ・アルバム考察(2)(2016.08.17)
- シェリル・ベンティーンCheryl Bentyneのソロ・アルバム考察(1)(2016.08.13)
「リン・スタンリー」カテゴリの記事
- なんとなく好きな曲(1) 「Cry Me A River」~歌姫の競演(2018.06.18)
- リン・スタンリーLyn Stanley のオーディオを意識したアルバム「THE MOONLIGHT SESSIONS Volume Two」(2018.06.07)
- <美女狩りシリーズ>オーディオ・マニアを凌駕するリン・スタンレーLyn Stanley(2016.07.13)
コメント