エンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunzi 「WINE & WALTZES Live at Bastianich Winery」
エンリコのワイナリーでのピアノ・ソロ・ライブ
<Jazz>
Enrico Pieranunzi 「WINE & WALTZES Live at Bastianich Winery」
Cam Jazz / Euro / CAMJ7934 / 2018
Enrico Pieranunzi (piano) played on Fazioli F278
All music by Enrico Pieranunzi
Recorded & mixing engineer Stefano Amerio
Recorded Live at Bastianich Winery (Cividale del Friuli, Italy) on 6 June 2017
つい最近エンリコ・ピエラヌンツィEnrico Pieranunzi のトリオのアルバム(『Monsieur Claude - A Travel with Claude Debussy』(BON180301))がリリースされたばかりだが、ブログ友エンリコ命の爵士さんお勧めのピアノ・ソロ盤が今度はリリースされた(実際には欧州ではこちらが先のリリースのようだが)。
イタリアからスロヴェニアとの国境に近いところにあるバスティアニッヒ・ワイナリーで昨年行われたエンリコのピアノ・ソロ・パフォーマンスだ。ヨーロッパに行くと、とにかく立派なワイナリーが各地にあるのだが、あの静かなワインの眠る大空間で行われた演奏と、いやはや洒落ている。そしてピアノはイタリアの誇る「FazioliF278」である。
(Tracklist)
1. Wine & Waltzes (3:47)
2. Blue Waltz (7:11)
3. Twoliness (4:12)
4. Waltz Today (3:47)
5. Fellini’s Waltz (6:03)
6. B.Y.O.H. (8:29)
7. Waltz Tomorrow (4:21)
8. Flowering Stones (8:51)
さてその中身は、Tracklistにみるとおりの、欧州クラシック音楽の歴史的なものであるワルツを基調としたエンリコのオリジナル曲群だ。つまり3拍子の円舞曲で、そこにはテンポの良さからの明るさがある。それはこうしたワイナリーにおける曲としては、彼の選曲の世界だろうと想像しているのだが。私としてはもう少し深遠なる世界を実は期待してしまうのであるが。
ただエンリコは、M2. "Blue Waltz", M5. "Fellini’s Waltz"あたりは既に何回かと演奏してきているもので、どこか憂いがあるところが聴きどころなのかも知れない。
とにかくクラシック音楽的上品さとその軽い明るさのワルツとくれば、どうも私好みとは別世界なのだが、そんなところからも、M1、M4、M7あたりの意義については私には理解不能。しかしそんな私自身の偏見的世界からしても、M2、M3、M5、M6などには、品格を持ったプレイに宿る哀愁感が描かれて、そのメロディラインの美しさと共に私自身は大いにその価値を感じている。
究極は、このようなアルバムはジャズ・ピアノという範疇にはいるのか、むしろクラシックの派生と聴いた方が良いのか、私のように音楽学問の無い人間には難しいところだが、エンリコ・ピエラヌンツィの近年の一つの姿であることは間違いない。なかなか彼の演奏能力の技術的高さと同時に品格のあるアルバムであった。
又、アメリオのピアノの音を知り尽くしての録音に感動だ。このワイナリーは、拍手の余韻を聞いても解るが、かなり研究された音響効果の良好な場として選ばれた可能性が高い。
ただ、演奏と聴く者の拍手の音の重なる部分はないのであるから、こうゆうアルバム作りに於いて、敢えて拍手を入れる必要があるのかとふと疑問に思ったところであった。
(評価)
□ 曲・演奏 ★★★★★☆
□ 録音 ★★★★★☆
(試聴) Fellini’s Waltz
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コメント
風呂井戸さんこんにちは
本日最近の記事拝見させていただきましたが、ステンソン、ロッセ・マイヤー・ガイガー、デラート、ヤスクーケと過去のアルバム所有しており気になる人の記事でたいへん参考となりました。
中でデラートとヤスクーケの新作は機会を見て入手したいと思います。
実は、本日最近気に入っているFrank Harrison / LunarisについてFBに乗せようとネット検索していて風呂井戸さんの記事を見つけました。ネットでお気に入りのピアニストについて情報を得ようとしたとき風呂井戸さんのページに出会うこと良くあります。
また、エンリコのソロも知りませんでしたので、参考となりました。私もライブ録音の拍手はないほうが良いといつも思っていますし、ライブ盤はできれば買わない派です。
今後も風呂井戸さんの記事楽しみに拝見させていただきます。
投稿: baikinnmann | 2018年7月22日 (日) 11時04分
Baikinnmannさん、何時もこの拙いBlogを観て頂き、又この猛暑の中コメントと、有り難うございます。
この西日本豪雨では、心配しておりましたが・・・Facebookのお話しではご無事であった由、よかったです。
どうも私の話はユーロ系に偏りますが、それぞれの国の歴史を感ずるジャズはどこか深みがあって好きです。そしてエンリコは既に自己の世界を構築しているプレイヤーとしてみてますが、今回のライブでのプレイも、ワルツにどこか哀感をかんじさせるというのはさすがだと思いました。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年7月22日 (日) 12時24分
暑いのただ一言ですが、あまりよくは知らないのですが、ヨーロッパには、コンサートホールのほかでも、コンサートをよくするようです。教会、ホテル、博物館、市庁舎 ・・・などのポスターをよく見かけました。プログレッシヴなものからクラシックに近いこのようなものまで、ピエラヌンツィの幅の広さには感心します。
投稿: 爵士 | 2018年7月23日 (月) 14時10分
爵士さん、炎暑の中コメント有り難うございます。
本日は私は休みを取ってます(笑)。
ヨーロッパは確かに教会における演奏会というのは多いですね。音響が良いのでしょうね。今回のワイナリーというのは私は初めてでした。又ワルツと言うことですが、このような哀感を描けるエンリコにも脱帽です。
またまだ彼の挑戦は続きそうですね。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年7月23日 (月) 14時52分