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2018年6月14日 (木)

(検証シリーズ) ステファノ・バターリア・トリオStefano Battaglia Trio検証  アルバム「In The Morning」

心を癒やし、深層に浸透していく神秘的世界を描く

<Jazz>
Stefano Battaglia Trio 「In The Morning」
ECM / GERM / ECM 2051 2768055 / 2015

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Stefano Battaglia(piano)
Salvatore Maiore(double bass)
Roberto Dani(drums)
Recorded April 28, 2014 Teatro Vittoria, Torino
Produced by Manfred Eicher
Engineer Stefano Amerio


Sb1w イタリアのステファノ・バターリア(バタグリア)Stefano Battaglia に関しては、ECMレーベル愛好家にて結構その筋での支持者がいるのだが、私としては、じっくり聴く機会も無かった為、ちょっと反省(笑)して、ここで聴き込こもうとしているのである。
 近作にピアノ・ソロ盤2枚組『Pelagos』(ECM/5768968/2017)がリリースされていてなかなかハイレベルの作品として評価されているが、ピアノ・トリオ好きの私としては、まずは彼のその筋の最新作はこの2015年のアルバムECM6作目の『In The Morning』であるので、そこから2011年のアルバム『The River of Anyder 』と共に聴いている。

(「In The Morning」Tracklist)
1.  In the Morning
2.  River Run
3.  Moon And Sand
4.  When I am Dead My Dearest
5.  The Lake Isle of Innisfree
6.  Where Do You Go?
7.  Chick Lorimer
(Music by Alec Wilder,  arranged by Stefano Battaglia)

 ステファノ・バターリアは、2003年に自身が尊敬しているというBill EvansやPaul Bleyなどに焦点を当ててのアルバム『Raccolto』(ECM/051117-02)でECMデビューを果たした。
 この6作目は、米国のコンポーザーであるアレック・ワイルダーAlec Wilder(1907-1980)を取りあげている。このワイルダーは、ペギー・リーとかフランク・シナトラなどが歌っていたポピュラー・ソングやクラシックの室内楽、オペラなどの作曲家として知られる人だと言うが、私は知らなかったに等しい。彼はこの作曲家の音楽世界の深い部分に引きつけられていて、ここに挑戦しているのだという。ライブ録音盤である。録音は今や注目のステファノ・アメリオであり素晴らしい。

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 曲はやっぱりイタリア的なしっとりねちこいと言うタイプでない。その分だけイタリアものとしてはちょと別モノのスッキリした抒情性である。私はこのワイルダーの曲に詳しくないので、どれもオリジナルな新曲に聴ける。そしてそれを優しく描くバターリアのピアノは美しい。なにかジャズものを聴いているとは思わない別の世界にいるような気分にもなる。

 M5. " The Lake Isle of Innisfree" は、極めてECM的世界である。トリオそれぞれが一つ一つの音を大切に余韻を味わうべく展開する。15分以上の長曲であるが、途中から明解なピアノのリズムが心を癒やす如く流れ、今度はベースが心の奥に浸透して行く。そして中盤になって、シンバルとピアノによる深層の世界に・・・・と、とにかくアメリオの録音がよく静寂の中に響く音に集中してしまう神秘的世界。これは一人で静かに聴くに最高の曲で、この会場ではどんな雰囲気だったんだろうと想像してしまう。最終章では聴きやすい心地よいピアノを主体としてのリズムが流れトリオの音で満たされて、安堵の中に終わる。

 とにかく全曲きわどいパターンはなく、心に響く優しさと深遠なる響きで貫いていて、曲の合間に入る拍手の会場の音が、聴いている私にとって、ふと我に返るというところである。強いて言えば、最後の曲 M7. " Chick Lorimer" のみ異色で有り、トリオそれぞれの自由度が高い中に乱れの無いハイセンスな技巧を聴かせ、彼らのトリオとしての存在を示している。ただ優しさだけで無く、テクニシャンぶりを訴えてこれで締めくくりたかった気持ちが解るところだ。

(評価)
□ 演奏 ★★★★★☆
□ 録音  ★★★★★☆

■参考としてもう一枚のトリオ・アルバム■
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Stefano Battaglia Trio 「The River of Anyder」

ECM / GER / ECM 2151 8055 / 2011

Stefano Battaglia (p)
Salvatore Maiore (double-b)
Roberto Dani (ds)


  こちらのアルバムは、ECM的世界そのもの。私にはよく解らないが、イギリスの思想家サー・トマス・モアの著書『ユートピア』に出てくるAnyder川に流れる透き通った水をテーマにとの事。この川をはじめ他にも神話や伝説で知られる場所を彼の世界で描いたという作品。全曲Battagliaのオリジナル曲。これこそ彼らの自然から受ける時代を超えた情景を描いている叙情詩。自然と人間の高尚なる存在に目を向けさせる世界感を持ったトリオなのだ。

(視聴)

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