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2018年7月 2日 (月)

(友人から勧められた本)與那覇 潤 「知性は死なない」

平成はもうあと少しで終わる・・・・リベラルの凋落
こんな時代で終えて良かったのか?

 雨の6月末に読んだ本です。
 私はなかなかこの手の本を自分で見つけて読むと言うことが苦手。それは普段は目的が偏って決まっている為にその方面に沿った本しか選べない為です。
 しかし有り難いことにこうして本を薦めてくれる友人が居るということです。そんなおかげで、最近はかなり多方面の本に接しています。

與那覇 潤 「知性は死なない--平成の鬱をこえて
(発行者:吉安章  発行所:(株)文芸春秋 / 2018 )

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 この著者與那覇潤とは私は知らなかった。彼は「日本の存在」ということにかなりの意欲で対峙していた東京大学教養部卒で、同大学院総合文化研究科博士課程を経て(2007年)、愛知県立大学日本文化学部准教授であった。
 この書は、「双極性障害(躁鬱病)」という精神疾患に襲われ彼が、無能化した状態からの再生、そして平成を振り返り現在の状況に彼らの「知性」は何故崩壊と言えるに状態に至ったかを問いながらも、「ポスト平成」にやはり”光”を求める書である。

W_2 與那覇氏は1979年生まれと言うから、私から見れば失礼だがまだまだ若い青年と言える年頃。そして生きてきた時代は主として「平成」である。だから「平成」こそ思想と人格形成の時であった訳で、そんな目から見た貴重な「平成」は何であったかと思い残す気持ちは大きいと思う。それは私のような「昭和」の人間からすれば「昭和」の激動をどう生かしてくれるかとむしろそうした目で見てしまうのであるが。

■ 精神疾患からの再生
 與那覇氏が精神的に調子を崩すに至った過程は主として大学という場であったと思うが、ちらっと見える大学人批判らしきところからも「平成の流れに迎合して行く知性とは?」と言う懐疑心の世界がみえている。彼の精神病下のやるせない悲哀感も伝わってくる中で、療養生活(障害者との共同生活も含めて)下で、今までに経験の無かった世界を眺めるようになったこと、「言語」と「身体」という二つの視点からリベラルの凋落を考察するところに至る話も興味深い。

I0455_03_01a■日本のリベラルの破綻と知性の崩壊
 この書では「平成の年表」も「日本編」「海外編」と分けて記しているが、日本に於いては、細川非自民政権発足(1993)から、村山自社さ政権(1994)、自民・公明連立与党(1999)、小泉純一郎政権(2001)、第一次安倍晋三内閣(2006)、民主党政権(2009)、第二次安倍内閣(2012)と、やはり30年となると大きな変化があったとも言えるが、この過程の中にリベラルの破綻と知性の崩壊の歴史をみることになる。それは昭和の「60年安保闘争」の念頭に置いての「集団的自衛権に反対して政権を倒す」という人たちの運動は、知識人も含めて完敗した現実。

■ コムニズムへの期待は?
 そして世界情勢では冷戦以降の資本主義と共産主義、宗教、民族と広く分析する。マルクスのコムニズムCommunismを「共産主義」と言うので無く「共存主義」と説くところに至る過程も興味深い。

 これは私が薦められて読んだ書であるが、多くの人に読んで欲しい書でもある。

(最後に280頁から)
 私たちはのこりわずか一年で、新しい元号を迎えます。しかしそれがどこまでほんとうに「あたらしい時代」となるのかは、私たち自身がどのように、古い時代をふりかえり、その成果と課題を検討して、なにを残しなにを変えて行いくと決めるのか--すなわち、どのように「知性」をはたらかせるかにかかっています。

(與那覇潤 著書)
『翻訳の政治学 近代東アジア世界の形成と日琉関係の変容』岩波書店、2009年
『帝国の残影 兵士・小津安二郎の昭和史』NTT出版、2011年
『中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史』文藝春秋、2011年
『日本人はなぜ存在するか』集英社インターナショナル、2013年
『史論の復権』新潮新書、2013
『知性は死なないー平成の鬱をこえて』文藝春秋、2018


(参考映像)

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