ジェシカ・ウィリアムズJessica Williams復刻盤「Some Ballads, Some Blues」
技量の高さに驚かされる女流ピアニスト
<Jazz>
Jessica Williams 「Some Ballards, Some Blues」
JAZZ FOCUS RECORDS / US / JFCD038 / 2016
Jessica Williams(p)
Dave Captein(b)
Mel Brown(ds)
White Horse Studios, Portland, OR, on April 12 & 13, 1999
女流ピアニスト、ジェシカ・ウィリアムズJessica Williams の1999年録音ピアノ・トリオ版の再発盤。
彼女は1948年生まれ(米国、マリーランド州)で今年は70歳。これは50歳代の円熟期の演奏。既に何十枚のアルバムを残している超ベテランにしてその技量の評価も高いのだが、意外に日本では広く浸透していない。 そして現在の演奏活動はどうなんだろうか、このところはニュー・アルバムは登場していない。
このアルバムは、下のリストに見るように、自身のオリジナル曲(*印)が中心だが、一方" You Don't Know What Love Is"や"My Foolish Heart"、"When I Fall in Love"といったリリカルなスタンダード曲も登場する。特にこれらを聴いてみて解るのは、彼女独自のピアノ・タッチがあることで、そしてその技量と洗練されたインプロにも驚かされる。
(Tracklist)
1. You Don't Know What Love Is
2. Blue Miles *
3. My Foolish Heart
4. For You Again *
5. When I Fall in Love
6. Mr Johnson *
7. Dark One *
8. Simple Things *
どうも基本的にはネオ・ハードバップなタイプと評価されているようだが、ちょっとフリーキーfreakyな印象も受けるところも多いタイプ。なかなかこれは難物かと思いきや、伝統的ともいえるオーソドックスな演奏も展開するという個性に満ちた演奏だ。その為飽きさせずに、そう難解と言うこともなく繊細なところも感じつつ面白さも感じ取った。
ピアノ・トリオなのだが、私の聴き方のせいか、どうも彼女の多彩な、変幻自在なピアノ・プレイに圧倒されて、ピアノ・オンリーが完全に前面に出ているソロを聴いている気分のトリオ・アルバムとして聴いた。
冒頭の"You Don't Know What Love Is"で、美しく演奏するところと攻めるところの混在に聴く方も油断できずに構えるのだが、"My Foolish Heart"なんかはほっとして聴くことが出来た。
このような盤を再発したのには、それなりの目的があろうが、ハードバップから一歩前進を試みているこの当時のエネルギーを知る意味に於いても、又その味わいからいっても聴き応え十分のアルバムである。
(評価)
□曲・演奏 : ★★★★☆
□録音 : ★★★★☆
(参考視聴)
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コメント
風呂井戸さん こんばんは。
ジェシカ3枚ほど有していて私も良いピアニストだと思っています。
中で2007年の「FREEDOM TRANE」は力強く熱の入った演奏を聴かせてくれ印象的です。
今回ご紹介のアルバムは有していませんが、そのうち入手してみたいと思います。
投稿: baikinnmann | 2018年8月 5日 (日) 21時31分
Baikinnmannさん、参考になるコメント有り難うございます。
名前だけと、断片的な演奏のみしか聴いて居らず、近年ニュ-・アルバムにもお目に掛からないため、この再発盤を知って手にしてみたところです。
そうですか、Baikinnmannの評価に値している事を知りますれば、更に私は納得です(^^))。このアルバム、Ballards, Bluesというところからなんとなく引きつけられたと言う所でした。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年8月 5日 (日) 22時36分
Baikinnmannさんへ、もう一つ。
FBで、ポーランドのミエチスラヴ・コシュMieczysław Kosz を取りあげているのに驚きました。過去にこのピアニストにも是非アプローチしたいとかって思っていたのでした。未だに未着手でしたが、おかげで再発盤のあることを知りました。ポーランド、恐るべし・・・で、是非ともアプローチさせて頂きます。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年8月 5日 (日) 22時49分
風呂井戸さん
ミエチスラヴ・コシュこのところずっと聴いていて、ほんとポーランド恐るべしって感じがしています。
ジェシカの「Some Ballards, Some Blues」ほうは売り切れ状態みたいですので、いずれ巡り合えればと思います。
投稿: baikinnmann | 2018年8月 6日 (月) 20時14分