マッシモ・ファラオ・トリオMassimo Farao' Trio のニュー・アルバム「MOLDAU play classics」
クラシックを取りあげてのスウィング基調のお気軽ジャズ
~ちょっと拍子抜けのところもあるけれどね
<Jazz>
Massimo Farao' Trio 「MOLDAU play classics」
VENUS Records / JPN / VHCD-1242 / 2018
MASSIMO FARAO マッシモ・ファラオ (PIANO)
NICOLA BARBON ニコラ・バルボン (BASS)
RUBEN BELLAVIA ルーべン・ベラヴィア (DRUMS)
Recorded at RIVERSIDE STUDIO,TORINO, ITALY on Novenber 7 & 8, 2017
Produced by Tetsuo Hara
Engineered by Alessandro Taricco
Mixed and Mastered by Tetsuo Hara
とにかくイタリアには、ジャズ・ピアノを聴かせる名プレイヤーが軒並み連ねていて、飽きるところが無い。さすがバロックを作り上げた音楽の国民性がしっかりと生きているんだなぁ~~と、あのがさつと思われるイタリア男には、頭が下がる思いである。
そんな中で、それなりの実績をしっかりと積み上げてきたマッシモ・ファラオMassimo Farao' (1965年生まれ) のニュー・アルバムである。それがなんと私の場合は殆ど接点無しで来たプレイヤーである。何故かって、あまり面白みが感じられなかったというのが偽わざるところ。しかし今回はあの何かとお騒がわせなVENUSレコードからの第3弾であるこのアルバムにクラシックの臭いから手を付けてみたというところ。
これは、マッシモ・ファラオがオーソドックスなピアノ・トリオで、超有名なクラシク曲をメロディックにロマンティックに、ジャズのスウィングを十分効かせて演奏したというところなのだ。
1 ソナタ第8番 悲愴 (ベートーベン)
2 マズルカ (ショパン)
3 ノクターン 夜想曲 (ショパン)
4 エリーゼのために (ベートーベン)
5 ソルベーグの唄 (グリーク)
6 アヴェ・マリア (グノー)
7 愛の夢 (リスト)
8 アンダンテ 交響曲第3番 (ブラームス)
9 ピアノ・ソナタ (モーツアルト)
10 白鳥の湖 (チャイコフスキー )
11 モルダウ (ドボルザーク)
12 アダージョ(アルビノーニ )
なんとなんと冒頭のM1."悲愴"から、哀切なメロディーをピアノでなぞりながらのスウィングしての曲展開なのだ。私はどんなにか哀愁のバラードかと期待したんですが、ちょっと空しい。でも立派にスウングする演奏から、これこそジャズだと喝采を浴びせる人もいるのだろうなぁ~~と思うところ。
そして続くM2,M3と相変わらずスウィングは止まるところを知らない。 "夜想曲"までスウィング展開、更に"エリーゼのために"は快調なリズム展開でまさかの異色ムード。あまりにも有名なクラシック曲であるので、原曲のなぞりでは面白くないのは解るのだが、いやはやここまでくると昔の酒場のバックグラウンド・ミュージックだ。
まあそれがジャズだと言えば、そうなんですが、今時のユーロ・ジャズとしては私としてはどこか哀愁の世界とか、なんとなく思索的な思わせの世界とか・・・どこか芸術的な臭いがするなんて大それたところに期待してしまうのですが。
それでもようやくM5."ソルベーグの唄"になって、原曲のムードが演じられてきた(原曲のムードを演ずるが良いとは言っているわけではない)。そしてM6." アヴェ・マリア "になって、これも原曲通りのスロー展開ではあるが、その中にジャズらしいピアノ・タッチが見事で、やっとこのアルバムを聴いた意義が感じられたという始末。
M7." 愛の夢"、M8."アンダンテ 交響曲第3番"は、スローでムーディーな演奏でスタート、中判にスウィングするという手法。このほうが味があろうかと思うところなのだが。
なんと言っても、私の興味はM12."アルビノーニのアダージョ"に実はあったのですが、うーん最後に来てようやく納得のユーロ・ジャズ世界を聴かせてくれた。もともと曲が好きなので何処までその世界をジャズ化してくれるかが楽しみだった。これはピアノ・メロディー編曲からインプロも適度に効いて、ようやくピアノの音の余韻の中にドラムスの展開も存在感があって聴く気分も充実できた。
トータルに判断して、けっして裏切りのアルバムではない。とにかく万人向きのスウィング・ジャズを基調にした世界である。とにかく聴きやすいく難しさが全く感じられないアルバムだ。これがジャズだと言う人もいるのだろう、まあVENUSレコードですから(ジャケはそれらしくないですけど)難しい事は抜きで気楽に聴きましょう。
推薦ナンバー1は、M12."アルビノーニのアダージョ"だ。
(評価)
□演奏 ★★★★☆☆
□録音 ★★★★☆
(参考視聴)
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